院試物理の参考書・問題集
物理の院試で使う教科書・演習書を、解けなかった箇所から選ぶ方法。考える力学、原島の力学、電磁気学、量子力学I、熱統計力学、大学院入試問題集の章・版・解答の範囲を照合し、過去問へ戻る手順を説明します。
最終更新: 2026-10-24
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収録年度・解説の見本・価格を、各商品ページで確認できます。
物理の院試で使う参考書は、過去問で止まった箇所から選びます。 運動方程式や状態を定義できないなら教科書の説明へ、説明は分かるのに別の問題で手が動かないなら演習へ戻ります。 すでに持っている本で補える場合は、買い足す必要はありません。
ここでは力学・電磁気学・量子力学・熱統計力学を扱います。 機械工学でいう材料力学・流体力学・熱力学・機械力学の準備は、機械系の4力学の説明を参照してください。 物理系でも数学や実験などを課す試験があるため、4分野だけで全科目がそろうとは限りません。
解けなかった箇所から、説明と演習を選ぶ
答案の最初に書けなかった行を記録すると、必要な教材を絞れます。 例えば「量子が苦手」ではなく、「有限井戸の左右でどの解を残すか決められない」まで具体化します。 解法を読んで納得できても、条件を変えた問題で自分で式を立てられるかは別に確かめます。
| 答案で止まる箇所 | 教科書へ戻る内容 | 演習で確かめること |
|---|---|---|
| 拘束された物体の運動方程式が書けない | 自由度、座標、拘束条件。Newtonの式で扱うか、一般化座標を使うか | 座標を選び、運動エネルギーと位置エネルギーを自分で表す |
| Gaussの法則を知っていても電場を求められない | 場の対称性と積分面。導体・誘電体の性質と境界条件 | 電場が一定と置ける部分、向き、電束に寄与しない面を説明する |
| 量子の一般解から係数やエネルギーを決められない | 領域ごとの解、接続条件、無限遠での振る舞い、規格化 | 必要な条件を選び、求めた状態を元の式へ戻して調べる |
| 分配関数や自由エネルギーの式を選べない | 熱・粒子の出入り、固定する量、微視的状態の数え方 | 選んだ集団の理由と、微分するとき一定に保つ変数を示す |
以下は出版社の紹介・目次から確認した範囲と、それに基づく使い方の提案です。 書名だけでなく巻・版を確認し、手元の本の目次と照合してください。
力学:運動方程式から解析力学へ
兵頭俊夫『考える力学 第2版』
学術図書出版社の目次では、第4章が運動方程式の解法、第5章が仕事とエネルギー、 第8〜9章が座標系の相対運動、第10章が二体問題、第11〜12章が質点系・剛体、第13章が解析力学です。 運動方程式の意味や、どの座標系で立てているかが曖昧なら、対応する章から確認する候補になります。
第13章で解析力学へ進めます。ただし、目次だけでは正準変換など各項目の説明・演習の量までは判断できません。 志望先の問題に出てきた用語・計算を索引と本文で探し、説明や演習が不足した項目を次の教材で補います。
原島鮮『力学(新装版)』
裳華房の2022年新装版は、振動が3.3〜3.4節、非慣性系が第7章、剛体が第9章。 第10〜13章で仮想変位、ダランベールの原理、ハミルトンの原理、ラグランジュの運動方程式を扱い、 第14章が正準方程式、第15章が正準変換です。
一般化座標を選んだ後の立式や、正準変数の扱いを整理したい場合の候補です。 同書の巻末は「問題解答指針」です。途中式の詳しさは、購入前に見本や実物で確認してください。一般化座標・保存量・正準変換の確認方法と照らして、読み直す範囲を決めてください。
電磁気:場の対称性と境界条件を確かめる
中山正敏『電磁気学』は、裳華房の詳細目次で、 1.4〜1.6節がGaussの法則・電場計算・電位、3.5節が異種誘電体の境界、 第6章が電磁誘導、第7章が電磁波です。巻末に問題解答があることも確認できます。
電束の式だけ覚えて電場を取り出せないなら、先に対称性と積分面を確認します。 媒質が変わる問題で止まるなら、第3章の電場・電束密度と境界の説明へ戻ります。 波の問題では、静電場の計算だけで準備を終えず、第7章のMaxwell方程式・波動・反射透過を照合してください。電磁気の論点別の確認項目も使えます。
量子:状態の定義と近似の条件に戻る
小出昭一郎『量子力学(I)(新装版)』は、裳華房の2022年新装版の目次で、 第4章が中心力、第6章が状態ベクトルと演算子、第7章が摂動論・変分法、第8章がスピンを扱います。 波動関数の計算と、状態ベクトル・演算子の意味がつながっていない場合は、第6章を対応させて読み直せます。
