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名古屋大学 院試 過去問 解答例

名大 工学研究科 機械航空系 基礎部門・専門部門 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問。力学3問・微分積分・解析2問・制御工学1問。テーマタグは5件(固有値・固有ベクトル・はりの曲げ・線形空間・基底)。

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解説10問と大問1問の途中式・最終答(全10問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき10問)
問題本文
非収録

名大 基礎部門・専門部門 2022年度 院試 過去問の出題内容(全10問)

この10問の分野は力学3問・微分積分・解析2問・制御工学1問・線形代数1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析微積分—あり
第2問線形代数——あり
第3問微分方程式常微分方程式—あり
第4問微分積分・解析ベクトル解析—あり
第5問—基礎物理学:衝突と振動—あり
第6問熱工学—あり
第7問力学流体力学—あり
第8問力学機械力学—あり
第9問制御工学——あり
第10問力学材料力学—あり

この年度の解説には検算10件・試験で書くべきポイント10件・典型ミス10件が付いています。

2022年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は6問に5テーマが出ています。

第1問 — 基礎数学1:微積分

方針

第1小問は分母の重根を見落とさず部分分数分解する。第2小問は分子の低次項が相殺されるので,5次項まで必要である。第3小問は x2x=e2xlog⁡xx^{2x}=e^{2x\log x} と直してから微分するのが最も安全である。

検算

積分結果を微分すると 1x+4−3(x+2)2 \frac{1}{x+4}-\frac{3}{(x+2)^2} に戻る。これを通分すれば元の被積分関数になる。極限では xx 項と x3x^3 項がどちらも相殺されるため,分母が x5x^5 であることと整合する。

典型ミス

sin⁡(3x)\sin(\sqrt{3}x) の5次項は (3x)5/5!(\sqrt{3}x)^5/5! であり,33x5/403\sqrt{3}x^5/40 になる。ここを 3x5/120\sqrt{3}x^5/120 としてしまうと答えがずれる。また x2x=1x^{2x}=1 から x=1x=1 だけでなく,x>0x>0 の条件により log⁡x=0\log x=0 と判断する流れを書くと減点されにくい。

試験で書くべきポイント

極大・極小は臨界点を出すだけでは不十分で,f′f' の符号変化を必ず添える。特に x=e−1x=e^{-1} では極大,x=1x=1 では極小であることを,区間ごとの符号で明示する。

解答

  1. 分母を因数分解すると x3+8x2+20x+16=(x+2)2(x+4) x^3+8x^2+20x+16=(x+2)^2(x+4) である。部分分数分解より x2+x−8x3+8x2+20x+16=1x+4−3(x+2)2. \frac{x^2+x-8}{x^3+8x^2+20x+16} =\frac{1}{x+4}-\frac{3}{(x+2)^2}. よって ∫x2+x−8x3+8x2+20x+16 dx=log⁡∣x+4∣+3x+2+C. \int \frac{x^2+x-8}{x^3+8x^2+20x+16}\,dx =\log|x+4|+\frac{3}{x+2}+C.
  2. 分子を5次まで展開する。 sin⁡(3x)=3x−32x3+3340x5+O(x7), \sin(\sqrt{3}x) =\sqrt{3}x-\frac{\sqrt{3}}{2}x^3+\frac{3\sqrt{3}}{40}x^5+O(x^7), 3xcos⁡x=3x−32x3+324x5+O(x7). \sqrt{3}x\cos x =\sqrt{3}x-\frac{\sqrt{3}}{2}x^3+\frac{\sqrt{3}}{24}x^5+O(x^7). したがって分子は (3340−324)x5+O(x7)=330x5+O(x7) \left(\frac{3\sqrt{3}}{40}-\frac{\sqrt{3}}{24}\right)x^5+O(x^7) =\frac{\sqrt{3}}{30}x^5+O(x^7) となるので,極限値は 330. \frac{\sqrt{3}}{30}.
  3. f(x)=x2x−2xlog⁡x(x>0) f(x)=x^{2x}-2x\log x \qquad (x>0) とおく。指数部分は x2x=e2xlog⁡x x^{2x}=e^{2x\log x} とみると微分しやすい。 f′(x)=2(log⁡x+1)x2x−2(log⁡x+1)=2(log⁡x+1)(x2x−1). f'(x)=2(\log x+1)x^{2x}-2(\log x+1) =2(\log x+1)(x^{2x}-1). よって臨界点は x=e−1,x=1 x=e^{-1},\qquad x=1 である。符号を調べると,0<x<e−10<x<e^{-1} で f′(x)>0f'(x)>0, e−1<x<1e^{-1}<x<1 で f′(x)<0f'(x)<0,x>1x>1 で f′(x)>0f'(x)>0 となる。 したがって x=e−1x=e^{-1} で極大,x=1x=1 で極小である。 値は f(e−1)=e−2/e+2e,f(1)=1. f(e^{-1})=e^{-2/e}+\frac{2}{e},\qquad f(1)=1.

