阪大 情報科学研究科 専門科目(情報工学) 2020年度 院試 過去問 解答例・解説(全7問)
全7問の分野は情報2問、数学1問、電磁気学・回路1問です。計算量理論、フーリエ級数、オペアンプ回路などが出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
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第1問 — アルゴリズムとプログラミング
方針
この問題は「配列で表した完全二分木」と「最大ヒープ条件」を同時に読む問題である。添字 の左右の子は ,親は である。
検算ポイント
(2) の配列 は各親が子以上である。後半の整列ループでは最小値ではなく最大値が末尾へ移るため,最終的に配列は昇順になる。
第2問 — 計算機システムとシステムプログラム
浮動小数点では「指数部の特殊値を除く」点と「非正規化を用いない」点が最大値・最小値を決める。仮想記憶では,ページングの利点は外部断片化を避けられること,欠点はページ単位の余りによる内部断片化である。
解答
(1-1) 数の表現
科学技術計算では値の範囲が広いことが重要なので浮動小数点表現を用いる。一方,小型機器の制御では回路規模や処理の単純さが重要なので固定小数点表現を用いることが多い。2 進表現では,分母に を含む十進小数は有限桁にならない。
(1-2-1) 正の最大値
正規化数で指数部は を用いる。最大は ,仮数部がすべて の場合である。
(1-2-2) 正の最小値
非正規化数を用いないので,最小の正規化数は ,仮数部 の場合である。
(1-2-3) のビット列
は と正規化できる。指数部は 。仮数部は を 2 進小数に直し,9 ビットで切り捨てる。 したがって
(1-2-4) 切り捨て丸めの問題
切り捨ては丸め誤差の向きが偏る。特に繰り返し計算では,毎回の小さな誤差が相殺されずに蓄積し,真値から系統的にずれていく。反復法の収束判定,差分計算,長い総和ではこの偏りが大きな誤差として現れやすい。
(2-1) 仮想記憶の語句
空欄 | 語句 |
(a) | アドレス空間 |
(b) | 仮想アドレス |
(c) | 仮想アドレス |
(d) | 実アドレス |
(e) | 主記憶 |
(f) | ページング |
(g) | セグメント |
(h) | ページング |
(i) | 外部断片化 |
(j) | 内部断片化 |
(k) | ページ |
(2-2) LRU と FIFO
参照列を左から順に処理する。初期状態ではページ枠が空なので,最初の 3 回は必ずページフォールトである。
(2-3) 許容されるページフォールト確率
ページフォールトがないとき,1 命令あたりのメモリアクセス時間は である。1 回のメモリアクセスでページフォールトが確率 で発生すると,追加時間は なので よって
(2-4) ページフォールト削減策
参照列を変えない条件では,プロセスに割り当てるページ枠数を増やすのが直接的である。物理メモリを増やす,または同時実行プロセス数を抑えて各プロセスの常駐集合を大きくすれば,LRU で追い出されるページが減る。
最終答
表現範囲が広い,浮動小数点,演算回路が簡単,固定小数点,。
ビット列は 。
ページフォールト回数は LRU が 回,FIFO が 回。
第3問 — 離散構造
後半はオイラーグラフの基本事実である。「連結かつ全頂点次数が偶数」なら橋は存在しない。橋が存在すると,橋を消した一方の連結成分で次数和の偶奇が破綻する,という証明が最短である。
第4問 — 計算理論
PDA はスタックで個数差を覚えられるが,DFA は有限個の状態しか持たないため,任意に大きい の一致は保持できない。CYK 法は Chomsky 標準形を前提にしているため, 規則をそのまま含む文法には適用できない。
第5問 — ネットワーク
交互ビット方式の要点は「データそのものの重複」と「新しいデータ」をシーケンス番号で区別することである。CRC では,送信符号語が生成多項式で割り切れるように検査ビットを付けるため,受信側は割り算の剰余だけを見ればよい。
第6問 — 電子回路と論理設計
RC 部分は Wien ブリッジ型の正帰還回路であり,位相が 0 になる周波数で利得が になる。論理設計では,未使用状態を don't care にできるため, のように簡単化できる。
第7問 — 数学解析と信号処理
前半は の標準的なフーリエ級数である。 を代入すれば ,Parseval を使えば が出る。後半のフィルタは 1 次 all-pass フィルタで,係数 は振幅ではなく位相遅れを変える。
年度別の解答例(6年度)
アルゴリズムとプログラミング(二分ヒープ) / 計算機システムとシステムプログラム(パイプライン) / 離散構造(グラフ彩色と削除・縮約)
アルゴリズムとプログラミング(挿入ソート) / 計算機システムとシステムプログラム(メモリ管理) / 離散構造
アルゴリズムとプログラミング / 計算機システムとシステムプログラム / 離散構造
アルゴリズムとプログラミング / 計算機システムとシステムプログラム / 離散構造
アルゴリズムとプログラミング(キュー) / 計算機システムとシステムプログラム(HDD/ファイルシステム) / 離散構造(床関数の漸化式)
2020年度(このページ・全7問)
アルゴリズムとプログラミング / 計算機システムとシステムプログラム / 離散構造
2020年度の出題内容
全7問
同じテーマを出した他大学・他年度
4テーマ
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- 公開年度範囲
- 専攻・科目別に掲載(情報基礎数学は2005〜2026年度、情報数理・生物情報は2022〜2026年度など)
- 公式の解答例
- 非公開(問題冊子のみ)
- 英語の扱い
- 学内英語試験は著作権の関係で問題非公開。模擬問題の参照を推奨。
- 院試hubの最終確認
- 2026-09-26