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九工大 情報工学府 専門科目(情報・通信工学) 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全3問)

全3問の分野は情報1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — システムソフトウェア

排他制御の要点

結果が変わる原因は、半分を計算する時点の値が実行順に依存するためである。ロックは同時更新を防ぐが、複数ロックの取得順序がそろっていないとデッドロックを作る。

答案の書き方

デッドロックの説明では「待つ」とだけ書かず、どのスレッドがどのロックを保持し、どのロックを待っているかを明示する。循環待ちが見える形にすると減点されにくい。

解答

問題1

選択肢の答は次の通りである。 小問(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)答CABCABBC \begin{array}{c|cccccccc} \text{小問} & (1)&(2)&(3)&(4)&(5)&(6)&(7)&(8)\\ \hline \text{答} & C&A&B&C&A&B&B&C \end{array}

  1. OSはCPUを物理的に増やすわけではない。プロセスやスレッドへCPU時間を割り当てて、多重化して見せる。
  2. プロセス生成の可否はOSが管理する。ユーザが使うコマンドであっても、内部ではシステムコールを通じて生成される。
  3. TLBヒット時はページ表参照を省ける。仮想ページから物理フレームへの変換が得られているので、変換のためのページフォルトは起きない。
  4. LRUは厳密実装が重いので、参照ビットなどを使って近似されることがある。
  5. 6000 rpmでは1回転が 60/6000=0.01060/6000=0.010 秒、すなわち10 msである。待ち時間そのものは0から10 msの範囲で変わるため、文脈なしに常に約5 msとする記述を不適切と判断する。平均待ち時間なら約5 msである。
  6. 入出力装置と主記憶の間の転送をCPUが逐一介在せず行う仕組みはDMAである。
  7. 相対パスはカレントディレクトリを基準に解釈されるが、パス文字列そのものにカレントディレクトリへの絶対経路が含まれるとは限らない。
  8. システムが必要なときに利用可能である性質は可用性である。

問題2

共有変数を a=24,b=60a=24,b=60 とする。スレッド1は aa の半分を bb に移し、スレッド2は bb の半分を aa に移す処理と考える。

待ちを含む実行例は次である。スレッド2が先に両方のロックを取り、スレッド1は途中で待つ。 t2:lock(b), lock(a),t1:lock(a) で待ち,t2:a←24+30=54,t2:b←60−30=30,t2が解放,t1:lock(a),lock(b),t1:b←30+27=57,t1:a←54−27=27. \begin{array}{l} t_2:\mathrm{lock}(b),\ \mathrm{lock}(a),\\ t_1:\mathrm{lock}(a)\ \text{で待ち},\\ t_2:a\leftarrow 24+30=54,\quad t_2:b\leftarrow 60-30=30,\quad t_2\text{が解放},\\ t_1:\mathrm{lock}(a),\mathrm{lock}(b),\quad t_1:b\leftarrow 30+27=57,\quad t_1:a\leftarrow 54-27=27. \end{array} 最終値は (a,b)=(27,57) (a,b)=(27,57) である。

待ちを含まない実行例として、スレッド2が完了してからスレッド1が動く場合も同じく (a,b)=(27,57) (a,b)=(27,57) となる。スレッド1が先に完了する場合は a=12, b=72 a=12,\ b=72 の後、スレッド2が bb の半分36を aa に移すので (a,b)=(48,36) (a,b)=(48,36) となる。

デッドロックの例は t1:lock(a) 成功,t2:lock(b) 成功,t1:lock(b) 待ち,t2:lock(a) 待ち \begin{array}{l} t_1:\mathrm{lock}(a)\ \text{成功},\\ t_2:\mathrm{lock}(b)\ \text{成功},\\ t_1:\mathrm{lock}(b)\ \text{待ち},\\ t_2:\mathrm{lock}(a)\ \text{待ち} \end{array} である。互いに相手が持つロックを待つため、どちらも先へ進めない。対策は、全スレッドでロック獲得順序を同じにすること、または a,ba,b をまとめて守る単一のミューテックスを用いることである。

最終答

問題1は C,A,B,C,A,B,B,CC,A,B,C,A,B,B,C。問題2は実行順により (a,b)=(27,57)(a,b)=(27,57) や (48,36)(48,36) が生じ、逆順ロックではデッドロックが起こる。

第2問 — 計算機ハードウェア

ハザードの考え方

一入力だけが変化する静的ハザードと異なり、この小問では複数入力が変化する。論理式の始点と終点だけを見るのではなく、入力の到着遅延により中間状態を通る可能性を調べる。

主項と必須主項

主項は、これ以上大きくまとめられない積項である。必須主項は、その主項でしか覆えない1セルを持つ主項である。EE では BˉDˉ\bar B\bar D が 00000000 や 10001000 を覆い、ACDˉAC\bar D が 11101110 を覆るため、どちらも必要である。

計算機ハードウェアの途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 情報通信ネットワーク

CIDRの見分け方

クラスフルでは先頭ビット列でネットワーク部の長さが決まる。CIDRではプレフィックス長やサブネットマスクで決まる。現在のネットワーク設計ではCIDRの考え方が基本である。

Go-back-Nと選択再送

Go-back-Nは実装が単純だが、欠落箇所以降の受信済み分も再送しやすい。選択再送は再送量を減らせるが、受信側が順序外データを管理する必要がある。このトレードオフまで書けると説明問題で強い。

情報通信ネットワークの途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(2年度)

  • 2026年度(全3問)

    システムソフトウェア / 計算機ハードウェア / 情報通信ネットワーク

  • 2025年度(このページ・全3問)

    システムソフトウェア / 計算機ハードウェア / 情報通信ネットワーク

2025年度の出題内容

全3問

この3問の分野は情報1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—システムソフトウェア排他制御の要点あり
第2問情報計算機ハードウェアハザードの考え方 / 主項と必須主項あり
第3問—情報通信ネットワークCIDRの見分け方 / Go-back-Nと選択再送あり

2025年度の解説には答案の書き方1件が付いています。

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