最終答

∫x2+x−8x3+8x2+20x+16 dx=log⁡∣x+4∣+3x+2+C,lim⁡x→0sin⁡(3x)−3xcos⁡xx5=330,極大値 e−2/e+2e,極小値 1. \begin{gathered} \int \frac{x^2+x-8}{x^3+8x^2+20x+16}\,dx =\log|x+4|+\frac{3}{x+2}+C,\\ \lim_{x\to0}\frac{\sin(\sqrt{3}x)-\sqrt{3}x\cos x}{x^5} =\frac{\sqrt{3}}{30},\\ \text{極大値 } e^{-2/e}+\frac{2}{e},\quad \text{極小値 }1. \end{gathered}

第2問 — 基礎数学2:線形代数

方針

前半は「列ベクトルを並べた行列」を基底変換行列として見る。後半の abTab^{\mathrm T} は外積型の階数1行列であり,像が常に span⁡{a}\operatorname{span}\{a\} に入ることが核心である。

検算

求めた AA の第1列は (0,1,0)T(0,1,0)^{\mathrm T} であるから,(p,q,r)(p,q,r) を掛けると qq になる。第2列,第3列もそれぞれ −p,2r-p,2r になるので,行列方程式を直接確認できる。

典型ミス

(p,q,r)A=(q,−p,2r)(p,q,r)A=(q,-p,2r) を見て,両辺の成分を a,b,ca,b,c で長く計算する必要はない。右辺の列がすでに p,q,rp,q,r のどれであるかに注目すれば,AA は座標表示から直ちに決まる。また abTab^{\mathrm T} と aTba^{\mathrm T}b は次元が違うので混同しない。

試験で書くべきポイント

線形独立の証明では「互いに異なるから Vandermonde 行列式が非零」と明記する。階数の議論では,非零列が存在することと列空間が1次元以下であることの両方を書くと答案として堅い。

基礎数学2:線形代数の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 基礎数学3:常微分方程式

方針

第1小問は分離形,第2小問は x,yx,y の一次結合をまとめる同次化型,第3小問は定数係数線形方程式である。型を見分ければ計算量は多くない。

検算

第2小問では u=2x+3yu=2x+3y として得た x=u−u26+C x=\frac{u-u^2}{6}+C を微分すると 1=1−2u6dudx 1=\frac{1-2u}{6}\frac{du}{dx} となり,dudx=6/(1−2u)\frac{du}{dx}=6/(1-2u) が戻る。第3小問の特解は,sin⁡x\sin x と cos⁡x\cos x の係数比較で確認できる。

典型ミス

第1小問で y2y^2 で割ったあと,y=0y=0 を失う。一般解だけを書かせる問題でも,除外した定数解が元の式を満たす場合は添えておくとよい。第2小問では分母の符号を誤ると u−u2u-u^2 が u2−uu^2-u になりやすい。

