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北海道大学 院試 過去問 解答例

北大 工学院 機械・宇宙航空工学系研究室群 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全8問)

全8問。力学6問・熱・統計力学2問。テーマタグは4件(伝達関数・剛体の回転運動・はりの曲げ)。2024年度と共通のテーマは伝達関数・剛体の回転運動・はりの曲げ。

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収録2年度分の解答PDF:北海道大学 工学院 機械・宇宙航空工学系研究室群 専門科目(¥2,180・紙面見本あり)

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解説8問と大問1問の途中式・最終答(全8問)
解答PDFに収録
途中式と最終答(最終答つき8問)
問題本文
非収録

北大 専門科目 2025年度 院試 過去問の出題内容(全8問)

この8問の分野は力学6問・熱・統計力学2問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学材料力学 問1ねじれ角の積分 / 両端固定の反モーメントあり
第2問力学材料力学 問2角部条件あり
第3問力学機械力学・制御工学 問1有孔板の検算 / 転がり条件あり
第4問力学機械力学・制御工学 問2位相交差の見つけ方 / 状態フィードバックあり
第5問力学流体力学 問1運動量流束の向き / 圧力項の扱いあり
第6問力学流体力学 問2せん断応力の検算 / 液面降下あり
第7問熱・統計力学熱力学 問1有効仕事 / エクセルギーとの関係あり
第8問熱・統計力学熱力学 問2ランキンサイクルの熱効率あり

この年度の解説には典型ミス7件・検算3件が付いています。

2025年度の出題テーマと、同じテーマを出した他大学・他年度

この年度は4問に4テーマが出ています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 8問 → 2025年度 8問
両年度に出たテーマ
伝達関数・剛体の回転運動・はりの曲げ
2025年度で新しく出たテーマ
熱力学第一・第二法則
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第1問 — 材料力学 問1

方針

ねじり問題では,まず「切断面より片側にある外力モーメントの和」を内ねじりモーメントにする。今回のように分布ねじりモーメントが途中までしか作用しない場合,区間を分けることが最重要である。

ねじれ角の積分

微小区間のねじれ角は dϕ=T(x)GIp dx d\phi=\frac{T(x)}{G I_p}\,dx である。T(x)T(x) が荷重区間で三角形,不荷重区間で一定になるため,右端ねじれ角は三角形面積と長方形面積の和としても検算できる。

両端固定の反モーメント

両端固定では,力のつり合いだけでは左右反モーメントを決められない。追加条件は「右端と左端の相対ねじれ角が 0」である。答案では ∫0LT(x)GIp dx=0 \int_0^L \frac{T(x)}{G I_p}\,dx=0 を明記すると,静定問題との違いがはっきりする。

典型ミス

0≤x≤2L/30\le x\le 2L/3 で T1=τ(2L/3−x)T_1=\tau(2L/3-x) としてしまう誤りが多い。xx は右端から測っているので,切断面より右側に残る分布モーメントの長さは xx である。座標の取り方を図に戻して確認すること。

解答

分布ねじりモーメントの大きさを単位長さあたり τ\tau とし,右端から左向きに xx をとる。直径 dd の丸軸の断面二次極モーメントは Ip=∫Ar2 dA=∫02π∫0d/2r2r dr dθ=πd432. I_p=\int_A r^2\,dA =\int_0^{2\pi}\int_0^{d/2} r^2 r\,dr\,d\theta =\frac{\pi d^4}{32}.

右端側の荷重区間を a=2L/3a=2L/3 とおく。右端から距離 xx の断面に作用する内ねじりモーメントは,その断面より右側にある分布モーメントの合力で決まるから T1(x)=τx(0≤x≤a), T_1(x)=\tau x \qquad (0\le x\le a), T2(x)=τa=2τL3(a<x≤L). T_2(x)=\tau a=\frac{2\tau L}{3} \qquad (a<x\le L). 微小長さ dxdx のねじれ角は,ねじりの基礎式 dϕ=T dx/(GIp)d\phi=T\,dx/(GI_p) より dϕ=T1(x)GIp dx=τxGIp dx(0≤x≤a). d\phi=\frac{T_1(x)}{G I_p}\,dx =\frac{\tau x}{G I_p}\,dx \qquad (0\le x\le a). したがって,左端固定・右端自由の場合の右端ねじれ角の大きさは ϕ=∫0aτxGIp dx+∫aLτaGIp dx=4τL29GIp. \phi =\int_0^a \frac{\tau x}{G I_p}\,dx +\int_a^L \frac{\tau a}{G I_p}\,dx =\frac{4\tau L^2}{9G I_p}.

