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神戸大 経済学研究科 経済理論 2026年度 第Ⅱ期 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問の分野はマクロ経済学2問、ミクロ経済学2問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — ミクロ経済学:費用最小化・規模に関する収穫・完全競争企業の供給

平方根は変数変換で消す

x1\sqrt{x_1} のまま微分しても解けるが,a=x1a=\sqrt{x_1} と置くと制約が線形になり,1階条件が 4a=λ4a=\lambda,6b=2λ6b=2\lambda という一次式で済む。答案では置き換えを一行明示してから条件を書くと,計算の見通しがそのまま採点者に伝わる。

線形の場合に微分しない

1b)で内点条件 MRTS=w1/w2\mathrm{MRTS}=w_1/w_2 を書くと,MRTS=1/2\mathrm{MRTS}=1/2 と w1/w2=2/3w_1/w_2=2/3 が一致せず解が出ない。完全代替のときは端点解になるので,産出1単位あたりの費用を比べるのが正しい。w1/1w_1/1 と w2/2w_2/2 の比較として書けば1行で済む。

検算

1a)で a+2b=6011+16011=22011=20a+2b=\tfrac{60}{11}+\tfrac{160}{11}=\tfrac{220}{11}=20 となり制約を満たす。1b)で要素1だけを使うと費用は 2×20=402\times20=40 となり 3030 より大きいので,選択は正しい。

設問2 f(x1,x2)=(x1a+x2a)bf(x_1,x_2)=(x_1^{a}+x_2^{a})^{b} の性質

同次性を先に示す

2a)は「tt 倍したら tabt^{ab} 倍」という一行を導ければ終わる。ab>1ab>1,ab=1ab=1,ab<1ab<1 がそれぞれ収穫逓増・一定・逓減に対応することまで書いておくと,条件の意味が示せる。

bb が効かない理由

g(z)=zbg(z)=z^{b} は狭義単調増加なので,f=g(x1a+x2a)f=g(x_1^{a}+x_2^{a}) は x1a+x2ax_1^{a}+x_2^{a} の単調変換にすぎない。等産出量曲線の形は単調変換で変わらないから,曲線の傾きである MRTS\mathrm{MRTS} も bb に依存しない。逆に規模に関する収穫は水準の話なので bb が効く。この対比を1文書くと,2a)と2b)で条件が違う理由の説明になる。

境界の扱い

a=1a=1 のとき MRTS=1\mathrm{MRTS}=1 で一定となり,2財は完全代替になる(設問1の1b)と同じ形)。a>1a>1 では MRTS\mathrm{MRTS} が増加し,等産出量曲線が原点に対して凹になる。逓減を「狭義」で問われているので a=1a=1 は含めない。

設問3 c(y)=2y3−5y2+7y+8c(y)=2y^{3}-5y^{2}+7y+8 をもつ完全競争企業

2解のうち一方を落とす根拠

3y2−5y−1=03y^{2}-5y-1=0 の負号の解は y=(5−37)/6<0y=(5-\sqrt{37})/6<0 なので,生産量の非負条件で落ちる。仮に両方が正になる問題であれば,p=MCp=\mathrm{MC} は利潤の1階条件にすぎず,2階条件 MC′(y)>0\mathrm{MC}'(y)>0 を満たす側が利潤最大になる。「MC\mathrm{MC} が右上がりの側」と一言添えると根拠が示せる。

AC\mathrm{AC} ではなく AVC\mathrm{AVC} で判定する

固定費用 88 は生産をやめても発生する(c(0)=8c(0)=8)ので,y=0y=0 と y>0y>0 の比較では相殺されて消える。したがって基準は平均費用ではなく平均可変費用である。平均費用 AC(y)=2y2−5y+7+8/y\mathrm{AC}(y)=2y^{2}-5y+7+8/y の最小値を求めると 4y3−5y2−8=04y^{3}-5y^{2}-8=0 の実数解 y≈1.84y\approx 1.84 で AC≈8.92\mathrm{AC}\approx 8.92 となり,きれいな値にならない。31/831/8 という整った値が出ることも,AVC\mathrm{AVC} で判定するのが出題意図である裏づけになる。ただし固定費用が回避可能(長期)と読むなら基準は min⁡AC\min \mathrm{AC} になるので,どちらの前提で答えたかを1行明示しておくと安全である。

