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九工大 情報工学府 専門科目(知能情報工学) 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全2問)

全2問の分野は情報1問です。ソートアルゴリズム、オートマトン理論が出ています。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 離散数学系科目群

個数問題は自由度を数える

二項関係の個数は、各順序対を入れるかどうかの自由度で数える。対称性や反対称性は、非対角成分を1個ずつではなく、 unordered pair ごとの選択に変える条件だと考えると整理しやすい。

関係の性質は同値変形から入る

R1R_1 は見た目は x,yx,y の式だが、実際には xx の偶奇だけで決まる。R2R_2 は「積が3の冪」という条件なので、各因子も3の冪でなければならない。このように条件を短く言い換えてから性質判定に進むと、反例を探す時間が短くなる。

正規言語の判定

有限オートマトンは有限個の状態しか持てない。剰余や偶奇のような有限情報は覚えられるが、任意長のコピーや個数差そのものは覚えられない。この切り分けが問題3のほぼ全体を決める。

解答

問題1

A={a,b,c}A=\{a,b,c\}, B={b,c}B=\{b,c\} とする。

2A={∅,{a},{b},{c},{a,b},{a,c},{b,c},{a,b,c}}, 2^A=\{\varnothing,\{a\},\{b\},\{c\},\{a,b\},\{a,c\},\{b,c\},\{a,b,c\}\}, 2B={∅,{b},{c},{b,c}}. 2^B=\{\varnothing,\{b\},\{c\},\{b,c\}\}. したがって 2A−2B={{a},{a,b},{a,c},{a,b,c}}. 2^A-2^B=\{\{a\},\{a,b\},\{a,c\},\{a,b,c\}\}.

また直積は、第1成分を BB、第2成分を AA から取るので B×A={(b,a),(b,b),(b,c),(c,a),(c,b),(c,c)}. B\times A =\{(b,a),(b,b),(b,c),(c,a),(c,b),(c,c)\}.

AA 上の二項関係は A×AA\times A の部分集合である。対称的な関係では、対角成分 (a,a),(b,b),(c,c)(a,a),(b,b),(c,c) は各々自由に選べ、非対角成分は {(a,b),(b,a)},{(a,c),(c,a)},{(b,c),(c,b)} \{(a,b),(b,a)\},\quad \{(a,c),(c,a)\},\quad \{(b,c),(c,b)\} の3組について「両方入れる」か「両方入れない」かを選ぶ。よって個数は 23⋅23=26=64. 2^3\cdot 2^3=2^6=64.

反射的かつ反対称的な関係では、対角成分3個はすべて含める必要がある。各非対角ペアについては、両方向を同時に入れることはできないので、 入れない,片方向だけ入れる,逆方向だけ入れる \text{入れない},\quad \text{片方向だけ入れる},\quad \text{逆方向だけ入れる} の3通りである。非対角ペアは3組あるから 33=27. 3^3=27.

AA から BB への全域的関数は、AA の3要素それぞれの行き先を BB の2要素から選ぶので 23=8. 2^3=8.

2A2^A から BB への全域的関数の定義域は8要素、値域候補は2要素である。全射でない関数は、全ての定義域要素を bb に送るもの、全てを cc に送るものの2つだけである。

問題2

R1R_1 は xR1y⟺x+2y が偶数 xR_1y \Longleftrightarrow x+2y \text{ が偶数} である。2y2y は常に偶数だから、これは xx が偶数であることと同値である。したがって 性質判定理由反射性×1R11 ではない対称性×2R11 だが 1R12 ではない反対称性×2R14, 4R12 だが 2≠4推移性∘xR1y, yR1z⇒x は偶数⇒xR1z \begin{array}{c|c|l} \text{性質} & \text{判定} & \text{理由}\\ \hline \text{反射性} & \times & 1R_1 1 \text{ ではない}\\ \text{対称性} & \times & 2R_1 1 \text{ だが }1R_1 2\text{ ではない}\\ \text{反対称性} & \times & 2R_1 4,\ 4R_1 2 \text{ だが }2\ne 4\\ \text{推移性} & \circ & xR_1y,\ yR_1z \Rightarrow x\text{ は偶数} \Rightarrow xR_1z \end{array}

