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筑波大 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 数学学位プログラム 専門科目(数学) 令和8年度1・2月期 院試 過去問 解答例・解説(全6問)

全6問の分野は代数2問、位相・幾何1問、線形代数1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 微積分

方針

極値は勾配とヘッセ行列で処理する。指数項が正なので臨界点の候補は一意に定まり,ヘッセ行列の正定値性で極小と判定できる。

積分領域の見方

第2小問の領域は (0,0),(1,1),(2,0),(1,−1)(0,0),(1,1),(2,0),(1,-1) を頂点にもつひし形である。原点を通るため,極座標では半径方向の積分が単に上限の長さになる。この構造を使うと計算が短い。

典型ミス

ひし形全体を中心 (1,0)(1,0) のまま扱うと,x2+y2\sqrt{x^2+y^2} が簡単にならない。原点から見た角度範囲 ∣θ∣<π/4|\theta|<\pi/4 に直すことが計算の要点である。

解答

  1. 関数を f(x,y)=x2+2y+e−x−yf(x,y)=x^2+2y+e^{-x-y} とする。偏微分は fx=2x−e−x−y,fy=2−e−x−y f_x=2x-e^{-x-y},\qquad f_y=2-e^{-x-y} である。臨界点では e−x−y=2e^{-x-y}=2 かつ x=1x=1 なので (x,y)=(1,−1−log⁡2) (x,y)=(1,-1-\log2) である。この点でのヘッセ行列は H=(2+e−x−ye−x−ye−x−ye−x−y)=(4222) H= \begin{pmatrix} 2+e^{-x-y} & e^{-x-y}\\ e^{-x-y} & e^{-x-y} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 4&2\\2&2 \end{pmatrix} であり,正定値である。したがってこの点は極小点で,極小値は 1+2(−1−log⁡2)+2=1−2log⁡2 1+2(-1-\log2)+2=1-2\log2 である。極大値は存在しない。

  2. 領域は原点を頂点にもつひし形であり,極座標で −π4<θ<π4,0<r<2cos⁡θ+∣sin⁡θ∣ -\frac{\pi}{4}<\theta<\frac{\pi}{4},\qquad 0<r<\frac{2}{\cos\theta+|\sin\theta|} と表せる。被積分関数は 1/r1/r,面積要素は r dr dθr\,dr\,d\theta であるから ∬Ddxdyx2+y2=∫−π/4π/42cos⁡θ+∣sin⁡θ∣ dθ=4∫0π/4dθcos⁡θ+sin⁡θ. \begin{aligned} \iint_D\frac{dxdy}{\sqrt{x^2+y^2}} &=\int_{-\pi/4}^{\pi/4} \frac{2}{\cos\theta+|\sin\theta|}\,d\theta \\ &=4\int_0^{\pi/4}\frac{d\theta}{\cos\theta+\sin\theta}. \end{aligned} cos⁡θ+sin⁡θ=2cos⁡(θ−π/4)\cos\theta+\sin\theta=\sqrt2\cos(\theta-\pi/4) より 4∫0π/4dθcos⁡θ+sin⁡θ=22∫−π/40sec⁡u du=22log⁡(1+2). \begin{aligned} 4\int_0^{\pi/4}\frac{d\theta}{\cos\theta+\sin\theta} &=2\sqrt2\int_{-\pi/4}^{0}\sec u\,du \\ &=2\sqrt2\log(1+\sqrt2). \end{aligned}

最終答

極小値は 1−2log⁡21-2\log2,極大値なし。重積分の値は 22log⁡(1+2)2\sqrt2\log(1+\sqrt2)。

第2問 — 線形代数

方針

第1小問は対称性を利用して,行和方向 (1,1,1)(1,1,1) とその直交補に近い2方向を探すと固有ベクトルがすぐ見つかる。第3小問は全成分1の行列の像と核を理解する問題である。

