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院試 電磁気学の出題傾向と頻出パターン

院試 電磁気学の出題傾向。マクスウェル方程式・静電場・静磁場・電磁波・境界値問題の頻出パターンと、物理系・電気系研究科ごとの試験範囲、答案で失点しやすい論点を整理します。

出題大学
16大学
収録した設問
134問
収録年度
2012〜2026年度
2024〜2026年度
74問
試験科目
39科目
頻出テーマ
3テーマ

電磁気学 院試の出題傾向 — 頻出テーマ × 年度(2012〜2026年度)

最も多いのは静電場で81問(16大学)、 年度別では2024年度の35問が最多です。

テーマ20262025202420232022202120202019〜2018大学合計
静電場14201411582161681
電磁波78146831261555
マクスウェル方程式237–42215826
年度計2331351717135417162

「〜2018」は2012〜2018年度の合計です。数字はテーマ別ののべ件数で、1つの設問が複数テーマに当たる場合は重複して数えています。重複を除いた設問数は134問です。

電磁気学を出題する大学・研究科と試験科目

この分野が出た大学×研究科×試験科目は39件。出題数の多い順に24件を挙げます。うち24件は年度別の解答PDF163本を公開しています。

大学・研究科試験科目設問出題年度解答PDF
東京大学工学系研究科 物理工学専攻物理学142012〜2026(11年度)2012〜2026年度・15本 ¥3,200
東京大学理学系研究科 物理学専攻専門科目(物理学)92012〜2025(7年度)2011〜2026年度・15本 ¥3,200
電気通信大学大学院情報理工学研究科 基盤理工学専攻専門科目(電気電子・光デバイス系)72022〜2026(5年度)2022〜2026年度・5本 ¥2,880
東京科学大学理学院 物理学系 物理学コース物理72020〜2025(5年度)2020〜2025年度・5本 ¥2,880
九州大学大学院理学府地球惑星科学専門科目52021〜2026(5年度)2021〜2026年度・6本 ¥3,200
筑波大学大学院理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 応用理工学学位プログラム 電子・物理工学サブプログラム専門科目52025〜2026(2年度)2025〜2026年度・4本 ¥2,580
東京科学大学工学院 電気電子系電気電子系 専門科目52019〜2023(4年度)2019〜2024年度・5本 ¥2,880
京都大学情報学研究科通信情報システムコース42021〜2025(4年度)2021〜2025年度・5本 ¥2,880
九州大学大学院理学府 物理学専攻物理学42022〜2026(4年度)2020〜2026年度・6本 ¥3,200
千葉大学大学院融合理工学府 先進理化学専攻 物理学コース物理学42021〜2026(4年度)2021〜2026年度・6本 ¥3,200
大阪大学理学研究科 物理学専攻・宇宙地球科学専攻物理学42022〜2026(4年度)2021〜2026年度・6本 ¥3,200
筑波大学大学院数理物質科学研究群 物理学学位プログラム物理42024〜2026(3年度)2020〜2026年度・6本 ¥3,200
東京都立大学大学院理学研究科 物理学専攻物理42024〜2026(3年度)2016〜2026年度・19本 ¥3,200
東北大学大学院工学研究科 電気・情報系基礎・専門科目42023〜2025(3年度)2023〜2026年度・7本 ¥3,200
東北大学大学院情報科学研究科2群 情報・生命系 基礎・専門科目42023〜2025(3年度)2023〜2026年度・7本 ¥3,200
東北大学大学院理学研究科 物理学専攻物理学(基礎数学・力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学)42021〜2025(4年度)2021〜2026年度・6本 ¥3,200
名古屋工業大学工学研究科 物理工学系 応用物理プログラム応用物理42024〜2026(3年度)2024〜2026年度・3本 ¥2,180
京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻地球惑星科学専攻 基礎科目32024〜2026(3年度)2022〜2026年度・5本 ¥2,880
九州大学大学院システム情報科学府 電気電子工学専攻専門科目32023〜2026(3年度)2022〜2026年度・5本 ¥2,880
大阪公立大学大学院理学研究科 物理学専攻物理32023〜2025(3年度)2023〜2026年度・4本 ¥2,580
電気通信大学大学院情報理工学研究科専門科目(機械知能システム学)32021〜2026(3年度)2020〜2026年度・7本 ¥3,200
東京科学大学理学院 地球惑星科学系地球惑星科学系 専門科目32023〜2024(2年度)2021〜2025年度・5本 ¥2,880
北海道大学大学院理学院 自然史科学専攻専門科目(地球惑星科学)32024〜2026(3年度)2024〜2026年度・5本 ¥2,880
広島大学大学院先進理工系科学研究科 物理学プログラム物理22024〜2025(2年度)2021〜2026年度・6本 ¥3,200

