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東大 相関基礎科学系の過去問・解答|2026年度数学の全16小問

東京大学総合文化研究科・相関基礎科学系の公式過去問と、2026年度数学第1問の全16小問を掲載。微分方程式、正規分布、行列の極限、波動方程式、勾配法を途中式から解説します。15問から3問を選ぶ試験形式、英語問題の公開範囲も確認できます。

最終更新: 2026/10/19

東京大学の研究科別・公式過去問を見る

相関基礎科学系は、東京大学大学院総合文化研究科・広域科学専攻の系です。過去問は系の公式サイトで公開されています。ここでは公式PDFへのリンクと、2026年度総合科目の数学第1問・全16小問の解答を掲載します。解答解説は院試Hubによるものです。

相関基礎科学系の公式過去問PDF

相関基礎科学系の公式過去問一覧は、入学年度と実施年を併記しています。2026年度は2025年、2025年度は2024年に実施された試験です。

入学年度実施年公式PDF
202620252026年度総合科目
202520242025年度総合科目
202420232024年度総合科目

公式一覧には2001〜2020年度の問題もあります。2014年度以降の掲載分は総合科目、2013年度以前は基礎科目と専門科目に分かれています。2021〜2023年度の問題へのリンクは、確認した一覧にはありません。掲載の欠落だけで試験がなかったとは判断できません。

外国語(英語)と専門語学の問題は、著作権上の理由で非掲載です。2026年度には総合科目の出題意図があり、数学は微分方程式、ガウス分布、固有値・固有ベクトル、最適化などの基礎を評価すると説明されています。出題意図には解答の計算過程はありません。

2026年度は210分で15問から3問を選ぶ

2026年度問題の表紙によると、試験は2025年7月19日9時30分〜13時で、第1〜15問から3問を選択します。答案用紙は問題ごとに1枚を使い、両面使用が認められています。特に指定がなければ、日本語または英語で解答します。

問題番号分野
第1問数学
第2〜5問物理学
第6〜9問化学
第10・11問生物学・生物物理学
第12〜15問科学史・科学哲学

以下で解説するI〜Vは、すべて数学の第1問に含まれます。選択する3問のうち、数学で占めるのは1問です。他の2問も含め、210分で選択と答案作成が終わるかを公式問題で確認してください。ここで説明した形式は2026年度のものです。受験する年度の条件は系の入試案内と募集要項で確認します。

I 変数変換による常微分方程式

x>1で定義された実関数yについて、次の方程式を解く。

(x−1)2y′′+2(x−1)y′+y=0.(x-1)^2y''+2(x-1)y'+y=0.

(1) zの方程式

連鎖律で一階・二階の微分を計算する。

z′(t)=(x−1)y′(x),z′′(t)=(x−1)y′(x)+(x−1)2y′′(x).\begin{aligned}z'(t)&=(x-1)y'(x),\\z''(t)&=(x-1)y'(x)\\&\quad+(x-1)^2y''(x).\end{aligned}

原方程式に代入すると

z′′−z′+2z′+z=0,z′′+z′+z=0.\begin{aligned}z''-z'+2z'+z&=0,\\z''+z'+z&=0.\end{aligned}

二階微分には一階微分の項も生じる。この項を落とすと、変換後の係数が違ってしまう。

(2) 一般解

特性方程式とその根は

r2+r+1=0,r=−1±i32.r^2+r+1=0,\qquad r=\frac{-1\pm i\sqrt3}{2}.

実数値の一般解は

z(t)=e−t/2(C1cos⁡ωt+C2sin⁡ωt),ω=32.\begin{aligned}z(t)&=e^{-t/2}(C_1\cos\omega t+C_2\sin\omega t),\\\omega&=\frac{\sqrt3}{2}.\end{aligned}

t=log(x−1)を戻すと、x>1で

y(x)=C1cos⁡θ+C2sin⁡θx−1,θ=32log⁡(x−1).\begin{aligned}y(x)&=\frac{C_1\cos\theta+C_2\sin\theta}{\sqrt{x-1}},\\\theta&=\frac{\sqrt3}{2}\log(x-1).\end{aligned}

C₁、C₂は任意の実定数。x>1の条件により対数と平方根は実数で定義される。

II 正規分布の平均・共分散・6次モーメント

Aを正定値対称行列、bを列ベクトル、Zを規格化定数とし、確率密度が次の形で与えられている。

f(x)=1Zexp⁡(−xTAx+xTb).f(x)=\frac1Z\exp(-x^{\mathsf T}Ax+x^{\mathsf T}b).

