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名古屋大学 院試 過去問 解答例

名大 工学研究科 機械航空系 基礎部門・専門部門 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問。力学3問・制御工学1問。テーマタグは6件(固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・伝達関数)。2023年度と共通のテーマは固有値・固有ベクトル・重積分と極座標・伝達関数。

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解説10問と大問1問の途中式・最終答(全10問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき10問)
問題本文
非収録

名大 基礎部門・専門部門 2024年度 院試 過去問の出題内容(全10問)

この10問の分野は力学3問・制御工学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—基礎数学1—あり
第2問—基礎数学2—あり
第3問—基礎数学3—あり
第4問—基礎数学4—あり
第5問—基礎物理学訂正資料の反映あり
第6問—専門 熱工学—あり
第7問力学専門 流体力学—あり
第8問力学専門 機械力学—あり
第9問制御工学専門 制御工学—あり
第10問力学専門 材料力学—あり

この年度の解説には検算10件・試験で書くべきポイント10件・典型ミス10件が付いています。

2024年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に6テーマが出ています。

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 10問 → 2024年度 10問
2024年度で新しく出たテーマ
ラグランジュの未定乗数法・ジョルダン標準形
2023年度のページを見る

第1問 — 基礎数学1

方針

前半は微分と停留点判定,後半は球面上の線形関数と一次変換で処理する。特に (4) は領域の形を直接描くより,x+yx+y と x−yx-y を新しい変数にする方が安全である。

検算

(3) はコーシー・シュワルツの不等式 ∣x+2y+3z∣≤x2+y2+z212+22+32=5614=28 |x+2y+3z|\le \sqrt{x^2+y^2+z^2}\sqrt{1^2+2^2+3^2} =\sqrt{56}\sqrt{14}=28 からも同じ最大絶対値が出る。(4) は変換後の積分領域の面積が 4⋅24\cdot 2,ヤコビアンが 1/21/2 なので,元の領域の面積が 44 になることも確認できる。

典型ミス

(0,0)(0,0) を極値としてしまう誤りが多い。停留点であることと極値であることは別であり,ヘッセ行列の符号,または近傍での増減を確認する必要がある。また (4) ではヤコビアンの 1/21/2 を落とすと答えが 2 倍になる。

試験で書くべきポイント

各小問は結果だけでなく,(2) ではヘッセ行列,(3) では制約条件を満たす点,(4) では変数変換とヤコビアンを明示する。ここが採点上の主要な根拠になる。

解答

  1. ax=exlog⁡aa^x=e^{x\log a}, bx=exlog⁡bb^x=e^{x\log b} と見ると, a0−b0=0 a^0-b^0=0 であるから,分子を xx で割った極限は exlog⁡a−exlog⁡be^{x\log a}-e^{x\log b} の x=0x=0 における微分係数の差である。したがって lim⁡x→0ax−bxx=log⁡a−log⁡b=log⁡ab. \lim_{x\to 0}\frac{a^x-b^x}{x} =\log a-\log b =\log\frac{a}{b}.
  2. fx=3x2−3y,fy=3y2−3x f_x=3x^2-3y,\qquad f_y=3y^2-3x より,停留点は y=x2,x=y2 y=x^2,\qquad x=y^2 を満たす。実数解は (x,y)=(0,0),(1,1)(x,y)=(0,0),(1,1) である。 ヘッセ行列は H=(6x−3−36y),det⁡H=36xy−9. H=\begin{pmatrix}6x&-3\\-3&6y\end{pmatrix},\qquad \det H=36xy-9. (0,0)(0,0) では det⁡H=−9<0\det H=-9<0 なので鞍点であり,極値ではない。 (1,1)(1,1) では det⁡H=27>0\det H=27>0 かつ fxx=6>0f_{xx}=6>0 なので極小点である。 値は f(1,1)=1+1−3+1=0. f(1,1)=1+1-3+1=0. 極大値は存在しない。
  3. 制約面は半径 56\sqrt{56} の球面であり,線形関数 f=x+2y+3z=(1,2,3)⋅(x,y,z) f=x+2y+3z=(1,2,3)\cdot (x,y,z) の最大・最小を求めればよい。ラグランジュ未定乗数法を用いると (1,2,3)=2λ(x,y,z) (1,2,3)=2\lambda (x,y,z) であるから,極値点は (1,2,3)(1,2,3) 方向またはその反対方向にある。 12+22+32=141^2+2^2+3^2=14 なので (x,y,z)=±2(1,2,3). (x,y,z)=\pm 2(1,2,3). よって fmax⁡=2(1+4+9)=28,fmin⁡=−28. f_{\max}=2(1+4+9)=28,\qquad f_{\min}=-28.
  4. 変数変換 u=x+y,v=x−y u=x+y,\qquad v=x-y を用いる。逆変換は x=u+v2,y=u−v2 x=\frac{u+v}{2},\qquad y=\frac{u-v}{2} であり,ヤコビアンは ∣∂(x,y)∂(u,v)∣=∣1/21/21/2−1/2∣=12. \left|\frac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}\right| =\left| \begin{matrix} 1/2&1/2\\ 1/2&-1/2 \end{matrix}\right| =\frac12. 領域は ∣u∣≤2|u|\le 2, ∣v∣≤1|v|\le 1 の長方形に移る。したがって ∬D(x−y)2 dxdy=∫−22∫−11v212 dvdu=12⋅4⋅23=43. \iint_D (x-y)^2\,dxdy =\int_{-2}^{2}\int_{-1}^{1} v^2\frac12\,dvdu =\frac12\cdot 4\cdot \frac{2}{3} =\frac{4}{3}.

