東大 理学系研究科 生物科学専攻 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(解説5項目)
解説5項目の分野は生物4項目です。解説は2問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。資料不足により確定答案を収録していない箇所が1項目あります。各項目に対象の小問と収録範囲を記載しています。問題本文は含みません。
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第1問 — 分子生物学:転写因子の修飾と発生時の神経再構成
設問1 転写の装置・制御配列・細胞内の伝達
転写は、DNAの一方の鎖を鋳型として相補的なRNAを合成する反応である。真核生物には複数のRNAポリメラーゼがあるが、核内のタンパク質コード遺伝子のmRNAは主にRNAポリメラーゼIIによって転写される。リボソームはその後にmRNAからタンパク質を作る装置であり、DNAからmRNAを作る酵素として選ばない。
プロモーターは転写開始を組み立てるDNA領域で、基本転写因子がポリメラーゼの配置、DNAの開裂、開始などを助ける。RNAポリメラーゼIIだけを裸のDNAへ加えれば、すべての遺伝子を正しい位置から適切な量で転写できるわけではない。TFIID、TFIIBなどはこうした基本転写因子の例である。一方、特定の遺伝子の発現を状況に応じて増やす転写因子は、エンハンサーなどの制御配列を認識する。エンハンサーとプロモーターは、調節と開始という異なる役割を持つ。
離れたエンハンサーへ結合した因子は、DNAの折れ曲がりや補助因子との相互作用を通じて転写開始装置へ影響し得る。したがってエンハンサーは必ず転写開始点の直前にあるという定義ではない。細胞型や刺激ごとに使う転写因子、クロマチンの状態、制御配列の組合せが違うため、同じゲノムを持つ細胞でも異なる遺伝子群を発現できる。
細胞外の情報が受容体で受け取られた後、細胞内のタンパク質の結合や修飾などを通じて伝わる過程をシグナル伝達という。最終的に転写因子の活性、量、局在などが変わり、遺伝子発現へつながる。情報の伝達と、DNA塩基配列を別の配列へ書き換えることは同じではない。
検算には、四つの語を「RNAを作る酵素」「開始を助けるタンパク質」「調節因子の結合するDNA」「外部情報を伝える過程」という階層へ分けて対応させる。イにエンハンサー、ウに基本転写因子を入れると、タンパク質がDNAへ結合する関係を逆にしてしまう。アをDNAポリメラーゼとすると産物がDNAとなり、文のmRNAへつながらない。分子の種類と反応の入力・出力を使って空欄を確かめる。
設問2 ホルモンを受け取って転写を変える具体例
低分子リガンドによる制御では、転写因子のアミノ酸配列を毎回作り直す代わりに、結合した分子によってその働きを切り替える。核内受容体は、リガンド結合とDNA認識を転写調節へ結び付けるタンパク質の一群である。解答では20-ヒドロキシエクジソンがリガンド、EcRが転写因子を含む受容体、脱皮・変態が生命現象という三つを対応させている。
EcRはUltraspiracleと異種二量体を作って機能する。DNA上の応答領域へ働く受容体複合体が、リガンドの結合に応じて補助因子との相互作用を変えることで、標的の転写が調節される。初期応答の標的には他の転写因子の遺伝子も含まれ、その産物が次の遺伝子群を制御する。このため一つのホルモン刺激を、多段階で多数の実行遺伝子へ広げられる。ホルモン分子自体がDNAへ結合し、RNAを合成するという反応ではない。
同じホルモンが全組織を同じ形へ変えるわけでもない。各細胞の発生段階、受容体の型、協働する因子などが異なると、応答する標的や結果も違う。ある組織では再構成が進み、別の組織では除去や分化が進むという組合せで、個体の発生段階が切り替わる。脱皮と変態にはほかのホルモン環境も関わるため、20-ヒドロキシエクジソンの存在だけで、どの段階でも必ず成虫化すると一般化しない。
