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東北大学 院試 過去問 解答例

東北大 情報科学研究科 3群 機械・知能系 数学・専門科目 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(全16問)

全16問。数学6問。テーマタグは9件(固有値・固有ベクトル・伝達関数・はりの曲げ)。

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解説16問と大問1問の途中式・最終答(全16問)
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途中式と最終答(最終答つき16問)
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東北大 3群 機械・知能系 数学・専門科目 2023年度 院試 過去問の出題内容(全16問)

この16問の分野は数学6問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問数学数学A-1—あり
第2問数学数学A-2楕円になる理由あり
第3問数学数学A-3—あり
第4問数学数学B-1第1式の注意あり
第5問数学数学B-2変数変換の検算あり
第6問数学数学B-3—あり
第7問—熱力学1エントロピー生成の見方あり
第8問—熱力学2p-v線図の読み方あり
第9問—流体力学1速度の符号あり
第10問—流体力学2運動量補正 / 符号の注意あり
第11問—材料力学1適合条件の意味あり
第12問—材料力学2曲げモーメントの確認あり
第13問—機械力学1半径比の意味 / 重力の扱いあり
第14問—機械力学2ばね の符号あり
第15問—制御工学1安定性 / 定常速度偏差あり
第16問—制御工学2平衡点の意味 / 安定性の検算あり

この年度の解説には検算13件・典型ミス12件・試験で書くべきポイント3件が付いています。

2023年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は9問に9テーマが出ています。

第1問 — 数学A-1

方針

1変数の xxx^x はそのまま微分してもよいが、xx=exp⁡(xlog⁡x)x^x=\exp(x\log x) としてから展開すると計算量が少ない。2次までなら、指数の中身も2次までで十分である。

検算

xxx^x について、微分で確認すると f(1)=1f(1)=1, f′(x)=xx(log⁡x+1)f'(x)=x^x(\log x+1) より f′(1)=1f'(1)=1 である。また f′′(x)=xx{(log⁡x+1)2+1x} f''(x)=x^x\left\{(\log x+1)^2+\frac1x\right\} だから f′′(1)=2f''(1)=2。したがって2次項は 12f′′(1)(x−1)2=(x−1)2\frac12 f''(1)(x-1)^2=(x-1)^2 であり、上の結果と一致する。

典型ミス

(x+y)2(x+y)^2 の2変数テイラー展開では、混合項 2(x−1)(y−1)2(x-1)(y-1) を落としやすい。ヘッセ行列の式を使う場合でも、2次項は 12{gxxX2+2gxyXY+gyyY2} \frac12\{g_{xx}X^2+2g_{xy}XY+g_{yy}Y^2\} であり、混合微分の係数にさらに 22 が入ることを確認しておく。

試験で書くべきポイント

円板上の積分は、対称性から x2x^2 と y2y^2 の積分が等しいことを用いてもよい。 ∬D(x2+y2) dxdy=∫02π∫0ar2 r dr dθ=πa42 \iint_D (x^2+y^2)\,dxdy =\int_0^{2\pi}\int_0^a r^2\,r\,dr\,d\theta =\frac{\pi a^4}{2} なので、その半分として πa4/4\pi a^4/4 が得られる。この方法は計算の検算として有効である。

解答

小問ごとに基準点まわりの増分を置いて計算する。

  1. h=x−1h=x-1 とおく。関数は xx=exp⁡(xlog⁡x)=exp⁡{(1+h)log⁡(1+h)} x^x=\exp(x\log x)=\exp\{(1+h)\log(1+h)\} である。2次まで必要なので log⁡(1+h)=h−h22+O(h3) \log(1+h)=h-\frac{h^2}{2}+O(h^3) より (1+h)log⁡(1+h)=h+h22+O(h3). (1+h)\log(1+h) =h+\frac{h^2}{2}+O(h^3). さらに指数関数を展開して xx=1+(h+h22)+h22+O(h3)=1+h+h2+O(h3). x^x =1+\left(h+\frac{h^2}{2}\right) +\frac{h^2}{2}+O(h^3) =1+h+h^2+O(h^3). したがって xx=1+(x−1)+(x−1)2+O{(x−1)3}. x^x=1+(x-1)+(x-1)^2+O\{(x-1)^3\}.
  2. X=x−1, Y=y−1X=x-1,\ Y=y-1 とおくと x+y=2+X+Y x+y=2+X+Y である。したがって (x+y)2=4+4(X+Y)+(X+Y)2=4+4X+4Y+X2+2XY+Y2. (x+y)^2 =4+4(X+Y)+(X+Y)^2 =4+4X+4Y+X^2+2XY+Y^2. これはもとの関数が2次式なので、2次のテイラー展開そのものが厳密な表式である。
  3. 円板領域なので極座標 x=rcos⁡θ, y=rsin⁡θx=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta を用いる。 ∬Dy2 dxdy=∫02π∫0ar2sin⁡2θ r dr dθ=(∫0ar3 dr)(∫02πsin⁡2θ dθ). \iint_D y^2\,dxdy =\int_0^{2\pi}\int_0^a r^2\sin^2\theta\,r\,dr\,d\theta =\left(\int_0^a r^3\,dr\right) \left(\int_0^{2\pi}\sin^2\theta\,d\theta\right). よって ∬Dy2 dxdy=a44 π=πa44. \iint_D y^2\,dxdy =\frac{a^4}{4}\,\pi =\frac{\pi a^4}{4}.