最終答

(1) log⁡ab,(2) 極小値 0 のみ,(3) 最大値 28, 最小値 −28,(4) 43. \text{(1) }\log\frac{a}{b},\quad \text{(2) 極小値 }0\text{ のみ},\quad \text{(3) 最大値 }28,\ \text{最小値 }-28,\quad \text{(4) }\frac43.

第2問 — 基礎数学2

方針

重複固有値 λ=2\lambda=2 の固有空間が 1 次元なので,対角化ではなくジョルダン標準形を使う。問題文の条件 Av3=2v3+v2′Av_3=2v_3+v_2' は,まさに一般化固有ベクトルを作る条件である。

検算

n=1n=1 を代入すると 1a12=2−1−4=−3 {}_1 a_{12}=2-1-4=-3 となり,元の行列の (1,2)(1,2) 成分と一致する。n=2n=2 では 2a12=4−4−16=−16 {}_2 a_{12}=4-4-16=-16 であり,直接 A2A^2 を計算しても同じ値になる。

典型ミス

重複固有値があるだけで直ちに J=diag⁡(4,2,2)J=\operatorname{diag}(4,2,2) としてはいけない。固有空間の次元を確認し,足りない固有ベクトルを一般化固有ベクトルで補う必要がある。

試験で書くべきポイント

特性多項式,固有空間,一般化固有ベクトルの順に書くと採点者が追いやすい。最後の na12{}_n a_{12} は P,J,P−1P,J,P^{-1} の積を全部展開しなくても,必要成分を明示できれば十分である。

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第3問 — 基礎数学3

方針

常微分方程式は型の判定が最初の得点源である。(1) は分離形,(2) は同次形,(3) は積分因子,(4) は定数係数線形方程式として処理する。

検算

(1) の左辺を微分すると ddx{(y+4)ey}=(y+5)eydydx \frac{d}{dx}\{(y+4)e^y\}=(y+5)e^y\frac{dy}{dx} となり,右辺 x2+Cx^2+C の微分 2x2x と一致する。(4) の特殊解は複素数を使うと早いが,最終答案は実関数で書く必要がある。

典型ミス

(3) で積分因子の公式を逆にして My−NxN \frac{M_y-N_x}{N} を使うと,yy のみの関数にならない。μ(y)\mu(y) を探すときは Nx−MyM \frac{N_x-M_y}{M} を見るのが正しい。

試験で書くべきポイント

積分因子の導出では,単に F(y)=y−2F(y)=y^{-2} と書くのではなく,どの式から出したかを 1 行で示す。線形方程式の特殊解は,代入後の係数比較を残しておくと部分点が安定する。

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第4問 — 基礎数学4

方針

前半は「回転が 0 ならポテンシャルがある」という見方が最短である。後半は回転面を θ,u\theta,u でパラメータ表示し,外向きの rθ×rur_\theta\times r_u を作る。