検算

3a)の y∗≈1.847y^{*}\approx 1.847 で MC=6(3.412)−10(1.847)+7≈20.47−18.47+7=9.00\mathrm{MC}=6(3.412)-10(1.847)+7\approx 20.47-18.47+7=9.00 となり p=9p=9 に一致する。3b)で p=31/8p=31/8,y=5/4y=5/4 のとき π=318⋅54−c(5/4)\pi=\tfrac{31}{8}\cdot\tfrac{5}{4}-c(5/4) を計算すると π=−8=π(0)\pi=-8=\pi(0) となり,ちょうど無差別になる。価格がこれをわずかでも上回れば生産が有利になる。

解答

1a) f(x1,x2)=x1+2x2f(x_1,x_2)=\sqrt{x_1}+2\sqrt{x_2} の場合

要素価格は w1=2w_1=2,w2=3w_2=3 である。a=x1≥0a=\sqrt{x_1}\ge 0,b=x2≥0b=\sqrt{x_2}\ge 0 とおくと x1=a2x_1=a^2,x2=b2x_2=b^2 であり,問題は min⁡a,b≥0 2a2+3b2s.t.a+2b=20 \min_{a,b\ge 0}\ 2a^{2}+3b^{2} \qquad \text{s.t.}\qquad a+2b=20 と書き直せる。目的関数は狭義凸,制約は線形なので内点の1階条件が最小を与える。ラグランジュ関数を L=2a2+3b2−λ(a+2b−20)\mathcal{L}=2a^{2}+3b^{2}-\lambda(a+2b-20) として 4a=λ,6b=2λ. 4a=\lambda,\qquad 6b=2\lambda . λ\lambda を消去すると 6b=8a6b=8a,すなわち b=43ab=\tfrac{4}{3}a。制約に代入して a+2⋅43a=113a=20⟹a=6011,b=8011. a+2\cdot\tfrac{4}{3}a=\tfrac{11}{3}a=20 \quad\Longrightarrow\quad a=\frac{60}{11},\qquad b=\frac{80}{11}. よって x1=a2=3600121x_1=a^{2}=\dfrac{3600}{121},x2=b2=6400121x_2=b^{2}=\dfrac{6400}{121} で,最小費用は 2⋅3600121+3⋅6400121=7200+19200121=26400121=240011. 2\cdot\frac{3600}{121}+3\cdot\frac{6400}{121} =\frac{7200+19200}{121}=\frac{26400}{121}=\frac{2400}{11}.

1b) f(x1,x2)=x1+2x2f(x_1,x_2)=x_1+2x_2 の場合

生産関数が線形なので2つの要素は完全代替であり,産出1単位あたりの費用が安いほうだけを使う。要素1は1単位で産出1を生むので産出1単位あたり 22,要素2は1単位で産出2を生むので産出1単位あたり 3/23/2 である。3/2<23/2<2 だから要素2のみを用いる。2x2=202x_2=20 より x2=10x_2=10,x1=0x_1=0 で,費用は 3×10=303\times 10=30。

2a) 規模に関して収穫逓増になる条件

t>1t>1 を任意にとると f(tx1,tx2)=((tx1)a+(tx2)a)b=(ta(x1a+x2a))b=tab f(x1,x2). f(tx_1,tx_2)=\bigl((tx_1)^{a}+(tx_2)^{a}\bigr)^{b} =\bigl(t^{a}(x_1^{a}+x_2^{a})\bigr)^{b} =t^{ab}\,f(x_1,x_2). すなわちこの生産関数は次数 abab の同次関数である。規模に関して収穫逓増とは,すべての要素を t>1t>1 倍したとき産出が tt 倍より大きくなること,つまり tab>tt^{ab}>t が任意の t>1t>1 で成り立つことなので,条件は ab>1ab>1 である。