最終答

xx=1+(x−1)+(x−1)2+O{(x−1)3}, x^x=1+(x-1)+(x-1)^2+O\{(x-1)^3\}, (x+y)2=4+4(x−1)+4(y−1)+(x−1)2+2(x−1)(y−1)+(y−1)2, (x+y)^2=4+4(x-1)+4(y-1)+(x-1)^2+2(x-1)(y-1)+(y-1)^2, ∬Dy2 dxdy=πa44. \displaystyle \iint_D y^2\,dxdy=\frac{\pi a^4}{4}.

第2問 — 数学A-2

方針

二次曲面の問題は、対称行列の固有値で主軸変換するのが最も確実である。とくに交差項 2xy2xy, 2yz2yz は、行列の成分としては a12=a21=1a_{12}=a_{21}=1, a23=a32=1a_{23}=a_{32}=1 に対応する。

楕円になる理由

対角化後の式が −u2+v2+2w2=0 -u^2+v^2+2w^2=0 となるので、負の固有値方向に垂直な平面 u=cu=c で切ると v2+2w2=c2 v^2+2w^2=c^2 となる。右辺が正で、左辺が正定値の2次形式なので、交線は楕円である。平面が原点を通る c=0c=0 の場合は退化してしまうため、問題文の条件「原点を通らない」が効いている。

検算

固有ベクトルは互いに直交している。 (1,1,1)⋅(1,0,−1)=0,(1,1,1)⋅(1,−2,1)=0,(1,0,−1)⋅(1,−2,1)=0. (1,1,1)\cdot(1,0,-1)=0,\quad (1,1,1)\cdot(1,-2,1)=0,\quad (1,0,-1)\cdot(1,-2,1)=0. 対称行列の固有ベクトルとして自然な結果であり、計算ミスの発見に使える。

典型ミス

楕円の軸長を固有値そのものの比と混同しない。式 λ2v2+λ3w2=c2 \lambda_2 v^2+\lambda_3 w^2=c^2 の半軸長は ∣c∣/λ2|c|/\sqrt{\lambda_2}, ∣c∣/λ3|c|/\sqrt{\lambda_3} である。したがって比は固有値比ではなく、その平方根の逆比で決まる。

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第3問 — 数学A-3

方針

曲面が z=f(x,y)z=f(x,y) の形で与えられているので、面積も面積分も xyxy 平面への射影で処理する。法線の向きが指定されているため、単位法線を直接作るよりも n dS=(−fx,−fy,1) dxdy \boldsymbol{n}\,dS=(-f_x,-f_y,1)\,dxdy を使う方が符号ミスが少ない。

検算

ストークスの定理を使うと、面積分は境界円周上の線積分でも求められる。境界を x=acos⁡θ,y=asin⁡θ,z=a2cos⁡2θ x=a\cos\theta,\quad y=a\sin\theta,\quad z=a^2\cos2\theta とおけば、上向き法線に対応する向きは反時計回りである。線積分 ∮∂SA⋅dr \oint_{\partial S}\boldsymbol{A}\cdot d\boldsymbol{r} を計算しても πa2\pi a^2 となる。面積分で一次項が消えて円板面積だけが残ることと整合する。

典型ミス

面積分の integrand に単位法線だけを入れ、別に dSdS を付ける計算では、正規化因子を付け忘れたり重複させたりしやすい。本問では ndS\boldsymbol{n}dS を一体で扱うのが安全である。

