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九工大 情報工学府 共通科目(数学) 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全2問)

全2問の分野は線形代数1問、微分積分・解析1問です。固有値・固有ベクトル、線形空間・基底、正定値行列などが出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 線形代数

像と核の関係

像の基底は「元の行列の列ベクトル」から選ぶ点に注意する。行基本変形後のピボット列そのものを基底として書くのではなく,ピボットの位置に対応する元の列を取る。核は簡約形から自由変数を置けばそのまま得られる。

連立方程式の解構造

Ax=yAx=y が解をもつ条件は y∈Im⁡Ay\in\operatorname{Im}A である。解が1つ見つかれば,一般解は 特殊解+ker⁡A \text{特殊解}+\ker A になる。この構造を書けると,任意定数を含む一般解の意味が明確になる。

漸化式と固有値

行列 SS の固有ベクトル分解は,漸化式の解を指数型の和に分ける操作と同じである。初期ベクトルが1本の固有ベクトルそのものなら計算は特に短く,混合している場合は3つの固有モードの係数を初期条件から決めればよい。

解答

問題1

行列の列ベクトルを c1=(1121),c2=(−1112),c3=(−5−1−41),c4=(5372) c_1=\begin{pmatrix}1\\1\\2\\1\end{pmatrix},\quad c_2=\begin{pmatrix}-1\\1\\1\\2\end{pmatrix},\quad c_3=\begin{pmatrix}-5\\-1\\-4\\1\end{pmatrix},\quad c_4=\begin{pmatrix}5\\3\\7\\2\end{pmatrix} と書く。行基本変形により A∼(10−34012−100000000) A\sim \begin{pmatrix} 1&0&-3&4\\ 0&1&2&-1\\ 0&0&0&0\\ 0&0&0&0 \end{pmatrix} となるので,階数は 22 である。

  1. 像の次元は rank⁡A=2\operatorname{rank}A=2 である。第1列と第2列は一次独立で,ピボット列に対応するので,像の基底として {(1121),(−1112)} \left\{ \begin{pmatrix}1\\1\\2\\1\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}-1\\1\\1\\2\end{pmatrix} \right\} を取れる。
  2. 上の簡約形から,Ax=0Ax=0 は x1−3x3+4x4=0,x2+2x3−x4=0 x_1-3x_3+4x_4=0,\qquad x_2+2x_3-x_4=0 と同値である。x3=s, x4=tx_3=s,\ x_4=t とおくと x=s(3−210)+t(−4101). x=s\begin{pmatrix}3\\-2\\1\\0\end{pmatrix} +t\begin{pmatrix}-4\\1\\0\\1\end{pmatrix}. したがって核の次元は 22,基底は {(3−210),(−4101)} \left\{ \begin{pmatrix}3\\-2\\1\\0\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}-4\\1\\0\\1\end{pmatrix} \right\} である。
  3. 右辺 y=(−9,3,c,d)Ty=(-9,3,c,d)^T が像に入るためには,ある a,ba,b により y=ac1+bc2 y=ac_1+bc_2 と書ければよい。第1・第2成分から a−b=−9,a+b=3 a-b=-9,\qquad a+b=3 なので a=−3,b=6 a=-3,\qquad b=6 である。よって c=2a+b=0,d=a+2b=9 c=2a+b=0,\qquad d=a+2b=9 となる。 このとき1つの特殊解は x0=(−3600) x_0=\begin{pmatrix}-3\\6\\0\\0\end{pmatrix} であり,一般解は特殊解に核を加えて x=(−3600)+s(3−210)+t(−4101)(s,t∈R) x= \begin{pmatrix}-3\\6\\0\\0\end{pmatrix} +s\begin{pmatrix}3\\-2\\1\\0\end{pmatrix} +t\begin{pmatrix}-4\\1\\0\\1\end{pmatrix} \qquad (s,t\in\mathbb{R}) である。
問題2
  1. 固有方程式を計算すると det⁡(λI−S)=(λ−1)(λ−2)(λ+1) \det(\lambda I-S) = (\lambda-1)(\lambda-2)(\lambda+1) である。したがって固有値は 1,2,−11,2,-1 である。 それぞれの固有ベクトルとして λ=1:(111),λ=2:(124),λ=−1:(1−11) \lambda=1:\begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix},\qquad \lambda=2:\begin{pmatrix}1\\2\\4\end{pmatrix},\qquad \lambda=-1:\begin{pmatrix}1\\-1\\1\end{pmatrix} を取れる。
  2. 初期ベクトルが (a1a2a3)=(124) \begin{pmatrix}a_1\\a_2\\a_3\end{pmatrix} = \begin{pmatrix}1\\2\\4\end{pmatrix} であり,これは固有値 22 の固有ベクトルである。したがって1回作用させるごとに 22 倍されるので an=2n−1 a_n=2^{n-1} である。
  3. 一般には an=C1⋅1n−1+C2⋅2n−1+C3(−1)n−1 a_n=C_1\cdot 1^{n-1}+C_2\cdot 2^{n-1}+C_3(-1)^{n-1} とかける。初期条件 a1=2, a2=0, a3=2a_1=2,\ a_2=0,\ a_3=2 を代入すると C1+C2+C3=2,C1+2C2−C3=0,C1+4C2+C3=2. C_1+C_2+C_3=2,\quad C_1+2C_2-C_3=0,\quad C_1+4C_2+C_3=2. これより C2=0, C1=C3=1C_2=0,\ C_1=C_3=1 である。したがって an=1+(−1)n−1 a_n=1+(-1)^{n-1} である。

最終答

問題1: dim⁡V=2\dim V=2,基底は c1,c2c_1,c_2。dim⁡W=2\dim W=2,基底は (3,−2,1,0)T,(−4,1,0,1)T(3,-2,1,0)^T,(-4,1,0,1)^T。解をもつ条件は c=0,d=9c=0,d=9,一般解は上記の式。問題2: 固有値は 1,2,−11,2,-1。初期値 (1,2,4)(1,2,4) では an=2n−1a_n=2^{n-1},初期値 (2,0,2)(2,0,2) では an=1+(−1)n−1a_n=1+(-1)^{n-1}。

第2問 — 解析

テイラー展開の見方

多変数のテイラー展開では,1次項は勾配と変位ベクトルの内積,2次項はヘッセ行列による二次形式である。この形で覚えておくと,極値判定への接続が自然になる。

必要条件と十分条件の違い

fx=fy=0f_x=f_y=0 は極値の候補を出すだけであり,極値であることまでは保証しない。2次形式が正定値なら近傍で関数値が必ず増えるため極小になる。負定値なら極大,不定値なら鞍点である。

具体例の検算

β>α\beta>\alpha なので,同じ半径なら yy 軸方向の重みが大きい。最大点が (±1,0)(\pm1,0) ではなく (0,±1)(0,\pm1) になることは,この重みの大小からも確認できる。さらに f≥0f\ge0 で f(0,0)=0f(0,0)=0 なので,原点が最小であることもすぐに検算できる。

解析の途中式・最終答をPDFで見る

2025年度の出題内容

全2問

この2問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問線形代数—像と核の関係 / 連立方程式の解構造あり
第2問微分積分・解析解析テイラー展開の見方 / 必要条件と十分条件の違いあり

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