2b) 技術的限界代替率が逓減する条件

限界生産物は f1=ab (x1a+x2a)b−1x1a−1,f2=ab (x1a+x2a)b−1x2a−1 f_1=ab\,(x_1^{a}+x_2^{a})^{b-1}x_1^{a-1},\qquad f_2=ab\,(x_1^{a}+x_2^{a})^{b-1}x_2^{a-1} だから,技術的限界代替率は MRTS=f1f2=(x1x2)a−1. \mathrm{MRTS}=\frac{f_1}{f_2}=\left(\frac{x_1}{x_2}\right)^{a-1}. bb は約分されて消える。等産出量曲線に沿って x1x_1 を増やすと x2x_2 は減るので x1/x2x_1/x_2 は増加する。このとき MRTS\mathrm{MRTS} が減少する必要があるので,指数が負,すなわち a−1<0a-1<0 でなければならない。a>0a>0 とあわせて 0<a<10<a<1 が条件であり,bb には制約がつかない。

3a) 価格が9のときの最適生産量

限界費用は MC(y)=6y2−10y+7\mathrm{MC}(y)=6y^{2}-10y+7。完全競争企業は p=MC(y)p=\mathrm{MC}(y) かつ MC\mathrm{MC} が増加する側の解を選ぶ。p=9p=9 とおくと 6y2−10y+7=9⟺6y2−10y−2=0⟺3y2−5y−1=0, 6y^{2}-10y+7=9 \quad\Longleftrightarrow\quad 6y^{2}-10y-2=0 \quad\Longleftrightarrow\quad 3y^{2}-5y-1=0, y=5±25+126=5±376. y=\frac{5\pm\sqrt{25+12}}{6}=\frac{5\pm\sqrt{37}}{6}. y≥0y\ge 0 かつ MC′(y)=12y−10>0\mathrm{MC}'(y)=12y-10>0(y>5/6y>5/6)を満たすのは正号の解だけである。 y∗=5+376≈1.847. y^{*}=\frac{5+\sqrt{37}}{6}\approx 1.847 . このとき平均可変費用は AVC(y∗)=2(y∗)2−5y∗+7≈9.58−9.24+7≈5.58<9\mathrm{AVC}(y^{*})=2(y^{*})^{2}-5y^{*}+7\approx 9.58-9.24+7\approx 5.58<9 なので操業停止条件にはかからず,y∗y^{*} が最適生産量である。

3b) 最適生産量が正になる価格の最小値

c(0)=8c(0)=8 より固定費用は 88 である。生産量を y>0y>0 とするときの利潤は π(y)=py−2y3+5y2−7y−8, \pi(y)=py-2y^{3}+5y^{2}-7y-8, 生産をやめたときの利潤は π(0)=−8\pi(0)=-8。したがって y>0y>0 を選ぶのは py−2y3+5y2−7y>0⟺p>2y2−5y+7=AVC(y) py-2y^{3}+5y^{2}-7y>0 \quad\Longleftrightarrow\quad p>2y^{2}-5y+7=\mathrm{AVC}(y) を満たす yy が存在するとき,すなわち p>min⁡y>0AVC(y)p>\min_{y>0}\mathrm{AVC}(y) のときである。AVC\mathrm{AVC} は下に凸な2次関数なので AVC′(y)=4y−5=0⟹y=54, \mathrm{AVC}'(y)=4y-5=0 \quad\Longrightarrow\quad y=\frac{5}{4}, AVC ⁣(54)=2⋅2516−5⋅54+7=258−508+568=318. \mathrm{AVC}\!\left(\frac{5}{4}\right) =2\cdot\frac{25}{16}-5\cdot\frac{5}{4}+7 =\frac{25}{8}-\frac{50}{8}+\frac{56}{8} =\frac{31}{8}.

