名古屋大学 院試 過去問 解答例
名大 工学研究科 機械航空系 基礎部門・専門部門 2024年度 院試 解答例・解説
名古屋大学 工学研究科 機械航空系 基礎部門・専門部門 2024年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全10問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 基礎数学1
方針
前半は微分と停留点判定,後半は球面上の線形関数と一次変換で処理する。特に (4) は領域の形を直接描くより, と を新しい変数にする方が安全である。
検算
(3) はコーシー・シュワルツの不等式 からも同じ最大絶対値が出る。(4) は変換後の積分領域の面積が ,ヤコビアンが なので,元の領域の面積が になることも確認できる。
典型ミス
を極値としてしまう誤りが多い。停留点であることと極値であることは別であり,ヘッセ行列の符号,または近傍での増減を確認する必要がある。また (4) ではヤコビアンの を落とすと答えが 2 倍になる。
試験で書くべきポイント
各小問は結果だけでなく,(2) ではヘッセ行列,(3) では制約条件を満たす点,(4) では変数変換とヤコビアンを明示する。ここが採点上の主要な根拠になる。
第2問 — 基礎数学2
方針
重複固有値 の固有空間が 1 次元なので,対角化ではなくジョルダン標準形を使う。問題文の条件 は,まさに一般化固有ベクトルを作る条件である。
検算
を代入すると となり,元の行列の 成分と一致する。 では であり,直接 を計算しても同じ値になる。
典型ミス
重複固有値があるだけで直ちに としてはいけない。固有空間の次元を確認し,足りない固有ベクトルを一般化固有ベクトルで補う必要がある。
試験で書くべきポイント
特性多項式,固有空間,一般化固有ベクトルの順に書くと採点者が追いやすい。最後の は の積を全部展開しなくても,必要成分を明示できれば十分である。
第3問 — 基礎数学3
方針
常微分方程式は型の判定が最初の得点源である。(1) は分離形,(2) は同次形,(3) は積分因子,(4) は定数係数線形方程式として処理する。
検算
(1) の左辺を微分すると となり,右辺 の微分 と一致する。(4) の特殊解は複素数を使うと早いが,最終答案は実関数で書く必要がある。
典型ミス
(3) で積分因子の公式を逆にして を使うと, のみの関数にならない。 を探すときは を見るのが正しい。
試験で書くべきポイント
積分因子の導出では,単に と書くのではなく,どの式から出したかを 1 行で示す。線形方程式の特殊解は,代入後の係数比較を残しておくと部分点が安定する。
第4問 — 基礎数学4
方針
前半は「回転が 0 ならポテンシャルがある」という見方が最短である。後半は回転面を でパラメータ表示し,外向きの を作る。
検算
体積計算では を使っている。正の値になることは,外向き面積要素の向きが正しいことの確認にもなる。
典型ミス
面積要素ベクトルの向きを逆にすると体積が負になる。また, の線積分が経路に依存しない理由を「始点と終点が同じだから」とだけ書くのは不十分で, またはポテンシャルの存在を示す必要がある。
試験で書くべきポイント
回転面のパラメータ表示では,, と明示する。面積要素は成分をすべて書き,外向きであることを一言添えるとよい。
第5問 — 基礎物理学
方針
三角台に固定した非慣性系で解くと,見かけの重力 が斜面方向に働く問題として整理できる。円板の転がりでは,並進方程式と回転方程式を摩擦力で結び,最後に転がり条件を使う。
訂正資料の反映
基礎部門の訂正では,問題5(7)の指定が「」から「 のうち必要なもの」に直されている。したがって位置は初期位置を含む として書く。
検算
のとき,斜面方向の有効加速度は 0 であり,質点が静止できる。円板についても なら転がり加速度は 0 になるので,式の符号は整合している。
典型ミス
摩擦力の向きを最初から「正」と決めつけると,回転方程式の符号を誤りやすい。本解答では を 成分として定義し,時計回り正の角速度に対して と書いて符号を固定している。
試験で書くべきポイント
非慣性力の分解,垂直抗力,摩擦の不等式を明示する。円板では の導出を省かず,転がり条件 をどの段階で使うかをはっきり示す。
第6問 — 専門 熱工学
方針
ファン・デル・ワールス気体では,内部エネルギーが体積にも依存する点が理想気体と異なる。熱力学恒等式 を使うと,仕事・内部エネルギー・エントロピーを一貫して処理できる。
検算
圧縮なので であり, となる。等温圧縮でエントロピーが減ることと一致する。
典型ミス
「気体になされた仕事」と「気体がした仕事」の符号を取り違えやすい。本解答では を一度計算し,最後に としている。
試験で書くべきポイント
混合問題ではモル数 を最初に書くと式が崩れない。熱伝導ではフーリエの法則の負号が温度低下の向きを表すので, の形まで示す。
第7問 — 専門 流体力学
方針
前半は円筒面を通る体積流量で を決め,その後ベルヌーイで圧力を求める。後半は連続の式で を決めてから,渦度とオイラー方程式を順に計算する。
検算
は で となり,内側と外側の式が連続につながる。圧力 は で 0,中心で最大となるので,円板を押すには下向きの外力が必要になる。
典型ミス
流量を としてしまうと 2 倍ずれる。半径 の円筒面の面積は である。また,渦無し判定では速度ポテンシャルを探す前に を直接計算する方が確実である。
試験で書くべきポイント
ベルヌーイを使う際は,基準点 と圧力 を明記する。速度ベクトルマップは厳密な作図でなくても,停留点,向き,対称性が分かるように描けばよい。
第8問 — 専門 機械力学
方針
点 P が重心からずれると,ばねの伸び と重心変位 が一致しない。ここを と置き直すことが連成方程式を正しく立てる鍵である。
検算
とおくと連成項が消え, に戻る。固有方程式も となり,非連成の結果と一致する。
典型ミス
点 P の変位 を重心変位と同一視すると,連成項の符号が崩れる。また,固有角振動数の大小関係は根を明示的に解かなくても,根の積と和を比較すれば示せる。
試験で書くべきポイント
モード図を描く場合,低次では Q が P より右,高次では Q が重心より左に来ることを反映させる。 が最大の瞬間を描く指定なので,ばね変位と棒の傾きの向きを対応させる。
第9問 — 専門 制御工学
方針
状態フィードバックの問題は,閉ループ行列 を先に書くと分母多項式と可観測性が同時に整理できる。ブロック線図は中間信号を 1 つ置いて連立方程式にするのが確実である。
検算
のとき分母は であり,これは , の標準形と一致する。
典型ミス
ランプ追従の判定で だけを見るのは不十分である。ランプ入力では が少なくとも のオーダーで 0 に近づく必要がある。
試験で書くべきポイント
可観測性は行列式まで書く。ブロック線図は符号を図から読み取り, のような中間信号を定義してから解くと,フィードバックの符号ミスを避けられる。
第10問 — 専門 材料力学
方針
集中モーメントはせん断力を変えず,曲げモーメント図だけを不連続にする。反力は上下逆向きの偶力を作り,それが作用モーメントと釣り合う。
検算
は で支点モーメント 0 になり, で だけジャンプする。これは集中モーメントを受ける単純支持ばりの特徴である。
典型ミス
の条件を使わずに最大曲げモーメントを選ぶと,応力式を誤る。左側最大 と右側最大 を比較し,今回は前者が大きい。
試験で書くべきポイント
複合棒では「力のつり合い」と「変形の適合条件」を分けて書く。軸力の符号は の符号で変わるため,圧縮・引張を言葉だけで決めつけない。