作用点を確かめるなら、リガンドあり・なしと、機能する受容体あり・なしの条件を組み合わせ、応答領域を持つレポーターや標的RNAの変化を比較できる。リガンドを加えても受容体を失った条件で誘導が生じなければ、この受容体系への依存を支持する。逆に一般的な細胞毒性で全RNAが減った場合は、特定の受容体を介する転写調節とは区別する。
リガンド名だけを「ホルモン」、転写因子名だけを「受容体」と書くと、具体例の要求を満たさない。またエクジソンがリボソームへ結合して翻訳を開始する、とすると、核内受容体を介する転写の仕組みを別の反応へ置き換えている。分子名、制御する段階、個体の現象まで因果をつなげて答える。
設問3 精製系でXのリン酸化を示す
タンパク質キナーゼは、通常ATPの末端にあるγリン酸をタンパク質の残基へ移す酵素である。反応を模式的に書けば となる。標識をγリン酸へ付けておけば、Xへリン酸が移ったとき、その放射能もXと共に検出される。αリン酸を標識したATPでは同じ追跡にならず、反応にATPを用いたことだけではXのリン酸化を示せない。
in vitroで直接の反応を検査するためには、基質X、MAPK、ATPなど既知の成分で再構成する。細胞抽出液を加えると、別のキナーゼがXをリン酸化した可能性が残る。精製MAPKの活性を確認し、反応時刻、温度、塩、Mgなどをそろえる。反応後にタンパク質を変性して電気泳動すれば、XとMAPK、遊離ATPを位置の違いで分けられる。
検出したいのは、Xに対応する位置の標識である。MAPK自身がリン酸化されたバンドや、残存する低分子の標識をXの反応と誤認しない。Xの分子量、総タンパク質染色、抗X抗体による検出などでバンドの位置と量を確かめる。MAPKなしで消え、機能するMAPKを入れた場合に現れることは酵素依存性を支持する。脱リン酸化処理で信号が減ることも、リン酸が付いた標識という解釈を補強する。
S444A変異体が野生型と同じ量あるのに標識されなければ、S444に関わる反応を支持する。ただし変異によってタンパク質が失活・変性する可能性が一般にはあるので、単に変異体の標識がないことだけで全てを決めない。本問では変異体の発現量・安定性・高次構造は野生型と変わらない条件が後半の細胞実験で与えられ、原題の比較の理由になる。
一対一で一か所だけを修飾する単純な条件なら、総X量を 、リン酸化割合を とし、背景補正後の信号は に比例する。例えば同じ で信号が半分なら割合の低下を考えられるが、X量自体が半分でも同じ信号になる。標識だけでなく量の対照が要るのはこのためである。またMAPKとXが結合したことを免疫沈降で示すだけでは、共有結合でリン酸が移った証拠にならない。分子の接触と酵素反応の生成物を分けて検査する。
設問4 リン酸化を受ける残基
タンパク質の共有結合修飾としてよく知られるリン酸化は、セリン、スレオニン、チロシンの側鎖のヒドロキシ基へリン酸基を付けるものである。セリンは 、スレオニンは 、チロシンは芳香環にOHを持つ。OHの酸素がリン酸基と結合するという共通の化学的特徴が、三残基をまとめる理由になる。
本問は「セリンのほか二つ」を求めるので、スレオニンとチロシンを挙げる。セリンをもう一度数えて二つとしたり、アミノ酸でないATPを答えたりしない。また一種類のキナーゼが全三種類を同じように修飾するという意味ではない。基質の配列や立体配置、酵素の選択性によって、リン酸化される位置が決まる。
この修飾はDNAの塩基置換とは異なり、作られたタンパク質の側鎖の状態を変える。負電荷や水素結合、他分子との結合などに影響して、活性や局在を調節できる。ホスファターゼでリン酸を外せるため、同じタンパク質分子を異なる状態へ切り替える調節にも向く。アミノ酸の並びを変える遺伝子変異と、可逆的な修飾を区別する。
S444をアラニンに変えると、側鎖は となり、セリン型のOHがなくなる。従ってその位置の通常のOリン酸化を受けられなくする目的に使える。「アラニンにも同じOHがあるから同様にリン酸化される」とすると、置換実験の化学的な意味がなくなる。一方、他の種類のアミノ酸のリン酸化も生物には存在するため、三種類以外は自然界で一切起こらないという普遍的な主張にはしない。ここでは真核細胞のシグナル伝達で代表的な二つを答える。
設問5 構成的活性MAPKとリン酸化不能変異体