試験で書くべきポイント

法線の zz 成分が正であることを明記する。ここが逆向きだと面積分の答えは −πa2-\pi a^2 になり、計算過程が合っていても符号で失点する。

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第4問 — 数学B-1

方針

第1式は yy 自身や y′y' を含まず、y′′y'' と y′′′y''' だけの式である。そこで p=y′′p=y'' と置くと1階方程式になる。第2式は標準的な1階線形方程式で、積分因子を使う。

第1式の注意

p2=x+C1 p^2=x+C_1 から p=±x+C1p=\pm\sqrt{x+C_1} としたとき、符号は連結な区間ごとに一定である。実数解として扱うなら x+C1≥0x+C_1\ge0 となる区間で考える。院試答案では、一般解の形と任意定数が3個出ていることを書けば十分である。

検算

第1式の解について y′′=εx+C1,y′′′=ε12x+C1 y''=\varepsilon\sqrt{x+C_1},\qquad y'''=\varepsilon\frac{1}{2\sqrt{x+C_1}} であるから y′′y′′′=12 y''y'''=\frac12 となる。第2式では、同次解 Ce2xCe^{2x} と特解 −12ex(sin⁡x+cos⁡x)-\frac12e^x(\sin x+\cos x) を代入すれば右辺 exsin⁡xe^x\sin x が残る。

典型ミス

∫e−xsin⁡x dx\int e^{-x}\sin x\,dx の符号を間違えやすい。積分結果を微分して戻るか、公式 ∫eaxsin⁡bx dx=eaxa2+b2(asin⁡bx−bcos⁡bx) \int e^{ax}\sin bx\,dx =\frac{e^{ax}}{a^2+b^2}(a\sin bx-b\cos bx) に a=−1, b=1a=-1,\ b=1 を入れて確認するとよい。

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第5問 — 数学B-2

方針

左辺 3ux+uy3u_x+u_y は、方向ベクトル (3,1)(3,1) に沿った微分である。今回の変数変換では ξ=x−3y\xi=x-3y がこの方向に沿って一定となり、η=y\eta=y が進行方向のパラメータになる。そのため偏微分方程式が η\eta だけの1階線形方程式に落ちる。

変数変換の検算

ξ=x−3y\xi=x-3y について 3∂ξ∂x+∂ξ∂y=3⋅1+(−3)=0 3\frac{\partial \xi}{\partial x}+\frac{\partial \xi}{\partial y} =3\cdot1+(-3)=0 である。これは左辺の微分方向に沿って ξ\xi が保存されることを意味する。新しい方程式に uξu_\xi が残らないのはこのためである。

典型ミス

uyu_y の連鎖律で uy=uξξy+uηηy=−3uξ+uη u_y=u_\xi \xi_y+u_\eta \eta_y=-3u_\xi+u_\eta となる点を落としやすい。ここで符号を間違えると、以後の式がすべてずれる。

試験で書くべきポイント

一般解の任意関数 FF は、境界条件で決まる。境界 x=0x=0 では ξ=−3y\xi=-3y が全実数を動くので、FF を一意に決定できる。この一言を書くと、条件の使い方が明確になる。

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第6問 — 数学B-3

方針

連立線形微分方程式なので、ラプラス変換後は2元1次方程式になる。初期値が右辺に入るため、sY−1sY-1 の −1-1 を落とさないことが重要である。

別解

行列で書くと ddt(xy)=(−41−1−4)(xy). \frac{d}{dt}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}-4&1\\-1&-4\end{pmatrix} \begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}. 係数行列は −4I+(01−10)-4I+\begin{pmatrix}0&1\\-1&0\end{pmatrix} であり、減衰 e−4te^{-4t} と回転が同時に現れる。そのため解が e−4tsin⁡te^{-4t}\sin t, e−4tcos⁡te^{-4t}\cos t の形になることは自然である。

検算

x′=e−4t(cos⁡t−4sin⁡t),−4x+y=e−4t(−4sin⁡t+cos⁡t) x'=e^{-4t}(\cos t-4\sin t),\qquad -4x+y=e^{-4t}(-4\sin t+\cos t) で一致する。また y′=e−4t(−4cos⁡t−sin⁡t),−x−4y=e−4t(−sin⁡t−4cos⁡t) y'=e^{-4t}(-4\cos t-\sin t),\qquad -x-4y=e^{-4t}(-\sin t-4\cos t) も一致し、初期条件も x(0)=0, y(0)=1x(0)=0,\ y(0)=1 を満たす。