摂動公式の分母や、縮退があるときの扱いが分からなければ、第7章の前提から確認します。 I巻は一粒子の量子力学を中心とする本です。同種粒子や多粒子が受験範囲なら、II巻などの目次も確認してください。 問題集として選ぶときは、購入前に問題・解答の掲載形式も確認します。
境界条件、規格化、摂動の次数、粒子交換の条件を具体的に点検する方法は、院試の量子力学の説明にまとめています。
熱・統計:固定する量と集団を選ぶ
阿部龍蔵『熱統計力学』は、裳華房の詳細目次で、 第1〜2章が熱力学の第一・第二法則、2.7〜2.8節が熱力学関数と化学ポテンシャル、 第6章が正準集団・大正準集団、第7〜9章が量子統計・Fermi気体・Bose気体です。巻末に問題解答があります。
熱と仕事の区別や固定する変数で迷うなら、第1〜2章から。 分配関数を立てる段階で止まるなら、第6章で系と熱浴、粒子数の扱いを確認します。 粒子統計の問題では、古典的な数え上げをそのまま使わず、第7〜9章で占有数と状態の扱いを照合してください。統計力学の式と適用条件にも、集団・微分する変数・揺らぎの確認方法があります。
院試問題集で、同じ分野の演習を増やす
小林奈央樹・森山修著、香取眞理監修の『詳解と演習 大学院入試問題〈物理学〉』は、 数理工学社から2016年に刊行された分野別の演習書です。 第1章が古典力学、第2章が電磁気学、第3章が熱力学、第4章が量子力学、第5章が統計力学、第6章が物理実験・物理数学。 出版社の目次では各章に例題と演習問題があり、巻末に演習問題解答があります。
教科書の説明は分かるものの立式の練習が足りない場合に、必要な分野の例題と演習を選べます。 解答を読んだ問題は、何を仮定してどの式を選んだかを自分で書き直し、次に別の問題を解きます。 志望校の現在の出題形式と範囲は、最新の公式問題で確認してください。
微分方程式や行列計算の段階で止まる場合は、物理の本を増やす前に、数学の参考書・問題集の使う章も確認してください。 物理の設定は正しくても計算を進められない、という不足を分けて扱えます。
参考書を読んだ後に、過去問で確かめる
- 志望先の公式問題を解き、止まった行と不足した定義・計算を記録する。
- 教科書の該当箇所を読み、例題で使っている前提と式を自分で説明する。
- 同じ分野の別の演習問題で、解答を見ずに立式・計算・検算を行う。
- 元の過去問へ戻り、その年度の時間・必答・選択の指示に従って答案を作る。
教科書の全ページを読み終えたかより、過去問で不足していた操作ができるようになったかを確認します。 残り日数が短い場合も、一律に量子や統計を外すのではなく、必須の試験範囲と自分がまだ説明できない項目から予定を立ててください。
大学の問題本文と、院試Hubの解答・解説PDFは別です。 下記の販売ページでは、対応する公式問題へのリンク、収録年度、紙面見本、価格を確認できます。 ここで紹介した市販書籍そのものを販売するページではありません。
- 京都大学・物理学/宇宙物理学の解答PDF:2022〜2026年度。収録範囲と、確定答案を収録していない箇所も販売ページで確認できます。
- 名古屋大学・物理学の解答PDF:2020年度と2022〜2026年度。2021年度は含みません。
- 東京都立大学・物理の解答PDF:夏季・冬季を実施回ごとに確認できます。収録のない年度・回もあるため、必要な回が含まれるか照合してください。
書名・版・目次の確認日:2026年10月24日。各書名のリンクは出版社の案内です。 旧版では章番号・ページが異なる場合があります。正誤情報が公開されている本は、手元の版・刷に合うものを確認してください。
大学別の解答・解説PDF
収録年度・解説の見本・価格を、各商品ページで確認できます。
よくある質問
- 物理の院試対策では、紹介されている本を全部買う必要がありますか。
- 必要ありません。まず募集要項と過去問で科目を確認し、手元の教科書に必要な説明と練習問題があるか調べます。定義や導出を説明でき、別の問題でも立式できるなら、同じ範囲の本を追加する前に志望先の過去問へ進めます。
- 『考える力学』だけで力学の院試を準備できますか。
- 第2版には運動方程式、エネルギー、相対運動、二体問題、剛体に加え、第13章に解析力学があります。ただし、章名があることだけでは志望先の設問を解けるとは判断できません。必要な正準変換や小振動などを自分の本と過去問で照合し、不足した説明・演習だけを補います。
- 院試問題集を1冊終えれば、志望校の過去問は不要ですか。
- 分野別の問題集では、今の志望校の必答・選択、試験時間、数学や実験の出題まで同じとは限りません。必要な分野を練習した後、志望先の公式問題をその年度の解答指示に従って解きます。