原図では、Xなしを1としたLuc活性が、野生型Xで約4、S444Aで約2.5となる。変異体にも転写を促す働きは残るが、野生型より低い。量、安定性、高次構造が同じという条件とin vitroのリン酸化結果を合わせると、S444のリン酸化が活性を上げるという仮説を立てられる。S444Aの活性が0だと読むと、原図の対照より高いバンドの情報を捨ててしまう。
構成的活性化型は、通常の上流刺激を待たずに活性を持つようにしたキナーゼである。これを加えれば、細胞内でXをリン酸化する入力を増やせると考える。S444を持つ野生型はその入力を受けられるが、アラニンに変えたタンパク質はその部位で受けられない。両Xの有無とMAPK導入の有無を組み合わせ、同じレポーター、細胞、導入量、回収時刻で比較する。
考え方を単純化して、野生型の活性を 、 をS444リン酸化割合、 を非リン酸化Xにもある促進分、 をリン酸化による追加分とする。 なら、MAPKで を増やすとLuc活性が増える。S444Aではこの の成分が生じない。例えば仮の値 、元の なら野生型4、変異体2.5となり、 では野生型5.5となる。この5.5は仕組みを説明する例で、原図から予言できる実測値ではない。
もともとの野生型が十分にリン酸化されている場合には、MAPKを増やしても上積みは小さい。またMAPKが別の転写因子やLuc発現系にも作用すれば、S444A群やXなし群にも共通の増加が起こり得る。従って「変異体で総信号が一切変わってはいけない」と決めるより、野生型に特有の増加があるかを、対照を含めて比べる。必要ならXのpS444を直接測り、MAPKが想定した入力を変えたか確かめる。
野生型とS444Aが同じだけ増えた結果を、S444を介する作用の証明とするのは誤りである。反対に変異体が低いという差だけから、MAPKが細胞内で唯一の責任キナーゼだとも断定できない。原図から立てる予想、リン酸化を増やす操作、その部位を失う対照を一組として、仮説のどの部分を試すか説明する。
設問6 脳試料でS444の状態を直接検査する
前のin vitro反応は、MAPKがXをリン酸化できることを示すが、生体の脳でその部位が実際に修飾されていることは別の命題である。脳ではキナーゼとホスファターゼの釣り合い、分子の局在、発生段階などが異なるため、試験管で可能な反応が常に同じ割合で起こるとは限らない。そこで組織から回収したXの状態を直接調べる。
部位特異抗体では、周囲のアミノ酸配列と、S444にリン酸が付いた状態の両方を認識させる。精製XをMAPKで処理した陽性試料、処理しないX、S444A、リン酸を外した試料を比較し、総Xが同じでもリン酸化状態だけで信号が変わるかを検証する。リン酸化ペプチドで競合して消え、非リン酸化ペプチドでは消えにくいかを調べるのも、抗体の選択性の確認になる。抗体の存在を仮定するだけでなく、必要な認識条件を示す。
組織の回収後にリン酸が外れると、生体内では修飾されていたのに陰性になる。迅速に冷却・抽出し、分解と脱リン酸化を抑える条件を使う。Xが少ない場合は抗X抗体で濃縮し、SDS-PAGEで目的分子量のバンドを選ぶ。pS444抗体の信号と、リン酸化に依存しない抗体で測った総X量を比べれば、単に脳試料へXが多く入った差と修飾割合の差を分けやすい。
別法として、Xを精製・消化し、質量分析でS444を含むペプチドのリン酸化とその位置を同定できる。リン酸一つ分の質量増加だけでは近隣の別残基を区別できない場合があるため、断片イオンによる位置の特定が必要になる。設問では一つの具体的な方法を答えればよいが、何を検出すれば部位を確定できるかという原理は共通する。
全リン酸化セリン抗体の信号だけでS444と決めるのは、他のセリンを除外していない。またpS444が見付かっただけでは、それを生体内でMAPKが触媒したことや、その修飾が転写活性の原因であることまで一度に証明しない。部位の存在、責任キナーゼ、機能上の効果は、それぞれ対応する操作と測定で確かめる。
設問7 発生時の神経突起の刈り込み
神経回路の発生は、突起を初めて伸ばしてつなぐ段階だけでなく、一度できた突起や接続を選択的に取り除く段階を含む。後者は刈り込み、すなわちpruningと呼ばれる。細胞を残したまま突起の一部を再構成できるため、神経細胞の全体を消す過程とは区別する。