両端固定の場合,右端反モーメントを分布モーメントと逆向きを正に TRT_R とする。内ねじりモーメントは T(x)={TR−τx,0≤x≤a,TR−τa,a<x≤L. T(x)= \begin{cases} T_R-\tau x, & 0\le x\le a,\\ T_R-\tau a, & a<x\le L. \end{cases} 両端固定なので全ねじれ角が 0 であり, ∫0LT(x) dx=0. \int_0^L T(x)\,dx=0. よって TRL−τ(a22+a(L−a))=0. T_RL-\tau\left(\frac{a^2}{2}+a(L-a)\right)=0. a=2L/3a=2L/3 を代入して TR=4τL9. T_R=\frac{4\tau L}{9}. 全体のモーメントのつり合いから TL+TR=τa=2τL3 T_L+T_R=\tau a=\frac{2\tau L}{3} であるため, TL=2τL9. T_L=\frac{2\tau L}{9}.

最終答

% Ip=πd432,T1(x)=τx,dϕ=τxGIp dx, I_p=\frac{\pi d^4}{32},\qquad T_1(x)=\tau x,\qquad d\phi=\frac{\tau x}{G I_p}\,dx, T2(x)=2τL3,ϕ=4τL29GIp, T_2(x)=\frac{2\tau L}{3},\qquad \phi=\frac{4\tau L^2}{9G I_p}, TL=2τL9,TR=4τL9. T_L=\frac{2\tau L}{9},\qquad T_R=\frac{4\tau L}{9}.

第2問 — 材料力学 問2

方針

この設問は,門型ラーメンを「水平はり」と「左右の片持ちはり」に分け,角部での力・モーメント・たわみ角の整合を使う近似解析である。軸変形は無視するので,脚部上端の水平変位は 0 として扱う。

角部条件

柱の上端に水平力 NN と端モーメント MM が作用すると,水平変位とたわみ角は片持ちはり公式で表せる。水平変位を 0 とおくことで NN と MM の関係が出る。さらに,剛節角部では水平スパンと脚部のたわみ角が等しいため,もう一つの式が得られる。

検算

RR は全体の鉛直つり合いからただちに W/2W/2 でなければならない。MM は WLWL の次元,NN は WW の次元,たわみは WL3/EIWL^3/EI の次元であり,最終式はすべて次元的に整合している。

典型ミス

水平内力 NN を 0 としてしまうと,柱上端の水平変位条件を満たせない。左右対称だから水平反力が消えるのではなく,左右で向きが反対の内力として現れる,と考える。

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第3問 — 機械力学・制御工学 問1

方針

前半は「負の質量」を用いた合成重心・合成慣性モーメントで処理する。後半は円板中心の並進運動と中心まわりの回転運動を分け,最後に純転がり条件を使う。

有孔板の検算

円孔が上側にあるため,重心は下側へ移動する。したがって yGy_G は負である。e=0e=0 とおけば yG=0y_G=0 となり,中心孔をもつ正方形板の式に戻る。

転がり条件

内側転がりでは,中心の公転角 θ\theta と円板の自転角が同じではない。問題で与えられた ϕ=aθ/b\phi=a\theta/b を使うと,接触点でのすべりなし条件が回転方程式に反映される。

典型ミス

円板の慣性モーメントに Mb2Mb^2 を使う誤りが多い。一様円板なので IO′=Mb2/2I_{O'}=Mb^2/2 である。また,重心まわりの慣性モーメントでは,最後に平行軸の項 mOG2mOG^2 を引く必要がある。

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第4問 — 機械力学・制御工学 問2

方針

前半は周波数応答と Routh 判別,後半は標準 2 次系の状態空間表現である。原点極を見落とすと安定性の判定を誤る。

位相交差の見つけ方

G(jω)G(j\omega) は原点極で −90∘-90^\circ を持つ。二次因子がさらに +90∘+90^\circ の偏角を持つと,全体の位相が −180∘-180^\circ になる。したがって実部 8−ω2=08-\omega^2=0 を使えばよい。

