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名古屋大学 院試 過去問 解答例

名大 工学研究科 機械航空系 基礎部門・専門部門 2025年度 院試 解答例・解説

名古屋大学 工学研究科 機械航空系 基礎部門・専門部門 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全9問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。

最終更新:

設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。

完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。

1 — 基礎数学1:微分・接平面・回転体

方針

微分では商の微分より,xlogxx^{\log x} に対する対数微分の方が計算量が少ない。接平面では f\nabla f をそのまま使うと分母が残るが,曲面上で xy+yz+zx=exy+yz+zx=e であることを使うと係数だけの式に整理できる。

検算

接点がすべて同じ値 a=e/3a=\sqrt{e/3} のとき,xy+yz+zx=3a2=exy+yz+zx=3a^2=e で曲面上にある。また接平面は 2a(x+y+z)=2e 2a(x+y+z)=2e となるので,xx 切片は e/a=3ee/a=\sqrt{3e} であり,指定条件と一致する。

典型ミス

回転体の表面積で,曲線部分だけを計算して終わると円板 πa2\pi a^2 を落とす。囲まれた領域全体を回転してできる立体の表面積なので,境界線分のうち x=0x=0 は実際に円板面を作る。一方,xx 軸上の部分は半径が 00 で面積に寄与しない。

試験で書くべきポイント

接平面は最初に f\nabla f を明示し,切片条件は 2ey0+z0,2ex0+z0 \frac{2e}{y_0+z_0},\qquad \frac{2e}{x_0+z_0} から立式する。回転体は S=2πyds S=2\pi\int y\,ds だけでなく,最後に端面の有無を一文で確認すると減点されにくい。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

2 — 基礎数学2:行列・固有値・二次形式

方針

前半は直接計算でよいが,A1A^{-1} を求めた後に全成分を眺めるより,A2,A,EA^2,A,E の線形結合として係数比較するのが確実である。後半は実対称行列のスペクトル分解を,二次形式の主軸変換として読む問題である。

検算

e1,e2,e3e_1,e_2,e_3 は互いに直交し,長さが 11 である。例えば e1Te2=11+06=0,e1Te3=1+1218=0. e_1^{\mathsf T}e_2=\frac{1-1+0}{\sqrt6}=0,\qquad e_1^{\mathsf T}e_3=\frac{1+1-2}{\sqrt{18}}=0. また B(1,1,1)T=2(1,1,1)TB(1,1,-1)^{\mathsf T}=2(1,1,-1)^{\mathsf T} なので,最大固有値の対応も正しい。

典型ミス

固有値の順序を λ1>λ2>λ3\lambda_1>\lambda_2>\lambda_3 に合わせずに UU を作ると,対角行列の並びが答案と食い違う。さらに,固有ベクトルの第1成分を正にする条件があるため,符号を最後に確認する必要がある。

試験で書くべきポイント

二次形式の図形説明では,単に「楕円」と書くだけでなく,半軸長が固有値の平方根の逆数に比例すること,主軸方向が固有ベクトル方向であることまで書く。ここが線形代数と幾何の対応を問う部分である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

3 — 基礎数学3:常微分方程式

方針

1つ目は xxyy を完全に分けられる。2つ目は分子・分母の y+3xy+3x が見えるので,ヒントどおり u=y+3xu=y+3x と置くと一次式が消える。3つ目は右辺が多項式なので,多項式特解を置くのが最短である。

検算

2つ目の答えを微分すると 2(y+3x+3)(y+3)=28 2(y+3x+3)(y'+3)=28 である。つまり y+3=14y+3x+3 y'+3=\frac{14}{y+3x+3} となり,変形前の式に戻る。

典型ミス

1つ目で y2y^2 で割るため,y=0y=0 を落としやすい。一般解を暗黙形で書く場合でも,除算で除外した可能性がある定数解は最後に確認する。

試験で書くべきポイント

3つ目は「虚数を用いない形」という条件があるので,e(1±i2)xe^{(-1\pm i\sqrt2)x} のまま終えない。三角関数表示まで直してから最終答案にする。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

4 — 基礎数学4:面積分・ストークス型計算

方針

平面三角形の面積分は,z=42x2yz=4-2x-2y として xyxy 平面上の三角形に落とす。ベクトル面積分では,単位法線と dSdS を別々に扱うより,向き付き面素ベクトル ndSn\,dS を直接作る方が符号ミスが少ない。

検算

半球面の回転の面積分は,結果が円板の面積 π\pi になっている。これは zdS=dxdy z\,dS=dxdy という上半球の射影公式からも直ちに確認できる。

典型ミス

三角形の法線方向を逆にすると,ベクトル面積分は 28-28 になる。問題では「原点から離れる方向」と指定されており,平面 2x+2y+z=42x+2y+z=4 では (2,2,1)(2,2,1) がその向きである。

試験で書くべきポイント

線積分ではストークスの定理を使わない指定があるため,円周を明示的にパラメータ表示して計算する。向きの確認として,(1,0,0)(1,0,0) から出発して +y+y 方向へ進む向きなら原点が左側に見える。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

5 — 専門:熱工学

方針

前半は絞り過程の標準結果である。仕事を p2V2p1V1p_2V_2-p_1V_1 と符号付きで書けば,第一法則からすぐに ΔH=0\Delta H=0 が出る。後半は dH=TdS+VdpdH=T\,dS+V\,dpT,pT,p の微分形へ変換する問題である。