原図の比較は、発生段階と遺伝子型という二つの軸を持つ。幼虫同士では野生型と欠失型の左右AIM連結が共通し、初期にこの構造を作る能力は欠失型にもある。成虫では野生型だけが連結を失い、欠失型では残る。この差から、CeXは少なくとも成虫型へ変わる過程に必要だと考えられる。幼虫の構造を作る段階から全く異常だった、と説明する必要はない。
また原図では、成虫野生型にも左右のAIMの細胞体やほかの突起は残っている。従って左右AIM細胞自体が死んだため連結もなくなった、という説明とは合わない。GFPは細胞と突起を可視化する指標だが、欠失による形の違いを単なる蛍光強度差と取り違えないよう、細胞体と残る突起の位置も読む。
CeXは転写因子のオルソログであるため、除去に必要な下流遺伝子の発現を制御する可能性がある。ただし提示された図から、CeX自身が突起を切る酵素であること、どの細胞で働くこと、どの標的遺伝子を直接制御することまでは分からない。AIMにだけCeXを戻す救済実験、時期を分けた発現、別の細胞での救済などにより、作用する細胞と段階を絞れる。
「成虫でも突起を作るために必要」とすると、CeXがないと突起がなくなる方向を予測し、実際には残るという差を逆にする。またGFPがAIM以外にも見えるから、全ての介在神経で同じ形態作用を証明した、とも言えない。二遺伝子型×二段階を順に比較し、どの構造が新しくできず、どの構造が取り除かれずに残ったのかを具体的に述べる。
設問8(1) 細胞を除くことで形を作る例
プログラムされた細胞死は、発生や組織維持の中で制御されて起こる細胞の除去である。細胞を増殖・分化させるだけでなく、特定の場所と時期に細胞をなくすことも、体の形を作る手段となる。典型例として、指と指の間の組織の除去を挙げられる。
肢芽では指となる領域が形成され、その間にある間葉などの軟組織が退縮する。この退縮にアポトーシスが関わることで、指間の組織が減り、分かれた指の形が得られる。指そのものを全部壊して骨ができるという仕組みではない。生き残って分化する領域と、除去される領域の場所の違いが、できあがる形へ対応する。
アポトーシスでは、細胞内の分解系の活性化、核の凝縮やDNA断片化、細胞の分断と残骸の除去などが起こる。発生上の信号で制御されるため、偶然の外傷で組織がちぎれた現象を、そのまま同じ例として挙げない。ただし指間の退縮には細胞死のほか組織の成長や細胞外構造の変化なども関わり得るため、形態全体の唯一の原因が細胞死だとする必要はない。
仕組みを検証するなら、発生段階をそろえて指間の細胞死の位置を標識し、その制御を変えた際に指間組織が残るかを比較する。細胞死だけを減らした条件で組織が残れば、除去の形態上の役割を支持する。一方、肢芽全体の成長を止めて指ができなかった場合は、指間の除去に特有の証拠ではない。操作の影響範囲を確かめる。
「死んだ細胞が分裂して新しい指を作る」と説明すると、細胞死の不可逆的な除去と増殖を混同する。また正常な成虫の細胞をすべて無差別に消す現象として書くと、発生の場所・時期の選択性がない。どの生物のどこで、何が除かれ、その結果どの形が作られるかという順で具体例を答える。
設問8(2) 細胞死と局所的な突起除去を比較する
比較では、共通点と相違点を同じ階層で述べる。共通点は「形が変わる」だけでなく、発生に伴う選択的な除去を使って構造を作り替えることにある。初めから最終形だけを作る代わりに、一時的な構造を形成してから、その一部をなくすという発生の仕方を含む。
細胞死では、細胞体を含む細胞の全体が存続しなくなる。神経細胞が死ねば、その細胞の投射や接続も維持できなくなる。これに対し局所的な刈り込みでは、特定の軸索や枝などが除かれても、細胞体と残りの突起は生存し、別の接続を保てる。同じ神経細胞が発生後の回路にも使われる点で、全体を除去して別細胞へ置き換える過程と異なる。
実験IIIの野生型では、幼虫から成虫への変化で左右AIMを結ぶ曲線がなくなるが、AIMの細胞体は成虫にも描かれている。CeX欠失では細胞体だけでなく幼虫型の連結突起も残る。このため、CeXがAIMの細胞死を誘導するという結論ではなく、突起の選択的な除去へ関わるという結論が原図と合う。細胞体の消失を前提とすると、成虫にも二つの細胞体が残る観察に反する。
