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千葉大数学の院試対策|A・Bの選択数、240分の使い方と解答例

千葉大数学・情報数理学の2026年度過去問はA0必答、Aから3問、Bから1問の計5問・240分。2027年度の英語3方式、2026年度A0の写像・A1のジョルダン標準形と可換行列の全小問の解答、2021〜2026年度107問の収録分野を説明します。

最終更新: 2026/10/16

千葉大学の融合理工学府16コース・公式過去問を見る

千葉大の数学・情報数理学コースでは、必答のA0に加え、基礎のA問題と専門のB問題を選びます。2026年度過去問はA0+Aから3問+Bから1問、合計5問で240分です。情報科学コースとは試験が別です。

A0は必答、Aは3問、Bは1問

2026年度公式問題の表紙には、A0が1問、Aが5問、Bが12問あり、計5問を解答するよう指定されています。A0を選択肢に含めたり、Aの代わりにBを多く解いたりすることはできません。各解答用紙には1問だけを書きます。

区分2026年度過去問の指定準備の重点
A0全員必答の1問写像・集合の定義から、包含や反例を自力で示す。
A1〜A55問中3問。4問以上の解答は不可線形代数、微積分、位相、確率統計、情報数理の中で3分野以上を練習する。
B1〜B1212問中1問。2問以上の解答は不可履修した専門分野を軸に、別分野も候補にする。

2027年4月入学の一般選抜要項では、専門は2026年8月6日12〜16時、英語100点・専門500点・口頭200点の計800点です。口頭試問は8月7日13時から、同日正午に掲示される第1次選抜合格者が対象でした。これらは実施済みの日程です。過去問の選択数を、未確認の次年度にそのまま適用しないでください。

英語は筆記・外部スコア・両方から選ぶ

2027年4月・2026年10月入学の一般選抜では、出願時に次のいずれかを選びます。

  1. 60分の独自英語筆記だけを受ける。
  2. TOEIC L&RまたはTOEFLの有効なスコアだけで評価を受け、筆記を免除される。
  3. 筆記と外部スコアの両方を用い、換算後に高い方の点数を使う。

3を選んで筆記を欠席すると失格です。有効な受験期間は2024年6月〜2026年5月末。認定証の形式、TOEFLの送付方法、出願前の教員の了承は千葉大の出願・英語条件にまとめています。

2026年度A0:合成写像と反復像の証明

公式問題の本文1ページ、A0を開いて読む解説です。写像の列を X→Y→Z→X、その写像を順に f、g、h とします。合成の順序と、単射を使う箇所を追ってください。

c=h∘g∘f,d=f∘h∘g,e=g∘f∘h.\begin{aligned}c&=h\circ g\circ f,\\d&=f\circ h\circ g,\\e&=g\circ f\circ h.\end{aligned}

(1)恒等写像になる合成の両端を見る

cがXの恒等写像なら、f(x₁)=f(x₂)の両辺にh∘gを作用させてx₁=x₂を得ます。これがfの単射性です。一方、任意のx∈Xはx=h(g(f(x)))と表せるため、hによる原像g(f(x))が存在します。したがってhは全射です。

(2)三つの合成が恒等写像になる場合

dがYの恒等写像ならgは単射、fは全射です。eがZの恒等写像ならhは単射、gは全射です。(1)と合わせると、f・g・hはそれぞれ単射かつ全射になります。

(3)途中のgが単射でも全射でもない例

X={0},Y={a,b},Z={u,v}X=\{0\},\quad Y=\{a,b\},\quad Z=\{u,v\}
f(0)=a,g(a)=g(b)=u,h(u)=h(v)=0.\begin{gathered}f(0)=a,\quad g(a)=g(b)=u,\\h(u)=h(v)=0.\end{gathered}

このときh(g(f(0)))=0なのでcは恒等写像です。しかしgはaとbを同じuへ写すため単射でなく、vを像に持たないため全射でもありません。合成が恒等写像になるという条件だけで、途中の写像を全単射と判断できないことが分かります。

(4)反復像の共通部分を写す

I=⋂n≥1cn(X),J=⋂n≥1dn(Y)I=\bigcap_{n\ge1}c^n(X),\qquad J=\bigcap_{n\ge1}d^n(Y)