検算

理想気体で μ=0\mu=0 になることは,絞りで温度が変わらないという前半の結果と一致する。ここで H=H(T)H=H(T) であることが本質であり,ppVV が個別に変化しても HH が一定なら TT は変化しない。

典型ミス

仕事の符号を逆にすると ΔH=0\Delta H=0 が出なくなる。入口側は外界が気体へ仕事をするので,気体が外界へした仕事としては p1V1-p_1V_1 である。

試験で書くべきポイント

ジュール・トムソン係数では Maxwell 関係 (Sp)T=(VT)p \left(\frac{\partial S}{\partial p}\right)_T = -\left(\frac{\partial V}{\partial T}\right)_p を一行示すと導出が明確になる。ファン・デル・ワールス式では pp 一定微分で分母 paV2+2abV3 p-\frac{a}{V^2}+\frac{2ab}{V^3} を落とさないことが重要である。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

6 — 専門:流体力学

方針

急拡大ではベルヌーイ式だけでは圧力回復を決められないため,検査体積の運動量収支を使う。境界層では,仮定された二次速度分布を壁面条件と外縁条件で決め,運動量厚さから抗力と境界層厚さを求める。

検算

急拡大では v1>v2v_1>v_2 なので p1p2=ρv2(v2v1)<0 p_1-p_2=\rho v_2(v_2-v_1)<0 となる。つまり下流で圧力が上がる。この符号は急拡大の圧力回復として自然である。

典型ミス

検査体積左側面の圧力を p1A1p_1A_1 としてしまうと,急拡大部のはく離領域に作用する圧力を落とす。問題文では左側面全体で p1p_1 一様とされているので p1A2p_1A_2 を使う。

試験で書くべきポイント

境界層の抗力は D=ρU2θm D=\rho U^2\theta_m と書いたうえで,θm=2δ/15\theta_m=2\delta/15 を積分で示す。最後の δ/x\delta/xRexRe_x の定義まで添えると,無次元化の意味が明確になる。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

7 — 専門:機械力学

方針

円板は並進と自転の両方の運動エネルギーを持つ。滑らない条件から自転角速度を θ˙\dot{\theta} で表し,位置エネルギーと最大運動エネルギーを等置する。連成振り子は同相・逆相の2つのモードに分けると計算がほぼ終わる。

検算

k=0k=0 または h=0h=0 なら ω2=ω1 \omega_2=\omega_1 となり,2つの振り子は同じ単振り子になる。ばね結合が弱いと2つの周波数が近くなるため,うなりが見えやすいという説明とも一致する。

典型ミス

円板の転がりで rΩ=Rθ˙r\Omega=R\dot{\theta} としてしまうと,中心の移動半径を取り違える。中心 BB が動く半径は RrR-r なので,接触点の速度条件は rΩ=(Rr)θ˙ r\Omega=(R-r)\dot{\theta} である。

試験で書くべきポイント

連成振動の自由振動解では,初期変位ベクトルを同相モードと逆相モードに分解して示す。うなりの説明では,速い振動と包絡線の角振動数を三角関数の積公式から読むと説得力がある。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

8 — 専門:制御工学

方針

前半は閉ループ特性多項式の係数比較で PD ゲインを決める。後半は状態フィードバックとオブザーバを分離して設計し,最後に分離定理を行列のブロック三角化で示す問題である。

検算

KD=2,KP=40K_D=2,K_P=40 を代入すると分母は s2+4s+40 s^2+4s+40 であり,根は確かに 2±6j-2\pm6j である。状態フィードバックも s2+6s+8 s^2+6s+8 を与えるため,極は 2,4-2,-4 である。

典型ミス

PD制御器の微分項を出力だけにかける構造と誤読すると,ブロック線図の C(s)C(s) が変わる。この問題では誤差信号に C(s)=KDs+KPC(s)=K_Ds+K_P がかかる単位フィードバックとして扱う。

試験で書くべきポイント

ランプ定常偏差では ess=lims0S(s)s e_{\mathrm{ss}}=\lim_{s\to0}\frac{S(s)}{s} まで書くと,最終値定理の適用が明確である。オブザーバ併合系では,z=(x,x^)z=(x,\hat{x}) のまま固有値を直接計算せず,(x,e)(x,e) へ変換してブロック上三角にするのが最も短い。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

9 — 専門:材料力学

方針

はりは固定端と単純支持をもつ不静定はりである。右端反力を未知冗長力としてもよいが,ここでは左端曲げモーメント MAM_A を含む曲げモーメント式を作り,右端たわみ0から MAM_A を決める。トラスは節点つり合いとひずみエネルギーで処理する。

検算

MA=4Pl/9M_A=-4Pl/9 を代入すると,右端の曲げモーメントは M(3l)=MA+3lRAPl=0 M(3l)=M_A+3lR_A-Pl=0 となり,単純支持端の条件を満たす。また RA+RB=PR_A+R_B=P も成り立つ。

典型ミス

はりの C--B 間の曲げモーメントで,集中荷重による項 P(x2l)-P(x-2l)Px-Px と書くと,荷重点で曲げモーメントが不連続になる。集中荷重は荷重点からの距離で寄与する。

試験で書くべきポイント

トラスでは部材力の符号を「引張正」と明記する。特に PBP_B は荷重条件によって負になり得るが,負号は圧縮を意味するだけで式はそのまま使える。変位は Castigliano の定理で δH=U/PH,δV=U/PV \delta_H=\partial U/\partial P_H,\qquad \delta_V=\partial U/\partial P_V と書いてから微分する。

完全な解答(途中式・最終答)はPDFに収録

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