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京大 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2027年度 院試 過去問 解答例・解説(解説7項目)

解説7項目の分野は微分積分・解析3項目です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 円の内部の広義積分

α=1\alpha =1ならI=2I=2です。極座標の面積要素rrを落とすと、値だけでなく収束条件も変わるため注意します。

円の内部の広義積分の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 実数上での対角化

重解を持つ行列が常に対角化できないわけではありません。この問題では、a=−1a=-1と1515の固有空間を実際に計算して除外しています。

解答

原題の行列をAAとします。実数上で対角化するには、固有値が実数で、重複する固有値にも重複度に等しい次元の固有空間が必要です。

A=(211−2a123a32) A=\begin{pmatrix}2&1&1\\-2a&1&2\\3a&3&2\end{pmatrix}

特性多項式を展開して因数分解します。

det⁡(λI−A)=λ3−5λ2+(2−a)λ+8−a=(λ+1)((λ−3)2−a−1). \begin{gathered}\det(\lambda I-A)\\ =\lambda^3-5\lambda^2+(2-a)\lambda+8-a\\ =(\lambda+1)\bigl((\lambda-3)^2-a-1\bigr). \end{gathered}

λ=−1,3+a+1,3−a+1 \lambda=-1,\qquad 3+\sqrt{a+1},\qquad3-\sqrt{a+1}

a<−1a<-1では非実数の固有値を持つため、実数上で対角化できません。a>−1a>-1では後の22つは相異なる実数です。このうち−1-1と一致し得るのは3−a+13-\sqrt{a+1}で、一致するのはa=15a=15です。

境界のa=−1a=-1では、固有値33が重複度22です。その固有空間を調べます。

A−3I=(−1112−22−33−1)(a=−1) A-3I=\begin{pmatrix}-1&1&1\\2&-2&2\\-3&3&-1\end{pmatrix} \quad(a=-1)

第11・22行と第11・33列で作る22次小行列式は−4-4で、階数は22以上です。全体の行列式は00なので階数は22。よって固有空間の次元は11しかなく、対角化できません。

すなわち、dim⁡ker⁡(A−3I)=3−2=1<2\dim\ker(A-3I)=3-2=1<2です。

a=15a=15では、今度は固有値−1-1が重複度22です。

A+I=(311−30224533)(a=15) A+I=\begin{pmatrix}3&1&1\\-30&2&2\\45&3&3\end{pmatrix} \quad(a=15)

第11・22行と第11・22列の22次小行列式は3636です。全体の行列式は00なので、この行列も階数22で、固有空間は11次元です。

したがって、dim⁡ker⁡(A+I)=1<2\dim\ker(A+I)=1<2です。

残るa>−1a>-1、a≠15a\ne 15では33つの固有値がすべて相異なる実数です。それぞれに対応する実固有ベクトルは一次独立なので、対角化できます。

最終答

a∈(−1,15)∪(15,∞)a\in(-1,15)\cup(15,\infty)。

第3問 — 核・像と次元

この証明で省けないのは、制限写像ggの核を特定する部分です。ker⁡f\ker fがIm⁡f\operatorname{Im} fに含まれることを先に示すと、なぜggの核がkk次元なのかを説明できます。

核・像と次元の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 一様収束

各点での収束だけではこの結論は出ません。例えばf(x)=e−xf(x)=e^{-x}なら、各x>0x>0でne−nxne^{-nx}は00へ収束します。しかしxxを00へ近づけたときの上限はnnで、一様収束はしません。動く点x=t/nx=t/nに誤差評価を使えるかが、この証明の分かれ目です。

一様収束の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 留数による広義積分

cos⁡2πz\cos ^{2}\pi zをそのまま半円へ延長すると、虚方向に増大する項が混ざります。上半平面で有界なeibze^{ibz}の積分へ分けたことで、半円部分を00にする評価が使えます。

留数による広義積分の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 球面への写像の正則値

角度00の近くでは、00の両側に取った実数の角度を局所座標に使います。0≤θ<2π0\le \theta <2\pi という代表の取り方に端点があっても、円周上の微分には支障がありません。

球面への写像の正則値の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 3進表示と相対位相

開閉性を判断する空間はXXです。図の太線が示す区間全体がAAになるわけではありません。 先頭2桁が (0,2)(0,2) の場合、A⊂[2/9,1/3]A\subset[2/9,1/3] ですが、次の段階で (7/27,8/27)(7/27,8/27) を除きます。例えばその中点 5/185/18 は、この区間には属しても XX には属しません。 証明で (x−δ,x+δ)∩X(x-\delta,x+\delta)\cap X と交わりを取るのは、XX の外の点を開集合の判定から除くためです。

3進表示と相対位相の途中式・最終答をPDFで見る

基礎科目の解答・解説PDF

2020〜2027年度のうち7年度 · ¥3,200

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年度別の解答例(7年度)

  • 2027年度(このページ・解説7項目)

    円の内部の広義積分 / 実数上での対角化 / 核・像と次元

  • 2026年度(解説7項目)

    広義積分の収束範囲 / 行列の階数 / 可換な行列全体の次元

  • 2025年度(解説7項目)

    回転対称な積分 / 三次行列の固有値 / 交換子と対角化可能行列

  • 2024年度(解説7項目)

    極座標による二重積分 / 三角型に近い行列の固有値と階数 / 核と像の直和分解

  • 2023年度(解説6項目)

    二次形式の球殻積分 / 二つの核の共通部分 / 可換な対角化可能写像

  • 2022年度(解説6項目)

    極座標で見る収束条件 / 四つのベクトルの一次独立性 / 有限アーベル群の部分群の数え上げ

  • 2020年度(解説7項目)

    第1八分球での単項式積分 / パラメータ付き三次行列の固有値 / 右逆写像からの直和分解

2027年度の出題内容

解説7項目

この7問の分野は微分積分・解析3問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析円の内部の広義積分—あり
第2問—実数上での対角化—あり
第3問—核・像と次元—あり
第4問微分積分・解析一様収束—あり
第5問微分積分・解析留数による広義積分—あり
第6問—球面への写像の正則値—あり
第7問—3進表示と相対位相—あり

前年度(2026年度)との違い

大問数
2026年度 7問 → 2027年度 7問
2026年度の解答例

京都大学の公式過去問

公開年度範囲
1989〜2027(2021年度は試験場での筆記試験なし)
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
2027年度は独自の英語筆答試問(15分・100〜200語)。数学・数理解析専攻にはTOEFLスコア提出の指定はない。
院試hubの最終確認
2026-10-16
京都大学の公式過去問PDF