状態フィードバック

u=[f1 f2]xu=[f_1\ f_2]x は入力に正符号で加わる設定である。そのため特性方程式は 5+f15+f_1 ではなく 5−f15-f_1 になる。符号規約を問題の式に合わせることが採点上重要である。

検算

ステップ定常値は DC ゲインで確認できる。G(0)=1/5G(0)=1/5 なので,大きさ AA のステップの定常値は A/5A/5 である。0.10.1 を得るには A=0.5A=0.5 となり,時間応答を解かずに確認できる。

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第5問 — 流体力学 問1

方針

この問題は,容器全体・ノズル単体・流体検査体積の三つを分けて力のつり合いを立てる。速度と圧力は連続式と Bernoulli 式で先に決めておくと,運動量式の整理が短くなる。

運動量流束の向き

流体は右向きに噴出するため,流体は右向き運動量を持ち出す。したがって容器・ノズル側は反作用として左向きの拘束力を必要とする。この向きの判断を先にしておくと,符号の検算になる。

圧力項の扱い

出口圧力は大気圧であり,ノズル外壁にも大気圧が作用する。大気圧を絶対圧で扱う場合は,内外の投影面積を丁寧に差し引く必要がある。ゲージ圧で扱えば同じ結果に到達する。

典型ミス

v1=Vv_1=V としてしまう誤りが多い。収縮ノズルなので断面積が変化し,連続式から v1=(d2/d1)2Vv_1=(d_2/d_1)^2V である。また,力のつり合いだけでなく,流体の運動量変化を含めること。

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第6問 — 流体力学 問2

方針

二次元ポアズイユ流れを解き,その流量を液面降下の体積保存式に接続する。速度分布は放物線,流量は圧力勾配に比例する。

せん断応力の検算

τxy\tau_{xy} は yy に対して直線で,流路中央で 0 になる。上下壁で符号が反対になるのは,壁が流体を減速する向きにせん断力を及ぼすためである。

液面降下

流量が HH に比例するため,液面高さは指数関数的に減少する。したがって粘性係数の推定式には H0−H1H_0-H_1 ではなく ln⁡(H0/H1)\ln(H_0/H_1) が現れる。

典型ミス

圧力勾配を ρgH\rho gH としてしまうと次元が合わない。正しくは流路長さ ℓ\ell で割って −dpdx=ρgH/ℓ -\frac{dp}{dx}=\rho gH/\ell である。

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第7問 — 熱力学 問1

方針

符号規約を最初に固定する。ここでは「系に入る熱」を正,「系が外部へする仕事」を正にしている。この規約では第一法則は dU=δQ−δLdU=\delta Q-\delta L である。

有効仕事

p0dVp_0dV は周囲を押しのけるために必ず消費される仕事である。軸仕事や電気仕事のように外部で取り出せる仕事を考えるときは,この押しのけ仕事を差し引く。

エクセルギーとの関係

可逆過程で有効仕事が最大になる。実際の不可逆過程ではエントロピー生成により有効仕事が失われ,その損失は周囲温度を掛けた形で評価される。

典型ミス

δQ=TdS\delta Q=TdS は可逆過程でのみ成り立つ。不可逆過程では一般に δQ<TdS\delta Q<TdS であり,この区別を答案に書くと安全である。

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第8問 — 熱力学 問2

方針

タービンは可逆断熱なので比エントロピー一定で状態を追う。湿り蒸気域では乾き度を用いてエンタルピーを補間し,過熱蒸気表にない値は直線補間する。

ランキンサイクルの熱効率

ポンプ仕事を無視するので,正味仕事はタービン仕事である。吸熱量はボイラでの h3−h1h_3-h_1,再熱サイクルではこれに再熱器の吸熱量 hreh_\mathrm{re} が加わる。

検算

再熱により低圧タービン入口のエントロピーが大きくなるため,低圧タービン出口の乾き度は単純ランキンの 0.8040.804 より大きい 0.8810.881 になる。これは再熱の目的と一致している。

典型ミス

再熱サイクルの分母に hreh_\mathrm{re} を入れ忘れると,効率を過大評価する。再熱で仕事は増えるが,同時に熱も追加投入している点を必ず反映する。

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北大 専門科目 院試 過去問の収録2年度

  • 2025年度(このページ・全8問)

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