試験で書くべきポイント

rank⁡A=2\operatorname{rank}A=2 の証明では,行和0だけでは rank⁡A≤2\operatorname{rank}A\le2 しか出ない。どこかの2行が独立であることを別に示す必要がある。

検算

第3小問の例では,3列目が0なので階数が3になることはない。一方,第1列と第2列は比例しないため階数は2である。

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第3問 — 代数学

方針

選択肢Aは「何回足せば0になるか」を割り算の問題に直す。選択肢Bは互いに素な多項式 f,gf,g に対する中国剰余分解であり,行列へ代入して一般化固有空間の直和を作る。

試験で書くべきポイント

選択肢Bの第3小問では,h(B)=Oh(B)=O を使うためにCayley--Hamiltonの定理を明記する。特性多項式が hh であることから,BB が hh を満たすという流れが必要である。

典型ミス

実対角化の可否を判定するとき,複素固有値を見落としやすい。実行列を実対角行列へ相似変形するには,固有値がすべて実数であることが最低条件である。

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第4問 — 集合・多様体・ホモロジー

方針

第1小問は集合の元を1つ取って矛盾を出すのが最も確実である。第2小問は正則値定理,第3小問はグラフの連結成分数と閉路数を読む。

ホモロジーの読み方

1次元単体的複体では,連結なら H0≃ZH_0\simeq\mathbb Z である。H1H_1 のランクは独立な閉路の数で,ここでは三角形の周だけが1つ残る。

典型ミス

三角形の3辺があるからといって2単体が含まれるとは限らない。リストに ∣a0a1a2∣|a_0a_1a_2| がないため,穴は埋まっていない。

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第5問 — 複素解析・実解析

方針

選択肢Cは,どの5乗根が円の内部にあるかを距離で判定し,単純極の留数を足す。選択肢Dは点wise収束と優収束定理の標準問題である。

検算

(1+5)/10(1+\sqrt5)/10 は正の実数である。積分路と関数は実軸対称な極を含み,留数和が実数になるので,形として自然である。

典型ミス

円の中心にある極 z=1z=1 を積分値に入れ忘れやすい。第1小問では「1と異なる極」を聞いているが,第2小問の積分では z=1z=1 も内部の極として寄与する。

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第6問 — 集合論・統計・代数

方針

選択肢Eは有限台列を高い添字から比較する順序であり,順序数のCantor標準形と見ると全体像が明確になる。選択肢Fは一様分布の順序統計量,選択肢Gは多項式剰余環での逆元計算である。

試験で書くべきポイント

統計の比較では,不偏性だけでなく分散を同じ θ2\theta^2 の係数で並べると差が見える。n≥2n\ge2 の条件を最後の不等式で使う。

典型ミス

選択肢Gでは α3\alpha^3 を α2+3α+2\alpha^2+3\alpha+2 に置き換え続ける。符号を誤ると定数項が合わないので,最後に積が1になることを必ず検算する。

集合論・統計・代数の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(6年度)

令和8年度1・2月期の出題内容

全6問

この6問の分野は代数2問・位相・幾何1問・線形代数1問・微分積分・解析1問・複素解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析微積分積分領域の見方あり
第2問線形代数——あり
第3問代数代数学—あり
第4問位相・幾何集合・多様体・ホモロジーホモロジーの読み方あり
第5問複素解析複素解析・実解析—あり
第6問代数集合論・統計・代数—あり

令和8年度1・2月期の解説には典型ミス5件・試験で書くべきポイント3件・検算2件が付いています。

前年度(令和8年度8月期)との違い

大問数
令和8年度8月期 6問 → 令和8年度1・2月期 6問
令和8年度8月期の解答例

筑波大学の公式過去問

公開年度範囲
令和4〜令和8年度(8月期・1〜2月期)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
TOEFL/TOEIC/IELTS の外部英語スコア提出が必須(2022年度入試以降)。
院試hubの最終確認
2026-06-03
筑波大学の公式過去問PDF