検算

体積計算では ∫−π/2π/2cos⁡2ucos⁡2u du=∫−π/2π/2(2cos⁡4u−cos⁡2u) du=π4 \int_{-\pi/2}^{\pi/2}\cos^2u\cos2u\,du =\int_{-\pi/2}^{\pi/2}(2\cos^4u-\cos^2u)\,du =\frac{\pi}{4} を使っている。正の値になることは,外向き面積要素の向きが正しいことの確認にもなる。

典型ミス

面積要素ベクトルの向きを逆にすると体積が負になる。また,AA の線積分が経路に依存しない理由を「始点と終点が同じだから」とだけ書くのは不十分で,∇×A=0\nabla\times A=0 またはポテンシャルの存在を示す必要がある。

試験で書くべきポイント

回転面のパラメータ表示では,x=cos⁡ucos⁡θx=\cos u\cos\theta, y=cos⁡usin⁡θy=\cos u\sin\theta と明示する。面積要素は成分をすべて書き,外向きであることを一言添えるとよい。

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第5問 — 基礎物理学

方針

三角台に固定した非慣性系で解くと,見かけの重力 geff=gsin⁡θ−αcos⁡θ g_{\mathrm{eff}}=g\sin\theta-\alpha\cos\theta が斜面方向に働く問題として整理できる。円板の転がりでは,並進方程式と回転方程式を摩擦力で結び,最後に転がり条件を使う。

訂正資料の反映

基礎部門の訂正では,問題5(7)の指定が「g,α,θg,\alpha,\theta」から「g,α,θ,t,x0g,\alpha,\theta,t,x_0 のうち必要なもの」に直されている。したがって位置は初期位置を含む xG=x0+13(gsin⁡θ−αcos⁡θ)t2 x_G=x_0+\frac13(g\sin\theta-\alpha\cos\theta)t^2 として書く。

検算

α=gtan⁡θ\alpha=g\tan\theta のとき,斜面方向の有効加速度は 0 であり,質点が静止できる。円板についても gsin⁡θ−αcos⁡θ=0g\sin\theta-\alpha\cos\theta=0 なら転がり加速度は 0 になるので,式の符号は整合している。

典型ミス

摩擦力の向きを最初から「正」と決めつけると,回転方程式の符号を誤りやすい。本解答では FF を xx 成分として定義し,時計回り正の角速度に対して IGω˙=−rFI_G\dot{\omega}=-rF と書いて符号を固定している。

試験で書くべきポイント

非慣性力の分解,垂直抗力,摩擦の不等式を明示する。円板では IG=Mr2/2I_G=Mr^2/2 の導出を省かず,転がり条件 x˙G=rω\dot{x}_G=r\omega をどの段階で使うかをはっきり示す。

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第6問 — 専門 熱工学

方針

ファン・デル・ワールス気体では,内部エネルギーが体積にも依存する点が理想気体と異なる。熱力学恒等式 Tds=du+p dvTds=du+p\,dv を使うと,仕事・内部エネルギー・エントロピーを一貫して処理できる。

検算

圧縮なので v2<v1v_2<v_1 であり,Δs=Rlog⁡((v2−b)/(v1−b))<0\Delta s=R\log((v_2-b)/(v_1-b))<0 となる。等温圧縮でエントロピーが減ることと一致する。

典型ミス

「気体になされた仕事」と「気体がした仕事」の符号を取り違えやすい。本解答では WbyW_{\mathrm{by}} を一度計算し,最後に Won=−WbyW_{\mathrm{on}}=-W_{\mathrm{by}} としている。

試験で書くべきポイント

混合問題ではモル数 nA,nBn_A,n_B を最初に書くと式が崩れない。熱伝導ではフーリエの法則の負号が温度低下の向きを表すので,Ti=Ti−1−qΔx/kiT_i=T_{i-1}-q\Delta x/k_i の形まで示す。

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第7問 — 専門 流体力学

方針

前半は円筒面を通る体積流量で vrv_r を決め,その後ベルヌーイで圧力を求める。後半は連続の式で B=−AB=-A を決めてから,渦度とオイラー方程式を順に計算する。

検算

vrv_r は r=rar=r_a で Ura2h \frac{Ur_a}{2h} となり,内側と外側の式が連続につながる。圧力 p(r)p(r) は r=rar=r_a で 0,中心で最大となるので,円板を押すには下向きの外力が必要になる。

