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東大 工学系研究科 数学 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(解説6項目)

解説6項目の分野は線形代数1項目、微分積分・解析1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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数学1 問I — 楕円の接線と円錐の最適化

1 第一象限の点における接線

陰関数の勾配と接線の条件

F(x,y)=x2/a2+y2/b2−1F(x,y)=x^2/a^2+y^2/b^2-1 とすると、曲線上の微小変位は dF=Fxdx+Fydy=0dF=F_xdx+F_ydy=0 を満たす。このため勾配 (2X/a2,2Y/b2)(2X/a^2,2Y/b^2) は接線に垂直であり、接線は X(x−X)/a2+Y(y−Y)/b2=0X(x-X)/a^2+Y(y-Y)/b^2=0 と書ける。楕円上では勾配は零にならず、特に本問の Y>0Y>0 により傾きの式でも零除算がない。

接点を代入すると右辺1が再現される。切片は y=0y=0 で x=a2/X>0x=a^2/X>0、x=0x=0 で y=b2/Y>0y=b^2/Y>0 となる。第一象限という条件により、後の線分は両正軸の間の有限な線分であり、回転体の高さ・半径も正になる。図は楕円と接線の位置関係を示す自作の模式図である。

円の場合への極限と誤った法線

仮に a,ba,b を等しい半径 rr へ近付けると、接線式は Xx+Yy=r2Xx+Yy=r^2 になり、円の接線の公式へ戻る。異なる軸長の場合は、それぞれの二乗で割る重みを残す必要がある。

円の式をそのまま使って接線の傾きを −X/Y-X/Y とすると、例えば a=2,b=1,X=2,Y=1/2a=2,b=1,X=\sqrt2,Y=1/\sqrt2 で誤った傾きは −2-2、正しくは −1/2-1/2 になる。二つは大きく異なる。また接線式の右辺を0とすると、接点を代入した左辺が1になって一致しない。勾配で方向を確認し、接点で定数を確認する。

2 二つの軸切片を結ぶ最短線分

二乗した長さの最小化

二つの交点は (a2/X,0)(a^2/X,0) と (0,b2/Y)(0,b^2/Y) なので、距離の二乗は二つの切片の二乗和になる。長さは正であり、平方根は単調に増えるため、LL の代わりに L2L^2 を最小化してよい。楕円を三角関数で表示することで、接点が楕円上という制約を常に満たせる。

上の不等式は、ベクトル (a/t,b/1−t)(a/\sqrt t,b/\sqrt{1-t}) と (t,1−t)(\sqrt t,\sqrt{1-t}) にコーシー・シュワルツを適用したものである。内積が a+ba+b、後者の二乗ノルムが1なので下界を得る。等号は二本が比例するときで、答案の tt は a,b>0a,b>0 により確かに (0,1)(0,1) に入る。

微分と端の発散による確認

L2(t)=a2/t+b2/(1−t)L^2(t)=a^2/t+b^2/(1-t) を微分すると −a2/t2+b2/(1−t)2-a^2/t^2+b^2/(1-t)^2 で、零となるのは t=a/(a+b)t=a/(a+b)。二階微分は 2a2/t3+2b2/(1−t)3>02a^2/t^3+2b^2/(1-t)^3>0 である。また両端では長さが発散するため、得られた点が全体の一意な最小点になる。

最短時の切片は h1=a(a+b)h_1=\sqrt{a(a+b)}、r1=b(a+b)r_1=\sqrt{b(a+b)}。従って h12+r12=(a+b)2h_1^2+r_1^2=(a+b)^2 と直接確かめられる。θ=π/4\theta=\pi/4 と機械的に選ぶと L2=2(a2+b2)L^2=2(a^2+b^2) となり、下界との差は (a−b)2>0(a-b)^2>0 になる。a>ba>b の楕円では角度45度は最短条件を満たさない。

