電気通信大学 院試 過去問 解答例
電通大 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 専門科目(無機・有機化学・物理化学) 2023年度 院試 解答例・解説
電気通信大学 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 専門科目(無機・有機化学・物理化学) 2023年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針と確認点を解説。全2問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
最終更新:
設問ごとの解法方針と確認点を公開しています。
続きの途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 選択問題:無機・有機化学
銀アンミン錯体は直線形まで書く
Tollens 試薬まわりの問題では,沈殿生成,錯形成,還元析出が連続して出ることが多い。 の式だけでなく,Ag(I) が で,2配位直線形になることまで 書けると錯体化学の説明として締まる。
酸化還元は電位の大小で判断する
標準電極電位が大きい半反応ほど還元されやすい。銀が析出する反応を基準にして, より電位の高いパラジウム(II)も還元される,と比較すればよい。電位差の符号を 曖昧にせず,「酸化剤として強い側が還元される」と言葉で確認すると誤りにくい。
有機反応は反応しない理由も答案になる
置換が進まない設問では,単に「立体障害」とだけ書くより, が阻害され, 強塩基条件では E2 が競合する,という二段の説明にする。合成設計では, 求核攻撃を受ける炭素をメチルなど小さい側へ移すのが Williamson 合成の基本である。
酸性エポキシド開環の位置選択性
酸性開環は完全な ではないが,遷移状態にカルボカチオン性が混ざる。 そのため,より置換された炭素が攻撃されやすい。塩基性開環では立体的に空いた炭素を 攻撃するので,条件が変わると主生成物の位置が変わる。
第2問 — 選択問題:物理化学
熱力学の符号は最初に固定する
仕事の符号を決めないまま式を書くと,等温膨張の と断熱式の符号を取り違えやすい。 ここでは「系が外界へする仕事を正」と置いたので,膨張では ,等温なら から である。断熱では なので となる。
XRDは角度の半分を使う
問題で が与えられる場合,Bragg 式に入れるのは である。 今回は が与えられているので,そのまま に代入する。立方晶の面間隔式では なので分母が になる。
NMR分裂は隣の等価プロトン数
では は隣の により三重線, は隣の により四重線になる。OH は交換や水素結合の影響で 分裂が消えやすいので,標準的な答案では広い一重線として扱えばよい。
sp2軌道は係数を方向ベクトルとして読む
混成軌道の式にある の係数は,その軌道がどの方向へ伸びるかを表す。 3つの方向ベクトルの内積を取ると になり,結合角 が 数式から出る。LCAO の図では,低い軌道が同符号重なり,高い軌道が逆符号重なりである。