試験で書くべきポイント

置換を使う問題では,置換後の微分関係を一行で示すことが重要である。第3小問は同次解と特解を分けて書き,最後に足し合わせる形にすれば採点者が追いやすい。

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第4問 — 基礎数学4:ベクトル解析

方針

体積はスカラー三重積,方向微分は勾配と単位方向ベクトルの内積,面積分はパラメータ表示,線積分は Stokes の定理で処理する。ベクトル解析の基本公式を場面ごとに使い分ける問題である。

検算

三角形を含む平面は x2+y2+z=1 \frac{x}{2}+\frac{y}{2}+z=1 であり,外向き法線は (1/2,1/2,1)(1/2,1/2,1) と同じ向きである。これは求めた (1,1,2)(1,1,2) と一致するので,法線の向きは正しい。

典型ミス

方向微分では,方向ベクトルを単位化しない誤りが多い。また線積分で Stokes の定理を使う場合,境界の向きと法線の向きが対応していないと符号が反転する。

試験で書くべきポイント

線積分は3辺を直接積分してもよいが,Stokes の定理を使うなら,向き付き面積ベクトル 12(B−A)×(C−A) \frac12(B-A)\times(C-A) を明示すると短く正確に書ける。

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第5問 — 基礎物理学:衝突と振動

方針

非弾性衝突ではまず運動量保存で衝突直後の速度を決める。その後は,ばねが働く区間と働かない区間を分け,時間を足し合わせる。2物体系のばね伸びは,重心運動ではなく相対運動だけを見ればよい。

検算

第1小問の振幅は Vm/kV\sqrt{m/k} と同じ次元を持つ。第4小問では換算質量 μ\mu を使うと,重心速度を明示的に求めなくても同じ最大伸びが出る。これはばねエネルギーが相対運動エネルギーからのみ供給されるためである。

典型ミス

衝突後の質量を 2m2m のままにする誤りが多い。弾丸が一体化した後は 3m3m である。またゴムひもは縮んだときに力を出さないので,通常の単振動を全区間に適用してはいけない。

試験で書くべきポイント

区間ごとの運動を言葉で明示することが重要である。「緩み区間は等速」「伸び区間は単振動」「壁との衝突は完全弾性」という対応を書けば,周期の足し合わせの根拠が伝わる。

基礎物理学:衝突と振動の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 専門:熱工学

方針

前半は Brayton サイクルであり,断熱2本の温度比が同じことを使う。再生サイクルでは,外部から本当に入れる熱と外部へ本当に捨てる熱だけを数える。後半は「最大正味仕事」から,大気押しのけ仕事を差し引く。

検算

通常サイクルでは T3−T2=4T1T_3-T_2=4T_1,T4−T1=2T1T_4-T_1=2T_1 なので効率は 1/21/2 である。再生後は外部入熱が減るため,効率が 1/21/2 から 2/32/3 に上がる。これは再生の物理的効果と整合する。

典型ミス

再生で 4→64\to6 の排熱をすべて外部排熱に含めると,効率が通常サイクルと同じになってしまう。再生熱交換器の中でやり取りされる熱は,外部との熱授受ではない。またエクセルギーでは,膨張仕事そのものではなく大気を押しのけるだけの仕事を差し引く点が重要である。

試験で書くべきポイント

比熱 cp,cvc_p,c_v は最後に消える箇所と残る箇所がある。サイクル効率では cpc_p が消えるが,断熱仕事では cv=R/(κ−1)c_v=R/(\kappa-1) を明示しておくと導出過程として十分である。

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第7問 — 専門:流体力学

方針

水門は圧力分布の合力と作用点で処理する。二重円管は円筒座標の Poiseuille 流れであり,境界条件 u(R)=u(2R)=0u(R)=u(2R)=0 を入れて定数を決める。

検算

H=hH=h のときの合力作用点は下端から h/3h/3 で,三角形圧力分布の圧力中心と一致する。二重円管の速度分布は r=Rr=R と r=2Rr=2R でどちらも0になり,境界条件を満たす。