(1) 一変数の平均と分散

一変数ではA=α>0、b=βと置き、指数を平方完成する。

−αx2+βx=−α(x−β2α)2+β24α.\begin{aligned}-\alpha x^2+\beta x&=-\alpha\left(x-\frac\beta{2\alpha}\right)^2\\&\quad+\frac{\beta^2}{4\alpha}.\end{aligned}

正規分布の指数における中心と二次の係数を比較すると

μ=β2α,σ2=12α.\mu=\frac{\beta}{2\alpha},\qquad \sigma^2=\frac1{2\alpha}.

問題では導出不要だが、分散の係数2を確かめるには平方完成が使える。

(2) 多変数の平均と共分散

Aが正定値対称なので逆行列が存在する。μ=(1/2)A⁻¹bと置けば

−xTAx+xTb=−(x−μ)TA(x−μ)+14bTA−1b.\begin{aligned}-x^{\mathsf T}Ax+x^{\mathsf T}b &=-(x-\mu)^{\mathsf T}A(x-\mu)\\&\quad+\frac14b^{\mathsf T}A^{-1}b.\end{aligned}

多変量正規分布の指数−(1/2)(x−μ)ᵀΣ⁻¹(x−μ)と対応させると

μ=12A−1b,Σ=12A−1.\mu=\frac12A^{-1}b,\qquad\Sigma=\frac12A^{-1}.

(3) 平均のまわりの6次モーメント

Y=X−μの密度をgとすると、g′(y)=−2αyg(y)が成り立つ。これを使い、部分積分すると

g(y)=απ e−αy2,g(y)=\sqrt{\frac\alpha\pi}\,e^{-\alpha y^2},
E[Y2m]=−12α∫Ry2m−1g′(y) dy=2m−12αE[Y2m−2].\begin{aligned}\mathbb E[Y^{2m}] &=-\frac1{2\alpha}\int_{\mathbb R}y^{2m-1}g'(y)\,dy\\ &=\frac{2m-1}{2\alpha}\mathbb E[Y^{2m-2}].\end{aligned}

ガウス関数は多項式より速く減衰するため境界項は0。m=1、2、3と適用し、E[Y⁰]=1から

E[(X−μ)6]=5⋅3⋅1(2α)3=158α3.\begin{aligned}\mathbb E[(X-\mu)^6]&=\frac{5\cdot3\cdot1}{(2\alpha)^3}\\&=\frac{15}{8\alpha^3}.\end{aligned}

III 対称行列の累乗と漸化式

A=110(50405−34−35).A=\frac1{10}\begin{pmatrix}5&0&4\\0&5&-3\\4&-3&5\end{pmatrix}.

(1)(a) 固有値

M=10Aとし、q=5−10λと置く。行列式を展開すると

det⁡(M−10λI)=q(q2−9)−16q=q(q2−25).\begin{aligned}\det(M-10\lambda I)&=q(q^2-9)-16q\\&=q(q^2-25).\end{aligned}

q=0、5、−5から固有値は1/2、0、1。それぞれの固有ベクトルとして

v=(3,4,0)T,n=(4,−3,−5)T,w=(4,−3,5)T\begin{aligned}v&=(3,4,0)^{\mathsf T},\\n&=(4,-3,-5)^{\mathsf T},\\w&=(4,-3,5)^{\mathsf T}\end{aligned}

が取れる。3本は互いに直交しており、Av=v/2、An=0、Aw=wを直接確認できる。

(1)(b) Aの累乗の極限

対称行列の直交分解から、整数m≥1について

Am=wwT50+2−mvvT25.A^m=\frac{ww^{\mathsf T}}{50}+2^{-m}\frac{vv^{\mathsf T}}{25}.