3 等しい表面積で体積最大の円錐

全表面積という制約を式にする

直円錐の側面積は πrℓ\pi r\ell、底面積は πr2\pi r^2 なので合計が πr(r+ℓ)\pi r(r+\ell) である。高さ hh は直角三角形から h=ℓ2−r2h=\sqrt{\ell^2-r^2}、体積は πr2h/3\pi r^2h/3 になる。非退化な円錐では r>0,h>0r>0,h>0、従って k>1k>1 である。

表面積を固定したまま r,ℓ,hr,\ell,h を独立に動かすことはできない。kk を一つ選ぶと半径が r2=Σ/{π(1+k)}r^2=\Sigma/\{\pi(1+k)\} に決まり、そこから高さも決まる。この関係を体積へ代入すると、尺度 Σ3/2\Sigma^{3/2} と形だけの変数 kk を分離できる。

停留点が全体の最大である理由

(k−1)/(k+1)2(k-1)/(k+1)^2 は 1<k<31<k<3 で増え、k>3k>3 で減る。k→1+k\to1^+ では高さが零に近付くため体積も零、k→∞k\to\infty でも固定面積の下で半径が細くなり体積は零へ近付く。このため k=3k=3 が一意な全体の最大であり、単なる停留点の計算にとどまらない。

その形では ℓ=3r,h=22r\ell=3r,h=2\sqrt2r、全表面積は 4πr24\pi r^2 なので、底面積は必ず全体の 1/41/4 になる。最後に Σ\Sigma を C1C_1 の寸法へ戻すと、比は (1+ℓ1/r1)/4(1+\ell_1/r_1)/4 となり、答案の式を得る。比が無次元で、a,ba,b を同時に拡大しても変わらないことが検算になる。

最大形との一致と底面の数え落とし

a=8ba=8b なら ℓ1/r1=(a+b)/b=3\ell_1/r_1=\sqrt{(a+b)/b}=3 なので、最初の円錐 C1C_1 自体が最大形であり、答えは S2/S1=1S_2/S_1=1 になる。原題の a>b>0a>b>0 の範囲内で確認できる具体例である。

底面を忘れて Σ=πrℓ\Sigma=\pi r\ell と置くと、最適化する因子が (k2−1)/k3(k^2-1)/k^3 に変わり、誤った最適条件 k=3k=\sqrt3 を得る。これは別の制約の問題を解いている。側面と底面を区別した記号 Σ,S1,S2\Sigma,S_1,S_2 を用い、与えられた等表面積に何を含むかを初めに固定する。

解答

1 第一象限の点における接線

楕円の式を微分すると 2x/a2+(2y/b2)y′=02x/a^2+(2y/b^2)y'=0。第一象限の点は X,Y>0X,Y>0 なので、接線の傾きは −b2X/(a2Y)-b^2X/(a^2Y) となる。従って y−Y=−b2Xa2Y(x−X). y-Y=-\frac{b^2X}{a^2Y}(x-X). X2/a2+Y2/b2=1X^2/a^2+Y^2/b^2=1 を使って整理する。

楕円の接点から作る三角形と円錐の最適化を説明する自作補助図

2 二つの軸切片を結ぶ最短線分

X=acos⁡θ,Y=bsin⁡θX=a\cos\theta,Y=b\sin\theta、0<θ<π/20<\theta<\pi/2 と置く。両切片は a/cos⁡θ,b/sin⁡θa/\cos\theta,b/\sin\theta なので、線分長 LL は L2=a2cos⁡2θ+b2sin⁡2θ. L^2=\frac{a^2}{\cos^2\theta}+\frac{b^2}{\sin^2\theta}. t=cos⁡2θ∈(0,1)t=\cos^2\theta\in(0,1) と置き、コーシー・シュワルツの不等式を使うと a2t+b21−t≥(a+b)2. \frac{a^2}{t}+\frac{b^2}{1-t}\ge(a+b)^2. 等号条件は a/t=b/(1−t)a/t=b/(1-t)、すなわち t=a/(a+b)t=a/(a+b) である。