典型ミス

X(s)X(s) と Y(s)Y(s) を求めた後、平方完成された形 (s+4)2+1(s+4)^2+1 を崩して部分分数分解しようとすると時間がかかる。ラプラス変換表のシフト則をそのまま使うのが最短である。

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第7問 — 熱力学1

方針

前半は、カルノー効率の半分という指定をそのまま熱効率に入れ、Aの排熱がBの受熱になることを使う。後半は、逆カルノー冷凍機のCOP COP=TT0−T \mathrm{COP}=\frac{T}{T_0-T} から、取り去る熱量に対する仕事を積分する。

エントロピー生成の見方

中間温度 T2T_2 の熱源は、Aから熱を受け取りBへ同じ熱量を渡す。したがって複合エンジン全体のエントロピー収支では中間熱源の寄与は相殺され、最終的に高温熱源 T1T_1 と低温熱源 T3T_3 だけを見ればよい。この整理をすると、最小条件が r+s/rr+s/r の最小化に帰着する。

検算

T2=T1T3T_2=\sqrt{T_1T_3} は T1>T3T_1>T_3 の間にあり、温度順序を満たす。また r+s/rr+s/r は相加相乗平均より r+sr≥2s r+\frac{s}{r}\ge2\sqrt{s} であり、等号が r=sr=\sqrt{s} で成り立つため、エントロピー生成最小条件の確認にもなる。

典型ミス

冷却過程のエントロピーは物質にとっては減少である。答案では「減少量」を正で書くのか、「変化量」を負で書くのかを明確にする。本解では減少量を正として CLln⁡(T1/T2) C_L\ln(T_1/T_2) のように書いた。

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第8問 — 熱力学2

方針

状態2までは等積なので TT と pp が比例する。状態2から3は等温なので仕事は RTln⁡(v3/v2)RT\ln(v_3/v_2)。状態3から1は等圧なので仕事は R(T1−T3)R(T_1-T_3) とすれば、単位換算を最小限にできる。

p-v線図の読み方

等積過程は縦線、等温膨張は右下がりの曲線、等圧冷却は水平線である。状態3は状態1と同じ圧力上にあり、かつ状態2と同じ温度上にあるため、v3/v2=p2/p3=4v_3/v_2=p_2/p_3=4 とすぐに決まる。

検算

もとのサイクルでは Qout=cp(T3−T1)=1.05(900)=945 kJ Q_{\mathrm{out}}=c_p(T_3-T_1)=1.05(900)=945\ \mathrm{kJ} である。したがって Qin−Qout=1173.96−945=228.96 kJ Q_{\mathrm{in}}-Q_{\mathrm{out}}=1173.96-945=228.96\ \mathrm{kJ} となり、仕事の和と一致する。

典型ミス

断熱膨張の温度比は T4T2=(p4p2)(κ−1)/κ \frac{T_4}{T_2}=\left(\frac{p_4}{p_2}\right)^{(\kappa-1)/\kappa} である。指数を κ/(κ−1)\kappa/(\kappa-1) と逆にすると、温度が不自然に下がりすぎる。与えられた 0.54/7=0.6730.5^{4/7}=0.673 はこの指数を使うための数値である。

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第9問 — 流体力学1

方針

複素ポテンシャルでは実部が速度ポテンシャル、虚部が流れ関数である。渦の項は iΓlog⁡z/(2π)i\Gamma\log z/(2\pi) なので、log⁡z=log⁡r+iθ\log z=\log r+i\theta を代入したときに実部へ −Γθ/(2π)-\Gamma\theta/(2\pi) が出る。

速度の符号

本解では標準的な定義 dWdz=ux−iuy \frac{dW}{dz}=u_x-iu_y を用いた。そのため微分結果の虚部は −uy-u_y である。ここを uyu_y と読んでしまうと、渦による鉛直速度の符号が逆になる。

検算

m=0m=0 とすれば純粋な渦であり、点 PP での速度は原点を中心とする接線方向になる。P=(h,h)P=(h,h) における時計回り接線方向は右下向きなので、ux>0, uy<0u_x>0,\ u_y<0 となる。本解の符号はこれと一致する。