最終答

最小費用 240011≈218.2\dfrac{2400}{11}\approx 218.2(x1=3600121x_1=\tfrac{3600}{121},x2=6400121x_2=\tfrac{6400}{121})

最小費用 3030(x1=0x_1=0,x2=10x_2=10)

ab>1ab>1

0<a<10<a<1(b>0b>0 は任意)

y∗=5+376≈1.847y^{*}=\dfrac{5+\sqrt{37}}{6}\approx 1.847

pmin⁡=318=3.875p_{\min}=\dfrac{31}{8}=3.875(このとき y=54y=\tfrac{5}{4})

第2問 — ミクロ経済学:非対称な費用の下でのクールノー競争

需要関数の向きを取り違えない

D(p)=2−3pD(p)=2-3p は数量を価格の関数として与えている。これをそのまま p=2−3Yp=2-3Y と読むと,以降の計算がすべてずれる。逆需要は p=(2−Y)/3p=(2-Y)/3 であり,傾きは −3-3 ではなく −1/3-1/3 である。答案では逆需要を求めた式を1本残しておくと,仮に後の計算を落としてもここまでの部分点が取れる。

均衡条件の意味

1階条件は p+yi∂p∂yi=MCip+y_i\dfrac{\partial p}{\partial y_i}=\mathrm{MC}_i,すなわち限界収入と限界費用の一致である。均衡値で確かめると,企業1は 3581+1427⋅(−13)=35−1481=2181=727=12y1=MC1, \frac{35}{81}+\frac{14}{27}\cdot\left(-\frac13\right)=\frac{35-14}{81}=\frac{21}{81}=\frac{7}{27} =\frac{1}{2}y_1=\mathrm{MC}_1, 企業2は 3581+527⋅(−13)=3081=1027=2y2=MC2 \frac{35}{81}+\frac{5}{27}\cdot\left(-\frac13\right)=\frac{30}{81}=\frac{10}{27} =2y_2=\mathrm{MC}_2 となり,どちらも成り立つ。この検算は答案に1行入れておく価値がある。

非対称性の読み方

企業1の限界費用は 12y1\tfrac12 y_1,企業2は 2y22y_2 で,同じ生産量なら企業2のほうが4倍高い。効率的な企業1が多く生産し(y1/y2=14/5y_1/y_2=14/5),価格は両社の限界費用の間には入らず,各社の限界収入がそれぞれの限界費用に等しくなる点で決まる。クールノー均衡では生産量が費用の逆順に並ぶ,という性質を一言添えると,数値の妥当性を自分で確認したことが伝わる。

端点解の確認

反応関数(R1)(R2)はいずれも yi≥0y_i\ge 0 を満たす範囲にあるので,どちらの企業も生産を続ける内点均衡になる。費用差がもっと大きい設定では非効率な企業の生産量が負になり,y2=0y_2=0 の端点均衡を別途調べる必要がある。ここでは y2=5/27>0y_2=5/27>0 なので確認は1行で足りる。

ミクロ経済学:非対称な費用の下でのクールノー競争の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — マクロ経済学:2期間モデルの最適条件と定率税・定額税の比較

答案で書くべきこと

「予算制約式を含めて明示的に書くこと」と指示されているので,目的関数だけでなく各期の制約を分けて書く。貯蓄に利子が付くという記述は問題文に無いので,収益率は1(利子率ゼロ)として扱う。ここで勝手に (1+r)s(1+r)s と置くと以降の最適条件が問題文と合わなくなる。

s≥0s\ge 0 を落とさない

「借り入れはない」という条件は s≥0s\ge 0 の非負制約である。以下の(2)は内点解(s>0s>0)を前提とした条件なので,制約が拘束する場合(s=0s=0)が別にありうることを1文書いておくと,(3)の議論にもつながる。

