筑波大 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 数学学位プログラム 専門科目(数学) 令和8年度8月期 院試 過去問 解答例・解説(全6問)
全6問の分野は位相・幾何1問、情報1問、線形代数1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。
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第1問 — 微積分
方針
第1問は標準的な微積分の確認である。極値は内点の臨界点とヘッセ行列,重積分は領域の形を見て極座標,極限はリーマン和に落とす。
典型ミス
重積分では から自動的に が従う。角度を全円や半円に広げると値が倍になってしまう。またリーマン和では から までであることは端点1点分の差にすぎず,極限には影響しない。
解答
公式問題の小問順に解く。
偏微分すると である。領域内では なので,臨界点は から である。この点でのヘッセ行列は対角成分 非対角成分 をもつので負定値である。したがって極大値は であり,極小値は存在しない。
領域は であるから,極座標では となる。よって積分値は ここで また とおけば したがって求める値は である。
和はリーマン和として扱える。区間幅は であり,被積分関数は連続なので
最終答
極大値は ,極小値はなし。重積分は 。極限は 。
第2問 — 線形代数
方針
像の次元が3であることを使えば,3本の一次独立な像ベクトルはそのまま基底になる。表現行列は「基底ベクトルを写して,基底で展開する」だけでよい。
検算
表現行列の列は の座標である。列と行を取り違えると特性多項式は同じでも途中式が不自然になるので, が第1列 になっているかを確認する。
典型ミス
特性多項式が一次因子に分解するだけでは対角化可能とは限らない。重根に対して固有空間の次元を確認する必要がある。
第3問 — 代数学
方針
選択肢Aは有限生成アーベル群とSmith標準形の基本問題である。2次正方行列では,最初の不変因子は成分全体の最大公約数,積は行列式の絶対値で決まる。
試験で書くべきポイント
選択肢Bの既約性では「3次式だから根を調べれば十分」という一言が重要である。整数係数多項式へ戻す場面では,mod での既約性とGaussの補題をセットで書く。
典型ミス
を などにしてしまうミスが多い。 が入るため,積イデアルは まで簡約される。
第4問 — 幾何・位相
方針
前半は集合写像の定義確認,中央は正則値定理,後半は単体的複体の穴を読む問題である。単体リストに2単体が入っているかどうかがホモロジーを決める。
検算
多様体の次元は「全空間の次元4」から「方程式1本」を引いて3である。これは正則値であることを示した後で初めて言える。
典型ミス
三角形の3辺があるだけでは内部が埋まっているとは限らない。2単体 はリストにないため,その輪は の生成元として残る。
第5問 — 複素解析・実解析
方針
選択肢Cは上半平面の留数計算である。 なので が上半平面で減衰し,Jordan型の評価が使える。
検算
実積分の答えは で0に近づく。被積分関数が で奇関数になることと整合する。
典型ミス
選択肢Dでは点wise極限だけでは積分極限を交換できない。 から可積分な優関数を作るところまで書くと答案として安定する。
第6問 — 論理・統計・計算機数学
方針
選択肢Eはフィルターの極大化,選択肢Fは指数分布の平均・分散と尤度,選択肢Gは拡張Euclid算法の行列形式である。分野は違うが,どれも「定義を式に戻す」ことが中心になる。
検算
選択肢Fの最尤推定量は の平均になっている。各 は平均 ,分散 なので,分散 は直感的にも自然である。
典型ミス
選択肢Gでは行列積の順序を逆にしやすい。 なので,積は の順になる。
年度別の解答例(6年度)
微積分 / 線形代数 / 代数学
令和8年度8月期(このページ・全6問)
微積分 / 線形代数 / 代数学
微積分 / 線形代数 / 代数学
微積分 / 線形代数 / 代数学
漸近展開と極限積分 / 対角化と反交換 / 単元群と合同式
微積分 / 線形代数 / 代数学
令和8年度8月期の出題内容
全6問
前年度(令和7年度1・2月期)との違い
- 大問数
- 令和7年度1・2月期 5問 → 令和8年度8月期 6問
筑波大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 令和4〜令和8年度(8月期・1〜2月期)
- 公式の解答例
- 非公開(問題冊子のみ)
- 英語の扱い
- TOEFL/TOEIC/IELTS の外部英語スコア提出が必須(2022年度入試以降)。
- 院試hubの最終確認
- 2026-06-03