合成の定義からf∘c=d∘fです。これを繰り返すと、すべての正整数nについて次が成り立ちます。

f(cn(X))=dn(f(X))⊂dn(Y)f(c^n(X))=d^n(f(X))\subset d^n(Y)

x∈Iならxはすべてのcⁿ(X)に入るので、f(x)はすべてのdⁿ(Y)に入ります。よってf(x)∈J、すなわちf(I)⊆Jです。

(5)fが単射なら逆向きの包含も成り立つ

y∈Jを取ります。J⊆d(Y)⊆f(X)なのでy=f(x)となるx∈Xが存在します。また、すべてのn≥1について、

dn+1(Y)=f(cn(h(g(Y))))⊂f(cn(X))d^{n+1}(Y)=f(c^n(h(g(Y))))\subset f(c^n(X))

です。yは左辺に入るため、あるzₙ∈cⁿ(X)でf(zₙ)=y=f(x)となります。ここでfの単射性からzₙ=xです。同じxがすべてのcⁿ(X)に入ると分かるのでx∈I、y∈f(I)が従います。(4)と合わせてf(I)=Jです。

最後の単射性を省くと、nごとに異なる原像を選んだだけになり、共通部分に入る一つの原像の存在を示せません。「どの条件をどこで使ったか」を答案に残す練習に適した問題です。

2026年度A1:ジョルダン標準形と可換行列の証明

公式問題の本文1ページ、A1の5小問を解説します。(1)〜(3)では、行列Aの標準形から可換行列の空間の次元を求めます。(4)(5)では、行列に対する因数分解の条件を調べます。

A=(−523−402−1046),TX={B∈M3(R):BX=XB}.\begin{gathered} A=\begin{pmatrix}-5&2&3\\-4&0&2\\-10&4&6\end{pmatrix},\\ T_X=\{B\in M_3(\mathbb R):BX=XB\}. \end{gathered}

(1)固有値0に対応する長さ2の鎖を作る

特性多項式はλ²(λ−1)です。Aの階数は2なので、固有値0の固有空間は1次元です。0の代数的重複度は2でも独立な固有ベクトルを2本取れないため、大きさ2のジョルダン細胞を使います。

v1=(4−28),v2=(131),v3=(102)v_1=\begin{pmatrix}4\\-2\\8\end{pmatrix},\quad v_2=\begin{pmatrix}1\\3\\1\end{pmatrix},\quad v_3=\begin{pmatrix}1\\0\\2\end{pmatrix}

直接掛けるとAv₁=0、Av₂=v₁、Av₃=v₃です。P=(v₁ v₂ v₃)の行列式は2なので、この3本は基底になります。AP=PJを列ごとに確かめれば、次の標準形を得ます。

P−1AP=J=(010000001)P^{-1}AP=J=\begin{pmatrix}0&1&0\\0&0&0\\0&0&1\end{pmatrix}

(2)BJ=JBを成分で解く

B=(bᵢⱼ)と置きます。積BJとJBの対応する成分を等しくすると、b₂₁=b₂₃=b₃₁=b₃₂=b₁₃=0、b₂₂=b₁₁となります。自由に選べる成分はb₁₁、b₁₂、b₃₃の三つです。

TJ={(ab00a000c):a,b,c∈R}T_J=\left\{\begin{pmatrix}a&b&0\\0&a&0\\0&0&c\end{pmatrix}:a,b,c\in\mathbb R\right\}

(3)相似変換でTAの次元を求める

A=PJP⁻¹なので、BがJと可換であることと、PBP⁻¹がAと可換であることは同値です。写像B↦PBP⁻¹は線形で、逆写像D↦P⁻¹DPを持ちます。したがってTJとTAは同型です。

dim⁡TA=dim⁡TJ=3\dim T_A=\dim T_J=3

標準形が同じだから次元も同じ、と省略するより、可換行列を対応させるこの線形同型を書くと理由が明確になります。

(4)TₓがΣₓに属することを示す

以下ではXを任意の3次実行列とし、Iを単位行列とします。因数分解の両辺の差をF(B)と置くと、問題の集合Sₓは次のように書けます。

F(B)=(B+X)(B2−BX+X2)−B3−X3,SX={B∈M3(R):F(B)=0}.\begin{aligned} F(B)={}&(B+X)(B^2-BX+X^2)\\ &-B^3-X^3,\\ S_X={}&\{B\in M_3(\mathbb R):F(B)=0\}. \end{aligned}

Σₓは、I∈V⊆Sₓを満たすM₃(ℝ)の線形部分空間Vすべての集まりです。

Tₓには零行列が入り、B,D∈Tₓと実数α,βに対して、(αB+βD)X=X(αB+βD)です。よってTₓは線形部分空間です。またIX=XIなのでI∈Tₓです。

(B+X)(B2−BX+X2)=B3+X3−B2X+XB2+BX2−XBX.\begin{aligned} & (B+X)(B^2-BX+X^2)\\ &\quad=B^3+X^3-B^2X+XB^2\\ &\qquad\quad+BX^2-XBX. \end{aligned}