設問2 異時点間・同時点の最適条件とその意味

2つの条件の役割の違い

異時点間の条件は「いつ消費するか」,同時点の条件は「どれだけ働いて消費するか」を決める。前者に ww が入らず,後者に β\beta が入らないことがその違いを示している。この対比を明示すると,(3)で「どちらの条件が歪むか」を論じる土台になる。

答案の書き方

「導出も明記すること」とあるので,代入して制約なしの形にする一手を必ず書く。ラグランジュ乗数法で解いてもよく,その場合は各期の制約に乗数 λ1,λ2\lambda_1,\lambda_2 を付け,λ1=λ2\lambda_1=\lambda_2 が貯蓄の1階条件から出ることを経由して同じ2式にたどり着く。どちらでもよいが,途中を飛ばすと30点のうち導出分が落ちる。

失点しやすい点

u′(c1)=βu′(c2)u'(c_1)=\beta u'(c_2) を「c1=c2c_1=c_2」と短絡しない。等しくなるのは β=1\beta=1 のときだけである。また v′>0v'>0 かつ v′′>0v''>0 という仮定は,労働が不効用でありその不効用が逓増することを意味する。vv を効用と書いてしまうと符号を取り違えるので,「労働の不効用」として扱う。

設問3 定率税と定額税の影響

「(2)の最適条件を用いて」に答える

問われているのは影響の向きだけではなく,2つの最適条件のどこが変わりどこが変わらないかである。定率税は同時点の条件だけを変え,定額税はどちらも変えない。この一点を先に書いてから効果の説明に入ると,論点が明確になる。

歪みの有無を言い切る

定額税は限界条件を変えないので超過負担を生まない(一括固定税は効率的である)。定率税は労働と余暇の間の限界代替率を (1−τ)w(1-\tau)w に変えるため超過負担を生む。同じ税収を集めるなら定額税のほうが効率的だが,支払能力を考慮しないため公平性の面で問題がある,という一文を添えると,経済学的な説明として完結する。

s≥0s\ge 0 が効く場合

定額税 TT が大きく,第1期の可処分所得 wn1−Twn_1-T が望ましい c1c_1 を下回るような状況では s=0s=0 の端点解になり,u′(c1)>βu′(c2)u'(c_1)>\beta u'(c_2) となって異時点間の条件が等号で成り立たなくなる。設問1で s≥0s\ge 0 を書いておけば,この場合分けに触れられる。触れる余裕がなければ「内点解を仮定する」と明記しておけばよい。

マクロ経済学:2期間モデルの最適条件と定率税・定額税の比較の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — マクロ経済学:恒常所得仮説と予想された所得増加への反応

答案の分量

「簡潔に説明しなさい」とあるので,恒常所得と変動所得の定義,C=kYPC=kY^{P} という関係式,消費平滑化という含意の3点で足りる。分解式と比例式の2本を書いておくと,言葉だけの答案と差がつく。

ケインズ型消費関数との対比

C=a+bYC=a+bY のように当期所得に反応する消費関数と対比させると,仮説の主張が明確になる。横断面データで観測される限界消費性向が時系列データより低い,といった「消費関数論争」の背景に触れると,(2)の判定にもつながる。

設問2 アナウンスへの反応が仮説と整合的か

整合的でない理由を1点に絞る

「tt 期に上げたこと」自体は仮説と整合的である。問題なのは t+1t+1 期に追加の上昇があることだけなので,そこを名指しして書く。「アナウンス時点で情報が織り込まれるから,実現時点では反応しないはず」という一文が答案の核になる。

整合的でない行動をどう説明するか

流動性制約(借入制約)で説明できる。tt 期には所得がまだ増えておらず借り入れもできないので,望ましい水準まで消費を上げきれず c2c_2 にとどまり,実際に所得が入った t+1t+1 期に残りを c3c_3 まで引き上げた,と読める。ほかに,将来の所得増加を完全には信じていない(アナウンスの信頼性が低い)ため段階的に調整した,近視眼的で当期の所得に反応する,といった説明もありうる。いずれか1つを根拠とともに書けばよい。