典型ミス

流量を πrhvr\pi rhv_r としてしまうと 2 倍ずれる。半径 rr の円筒面の面積は 2πrh2\pi rh である。また,渦無し判定では速度ポテンシャルを探す前に ∂v/∂x−∂u/∂y\partial v/\partial x-\partial u/\partial y を直接計算する方が確実である。

試験で書くべきポイント

ベルヌーイを使う際は,基準点 r=rar=r_a と圧力 p=0p=0 を明記する。速度ベクトルマップは厳密な作図でなくても,停留点,向き,対称性が分かるように描けばよい。

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第8問 — 専門 機械力学

方針

点 P が重心からずれると,ばねの伸び hh と重心変位 qq が一致しない。ここを q=h−aθq=h-a\theta と置き直すことが連成方程式を正しく立てる鍵である。

検算

a=0a=0 とおくと連成項が消え, mh¨+khh=0,Iθ¨+kθθ=0 m\ddot{h}+k_hh=0,\qquad I\ddot{\theta}+k_\theta\theta=0 に戻る。固有方程式も (kh−mω2)(kθ−Iω2)=0 (k_h-m\omega^2)(k_\theta-I\omega^2)=0 となり,非連成の結果と一致する。

典型ミス

点 P の変位 hh を重心変位と同一視すると,連成項の符号が崩れる。また,固有角振動数の大小関係は根を明示的に解かなくても,根の積と和を比較すれば示せる。

試験で書くべきポイント

モード図を描く場合,低次では Q が P より右,高次では Q が重心より左に来ることを反映させる。hh が最大の瞬間を描く指定なので,ばね変位と棒の傾きの向きを対応させる。

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第9問 — 専門 制御工学

方針

状態フィードバックの問題は,閉ループ行列 A−BFA-BF を先に書くと分母多項式と可観測性が同時に整理できる。ブロック線図は中間信号を 1 つ置いて連立方程式にするのが確実である。

検算

f1=1,f2=0.4f_1=1,f_2=0.4 のとき分母は s2+2.4s+4s^2+2.4s+4 であり,これは ωn=2\omega_n=2, ζ=0.6\zeta=0.6 の標準形と一致する。

典型ミス

ランプ追従の判定で T(0)=1T(0)=1 だけを見るのは不十分である。ランプ入力では 1−T(s)1-T(s) が少なくとも s2s^2 のオーダーで 0 に近づく必要がある。

試験で書くべきポイント

可観測性は行列式まで書く。ブロック線図は符号を図から読み取り,HH のような中間信号を定義してから解くと,フィードバックの符号ミスを避けられる。

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第10問 — 専門 材料力学

方針

集中モーメントはせん断力を変えず,曲げモーメント図だけを不連続にする。反力は上下逆向きの偶力を作り,それが作用モーメントと釣り合う。

検算

M(x)M(x) は x=0,lx=0,l で支点モーメント 0 になり,x=ax=a で M0M_0 だけジャンプする。これは集中モーメントを受ける単純支持ばりの特徴である。

典型ミス

a>l/2a>l/2 の条件を使わずに最大曲げモーメントを選ぶと,応力式を誤る。左側最大 M0a/lM_0a/l と右側最大 M0(l−a)/lM_0(l-a)/l を比較し,今回は前者が大きい。

試験で書くべきポイント

複合棒では「力のつり合い」と「変形の適合条件」を分けて書く。軸力の符号は α2−α1\alpha_2-\alpha_1 の符号で変わるため,圧縮・引張を言葉だけで決めつけない。

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名大 基礎部門・専門部門 院試 過去問の収録4年度

  • 2025年度(全9問)

    基礎数学1:微分・接平面・回転体 / 基礎数学2:行列・固有値・二次形式 / 基礎数学3:常微分方程式

  • 2024年度(このページ・全10問)

    基礎数学1 / 基礎数学2 / 基礎数学3

  • 2023年度(全10問)

    基礎数学:極限・微分積分・極値 / 基礎数学:固有値とスペクトル分解 / 基礎数学:常微分方程式

  • 2022年度(全10問)

    基礎数学1:微積分 / 基礎数学2:線形代数 / 基礎数学3:常微分方程式