典型ミス

水門のトルクでは,図心位置 h/2h/2 と圧力中心 h/3h/3 を混同しやすい。圧力が深さに比例するため,作用点は図心より下に来る。二重円管では log⁡r\log r の項を落とすと,内外両壁での no-slip 条件を同時に満たせない。

試験で書くべきポイント

圧力こう配の符号は答案で定義しておく。ここでは G=−dp/dxG=-dp/dx と置いたので,最後に dp/dxdp/dx 表記へ戻した。符号の定義が曖昧だと,せん断力の向きで減点されやすい。

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第8問 — 専門:機械力学

方針

2自由度の小振動は剛性行列の固有値問題に落とす。ばね1本の寄与を knnTk n n^{\mathrm T} と書けることを知っていると,幾何から直接行列を作れる。

検算

t=0t=0 を代入すると x(0)=14+34=1,y(0)=0 x(0)=\frac14+\frac34=1,\qquad y(0)=0 となり,初期変位を満たす。また x˙(0)=y˙(0)=0\dot x(0)=\dot y(0)=0 なので「そっと離す」という条件にも合っている。

典型ミス

ばね角度は力の向きではなく,ばね軸の方向として扱う。軸方向と逆方向は同じ剛性を与えるため,角度に 180∘180^\circ を足しても同じばね軸である。また固有角振動数は剛性そのものではなく,剛性を質量で割って平方根を取る。

試験で書くべきポイント

剛性行列を一度明示すれば,固有方向・固有剛性・固有角振動数・初期値応答が一貫して導ける。途中でモードベクトルを単位ベクトルにしておくと,初期変位の分解が簡単になる。

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第9問 — 専門:制御工学

方針

ブロック線図は代数式に直す。Bode 線図は傾きの変化から極・零点を読む。状態方程式は行列指数,伝達関数,Lyapunov 方程式,極配置可能性を順に確認する。

検算

伝達関数行列で極 s=−3s=-3 が消えているのは,そのモードが入力から見えないためである。極配置で −3-3 のモードが動かせないこととも整合する。

典型ミス

最終値定理は閉ループ安定性を確認してから使う。a=0a=0 だけでは不十分で,Routh 条件から bb の範囲まで出す必要がある。また Bode 線図の低周波ゲイン 20 dB20\,\mathrm{dB} は倍率10であり,ここを1と読むと全体のゲインが一桁ずれる。

試験で書くべきポイント

Nyquist の安定判別では「開ループ右半平面極の数」と「−1-1 の包囲数」を述べる。ここでは開ループが安定で,−1-1 を囲まないため閉ループ安定と判断できる。

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第10問 — 専門:材料力学

方針

三角形片持ちはりでは,幅が xx に比例し,曲げモーメントも xx に比例するため,曲率が一定になる。L字はりは反力 RR を余剰未知量としてひずみエネルギーを作り,支点変位ゼロ条件から RR を決める。

検算

第1小問の I(x)I(x) は先端で0になるが,曲げモーメント M(x)M(x) も同時に0になるため,曲率は有限値になる。先端たわみの次元は Pl3Eb0h03 \frac{Pl^3}{E b_0 h_0^3} で長さになり,通常のはりたわみと整合する。

典型ミス

三角形はりで固定端から距離を取ると幅の式が変わる。ここでは先端から xx を取っているため B(x)=b0x/lB(x)=b_0x/l である。L字はりでは,垂直部 CDCD の曲げモーメントを一定 PaPa としてしまう誤りがあるが,実際には P(a−y)P(a-y) と線形に変化する。

試験で書くべきポイント

Castigliano の定理を使うときは,反力を消去する前の U(P,R)U(P,R) を書く。支点変位ゼロから ∂U/∂R=0\partial U/\partial R=0,荷重点変位から ∂U/∂P\partial U/\partial P という順序を守ると,符号と依存関係を整理しやすい。

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名大 基礎部門・専門部門 院試 過去問の収録4年度

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