電磁気学は、学部の標準範囲を超える奇問が出ることはほぼないのに、合否を分ける科目です。理由は単純で、マクスウェル方程式という1セットの式から、静電場・静磁場・電磁誘導・電磁波・境界値問題までを「行き来する」力が問われるからです。章別に暗記した知識を順に当てはめる発想で答案を書くと、設定が少し変わった瞬間に手が止まる。逆に、4本の方程式と境界条件を出発点に何度も再構成し直す訓練を積んだ人は、見たことのない設定でも淡々と式を立てます。本記事では、外部生がどこで失点しがちかを、論点別に整理します。

学部段階で固めておくべき基礎

  • ベクトル解析:勾配・発散・回転、線積分・面積分・体積積分、ガウスとストークスの定理。電磁気学の全論点で骨格
  • 直交曲線座標:円筒座標・球座標でのナブラ・ラプラシアン・線素ベクトルを、表を見ないで書けること
  • 偏微分方程式:ラプラス方程式・ポアソン方程式の変数分離法、境界値問題の固有関数展開
  • 複素解析の基礎:交流回路と電磁波で位相子(フェーザ)表記を使うため
  • SI単位とMKSA系:ε0、μ0、光速 c の関係 c² = 1/(ε0μ0)、次元解析で答えの当たりをつける感覚
  • 特殊相対論の初歩(理学系志望のみ):4元ベクトルとローレンツ変換、テンソル添字の操作

ここが怪しい場合、電磁気の演習に直接入っても効率が出ません。学部1〜2年次の数学・物理の章末問題を1〜2週間で集中的に埋め直し、特に円筒座標と球座標でのナブラの形を手で書けるようにしてから戻ってきてください。これだけで過去問の解説が「読める」速度が変わります。

論点別に見る出題と失点

電磁気学の答案作法は論点ごとに微妙に違います。「マクスウェル方程式を書けば終わり」ではなく、設定に応じて積分形と微分形を選び、境界条件を書き分け、対称性を読み取る、という一連の所作を論点ごとに整理しておく必要があります。以下、頻出順に見ていきます。

静電場とポアソン方程式

頻出は、ガウスの法則による対称性のある電場計算、鏡像法、誘電体中の電場、コンデンサのエネルギー。失点の半分はガウスの法則を使う場面選びで、対称性が成立していないのに球面ガウス面を取って ∫E·dS = Q/ε0 から強引にEを出す答案を毎年見ます。ガウスの法則で電場が出るのは「電場の方向と大きさがガウス面上で一意に決まる」場合に限られる、という条件を答案冒頭で一行明示してください。鏡像法では鏡像電荷の位置・符号と、その方法が成り立つ境界形状(無限平面導体・接地球面)を明示しないと、なぜその等価系で良いのかを採点者が追えません。誘電体問題では、E と D、束縛電荷と自由電荷の使い分けを混ぜないこと。これは概念の問題ではなく表記の規約問題で、独学では意識的に固める必要があります。