BX=XBならXB²=B²X、XBX=BX²となり、残りの項が打ち消し合います。したがってTₓ⊆Sₓであり、Tₓ∈Σₓです。行列の積は一般に可換ではないため、実数の因数分解を無条件には使えません。

(5)BとB+Iの式の差から可換性を得る

任意のV∈ΣₓとB∈Vを取ります。I∈VでVは線形部分空間なのでB+I∈Vです。両方がSₓに属することを使います。C=BX−XBと置くと、(4)で定義したF(B)は、

F(B)=XB2−B2X+BX2−XBX=CX−BC−CB.\begin{aligned} F(B)&=XB^2-B^2X+BX^2-XBX\\ &=CX-BC-CB. \end{aligned}

BをB+Iに替えても、(B+I)X−X(B+I)=Cです。したがって、

F(B+I)=CX−(B+I)C−C(B+I)=F(B)−2C.\begin{aligned} F(B+I)&=CX-(B+I)C-C(B+I)\\ &=F(B)-2C. \end{aligned}

F(B)=F(B+I)=0より2C=0、すなわちBX=XBです。Bは任意だったのでV⊆Tₓが従います。(4)でTₓ自身がΣₓに属すると分かっているため、TₓはΣₓのすべての要素を含む最大の線形部分空間です。

ここで使ったのは、Sₓが線形部分空間だという仮定ではありません。Sₓの中から選んだVが線形部分空間で、しかもIを含むという条件です。この条件によってBとB+Iを比較できます。

240分の演習で選択を確定する

Aは3問必要なので、情報系のA5だけを得意にしても必要な解答数には届きません。まずA0と、履修済みのAの3分野を練習します。Bは実際に1問を選ぶ試験です。受験前に複数候補を用意することと、本番で複数問を提出することを区別してください。

2026年度を使うなら、読む時間15分、A0に30分、Aの3問に各40分、Bに55分、見直し20分で計240分、という配分から試せます。これは演習用の配分例です。解けなかった箇所を記録し、証明に時間がかかった分野へ配分を調整します。

情報系を選ぶ場合も、プログラムの出力だけでなく、仕様を満たす理由と停止条件を説明します。代数なら準同型の核と像、幾何なら空間・写像・境界、解析なら極限操作の仮定を確認します。定理の名前だけを書いて証明を終えないようにしてください。

2021〜2026年度の解答・解説107問の収録分野

院試hubの解答・解説集は、2025年度17問、他の5年度は各18問で計107問です。下表は収録問題の分野です。2026年度は2025年8月に実施された試験であり、2026年8月実施の2027年度試験とは異なります。

入学年度A0・A問題B問題
2026写像の合成・安定像、Jordan標準形、導関数の中間値性、商位相、幾何分布、組合せ生成一次分数変換、商環、微分形式、ホモロジー、Fresnel積分、常微分方程式、L²、大偏差、最小二乗、Bell基底、文脈自由言語、OCaml
2025像と逆像、多項式空間の線形写像、逆写像定理、距離、正規分布、二次元累積和自己同型、有限体、微分形式、単体複体、留数、常微分方程式、ℓ¹、可測性、ハミング符号、互除法、OCaml
2024写像の個数、行列式、未定乗数法、連続写像、二項分布、擬似コード完全列、イデアル、コホモロジー、商位相、留数、常微分方程式、関数空間、中心極限定理、回帰、平方剰余、オートマトン、関数型言語
2023整数集合、Cayley–Hamilton、一様連続性、距離とHausdorff性、複合Poisson分布、循環バッファ内部自己同型、環準同型、多様体、貼り合わせ、複素解析、Liouville公式、測度、大数の法則、回帰、原始根、正則言語、関数型言語
2022像と逆像、Gram行列、級数、位相、順序統計量、順列生成置換群、冪零イデアル、曲率、絡み目補空間、複素積分、相図、数列空間、Wald等式、Fisher情報、有限体、NFA、Scheme
2021全射、双対写像、Maclaurin展開、部分位相、Poisson分布、最長共通部分列剰余群、可換環、微分形式、鎖ホモトピー、複素解析、Floquet理論、Volterra作用素、正規分布、最尤推定、一方向性関数、初等関数、Scheme

問題は大学公式の過去問ページから入手できます。専門・英語の解答例は非公開と明記されています。1998〜2026年度の公式問題一覧から、年度を選んで開けます。

6年度分の解答・解説の収録内容と見本で、他の問題の説明も確認できます。出願手順は千葉大大学院の外部受験ガイドを参照してください。

途中式と最終答まで読める解説

問題本文は含みません。公式の問題冊子と併用してください。

専門科目(A0・A問題・B問題)の収録解説の分野(2021〜2026年度・107項目)

