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大阪公立大学 院試 過去問 解答例

大阪公立大 理学研究科 物理学専攻 物理 2025年度 院試 解答例・解説

大阪公立大学 理学研究科 物理学専攻 物理 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全4問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 二重振り子と剛体振り子

二重振り子の最初の山場

座標を正しく置けば、あとは v22v_2^2 の交差項を落とさないことが重要である。 cos(α1α2)\cos(\alpha_1-\alpha_2) は微小振動では 11 に近似するが、 α˙1α˙2\dot\alpha_1\dot\alpha_2 自体は二次の微小量なので残る。 この交差項を落とすと質量行列が対角になり、二重振り子らしい連成が消えてしまう。

固有振動数の確認

ω2\omega^2 は二次方程式で決まる。判別式の中身は (l1+l2)24m1m1+m2l1l2=(l1l2)2+4m2m1+m2l1l2>0 (l_1+l_2)^2-\frac{4m_1}{m_1+m_2}l_1l_2 =(l_1-l_2)^2+\frac{4m_2}{m_1+m_2}l_1l_2>0 であり、固有振動数は実数である。また次元は g/lg/l 型になっている。 ここまで確認しておくと、符号ミスをかなり見つけやすい。

剛体との対応

剛体の場合、α2\alpha_2 は二本目の糸の角ではなく剛体の向きを表す角である。 ただし重心が左端から距離 hh にあるので、重心の並進運動は 二重振り子の第二質点と同じ形をもつ。違いは、剛体の回転エネルギー 12Iα˙22\frac12I\dot\alpha_2^2 が加わる点である。 この追加分のために γ\gamma が現れ、対応条件から h=l2/γh=l_2/\gamma が出る。

基準振動の物理的意味

γ=2, l1=l2\gamma=2,\ l_1=l_2 の場合、剛体は二つの等質量点が両端に集中したダンベルに対応する。 低振動数モードでは α1\alpha_1α2\alpha_2 が同符号で、糸と剛体がほぼ一体となって ゆっくり揺れる。高振動数モードでは両者が逆符号で、重心の移動を抑えながら剛体が大きく 回転する。答案では「同相・逆相」だけでなく、振幅比まで書くと議論が明確になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 電場・双極子・誘電体球

一様帯電球のグラフ

内部電場は包む電荷が r3r^3 に比例する一方、ガウス面の面積が r2r^2 に比例するため ErE\propto r となる。外部では全電荷 QQ が中心にある場合と同じで Er2E\propto r^{-2}。 グラフでは r=ar=a で折れ曲がるが、値は連続である。

双極子近似の符号

正電荷側を θ=0\theta=0 とすれば、軸上正方向では ϕd>0\phi_d>0 になる。 この符号確認をしておくと、距離の展開で R+R_+RR_- を取り違えにくい。 電場の θ\theta 成分は Eθ=1rϕθ E_\theta=-\frac1r\frac{\partial\phi}{\partial\theta} であるため、sinθ\sin\theta の符号もここで決まる。

反電場の意味

誘電体球の内部で分極電荷が作る電場は、分極 P\bm P と逆向きである。 この電場は反電場と呼ばれ、球では係数が 1/31/3 になる。 平板や細長い針状物体では係数が変わるので、ここでは「球だから 1/31/3」と明記するのが大切である。

外部電場の書き方

外部電場を求めるとき、E0\bm E_0 を忘れて分極双極子の場だけを書いてしまう誤答が多い。 問題が「分極のみ」と指定している箇所では双極子の場だけを描き、全外部電場を求める箇所では 一様電場と双極子場の和を書く。答案ではこの二つを明確に分けると減点されにくい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 磁束を囲む荷電粒子

演算子の順序

(pqA)2(\bm p-q\bm A)^2 では、p\bm p が右側の関数にも A\bm A にも作用する。 そのため (A)ψ(\nabla\cdot\bm A)\psi の項が一度現れる。 最終的にこの問題の領域では A=0\nabla\cdot\bm A=0 だが、最初から消すと展開の根拠が曖昧になる。

磁場ゼロとベクトルポテンシャルゼロは違う

粒子のいる領域では ×A=0\nabla\times\bm A=0 である。しかし Adl=πr02B=Φ \oint \bm A\cdot d\bm l=\pi r_0^2B=\Phi はゼロとは限らない。環状領域は穴をもつため、A\bm A を単純に全域で勾配として消去できない。 ここが古典的なローレンツ力の議論との違いである。

量子数の役割

nn は狭い幅 Δr\Delta r 方向の箱型量子化を表し、mm は角度方向の周期性から来る量子数である。 Δrr0\Delta r\ll r_0 では径方向エネルギー 2n2π2/(2MΔr2)\hbar^2n^2\pi^2/(2M\Delta r^2) が大きく、磁束の効果は主に角運動量項のずれとして現れる。

答案での考察

考察問題では「磁場がないのに力を受ける」と書くと不正確である。 定常状態のエネルギーが変わる理由は、波動関数の位相が閉曲線に沿って exp(iqΦ/)\exp(iq\Phi/\hbar) の影響を受け、許される角度方向の波数がずれるためである。 局所的な力ではなく、領域のトポロジーと磁束による位相効果として説明する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 平均場イジング模型

平均場方程式の意味

平均場近似では、各スピンは周囲のスピンそのものではなく平均値 mm が作る有効場を感じる。 ただし、その有効場によって計算した平均値が、最初に仮定した mm と一致しなければならない。 この自己無撞着条件が m=tanh(zJm/kBT)m=\tanh(zJm/k_BT) である。

二重数えの補正

全エネルギーの係数 1/21/2 は重要である。一つのスピンに隣接スピンが zz 個あるので 単純には NzNz 個の結合を数えるが、結合 (i,j)(i,j)(j,i)(j,i) を二回数えている。 そのため結合数は Nz/2Nz/2 になる。

エントロピーは組合せから出す

平均磁化 mm を固定すると、上向きと下向きの個数が決まる。 あとは NN 個の場所から上向きの場所を選ぶだけなので W(m)=N!N+!N! W(m)=\frac{N!}{N_+!N_-!} となる。答案では N±=N(1±m)/2N_\pm=N(1\pm m)/2 を書いてからスターリング近似に入ると、 式の由来が明確になる。

安定性の判定

自己無撞着方程式の解が複数あるとき、全てが熱平衡状態とは限らない。 平衡状態は自由エネルギーの最小で決まる。T<TcT<T_cm=0m=0 は方程式の解として残るが、 d2F/dm2<0d^2F/dm^2<0 なので最大であり、安定な解ではない。

臨界指数

転移点近傍で m0(TcT)1/2 m_0\propto (T_c-T)^{1/2} となる。平均場近似における秩序パラメータの臨界指数は 1/21/2 である。 展開では m00m_0\ne0 の低温側解を扱っているので、途中で m0m_0 で割る理由を一言添えるとよい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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