広島大 先進理工系科学研究科 数学プログラム 数学 一般A(令和4年8月実施・午前) 院試 過去問 解答例・解説(全3問)
全3問の分野は線形代数1問、微分積分・解析1問です。解説はすべて公開し、途中式と最終答は解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
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第1問 — 線形代数:階数条件と3周期線形写像
方針
(A) は,行列式で階数が落ちる候補を絞り,行の一次関係をそのまま右辺の整合条件に移す問題である。階数が になった後は,独立な2本の方程式だけを解けばよい。
(B) は が射影になっていることを見抜くと整理しやすい。 は の固定部分, は固定成分を取り除いた部分である。 上では が成り立つので,実数上では2次元ずつ回転する成分に分かれる。
典型ミス
を出した後に,階数が本当に である確認を落とさないこと。
連立方程式の条件は である。第2行が第1行の2倍と第3行の和になっていることを右辺にも反映する。
の元に対して となる理由は, と の2つを使う。ここを省くと固有値 の結論が弱くなる。
採点上の注意
射影の直和分解は と書くと短く確実である。
が偶数である説明では, を作るのが最も安全である。複素固有値の話だけで済ませる場合も,実空間なので共役対で次元が偶数になる点を明記する。
第2問 — 解析:振動関数と対数特異性をもつ広義重積分
方針
(A) は「微分可能」と「導関数が連続」を混同しないことが大切である。 は存在するが, で が振動するため導関数は で連続ではない。一様連続性は導関数の有界性だけで全域を一発処理しようとせず,原点近くのコンパクト部分と無限遠の部分に分けると安全である。
(B) は極座標と の置換が本体である。符号を含む積分 は正負をそのまま計算し,収束判定では絶対値のべきにより無限遠での指数減衰が に変わる点を見る。
典型ミス
を の振動から存在しないと判断しないこと。原点で見るべきなのは差商 である。
は負である。 の計算では符号を落とすと答えが逆になる。
の原点側は任意の で収束する。判定を決めるのは無限遠側である。
採点上の注意
一様連続性の証明は,コンパクト部分と外側の Lipschitz 評価を明示すれば十分に説得的である。
収束判定では, と の2端点を分けて書く。広義積分なので片方だけの議論では不十分である。
第3問 — 位相:内部の逆像と余有限位相
方針
(A) は,内部の定義を「その点を含み集合に含まれる開近傍がある」と言い換えるだけで証明できる。逆方向は, を開集合に限定すると になるので,連続性の定義に戻る。
(B) は余有限位相の基本性質である。開集合は「空でない限り,補集合が有限」の集合であり,閉集合は「有限集合または全体」である。したがって無限集合はすべて稠密になる。
典型ミス
(A)(2) で単射や恒等写像を選ぶと等号になりやすい。定数写像と単点集合を使うと差が明確に出る。
(A)(3) では,任意の部分集合ではなく開集合 に適用する。 として逆像が開くことを示せば十分である。
余有限位相で有限集合は閉集合であり,無限集合は閉とは限らない。通常位相の直感で が閉と判断しないこと。
採点上の注意
位相の公理は「全体・空集合」「任意和」「有限交叉」を分けて確認する。
の理由は,閉集合の分類から一行で書ける。
最後は を使うと短い。直接証明する場合も, が稠密で単点集合が閉であることを明示する。
年度別の解答例(8年度)
行列式・逆行列・固有値・ジョルダン標準形・可換子 / 一様連続性・関数項級数・広義重積分 / 第3問 (I)/(II) 選択
線形代数:逆行列・連立方程式と多項式空間上の線形写像 / 解析:関数列の一様収束と多変数関数の極値 / 第3問 (I)/(II) 選択
線形代数:平面部分空間と線形変換 / 解析:関数列・関数項級数と重積分 / 位相:逆像位相と部分空間位相
問4:群準同型・有限指数部分群・行列群 / 問5:多項式環の準同型と核イデアル / 問6:実射影平面の二次埋め込み
線形代数:交代行列・対称行列と内積 / 微分積分:x log sin x の解析と級数 / 第3問 (I)/(II) 選択:位相 / 確率
一般A(令和4年8月実施・午前)(このページ・全3問)
線形代数:階数条件と3周期線形写像 / 解析:振動関数と対数特異性をもつ広義重積分 / 位相:内部の逆像と余有限位相
問8:Möbius変換・留数計算・Schwarz型評価 / 問9:積分の等号条件と正則変動型の極限 / 問10:混合正規分布と切断平均
線形代数:べき零行列と逆行列・対角化と極限 / 多変数関数の連続・偏微分・重積分 / 第3問 (I)/(II) 選択
一般A(令和4年8月実施・午前)の出題内容
全3問
前年度(一般A(令和4年8月実施・午後))との違い
- 大問数
- 一般A(令和4年8月実施・午後) 5問 → 一般A(令和4年8月実施・午前) 3問
広島大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2020〜2026(プログラムにより差あり)
- 公式の解答例
- 一部の年度・科目のみ公開
- 英語の扱い
- TOEFL/TOEIC スコア提出。学内英語試験はプログラムにより異なる。
- 院試hubの最終確認
- 2026-06-03