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東京科学大 工学院 システム制御系 システム制御系 数学 2022年実施 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問の分野は確率・統計1問、線形代数1問、微分積分・解析1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 本試験:微積分・ラプラス変換・体積

方針

問1は,極限ではテイラー展開,最大値では xy,yz,zxxy,yz,zx に相加相乗平均をかけるのが最短である。 問3では,単に単位円全体を積分すると zz の上限が負になる部分まで含めてしまう。 まず 1−x−y≥01-x-y\geq0 を満たす底面だけを取り出すことが重要である。

検算

問3(1)は底面三角形の面積が 1/21/2,線形関数 1−x−y1-x-y の平均値が頂点平均で (1+0+0)/3=1/3(1+0+0)/3=1/3 だから,体積は h⋅(1/2)⋅(1/3)=h/6h\cdot(1/2)\cdot(1/3)=h/6 と確認できる。 問2は最終値定理でも lim⁡t→∞f(t)=lim⁡s→0sF(s)=11+ω2 \lim_{t\to\infty}f(t)=\lim_{s\to0}sF(s)=\frac{1}{1+\omega^2} となり,同じ結果を与える。

典型ミス

体積問題で x2+y2≤1x^2+y^2\leq1 全体をそのまま積分すると,負の高さを足し込むことになる。 また,log⁡(1+x)\log(1+x) の2次項の符号を逆にすると,極限の符号が反対になる。

試験で書くべきポイント

最大値問題では,等号成立条件 xy=yz=zxxy=yz=zx から x=y=zx=y=z と書き,その点が条件を満たすことまで示す。 体積では「高さが非負になる底面」を明記すると,積分範囲の選び方に説得力が出る。

解答

問1(1)

log⁡(1+x)\log(1+x) を x=0x=0 のまわりで展開すると, log⁡(1+x)=x−x22+x33+O(x4) \log(1+x)=x-\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{3}+O(x^4) である。したがって分子は x−log⁡(1+x)=x22−x33+O(x4) x-\log(1+x) =\frac{x^2}{2}-\frac{x^3}{3}+O(x^4) となるから, lim⁡x→0x−log⁡(1+x)x2=12. \lim_{x\to 0}\frac{x-\log(1+x)}{x^2} =\frac12.

問1(2)

x,y,z>0x,y,z>0 より,xy,yz,zxxy,yz,zx は正である。相加相乗平均の不等式を xy+yz+zx3≥(xy)(yz)(zx)3=(xyz)2/3 \frac{xy+yz+zx}{3}\geq \sqrt[3]{(xy)(yz)(zx)} =(xyz)^{2/3} に適用すると, (xyz)2/3≤k23. (xyz)^{2/3}\leq \frac{k^2}{3}. よって xyz≤(k23)3/2=k333. xyz\leq \left(\frac{k^2}{3}\right)^{3/2} =\frac{k^3}{3\sqrt{3}}. 等号成立条件は xy=yz=zxxy=yz=zx であり,正の範囲では x=y=zx=y=z を意味する。 このとき 3x2=k23x^2=k^2 だから x=y=z=k/3x=y=z=k/\sqrt3 で,上の値は実際に達成される。

問2(1)

f(t)=∫0te−τcos⁡ωτ dτ f(t)=\int_0^t e^{-\tau}\cos\omega\tau\,\mathrm d\tau なので,f(0)=0f(0)=0 かつ f′(t)=e−tcos⁡ωt f'(t)=e^{-t}\cos\omega t である。ラプラス変換を F(s)=L[f](s)F(s)=\mathcal L[f](s) と書くと, L[f′](s)=sF(s)−f(0)=sF(s). \mathcal L[f'](s)=sF(s)-f(0)=sF(s). また L[e−tcos⁡ωt](s)=s+1(s+1)2+ω2. \mathcal L[e^{-t}\cos\omega t](s) =\frac{s+1}{(s+1)^2+\omega^2}. したがって F(s)=s+1s{(s+1)2+ω2}. F(s)=\frac{s+1}{s\{(s+1)^2+\omega^2\}}.

問2(2)

t→∞t\to\infty での値は収束積分 ∫0∞e−τcos⁡ωτ dτ \int_0^\infty e^{-\tau}\cos\omega\tau\,\mathrm d\tau である。複素指数を使うと ∫0∞e−τcos⁡ωτ dτ=Re⁡∫0∞e−(1−iω)τ dτ=Re⁡11−iω=11+ω2. \int_0^\infty e^{-\tau}\cos\omega\tau\,\mathrm d\tau =\operatorname{Re}\int_0^\infty e^{-(1-i\omega)\tau}\,\mathrm d\tau =\operatorname{Re}\frac{1}{1-i\omega} =\frac{1}{1+\omega^2}.