3 等しい表面積で体積最大の円錐

円錐 C1C_1 の半径は r1=b(a+b)r_1=\sqrt{b(a+b)}、高さは h1=a(a+b)h_1=\sqrt{a(a+b)}、母線長は ℓ1=a+b\ell_1=a+b。底面を含む全表面積を Σ\Sigma とすると Σ=πr1(r1+ℓ1),S1=πr12. \Sigma=\pi r_1(r_1+\ell_1),\qquad S_1=\pi r_1^2. 同じ Σ\Sigma を持つ一般の円錐の半径を rr、母線を ℓ\ell とし、k=ℓ/r>1k=\ell/r>1 と置く。r2=Σ/{π(1+k)}r^2=\Sigma/\{\pi(1+k)\} なので体積の二乗は V2=Σ39πk−1(k+1)2. V^2=\frac{\Sigma^3}{9\pi}\frac{k-1}{(k+1)^2}. 最後の因子の微分は (3−k)/(k+1)3(3-k)/(k+1)^3。従って最大は k=3k=3 で、S2=πr2=Σ/4S_2=\pi r^2=\Sigma/4 となる。

最終答

Xxa2+Yyb2=1\displaystyle\frac{Xx}{a^2}+\frac{Yy}{b^2}=1。

(X,Y)=(aaa+b,bba+b)\displaystyle(X,Y)=\left(a\sqrt{\frac a{a+b}},b\sqrt{\frac b{a+b}}\right)、最小長 L=a+bL=a+b。

S2S1=14(1+a+bb)\displaystyle\frac{S_2}{S_1}=\frac14\left(1+\sqrt{\frac{a+b}{b}}\right)。

数学1 問II — ラプラス変換の微分則と初期値問題

ラプラス変換の微分則と初期値問題の途中式・最終答をPDFで見る

数学2 問I — 可換な対称行列の同時対角化

可換な対称行列の同時対角化の途中式・最終答をPDFで見る

数学2 問II — 二次曲面の直交変換と切り取られた体積

二次曲面の直交変換と切り取られた体積の途中式・最終答をPDFで見る

数学3 問I — 巻き数の異なる閉曲線と単位円への置換

巻き数の異なる閉曲線と単位円への置換の途中式・最終答をPDFで見る

数学3 問II — ベルヌーイ観測とベータ事前分布の更新

ベルヌーイ観測とベータ事前分布の更新の途中式・最終答をPDFで見る

数学の解答・解説PDF

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年度別の解答例(6年度)

  • 2026年度(解説6項目)

    常微分方程式 / 固有値と行列の位数 / 複素解析

  • 2025年度(解説6項目)

    微分方程式と極座標 / 行列指数関数と二次形式 / 留数定理と偶数べきの級数和

  • 2024年度(解説6項目)

    微分方程式・対称積分・漸化式 / 対称行列の固有空間と直交射影 / 複素平面の領域・留数・半円弧の評価

  • 2023年度(解説6項目)

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  • 2022年度(このページ・解説6項目)

    楕円の接線と円錐の最適化 / ラプラス変換の微分則と初期値問題 / 可換な対称行列の同時対角化

  • 2021年度(解説8項目)

    変数を指数に持つ関数と逆三角関数の積分 / 位相の変換と複素数値の連立微分方程式 / 反対称行列の固有値・高次のべき・指数関数

2022年度の出題内容

解説6項目

この6問の分野は線形代数1問・微分積分・解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
数学1 問I—楕円の接線と円錐の最適化陰関数の勾配と接線の条件 / 円の場合への極限と誤った法線あり
数学1 問II微分積分・解析ラプラス変換の微分則と初期値問題—あり
数学2 問I線形代数可換な対称行列の同時対角化—あり
数学2 問II—二次曲面の直交変換と切り取られた体積—あり
数学3 問I—巻き数の異なる閉曲線と単位円への置換—あり
数学3 問II—ベルヌーイ観測とベータ事前分布の更新—あり

前年度(2021年度)との違い

大問数
2021年度 8問 → 2022年度 6問
2021年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2017〜2026
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
TOEFL iBT/ITP のスコア提出。
院試hubの最終確認
2026-10-22
東京大学の公式過去問PDF