静磁場とベクトルポテンシャル

頻出は、ビオ・サバール則による磁場計算、アンペールの法則、ソレノイド・トロイダルコイル、磁性体中の磁場、ベクトルポテンシャル A の計算。アンペールの法則は静電場のガウスの法則と同様、対称性が成立するアンペールループを取れる場合のみ ∮H·dl = Ienc から H が出ます。直線電流の周りの円・無限ソレノイドの内外を結ぶ長方形・トロイダルコイル断面の円、この3パターンの対称性条件を即座に判定できないと、過去問の標準問題で時間を溶かします。ベクトルポテンシャルの計算は B = ∇×A を満たす A の取り方が一意でない(ゲージの自由度がある)ことを答案で明示し、クーロンゲージ ∇·A = 0 を採用したことを書いてから計算に入る。これを省くと、別解の A と一致しないだけで減点される研究科があります。

電磁誘導とマクスウェル方程式

頻出は、ファラデーの法則、運動起電力、自己/相互インダクタンス、エネルギー保存、変位電流。マクスウェル方程式は積分形と微分形の両方を書けるようにし、設問に応じて使い分けてください。積分形が効くのは対称性のある場・回路に閉路をはめ込む問題で、微分形が効くのは局所的な場の挙動や波動方程式への変形が必要な問題です。これを取り違えると、簡単に出るはずの式が3倍の長さになります。電磁誘導の符号(レンツの法則)は、回路の向き・面の法線方向・磁束の符号の3つを答案で明示してから ε = −dΦ/dt を立てる。3つのうち1つでも不明示だと、最終結果の符号が採点基準と合わなくなります。変位電流の意味(電場の時間変化が磁場を生むという項を Ampère 則に追加した理由)は、東大・京大級では「なぜ必要か」を文章で問うこともあるので、コンデンサ充電過程での具体例とともに説明できるよう準備してください。

電磁波と境界値問題

頻出は、真空中・媒質中の平面波の波動方程式化、偏波(直線・円偏波)、誘電体境界での反射・透過(フレネルの式)、ポインティングベクトル、導波管モード(TE/TM/TEM)。この論点での失点は、ほぼすべてが「規約と境界条件の明示漏れ」に集約されます。まず時間依存項を exp(iωt) で取るか exp(−iωt) で取るか、これを答案冒頭で宣言しないと屈折率の符号・複素誘電率の虚部の符号で齟齬が出て、反射率・透過率の結果が採点基準と一致しません。境界条件は Ht(接線成分)連続、Bn(法線成分)連続、自由電流密度がある場合の Ht の不連続、これらを論点ごとに正確に使い分ける。フレネル係数の導出ではS偏波とP偏波(TEとTM)の場合分けを最初に図で示してから入る。導波管問題ではTEモードかTMモードかの分類と、それぞれの境界条件(導体壁で Et = 0、磁場の法線成分が0)を明示しないと、固有モードの導出が「なぜそのモード関数になるか」を採点者が追えません。ポインティングベクトル S = E×H/μ0 を使う問題では、エネルギーの流れる方向と、エネルギー保存則 ∂u/∂t + ∇·S = −J·E の対応を一行示すと差がつきます。

相対論的形式(理学系のみ)

頻出は、4元電磁場テンソル Fμν、4元ポテンシャル Aμ、ローレンツ共変形式でのマクスウェル方程式、運動する電荷の作る場。出題は阪大・東京科学大 理学院・筑波大などの物理学系に偏ります。電気系志望ならここは捨ててよい論点ですが、理学物理志望なら避けて通れません。失点の典型は添字操作で、上付き・下付き添字の規約(ミンコフスキー計量 ημν = diag(−1, 1, 1, 1) か diag(1, −1, −1, −1) かなど)を答案冒頭で宣言しないまま FμνFμν を計算してしまい、ローレンツ不変量の符号で減点される。教科書ごとに規約が違うため、自分が採用した規約を明示する習慣が必要です。

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