失点しやすい点

c1<c2<c3c_1<c_2<c_3 という並びだけを見て「消費が滑らかに増えているので消費平滑化と整合的」と書かない。仮説が禁じているのは,予想された所得変化に対して実現時点で反応することである。また,仮説が予測する動きを「tt 期に一度だけ上がって一定」と明示せずに「整合的でない」とだけ書くと,判定の根拠が示せず得点にならない。

マクロ経済学:恒常所得仮説と予想された所得増加への反応の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(6年度)

  • 2026年度 第Ⅱ期(このページ・全4問)

    ミクロ経済学:費用最小化・規模に関する収穫・完全競争企業の供給 / ミクロ経済学:非対称な費用の下でのクールノー競争 / マクロ経済学:2期間モデルの最適条件と定率税・定額税の比較

  • 2026年度 第Ⅰ期(全4問)

    ミクロ経済学:u=\sqrt{x_1}+3\sqrt{x_2} の消費者理論7題 / 公共経済学:公共財の私的供給ゲームと過少供給 / マクロ経済学:国債発行を財源とする減税は消費を増やすか(リカードの等価定理)

  • 2025年度 第Ⅱ期(全4問)

    ゲーム理論:3×3協調ゲームの純粋戦略・混合戦略ナッシュ均衡 / ミクロ経済学:3企業の逐次手番寡占(シュタッケルベルグ) / 国際マクロ経済学:国際金融のトリレンマ

  • 2025年度 第Ⅰ期(全4問)

    ミクロ経済学:コブ=ダグラス型効用の需要・間接効用関数・支出関数 / ミクロ経済学:1要素企業の要素需要関数と利潤関数 / マクロ経済学:名目金利とインフレ率の正の相関(フィッシャー式とテイラー・ルール)

  • 2024年度 第Ⅱ期(全4問)

    ミクロ経済学:コブ=ダグラス型生産関数の限界生産性・規模の収穫・短期と長期の費用 / ゲーム理論:標準形ゲームの純粋戦略・混合戦略ナッシュ均衡と均衡の一意性 / マクロ経済学:総供給曲線が右上がりになるメカニズム

  • 2024年度 第Ⅰ期(全4問)

    ミクロ経済学:準線形効用の需要関数・市場需要・消費者余剰 / ミクロ経済学:クールノー複占と非対称費用の下での端点均衡 / 金融論:コンソル債の現在価値と金利,ゼロ金利下の政策手段

2026年度 第Ⅱ期の出題内容

全4問

この4問の分野はマクロ経済学2問・ミクロ経済学2問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問ミクロ経済学費用最小化・規模に関する収穫・完全競争企業の供給平方根は変数変換で消す / 線形の場合に微分しないあり
第2問ミクロ経済学非対称な費用の下でのクールノー競争需要関数の向きを取り違えない / 均衡条件の意味あり
第3問マクロ経済学2期間モデルの最適条件と定率税・定額税の比較s≥ 0 を落とさない / 2つの条件の役割の違いあり
第4問マクロ経済学恒常所得仮説と予想された所得増加への反応ケインズ型消費関数との対比 / 整合的でない理由を1点に絞るあり

2026年度 第Ⅱ期の解説には失点しやすい点2件・検算1件・答案の書き方1件が付いています。

前年度(2026年度 第Ⅰ期)との違い

大問数
2026年度 第Ⅰ期 4問 → 2026年度 第Ⅱ期 4問
2026年度 第Ⅰ期の解答例

神戸大学の公式過去問

公開年度範囲
2024〜2026年度のⅠ期・Ⅱ期(直近3年)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
TOEIC・TOEFL などの英語外部試験のスコア提出。学内での英語筆記試験はない。
院試hubの最終確認
2026-09-04
神戸大学の公式過去問PDF