院試hubの収録解説6実施回・107項目の見出しを分野別に数えたものです。設問を分割した項目や、公開資料の制約を説明する項目を含むため、公式問題の大問数や完成答案数とは一致しません。が48項目(全体の45%)で最多。・微分積分・解析・位相・幾何・線形代数は6実施回すべてに出ています。

分野項目数全項目に占める割合直近の連続出題最後に出た回
4845%6回連続2026年度
微分積分・解析1918%6回連続2026年度
位相・幾何1514%6回連続2026年度
線形代数98%6回連続2026年度
代数77%—2025年度
情報33%—2025年度
微分方程式33%—2025年度
数学22%—2024年度

このほか1項目だけ収録した分野は 確率・統計 です。

収録年度と解説項目数

院試hubに収録した6実施回の一覧です。1回あたりの解説見出しは17〜18項目です。2026年度以降の収録分は18項目です。

頻出論点と、同じ論点を出す他大学

院試hubが解答した大問の論点を、他大学の出題と突き合わせたものです。併願先を 探すときの重なりの実数として使えます。

論点この専攻での出題出題年度同じ論点を出す他大学全国の出題大学
群論・環論7問2026・2025・2023・2022・2021神戸大学・九州工業大学・名古屋大学・東京科学大学・早稲田大学13大学
固有値・固有ベクトル6問2026・2025・2024・2022・2021神戸大学・京都大学・東京大学・大阪大学・名古屋大学25大学
線形空間・基底5問2026・2025・2024・2023・2021神戸大学・名古屋大学・東京大学・京都大学・北海道大学21大学
留数定理4問2025・2024・2023・2021東京大学・北海道大学・名古屋大学・筑波大学・大阪公立大学18大学
特性関数4問2024・2023・2021東京大学・東京科学大学・早稲田大学・北海道大学・広島大学6大学
重積分と極座標3問2026・2022・2021神戸大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・電気通信大学23大学
最尤推定3問2024・2022・2021京都大学・東京大学・東京科学大学・大阪公立大学・静岡大学8大学
一様収束2問2023・2022名古屋大学・京都大学・東京科学大学・東京大学・大阪公立大学14大学
テイラー展開2問2021京都大学・北海道大学・九州工業大学・東京大学・東北大学18大学
中心極限定理2問2024・2021東京科学大学・東京大学・大阪大学・北海道大学5大学

千葉大 公式の過去問の公開年度と公式解答例

公開されている年度
2025年10月入学/2026年4月入学
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
2027年4月一般は60分の筆記・外部スコア・両方の高得点から出願時に選択。両方を選び筆記欠席は失格。理学系でHome Edition可。
院試hubが最後にリンクを確認した日
2026-10-16
ページの内容
公式ページで数学・情報数理学コースの専門科目・英語の試験問題PDFと出題意図PDFを公開(解答例については公表を差し控えると明記、口頭試問は出題意図のみ)。掲載分より前の専門科目の試験問題はコースのウェブサイトに掲載と案内。販売PDFには問題本文を転載しない。

よくある質問

千葉大数学の院試は何問選択ですか。

2026年度の公式問題冊子ではA0が必答、A1〜A5から3問、B1〜B12から1問で、計5問を240分で解きます。Aを4問以上、Bを2問以上解答することは認められません。2027年度募集要項でも専門は240分ですが、選択数は各年度の問題冊子の指示に従います。

数学・情報数理学コースの英語はTOEICだけで受験できますか。

2027年4月・2026年10月入学の一般選抜では、英語筆記のみ、外部スコアのみ、両方のうち高得点、の3方式から出願時に選びます。両方を選んで筆記を欠席すると失格です。外部スコアの受験有効期間は2024年6月から2026年5月末までです。

千葉大数学の過去問には公式解答がありますか。

2026年10月16日確認の公式コースページでは、2025年10月・2026年4月入学の専門と英語について問題と出題意図を公開し、解答例は公表を差し控えるとしています。この記事には2026年度A0の写像とA1のジョルダン標準形・可換行列の証明を掲載し、院試hubの解答・解説集は2021〜2026年度107問を収録しています。

公式過去問と併用する解答・解説PDFを、千葉大学の研究科・科目別に掲載しています。収録年度と価格は各ページで確認できます。

千葉大学の解答PDF一覧で、千葉大学の研究科・専攻・科目をまとめて確認できます。

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