典型ミス

ベルヌーイの式では、無限遠方の速度を0としてよい。湧き出しと渦はいずれも速度が距離の逆数で減衰するためである。圧力式では速度の二乗を使うので、uyu_y の符号は最終的に消えるが、速度成分の設問では符号が採点対象になる。

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第10問 — 流体力学2

方針

速度分布は、壁面で0、中央で最大という3条件で一意に決まる。力の設問は、助走区間の詳細なせん断応力分布を知らなくても、検査体積全体の運動量収支で求められる。

運動量補正

断面Bでは速度が一様でないため、運動量流束は ρhV2\rho hV^2 ではなく ρ∫0hu2 dy \rho\int_0^h u^2\,dy である。ここを平均速度だけで処理すると、ρhV2/5\rho hV^2/5 の補正項を落とす。

検算

放物形分布では平均速度が最大速度の 2/32/3 である。したがって umax⁡=3V/2u_{\max}=3V/2 は、平行平板間の十分発達層流の標準結果と一致する。

符号の注意

FF は「流体が壁に与える力」であり、運動量式に直接入る「壁が流体に与える力」と反対向きである。答案では正方向を明記し、式の符号の意味を示すと安全である。

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第11問 — 材料力学1

方針

ねじり角は θ=TLGJ \theta=\frac{TL}{GJ} で決まる。ピン結合後は、ABとCDが同じ角度位置を共有する一方で、両軸の初期穴位置に β\beta のずれがある。この「初期ずれ」を適合条件に入れるのが核心である。

適合条件の意味

最終角を α\alpha とすると、ABは 00 から α\alpha までねじれる。一方CDは、穴を合わせるための基準から見ると β\beta ずれていたので、最終的な弾性ねじれは α−β\alpha-\beta である。両者のトルクが反対向きに釣り合うため JAα+JC(α−β)=0 J_A\alpha+J_C(\alpha-\beta)=0 となる。

検算

ABはCDより極断面二次モーメントが65倍大きい。そのため解放後の変形の大部分は細いCD側に出る。実際 α=β66 \alpha=\frac{\beta}{66} となり、AB側のねじれ角は非常に小さい。物理的にも妥当である。

典型ミス

最大せん断応力では、ABについて外半径 3d/23d/2 を使う。中空軸の内半径 dd を使ってしまうと最大応力ではなく内面応力になる。また、トルクは両軸で同じ大きさでも、応力は c/Jc/J が異なるため同じにはならない。

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第12問 — 材料力学2

方針

全体を「直線片持ちはりAB」と「曲げモーメントを受ける円弧部BC」に分ける。ABにはCの荷重が、B点でのせん断力 PP と曲げモーメント PrPr として伝わる。円弧部のたわみはカスチリアーノの定理で求める。

曲げモーメントの確認

Bでは θ=0\theta=0 なので M(0)=Pr M(0)=Pr である。Cでは θ=π/2\theta=\pi/2 なので M(π/2)=0 M(\pi/2)=0 となる。自由端で曲げモーメントが0になるため、式 Pr(1−sin⁡θ)Pr(1-\sin\theta) は端条件と整合している。

検算

直線部だけのC点寄与は δB+rθB=(272+152)Pr3EI=21Pr3EI \delta_B+r\theta_B = \left(\frac{27}{2}+\frac{15}{2}\right)\frac{Pr^3}{EI} =21\frac{Pr^3}{EI} である。円弧部寄与は (3π4−2)Pr3EI>0 \left(\frac{3\pi}{4}-2\right)\frac{Pr^3}{EI}>0 であり、全体のたわみは直線部だけの場合より大きくなる。

典型ミス

B点のたわみだけをC点たわみとしてしまうと、B点回転による rθBr\theta_B を落とす。円弧部はBから水平方向に rr だけ離れてCを持つので、Bの回転がCの鉛直変位に一次で効く。

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第13問 — 機械力学1

方針

この系は糸が伸びず、プーリーとのすべりもないので、自由度は1つである。すべての変位と速度を xx に換算し、有効質量 MeqM_{\mathrm{eq}} と有効ばね定数 KeqK_{\mathrm{eq}} を作れば通常の1自由度減衰振動系になる。

半径比の意味

内側半径側の糸の移動量は、外側半径側の移動量の r2/r1r_2/r_1 倍である。そのため、質量項とばね項には速度または変位の二乗として (r2r1)2 \left(\frac{r_2}{r_1}\right)^2 が掛かる。半径比を一乗で入れるのは典型的なミスである。

