大阪公立大学 院試 過去問 解答例
大阪公立大 理学研究科 物理学専攻 物理 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)
全4問。テーマタグは4件(分配関数・ラグランジアン・電磁波)。
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収録3年度分の解答PDF:大阪公立大学 理学研究科 物理学専攻 物理(¥2,580・紙面見本あり)
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- 解説4問と大問1問の途中式・最終答(全4問)
- 解答PDFに収録
- 途中式と最終答(最終答つき4問)
- 問題本文
- 非収録
大阪公立大 物理 2023年度 院試 過去問の出題内容(全4問)
| 大問 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 二体中心力と有効ポテンシャル | 保存量の出どころ / 重心座標で交差項が消える理由 | あり |
| 第2問 | 同軸円電流の相互作用 | 近似の次数 / 双極子場としての確認 | あり |
| 第3問 | 大正準分布と光子気体 | 大分配関数は規格化定数 / ボース粒子で積に分解できる理由 | あり |
| 第4問 | ガウス波束の時間発展 | 期待値が実数になる理由 / 最小不確定性の見抜き方 | あり |
この年度の解説には検算1件が付いています。
2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度
この年度は3問に4テーマが出ています。
第1問 — 二体中心力と有効ポテンシャル
保存量の出どころ
ポテンシャルが だけの関数であることが本質である。空間並進に対する不変性が全運動量保存を、空間回転に対する不変性が全角運動量保存を与える。答案では対称性の言葉だけで済ませず、設問の指示通り運動方程式から右辺を打ち消す計算を書くと減点されにくい。
重心座標で交差項が消える理由
, を代入すると、 の係数は になる。この一行を書いておくと、換算質量 がどこから出たかが明確になる。
運動平面の示し方
なので常に である。 が保存して向きも固定されるため、 は固定平面から出られない。単に「角運動量保存なので平面運動」と書くだけでは、どの平面かが曖昧である。
有効ポテンシャルの読み方
は遠心力ポテンシャルで、 での振る舞いを決める。したがって と では原点近くの許容範囲が全く違う。特に では に到達できない。
典型的な間違い
のとき二次方程式の二つの根のうち一方は負である。正根より外側が許容範囲であり、二つの正の転回点を書くのは誤りである。また は極限として別に書くと符号ミスを避けやすい。
解答
とおく。ラグランジアンは である。したがって より、運動方程式は 右辺は互いに逆向きで大きさが等しいので作用反作用の法則が成り立つ。よって であり、全運動量 は保存する。また力は相対位置 に平行であるから したがって全角運動量 も保存する。
全質量 、換算質量 、重心 を用いると である。交差項は消え、 となる。以後 の系で考えれば が一定なので、 が任意の時刻で成り立つ。したがって は、原点を通り法線が である固定平面内にとどまる。
球座標では だから Euler--Lagrange 方程式から を得る。
運動平面を に取ると エネルギーは であり、
のとき では で、 で 、 で に近づく。 では で 、 で に近づき、 で最小値をとる。
運動可能条件は である。
の場合は であるから の場合、条件は である。最小エネルギー を用いると ただし また の唯一の正根を と書いた。
最終答
では上の運動可能範囲が答である。
第2問 — 同軸円電流の相互作用
近似の次数
の前にすでに が掛かっている。全体として最初に残る非零項は であるため、 では の一次補正が必要になる。一方、 ではベクトル成分中の と の一次補正の積が同じ次数で効く。
双極子場としての確認
小さい円電流は磁気双極子 とみなせる。磁気双極子場 に代入すると、解答の と一致する。係数の が消えて になる点はよく確認しておきたい。
力の向き
成分は周回積分で打ち消される。残る 成分は のうち横磁場との外積から生じる。符号を取り違えると引力・斥力の結論が逆になるので、最後に「 は 側にある。負の は へ向かう」と言葉で確認する。
答案上の注意
この問題は途中式のベクトル積と三角関数積分で点を取りやすい。特に と を最初に明記すれば、以降の符号を追跡しやすい。
第3問 — 大正準分布と光子気体
大分配関数は規格化定数
大正準分布の指数因子だけでは確率にならない。全状態について足し合わせて 1 になるように割る量が である。設問 (1) はこの規格化条件を一行で書けるかを見る問題である。
ボース粒子で積に分解できる理由
理想気体では相互作用がないため、エネルギーが各一粒子状態の占有数の和になる。そのため指数の中も に分かれ、占有数ごとの和が積に分解する。フェルミ粒子なら で止まるが、ボース粒子では から まで足す点が重要である。
光子の化学ポテンシャル
光子数は保存量ではないので、熱平衡では である。このため が と一致する。ここを落とすと、グランドポテンシャルからヘルムホルツ自由エネルギーへ移る理由が不明確になる。
積分の検算
は に比例し、符号は負である。エネルギー密度は で、これは Stefan--Boltzmann 則と同じ温度依存性である。圧力が になることも、電磁波の輻射圧として自然な結果である。
典型的な間違い
状態密度には偏光の自由度 2 がすでに含まれている。ここでさらに 2 を掛けるとすべての係数が二倍になる。また の三乗を や と誤記しやすいので、最後に次元を確認する。
第4問 — ガウス波束の時間発展
期待値が実数になる理由
位置演算子と運動量演算子が自己共役であることを、位置表示で確認する設問である。運動量では部分積分の境界項が消えることが要点であり、ここを書かないと形式的な複素共役計算だけになってしまう。
最小不確定性の見抜き方
初期波束は実ガウス包絡に平面波 を掛けた形である。平面波因子は平均運動量を だけずらすが、幅 はガウス包絡の幅で決まる。したがって が不確定性積に現れないことは自然である。
Fourier 変換の規格化
この問題では と の両方に を入れる対称規約を使っている。規約を取り違えると の前係数がずれる。指数部だけでなく前係数まで合わせるのが、規格化を保った答案として重要である。
波束の中心と広がり
は群速度 で進むことを表す。一方、 は時間とともに増大する。これは自由粒子の分散関係 が線形でないため、異なる 成分が異なる速度で進むからである。
検算
を代入すると となり、与えられた初期波動関数に戻る。また であり、自由発展で波束が狭くなることはない。
大阪公立大 物理 院試 過去問の収録3年度
二重振り子と剛体振り子 / 電場・双極子・誘電体球 / 磁束を囲む荷電粒子
連成振動と連成振り子 / 電磁波と定常電流の磁場 / 井戸型ポテンシャルとデルタ関数摂動
2023年度(このページ・全4問)
二体中心力と有効ポテンシャル / 同軸円電流の相互作用 / 大正準分布と光子気体