問3(1)

高さは h(1−x−y)h(1-x-y) であり,体積に寄与するには 1−x−y≥01-x-y\geq 0 が必要である。 さらに x≥0, y≥0x\geq0,\ y\geq0 の部分では,底面は三角形 x≥0,y≥0,x+y≤1 x\geq0,\qquad y\geq0,\qquad x+y\leq1 になる。この三角形は単位円内に含まれるので,求める体積は V1=h∫01∫01−x(1−x−y) dy dx. V_1=h\int_0^1\int_0^{1-x}(1-x-y)\,\mathrm dy\,\mathrm dx. 内側を計算して ∫01−x(1−x−y) dy=(1−x)22 \int_0^{1-x}(1-x-y)\,\mathrm dy =\frac{(1-x)^2}{2} より, V1=h2∫01(1−x)2 dx=h6. V_1=\frac{h}{2}\int_0^1(1-x)^2\,\mathrm dx =\frac{h}{6}.

問3(2)

全体の底面は,単位円板から第1象限のうち x+y>1x+y>1 の円弧部分を除いた領域である。 単位円板全体での積分は対称性から ∬x2+y2≤1(1−x−y) dx dy=π. \iint_{x^2+y^2\leq1}(1-x-y)\,\mathrm dx\,\mathrm dy =\pi. 一方,第1象限の単位四分円での積分は π4−13−13=π4−23, \frac{\pi}{4}-\frac13-\frac13=\frac{\pi}{4}-\frac23, 三角形 x≥0, y≥0, x+y≤1x\geq0,\ y\geq0,\ x+y\leq1 での積分は問3(1)の hh を除いた値 16\frac16 である。したがって除かれる円弧部分での積分は (π4−23)−16=π4−56. \left(\frac{\pi}{4}-\frac23\right)-\frac16 =\frac{\pi}{4}-\frac56. この部分では 1−x−y<01-x-y<0 であるため,これを除くと全体の体積は V2=h{π−(π4−56)}=h(3π4+56). V_2 =h\left\{\pi-\left(\frac{\pi}{4}-\frac56\right)\right\} =h\left(\frac{3\pi}{4}+\frac56\right).

最終答

問1(1) 12,問1(2) k333,問2(1) F(s)=s+1s{(s+1)2+ω2},問2(2) 11+ω2,問3(1) V1=h6,問3(2) V2=h(3π4+56). \begin{gathered} \text{問1(1)}\ \frac12,\qquad \text{問1(2)}\ \frac{k^3}{3\sqrt3},\\ \text{問2(1)}\ F(s)=\frac{s+1}{s\{(s+1)^2+\omega^2\}},\qquad \text{問2(2)}\ \frac{1}{1+\omega^2},\\ \text{問3(1)}\ V_1=\frac{h}{6},\qquad \text{問3(2)}\ V_2=h\left(\frac{3\pi}{4}+\frac56\right). \end{gathered}

第2問 — 本試験:線形代数と行列指数

方針

問1は対称行列なので直交対角化できる。AnA^n は固有値だけを nn 乗すればよい。 問2は3次元回転の速度が「角速度ベクトルと位置ベクトルの外積」であることを行列表示する問題である。 問3は交代行列の指数が直交行列になることを示している。

検算

問2の CC は交代行列であるため, ddt∥x(t)∥2=2x(t)TCx(t)=0 \frac{\mathrm d}{\mathrm dt}\|x(t)\|^2 =2x(t)^TCx(t)=0 となる。これは円運動で原点からの距離が保存されることと一致する。 問3では det⁡(YYT)=det⁡I=1\det(YY^T)=\det I=1 から (det⁡Y)2=1(\det Y)^2=1 であり,問3(1)の det⁡Y=1\det Y=1 と整合する。

典型ミス

外積行列の符号を逆にすると,回転方向が逆になる。問題で pp の向きが角速度ベクトルの向きとして与えられているので, ωp×x\omega p\times x の順序で書く。x×px\times p では符号が逆である。

試験で書くべきポイント

行列指数の問題では,単に「直交行列」と書くだけでなく, (exp⁡X)T=exp⁡(XT)=exp⁡(−X) (\exp X)^T=\exp(X^T)=\exp(-X) を示すと導出として十分である。固有値を使う行列式の議論では,純虚数ペアの指数が互いに打ち消すことを書く。

本試験:線形代数と行列指数の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 本試験:確率分布・ベイズ推定

