北海道大学 院試 過去問 解答例
北大 工学院 機械・宇宙航空工学系研究室群 専門科目 2025年度 院試 解答例・解説
北海道大学 工学院 機械・宇宙航空工学系研究室群 専門科目 2025年度の院試 過去問について、設問ごとの解法方針・部分点の置き所を解説。全8問収録の解答・解説PDFと併用できます。問題本文は含みません。
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設問ごとの解法方針・部分点の置き所を無料で公開しています。
完全な途中式・最終答は解答・解説PDFに収録しています。問題本文は含まれません。
第1問 — 材料力学 問1
方針
ねじり問題では,まず「切断面より片側にある外力モーメントの和」を内ねじりモーメントにする。今回のように分布ねじりモーメントが途中までしか作用しない場合,区間を分けることが最重要である。
ねじれ角の積分
微小区間のねじれ角は である。 が荷重区間で三角形,不荷重区間で一定になるため,右端ねじれ角は三角形面積と長方形面積の和としても検算できる。
両端固定の反モーメント
両端固定では,力のつり合いだけでは左右反モーメントを決められない。追加条件は「右端と左端の相対ねじれ角が 0」である。答案では を明記すると,静定問題との違いがはっきりする。
典型ミス
で としてしまう誤りが多い。 は右端から測っているので,切断面より右側に残る分布モーメントの長さは である。座標の取り方を図に戻して確認すること。
第2問 — 材料力学 問2
方針
この設問は,門型ラーメンを「水平はり」と「左右の片持ちはり」に分け,角部での力・モーメント・たわみ角の整合を使う近似解析である。軸変形は無視するので,脚部上端の水平変位は 0 として扱う。
角部条件
柱の上端に水平力 と端モーメント が作用すると,水平変位とたわみ角は片持ちはり公式で表せる。水平変位を 0 とおくことで と の関係が出る。さらに,剛節角部では水平スパンと脚部のたわみ角が等しいため,もう一つの式が得られる。
検算
は全体の鉛直つり合いからただちに でなければならない。 は の次元, は の次元,たわみは の次元であり,最終式はすべて次元的に整合している。
典型ミス
水平内力 を 0 としてしまうと,柱上端の水平変位条件を満たせない。左右対称だから水平反力が消えるのではなく,左右で向きが反対の内力として現れる,と考える。
第3問 — 機械力学・制御工学 問1
方針
前半は「負の質量」を用いた合成重心・合成慣性モーメントで処理する。後半は円板中心の並進運動と中心まわりの回転運動を分け,最後に純転がり条件を使う。
有孔板の検算
円孔が上側にあるため,重心は下側へ移動する。したがって は負である。 とおけば となり,中心孔をもつ正方形板の式に戻る。
転がり条件
内側転がりでは,中心の公転角 と円板の自転角が同じではない。問題で与えられた を使うと,接触点でのすべりなし条件が回転方程式に反映される。
典型ミス
円板の慣性モーメントに を使う誤りが多い。一様円板なので である。また,重心まわりの慣性モーメントでは,最後に平行軸の項 を引く必要がある。
第4問 — 機械力学・制御工学 問2
方針
前半は周波数応答と Routh 判別,後半は標準 2 次系の状態空間表現である。原点極を見落とすと安定性の判定を誤る。
位相交差の見つけ方
は原点極で を持つ。二次因子がさらに の偏角を持つと,全体の位相が になる。したがって実部 を使えばよい。
状態フィードバック
は入力に正符号で加わる設定である。そのため特性方程式は ではなく になる。符号規約を問題の式に合わせることが採点上重要である。
検算
ステップ定常値は DC ゲインで確認できる。 なので,大きさ のステップの定常値は である。 を得るには となり,時間応答を解かずに確認できる。
第5問 — 流体力学 問1
方針
この問題は,容器全体・ノズル単体・流体検査体積の三つを分けて力のつり合いを立てる。速度と圧力は連続式と Bernoulli 式で先に決めておくと,運動量式の整理が短くなる。
運動量流束の向き
流体は右向きに噴出するため,流体は右向き運動量を持ち出す。したがって容器・ノズル側は反作用として左向きの拘束力を必要とする。この向きの判断を先にしておくと,符号の検算になる。
圧力項の扱い
出口圧力は大気圧であり,ノズル外壁にも大気圧が作用する。大気圧を絶対圧で扱う場合は,内外の投影面積を丁寧に差し引く必要がある。ゲージ圧で扱えば同じ結果に到達する。
典型ミス
としてしまう誤りが多い。収縮ノズルなので断面積が変化し,連続式から である。また,力のつり合いだけでなく,流体の運動量変化を含めること。
第6問 — 流体力学 問2
方針
二次元ポアズイユ流れを解き,その流量を液面降下の体積保存式に接続する。速度分布は放物線,流量は圧力勾配に比例する。
せん断応力の検算
は に対して直線で,流路中央で 0 になる。上下壁で符号が反対になるのは,壁が流体を減速する向きにせん断力を及ぼすためである。
液面降下
流量が に比例するため,液面高さは指数関数的に減少する。したがって粘性係数の推定式には ではなく が現れる。
典型ミス
圧力勾配を としてしまうと次元が合わない。正しくは流路長さ で割って である。
第7問 — 熱力学 問1
方針
符号規約を最初に固定する。ここでは「系に入る熱」を正,「系が外部へする仕事」を正にしている。この規約では第一法則は である。
有効仕事
は周囲を押しのけるために必ず消費される仕事である。軸仕事や電気仕事のように外部で取り出せる仕事を考えるときは,この押しのけ仕事を差し引く。
エクセルギーとの関係
可逆過程で有効仕事が最大になる。実際の不可逆過程ではエントロピー生成により有効仕事が失われ,その損失は周囲温度を掛けた形で評価される。
典型ミス
は可逆過程でのみ成り立つ。不可逆過程では一般に であり,この区別を答案に書くと安全である。
第8問 — 熱力学 問2
方針
タービンは可逆断熱なので比エントロピー一定で状態を追う。湿り蒸気域では乾き度を用いてエンタルピーを補間し,過熱蒸気表にない値は直線補間する。
ランキンサイクルの熱効率
ポンプ仕事を無視するので,正味仕事はタービン仕事である。吸熱量はボイラでの ,再熱サイクルではこれに再熱器の吸熱量 が加わる。
検算
再熱により低圧タービン入口のエントロピーが大きくなるため,低圧タービン出口の乾き度は単純ランキンの より大きい になる。これは再熱の目的と一致している。
典型ミス
再熱サイクルの分母に を入れ忘れると,効率を過大評価する。再熱で仕事は増えるが,同時に熱も追加投入している点を必ず反映する。