I.1 Bernoulli方程式
逆べきの置換が働く理由
Bernoulli方程式 y′+P(x)y=Q(x)ym、m=1 で y=0 とすると、v=y1−m は
v′+(1−m)Pv=(1−m)Q
を満たす。v′=(1−m)y−my′ という連鎖律で、非線形のべきを消している。本問は m=3、P=1/x、Q=1/x3 なので上の一次式になる。
一次方程式 v′+pv=q は、μ′=pμ を満たす非零関数を掛けると (μv)′=μq に直せる。本問では μ=x−2 が μ′/μ=−2/x を満たし、x>0 と x<0 のどちらでも使える。積分後の平方根では、元の方程式の区間と実数解の条件も必要になる。
零解と符号の扱い
y3 で割る変形は y=0 を対象から外すので、最初に確認した零解を最後に加える。x=0 では右辺 y3/x3−y/x は y に関して滑らかで、局所的に解が一意である。したがって零解と非零解を通常点でつなぎ合わせる別の解を追加する必要はない。正負の平方根は一つの連結区間で固定して使う。
定数を固定した検算と誤式
C=0 なら y=±2x。y=2x を原式へ戻すと左辺は 22、右辺も (2)3=22 で一致する。逆数の微分の係数 −2 を落とし、y=x/1+Cx4 と書くと、C=0 で左辺2、右辺1となる。また、y−2 の式だけで答案を終えると、零解を表せていない。
I.2 三角関数を非同次項にもつ方程式
なぜ正弦も用意するのか
定数係数の線形作用素 P(D)=D2−5D+6 では、指数関数に D を作用させると指数の係数を掛けるだけなので、P(r)=0 の根から同次解を得る。二つの根が異なるため、e2x,e3x は線形独立であり同次解を尽くす。
一方、cos3x を一回微分すると −3sin3x になる。本問は一階微分項があるので、特解に余弦だけを置いても正弦成分が残る。正弦・余弦の張る二次元空間は微分で保たれるため、両方を置けば有限個の係数を決める問題に帰着する。3i は特性根2,3と異なり、この空間で作用素は可逆である。
線形性と直接代入の確認
二つの特解の差は同次方程式を満たすので、特解一つに同次解の全体を足せば一般解になる。求めた係数を入れると、余弦係数は (−3−75)/13=−6、正弦係数は (15−15)/13=0 であり、右辺に一致する。
例えば特解を 2cos3x として二階微分と 6y だけを合わせると、その二項の和は −6cos3x になるが、一階微分項から 30sin3x が残る。右辺と同じ関数形を一つ置くだけでは足りない場合がある。全項を代入して初めて特解の確認になる。
II.1 極曲線が囲む面積
極座標のJacobian
変換 x=ρcosθ、y=ρsinθ のJacobian行列式は
det(cosθsinθ−ρsinθρcosθ)=ρ.
したがって平面の面積要素は dxdy=ρdρdθ である。半径方向へ0から境界まで積分すると r2/2 になる。小扇形の面積が r2dθ/2 になるという説明とも一致する。
この式を単純に一周分積分してよいのは、r>0 で一つの方向に一つの境界点をもち、領域を重ねて数えないからである。負の半径や自己交差をもつ曲線では、領域の分割や重複を確認しなければならない。本問は 1≤r≤3 なのでその問題は生じない。
三角積分と平均半径の誤り
∫02πcosθ=0、cos2θ=(1+cos2θ)/2 より二乗項の積分は π。半径2の円の面積 4π に π/2 が加わる、とも読める。
半径の平均が2だから面積を π⋅22=4π とするのは、平均の二乗と二乗の平均を交換している。面積に必要なのは r2 の平均であり、⟨r2⟩=4+1/2 である。半径の振れを表す ⟨cos2θ⟩=1/2 は消えない。
II.2 極曲線の接線の傾き
媒介変数表示から傾きを求める条件
曲線を x=x(t),y=y(t) と表し、x′(t0)=0 なら、局所的に t を x の関数として解ける。よって連鎖律から dy/dx=y′(t)/x′(t) になる。本問は t=θ で x′=−1−2=0 なので、有限な傾きを求められる。接ベクトルも零ではない。
半径 r も角度とともに変化するため、rcosθ の微分には r′cosθ と −rsinθ の二項がある。同じように y の微分でも二項を保つ。dr/dθ は半径の変化率であり、直交座標の接線の傾きとは別の量である。
接方向の確認と円との取り違え
この点で θ を増やすと x は減り、y は増える。したがって傾きは負であり、答え 2−2≃−0.586 はこの符号に合う。接線の方向ベクトル (−1−2,2) を使っても同じ比になる。
r′ を0として円の接線の式 −cotθ を使うと、θ=π/4 で −1 と誤る。これは半径が一定の曲線だけの式である。また dy/dx=dr/dθ とすると −2/2 になるが、x,y の微分の比と一致しない。どの座標の変化率を求めているかを式で区別する。
解答
I.1 Bernoulli方程式
原式には 1/x があるので、x=0 の連結な区間で考える。y=0 は解である。y=0 なら v=y−2 と置き、原式を y3 で割って −2 倍すると
v′−x2v=−x32.
積分因子は x−2 であり、
(x2v)′=−x52,x2v=2x41+C0.
したがって y−2=1/(2x2)+C0x2。定数を C=2C0 と書き直す。
I.2 三角関数を非同次項にもつ方程式
同次方程式の特性方程式は r2−5r+6=(r−2)(r−3)=0 なので、同次解は C1e2x+C2e3x である。原式を y′′−5y′+6y=−6cos3x と書き、特解を acos3x+bsin3x と置くと、左辺は
(−3a−15b)cos3x+(15a−3b)sin3x.
係数比較から a+5b=2、5a−b=0、ゆえに a=1/13、b=5/13 である。
II.1 極曲線が囲む面積
r(θ)=2+cosθ は全周で1以上なので、原点から各方向へ一つの境界点をもつ。極座標の面積要素 ρdρdθ を使うと、囲まれる領域の面積は
S=∫02π∫02+cosθρdρdθ=21∫02π(2+cosθ)2dθ=21(8π+4∫02πcosθdθ+∫02πcos2θdθ)=29π.
II.2 極曲線の接線の傾き
直交座標へ x=rcosθ、y=rsinθ と直す。連鎖律により、dx/dθ=0 の点では
dxdy=r′cosθ−rsinθr′sinθ+rcosθ.
θ=π/4 で r=2+2/2、r′=−2/2 なので、
dθdx=−1−2,dθdy=2.
最終答
実数値の解は y=0、または
y=±1+Cx42x。
後者は x=0、1+Cx4>0 を満たす区間で用いる。C は任意の実定数である。
y=C1e2x+C2e3x+13cos3x+5sin3x。
S=9π/2。
dxdy=−1+22=2−2。