固有値0の方向は最初の作用で消える。m→∞では固有値1の方向の射影だけが残り、

A‾=150(16−1220−129−1520−1525).\overline A=\frac1{50} \begin{pmatrix}16&-12&20\\-12&9&-15\\20&-15&25\end{pmatrix}.

(2)(c) 初期値(1,0,0)からの極限

uₙ=(xₙ,yₙ,zₙ)ᵀと置くとuₙ=Aⁿ⁻¹u₁。よって極限はĀの第1列で、

(xˉ,yˉ,zˉ)=(825,−625,25).(\bar x,\bar y,\bar z)=\left(\frac8{25},-\frac6{25},\frac25\right).

(2)(d) x₆=5、y₆=0からz₆を求める

nが核のベクトルでAは対称なので、nᵀAu=0が任意のuで成り立つ。u₆=Au₅はnに直交し、4x₆−3y₆−5z₆=0。したがって

z6=4.z_6=4.

逆行列は使えない。Aの固有値に0があるため、像に入ったベクトルの条件を使う。

(2)(e) さらにz₁=0のときの初期値

u₆=A⁵u₁に対し、w方向は変わらず、v方向は2⁻⁵倍になる。u₆=(5,0,4)ᵀから

wTu1=wTu6=40,vTu1=32vTu6=480.\begin{aligned}w^{\mathsf T}u_1&=w^{\mathsf T}u_6=40,\\ v^{\mathsf T}u_1&=32v^{\mathsf T}u_6=480.\end{aligned}

z₁=0を用いると4x₁−3y₁=40、3x₁+4y₁=480。これを解いて

x1=64,y1=72.x_1=64,\qquad y_1=72.

第1項から第6項までは更新が5回なので、倍率は2⁻⁵になる。

IV 波動方程式と時間に依存する外力

(1) 初期変位sin x、初期速度eˣ

ダランベールの公式から

u0(x,t)=sin⁡(x+t)+sin⁡(x−t)2+12∫x−tx+ter dr=sin⁡xcos⁡t+exsinh⁡t.\begin{aligned}u_0(x,t)&=\frac{\sin(x+t)+\sin(x-t)}2\\&\quad+\frac12\int_{x-t}^{x+t}e^r\,dr\\ &=\sin x\cos t+e^x\sinh t.\end{aligned}

t=0でu₀=sin x、∂ₜu₀=eˣとなり、∂ₜ²u₀−∂ₓ²u₀=0も成り立つ。

(2) 時刻sで初期速度xsを与える

sを固定し、時間をt−sだけずらす。同じ公式から

ws(x,t)=12∫x−(t−s)x+(t−s)rs dr=xs(t−s).\begin{aligned}w_s(x,t)&=\frac12\int_{x-(t-s)}^{x+(t-s)}rs\,dr\\&=xs(t-s).\end{aligned}

これはt=sで0、その時間微分はxsであり、二階の空間・時間微分はどちらも0。

(3) 外力xtを持つ非同次方程式

前問の解をsについて積分すると

U(x,t)=∫0txs(t−s) ds=xt36.\begin{aligned}U(x,t)&=\int_0^t xs(t-s)\,ds\\&=\frac{xt^3}{6}.\end{aligned}

U(x,0)=∂ₜU(x,0)=0で、∂ₜ²U−∂ₓ²U=xt。したがって求める解は

u(x,t)=sin⁡xcos⁡t+exsinh⁡t+xt36.\begin{aligned}u(x,t)&=\sin x\cos t+e^x\sinh t\\&\quad+\frac{xt^3}{6}.\end{aligned}

積分の向きも含めた式なのでt<0にもそのまま成り立つ。

V 勾配法の収縮率

fは実数全体で2回連続微分可能とする。最小点x*に近づく反復が、次の式で定義されている。

xk+1=xk−1Lf′(xk).x_{k+1}=x_k-\frac1L f'(x_k).

