北大 理学院 数学専攻(博士後期課程) 数学 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(解説4項目)
解説4項目の分野は線形代数2項目、位相・幾何1項目、微分積分・解析1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。
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第1問 — 像と核が等しい線形写像の基底
設問(1) 関係式に線形写像を作用させる
ベクトルの組が一次独立であるとは、その線形結合が0になるとき全ての係数が0に限られるという条件である。 の組が基底なのは像の中であり、 を加えた組の独立性は別に示す必要がある。
本問では を作用させると は消え、 は へ移る。関係式から片方の係数だけを取り出せる構造になっている。ここで が消える理由は、像と核が等しいという仮定である。像のベクトルが一般に核にも入るわけではない。
係数を求める順序にも意味がある。まず を示し、それを元の式に戻して を示した。 を作用させた式だけでは の情報は全て消えているため、その式だけから全係数が0だと結論してはいけない。
例えば 、 で と取ると、、 と任意の実数 を使って選べる。二本を列に並べた行列の行列式は1で、どの でも独立になる。 の選び方が一意でなくても結論が変わらないことを確かめられる。
は の逆像だから一意、とするのは誤りである。 に任意の核の元を加えても像は同じになる。上の例では がその自由度に当たる。また から も像に入るとすると、 になって と誤ってしまう。像の元に逆像があることと、逆像自身が像に入ることは別である。
設問(2) 任意のベクトルを生成する
基底の条件は、一次独立であることと、空間全体を線形結合で生成することである。前問で前者を示したので、本問では任意の の表示を作った。基底の本数と次元を比較して済ませるには、先に空間の次元が分かっている必要がある。
原題の に有限次元性を先に仮定しなくても、この証明は成り立つ。像が有限の基底 を持つことと、像と核が等しいことから、全空間が 本で生成されると導いた。従って有限次元性も結論に含まれる。
構成ではまず を見て の係数 を決め、その分を引いた残りを核へ入れた。核が像と等しいので、残りを で書ける。この二段階は、写像によって見える成分と、写像では消えてしまう成分を分けて復元している。
例えば前問の 、 の例で なら、 なので最初の係数は 。差 は核へ入り、 と表せる。生成性と係数の一意性を具体的に確認できる。
像と核の次元が等しいから、その二つの基底を合わせれば基底だ、とするのは誤りである。本問では像と核が同じ空間なので、そこから二組の基底を取るだけでは重複する。追加した は像の基底の逆像として選んだもので、前問の独立性の証明が必要になる。
設問(3) 基底の像を列に並べる
表現行列の第 列は、第 基底ベクトルの像を同じ基底で表した座標である。前半の 列は全て0。後半の 番目の列には、前半の 番目の成分だけ1が入り、他は0となる。このため右上の区画が単位行列になる。
座標を二つの 次元ベクトル に分けると、ベクトル の像は 。従って行列の作用は となり、上の表示と一致する。
二回作用させると だから となる。像と核はいずれも で、仮定 も表現行列から確認できる。階数は 、空間の次元は なので階数・退化次数の関係とも整合する。
単位行列を左下へ置いた は、指定した順序では誤りである。これを に作用させると となり、 を表してしまう。基底の順を 群、 群に入れ替えた場合の行列と混同してはいけない。
同じ冊子の2024年度第1問では、内積に関する別の仮定から像と核の共通部分が0になることを示した。本問では両者が等しく、一般には共通部分が 次元になる。線形写像というだけで像と核の関係が決まるわけではなく、与えられた条件に応じて異なる形になる。 の場合は像も核も0で、 と から となり、空の基底という同じ結論に含まれる。
解答
設問(1) 関係式に線形写像を作用させる
なので であり、指定により である。実数係数の関係式 に を作用させる。線形性から となり、 の独立性により全ての 。元の関係式へ戻ると だから、全ての も従う。
設問(2) 任意のベクトルを生成する
任意の を取る。 なので、像の基底を使って と書ける。 により 従って であり、ある実数 によって と書ける。つまり 任意の を生成し、設問(1)により独立でもあるので
設問(3) 基底の像を列に並べる
基底の順序は である。前半の基底の像は 、後半は 。この順序で各像の座標を列に並べると
最終答
は一次独立である。
は の基底であり、。
。
第2問 — 原点の極限・積分の極限・対数の級数
原点の極限・積分の極限・対数の級数の途中式・最終答をPDFで見る第3問 — 補有限位相の連結性・コンパクト性・稠密性
補有限位相の連結性・コンパクト性・稠密性の途中式・最終答をPDFで見る第4問 — 行列指数関数の収束・連続性と行列式
行列指数関数の収束・連続性と行列式の途中式・最終答をPDFで見る年度別の解答例(6年度)
実行列の固有値と不変な直線・平面 / 境界へ集中する関数列と一様収束 / 閉包の一点を加えた集合と振動するグラフ
非実固有値を持つ実二次行列 / 対数関数列の一様収束と積分の極限 / 自然数の初期区間が定める位相
基底で指定する線形写像と階数の評価 / 振動を伴う関数の連続性と微分可能性 / 稠密な部分集合を一点に縮める商空間
内積に関する対称性と像・核の分解 / 有界係数の冪級数と一様な尾部の評価 / コンパクト性と連結性の開集合による証明
線形写像の座標と行列の可換条件 / コンパクト距離空間の可算性と一様連続性 / 正項級数の比による比較と条件収束
2022年度(このページ・解説4項目)
像と核が等しい線形写像の基底 / 原点の極限・積分の極限・対数の級数 / 補有限位相の連結性・コンパクト性・稠密性
2022年度の出題内容
解説4項目
北海道大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2020〜2027年度(博士後期課程)
- 公式の解答例
- 解答例の掲載なし
- 院試hubの最終確認
- 2026-10-22