重力の扱い

xx はつり合い位置からの変位であるため、重力ポテンシャルの一次項は静的つり合いで相殺される。運動方程式には重力項が現れない。もし自然長基準で座標を取る場合は、最後につり合い位置へ座標変換して同じ式に戻す必要がある。

検算

単位を見ると、Jp/r12J_p/r_1^2 は kg m2/m2=kg \mathrm{kg\,m^2}/m^2=\mathrm{kg} であり、有効質量として加算できる。また k2(r2/r1)2k_2(r_2/r_1)^2 はばね定数の単位のままであり、式の次元は整っている。

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第14問 — 機械力学2

方針

小角近似では各質点の水平変位を lθil\theta_i としてよい。ばね力は水平力として働き、その一般化力は水平力に腕 ll を掛けたものになる。エネルギー法で作っても同じ行列式が得られる。

ばね k2k_2 の符号

中央ばねの伸びは l(θ2−θ1)l(\theta_2-\theta_1) である。したがって剛性行列の非対角成分は −k2l2-k_2l^2 になる。同じ向きに動くと中央ばねの伸びが小さくなるため、この符号は物理的にも自然である。

検算

低次モードでは2つの振り子が同相で動くので、中央ばねの伸びは比較的小さい。高次モードでは逆相で動き、中央ばねが大きく変形する。そのため高次の固有角振動数の方が大きくなる。本解の gl+5k2m>gl+3k2m \frac{g}{l}+\frac{5k}{2m} > \frac{g}{l}+\frac{3k}{2m} はこの直観と一致する。

典型ミス

第2質量が 4m4m であるため、質量行列の第2成分は 4ml24ml^2 である。剛性項にも重力復元 4mgl4mgl が入る。この係数4を落とすと、固有値が大きく変わる。

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第15問 — 制御工学1

方針

内側に D(s)D(s) の負帰還、外側に単位負帰還がある。まずブロック図の信号関係を式にするのが重要で、いきなり標準形に当てはめると C+DC+D の位置を間違えやすい。

安定性

本問の閉ループは2次系である。2次多項式 s2+a1s+a0 s^2+a_1s+a_0 は a1>0, a0>0a_1>0,\ a_0>0 で安定である。ここでは a1=2+4K2>0a_1=2+4K_2>0, a0=4K1>0a_0=4K_1>0 なので安定である。

定常速度偏差

速度入力では R(s)=1/s2R(s)=1/s^2 なので、位置入力のように単に 1/(1+K)1/(1+K) としてはいけない。最終値定理で ess=lim⁡s→0sE(s) e_{\mathrm{ss}}=\lim_{s\to0}sE(s) を計算するのが確実である。

根軌跡の検算

K2=0.5K_2=0.5 では (s+2)2=4(1−K1) (s+2)^2=4(1-K_1) となる。K1>1K_1>1 で右辺が負になるため、極は共役複素数になり、実部は常に −2-2 である。この性質を使えば図の概形を素早く描ける。

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第16問 — 制御工学2

方針

非線形項は sin⁡x\sin x だけなので、状態方程式を書いた後、平衡点まわりでヤコビ行列を計算すればよい。特に cos⁡π=−1\cos\pi=-1 のため、(π,0)(\pi,0) まわりでは復元項の符号が反転する。

平衡点の意味

u=0u=0 では、速度が0で、かつ sin⁡x1=0\sin x_1=0 なら加速度も0になる。したがって x1=nπx_1=n\pi はすべて平衡点であり、問題で指定された3点はその一部である。

安定性の検算

(π,0)(\pi,0) は倒立位置に相当する。線形化で x˙2=3x1−2x2 \dot x_2=3x_1-2x_2 のように位置ずれを増やす向きの項が出るため、不安定極が現れるのは物理的にも自然である。

フィードバックゲインの符号

本解では制御入力を δu=−Kδx \delta u=-K\delta\boldsymbol{x} と定義した。この慣例でのゲインは K=[13 4]K=[13\ 4] である。もし δu=Kδx\delta u=K\delta\boldsymbol{x} と定義する流儀なら、ゲインの符号は [−13 −4][-13\ -4] になる。答案では自分の定義を必ず添える。

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東北大 3群 機械・知能系 数学・専門科目 院試 過去問の収録3年度