(1) 四次関数の場合

f(x)=12x2+14x4.f(x)=\frac12x^2+\frac14x^4.

f′(x)=x+x³、f″(x)=1+3x²より、最小点はx*=0、[−1,1]上でL=4。更新式は

xk+1=3−xk24xk.x_{k+1}=\frac{3-x_k^2}{4}x_k.

|xₖ|≤1なら1/2≤(3−xₖ²)/4≤3/4。したがって

∣xk+1−x∗∣≤34∣xk−x∗∣.|x_{k+1}-x^*|\le\frac34|x_k-x^*|.

この評価から区間[−1,1]にとどまることも帰納的に分かる。

(2)(a) 二階微分の上下限

ここからは、K>μ>0を満たす定数K、μがあり、任意の実数x、yで次の2条件が成り立つ場合を考える。

f(y)≥f(x)+f′(x)(y−x)+μ2(y−x)2,\begin{aligned}f(y)&\ge f(x)+f'(x)(y-x)\\&\quad+\frac\mu2(y-x)^2,\end{aligned}
∣f′(x)−f′(y)∣≤K∣x−y∣.|f'(x)-f'(y)|\le K|x-y|.

強凸性の不等式でy=x+hとすると

f(x+h)−f(x)−f′(x)hh2≥μ2.\frac{f(x+h)-f(x)-f'(x)h}{h^2}\ge\frac\mu2.

fがC²なのでh→0の左辺はf″(x)/2に収束し、f″(x)≥μ。一方、導関数のLipschitz条件をh≠0で割ると

∣f′(x+h)−f′(x)h∣≤K.\left|\frac{f'(x+h)-f'(x)}h\right|\le K.

h→0で|f″(x)|≤K。合わせてμ≤f″(x)≤K。

(2)(b) 一般の収縮率

最小点ではf′(x*)=0。xₖ=x*なら次もx*なので主張は成り立つ。それ以外では平均値の定理により、xₖとx*の間のξₖを用いて

f′(xk)−f′(x∗)=f′′(ξk)(xk−x∗).f'(x_k)-f'(x^*)=f''(\xi_k)(x_k-x^*).

L=Kを更新式に代入して

xk+1−x∗=(1−f′′(ξk)K)(xk−x∗).x_{k+1}-x^*=\left(1-\frac{f''(\xi_k)}K\right)(x_k-x^*).

前問から括弧内は0以上1−μ/K以下。絶対値を取れば

∣xk+1−x∗∣≤(1−μK)∣xk−x∗∣.|x_{k+1}-x^*|\le\left(1-\frac\mu K\right)|x_k-x^*|.

反復して|xₖ−x*|≤(1−μ/K)ᵏ|x₀−x*|。0<1−μ/K<1なので任意の初期値から最小点へ収束する。

他研究科の問題を探す場合

数理科学研究科、理学系研究科、工学系研究科では、試験科目や解答指定が異なります。東大の研究科別公式過去問から、志望する研究科の配布先を確認できます。

よくある質問

相関基礎科学系の過去問はどこで入手できますか。

東京大学総合文化研究科広域科学専攻・相関基礎科学系の公式サイトで公開されています。2026年10月19日の確認時点では、2024〜2026年度と2001〜2020年度の問題が掲載されています。2021〜2023年度の問題へのリンクは同一覧にありません。年度は入学年度で、2026年度問題は2025年実施です。

2026年度の総合科目は何問解きますか。

2025年7月19日実施の2026年度問題は、210分で15問から3問を選びます。問題ごとに答案用紙1枚を使い、裏面も使用できます。数学は第1問で、I〜Vの16小問から構成されています。

数学第1問の解説は全部ありますか。

このページでI〜Vの全16小問を解説しています。常微分方程式、正規分布、対称行列と漸化式、波動方程式、勾配法の順です。総合科目の第2〜15問の解答は、このページには含まれません。

英語の過去問や公式解答は公開されていますか。

公式一覧には、外国語(英語)と専門語学の問題は著作権上の理由で掲載していないとあります。2026年度の総合科目には出題意図が掲載されていますが、解答例は同一覧にありません。ここに載せた数学の解答解説は院試Hubによるものです。

公式過去問と併用する解答・解説PDFを、東京大学の研究科・科目別に掲載しています。収録年度と価格は各ページで確認できます。

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