R2R_2 は xR2y⟺xy=3n−1(n∈Z>0) xR_2y \Longleftrightarrow xy=3^{n-1}\quad (n\in\mathbb{Z}_{>0}) である。正の整数の積が3の冪になるには、x,yx,y がともに3の冪であることが必要十分である。これより 性質判定理由反射性×2R22 ではない対称性∘xy=3n−1⇒yx=3n−1反対称性×1R23, 3R21 だが 1≠3推移性∘xR2y, yR2z⇒x,z も3の冪⇒xR2z \begin{array}{c|c|l} \text{性質} & \text{判定} & \text{理由}\\ \hline \text{反射性} & \times & 2R_2 2 \text{ ではない}\\ \text{対称性} & \circ & xy=3^{n-1}\Rightarrow yx=3^{n-1}\\ \text{反対称性} & \times & 1R_2 3,\ 3R_2 1 \text{ だが }1\ne 3\\ \text{推移性} & \circ & xR_2y,\ yR_2z \Rightarrow x,z\text{ も3の冪} \Rightarrow xR_2z \end{array}

問題3

判定は (3-1)(3-2)(3-3)(3-4)(3-5)(3-6)(3-7)(3-8)判定××∘∘×∘∘∘ \begin{array}{c|cccccccc} & (3\text{-}1)&(3\text{-}2)&(3\text{-}3)&(3\text{-}4)&(3\text{-}5)&(3\text{-}6)&(3\text{-}7)&(3\text{-}8)\\ \hline \text{判定} & \times&\times&\circ&\circ&\times&\circ&\circ&\circ \end{array} である。

補足する。(3-1)は同じ語を左右にコピーする条件を含み、有限オートマトンでは一般に記憶できない。(3-2)は aa と bb の個数差を無制限に覚える必要があるので非正規である。(3-3)は aa の個数を17で割った余りだけ覚えればよい。(3-4)は全体の aa の個数が偶数であることと同値であり正規である。(3-5)は aa と bb を対応させる非正規な構造を生成する。(3-6)は b∗aab^*aa 型の言語なので正規である。(3-7)はNFAとDFAの同等性、(3-8)は正規言語の和集合に関する閉包性である。

最終答

問題1は 2A−2B={{a},{a,b},{a,c},{a,b,c}}2^A-2^B=\{\{a\},\{a,b\},\{a,c\},\{a,b,c\}\}、B×AB\times A は6組、個数は 64,27,8,264,27,8,2。問題2は R1:×,×,×,∘R_1:\times,\times,\times,\circ、R2:×,∘,×,∘R_2:\times,\circ,\times,\circ。問題3は ×,×,∘,∘,×,∘,∘,∘\times,\times,\circ,\circ,\times,\circ,\circ,\circ。

第2問 — プログラミング系科目群

継承まわりの見方

Sorter は共通のデータ保持、表示、交換処理を提供し、実際のソート方法だけをサブクラスに任せる構造である。この設計では、親クラス側の performSort を抽象メソッドにし、各サブクラスで具体的なソート手順を書くのが自然である。

中央値コード

中央値は最大でも最小でもない値である。条件式では x1≤x2≤x3またはx3≤x2≤x1 x_1\le x_2\le x_3 \quad\text{または}\quad x_3\le x_2\le x_1 なら x2x_2 が中央値、同様に x3x_3 が中央にある2通りを判定する。どちらでもなければ x1x_1 が中央値なので、初期値の pv=x1 をそのまま使える。

出力追跡のコツ

ASorter は右側から確定していく選択ソート型の動きである。内側ループで data[i] より小さい要素を見つけるたびに交換するため、各外側ループ終了時点で末尾側に小さい値が集まる。

BSorter はスタックで処理区間を持つ非再帰クイックソートである。表示は各区間の分割が終わった直後に行われるので、ピボット選択と左右の添字更新を1ステップずつ追う必要がある。空欄の直前までをすべて埋めようとせず、指定された回の配列だけを丁寧に追跡するとミスが減る。

プログラミング系科目群の途中式・最終答をPDFで見る

2025年度の出題内容

全2問

この2問の分野は情報1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—離散数学系科目群個数問題は自由度を数える / 関係の性質は同値変形から入るあり
第2問情報プログラミング系科目群継承まわりの見方 / 中央値コードあり

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