方針

正規分布のモーメント母関数は,指数部を平方完成して「正規密度の全積分」に帰着する。 独立な確率変数の和ではモーメント母関数が積になるため,指数部の θ\theta と θ2\theta^2 の係数を比較すればよい。

検算

Y=X1+X2Y=X_1+X_2 と Z=X1−X2Z=X_1-X_2 はどちらも分散が 2σ022\sigma_0^2 である。 モーメント母関数の θ2\theta^2 係数は分散の半分なので,両方とも係数が 11 であることは σ02=1\sigma_0^2=1 と一致する。

典型ミス

検査問題では P(+∣D)P(+\mid D) と P(D∣+)P(D\mid +) を取り違えやすい。 罹患率が下がると,感度が同じでも事後確率は大きく下がる。問2(2)で 0.60m0.60^m だけを見るのではなく, 偽陽性側の 0.04m0.04^m も同時に比較する必要がある。

試験で書くべきポイント

問2(2)は,単に m=2m=2 と答えるだけではなく, P(D∣+m)=0.05⋅0.60m0.05⋅0.60m+0.95⋅0.04m P(D\mid +^m) = \frac{0.05\cdot0.60^m} {0.05\cdot0.60^m+0.95\cdot0.04^m} を立てることが得点の中心である。最後に m=1m=1 は不足,m=2m=2 は条件を満たす,と最小性まで確認する。

本試験:確率分布・ベイズ推定の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 本試験:常微分方程式

方針

問1は1階線形方程式であり,未定係数法でも積分因子法でも解ける。 問2は係数行列を対角化すると,連立方程式が2本の1階方程式に分かれる。 右辺の e2te^{2t} は固有値 22 と共鳴するため,y1y_1 に te2tte^{2t} の項が現れる。

検算

問2の初期値を代入すると u1(0)=8+133=373,u2(0)=4−73=53 u_1(0)=8+\frac{13}{3}=\frac{37}{3},\qquad u_2(0)=4-\frac{7}{3}=\frac53 であり,指定された初期条件を満たす。

典型ミス

問2で特解を成分ごとに直接仮定してもよいが,固有値 22 と外力 e2te^{2t} が重なるため, 単純な Ae2tAe^{2t} だけでは足りない成分が出る。対角化してから解くと,共鳴する成分が明確になる。

試験で書くべきポイント

対角化を使う場合は,固有値・固有ベクトル,変換後の初期値,変換後の外力を順に示す。 最終答案では u1,u2u_1,u_2 を元の変数で書き戻すところまで忘れない。

本試験:常微分方程式の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(7年度)

  • 2025年度(全4問)

    ベクトル解析・極値・フーリエ変換 / 線形代数・最小二乗 / 多項分布・検定・KLダイバージェンス

  • 2024年度(全4問)

    微積分・複素積分 / 線形代数 / 多変量正規分布

  • 2023年度(全4問)

    ベクトル解析 / 線形代数と二次形式 / 確率と最小二乗法

  • 2022年実施(このページ・全4問)

    本試験:微積分・ラプラス変換・体積 / 本試験:線形代数と行列指数 / 本試験:確率分布・ベイズ推定

  • 2023年4月入学追試験(全4問)

    追試験:微積分・複素写像・体積 / 追試験:行列・連立一次方程式・最小二乗 / 追試験:統計量と仮説検定

  • 2022年4月入学追試験(全4問)

    極限・複素積分・面積と体積 / 行列と微分写像 / ベイズ推定と最尤推定

  • 2021年度(全4問)

    本試験:極限・複素積分・二項級数 / 本試験:固有値・Jordan標準形・行列指数 / 本試験:確率分布・モーメント母関数

2022年実施の出題内容

全4問

この4問の分野は確率・統計1問・線形代数1問・微分積分・解析1問・微分方程式1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析微積分・ラプラス変換・体積—あり
第2問線形代数線形代数と行列指数—あり
第3問確率・統計確率分布・ベイズ推定—あり
第4問微分方程式常微分方程式—あり

2022年実施の解説には検算4件・試験で書くべきポイント4件・典型ミス4件が付いています。

前年度(2023年4月入学追試験)との違い

大問数
2023年4月入学追試験 4問 → 2022年実施 4問
2023年4月入学追試験の解答例

東京科学大学の公式過去問

公開年度範囲
主に2021〜2025年実施(数学系は2020〜2024年実施)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
2027年4月・2026年9月入学の理工学系修士は、数学系を除きTOEIC L&R・TOEFL iBT・Home Editionの外部スコアを使用。数学系は独自英語筆答が必須で、外部スコアによる免除はありません。提出期限は系別です。
院試hubの最終確認
2026-10-15
東京科学大学の公式過去問PDF