両過程が、遺伝子発現や細胞内の分解系によって制御されるという一般性は述べられる。しかし、同じカスパーゼや同じ直接標的が必ず働くという分子機構まで、この図からは導けない。細胞体の生存、突起の切断・分解の経過、各分子の必要性を別に追跡すれば、共有する反応と局所性を調べられる。見た目が一部似ることと、経路の同一性は区別する。
「どちらもAIMが死ぬ」とまとめるのは、消える対象を見ていない。また「どちらも不要な組織が消える」とだけ述べても、求められた相違点を答えていない。細胞全体を消すのか、同じ細胞の一部分だけを消すのかを明示し、原図の細胞体と連結突起をそれぞれ照合する。
背景の原著
EcRとUltraspiracleの機能はYaoほか(1993, Nature, doi:10.1038/366476a0)、脱皮・神経再構成への受容体の寄与はSchubigerほか(1998, Development, doi:10.1242/dev.125.11.2053)、肢芽の細胞死はYokouchiほか(1996, Development, doi:10.1242/dev.122.12.3725)で背景を確認した。これらの遺伝子を、設問のX・CeXと同定したわけではない。
解答
設問2 ホルモンを受け取って転写を変える具体例
昆虫では脱皮ホルモンの活性体20-ヒドロキシエクジソンが、核内受容体EcRへ結合する。EcRはUltraspiracleと複合体を作り、応答配列を介して標的遺伝子の転写を変える。初期応答の転写因子などを経た発現カスケードが、脱皮や変態に必要な組織の変化を制御する。
設問3 精製系でXのリン酸化を示す
精製したXと活性のあるMAPKを、Mgおよび の存在下で反応させる。SDS-PAGEで分離し、オートラジオグラフィーでXの位置にリン酸標識が入るか調べる。MAPKなし、失活MAPK、Xなどを対照に置き、Xの量と分子量も確認する。
設問5 構成的活性MAPKとリン酸化不能変異体
S444のリン酸化が転写促進活性を高めるなら、構成的活性MAPKの導入によりXを発現した群のLuc活性はさらに上がると予想する。一方、S444をリン酸化できないXの群では、この部位を介する増加は起こらず、野生型に比べ応答が小さいと予想する。Xを発現しない対照も併用し、MAPKが他の経路へ与える効果を区別する。
設問6 脳試料でS444の状態を直接検査する
S444を含むリン酸化ペプチドを抗原として、pS444を選択的に認識する抗体を作製・検証する。昆虫の脳をホスファターゼ阻害剤の存在下で抽出し、必要ならXを免疫沈降してウエスタンブロットを行う。総X量も測り、脱リン酸化した試料でpS444信号が消えるかを対照にする。
設問7 発生時の神経突起の刈り込み
CeXは、幼虫から成虫への発生に伴って、左右のAIM介在神経細胞をつなぐ不要な神経突起の除去を促すと考えられる。野生型では幼虫の連結突起が成虫でなくなるのに、CeX欠失では幼虫の形は正常なまま、成虫になってもその突起が残るためである。
設問8(1) 細胞を除くことで形を作る例
例えば脊椎動物の肢芽では、形成される指の間の細胞がプログラムされた細胞死によって除かれる。これにより指の間の軟組織が退縮し、指が分かれた形を作ることに寄与する。
設問8(2) 細胞死と局所的な突起除去を比較する
どちらも発生段階に応じて不要な構造を選択的に除き、適切な形や機能を作る過程である。一方、プログラムされた細胞死は細胞そのものを除くのに対し、実験IIIの野生型ではAIMの細胞体を残し、左右をつなぐ突起が除かれる。従って本図の変化は、細胞全体の死ではなく局所的な神経突起の刈り込みとして捉える。
最終答
ア:RNAポリメラーゼII。イ:基本転写因子(一般転写因子)。ウ:エンハンサー。エ:シグナル伝達。
スレオニン、チロシン。
第2問 — 分子生物学・生化学:tRNA合成の特異性と校正
分子生物学・生化学:tRNA合成の特異性と校正の途中式・最終答をPDFで見る第3問 — 細胞生物学:核輸送と核膜の動態
一部の確定答案なし
公式公開PDFには問8(2)の選択曲線と時刻t1の位置が掲載されていないため、その選択記号と時刻の確定答案は収録していません。輸送機構から導ける変化と、条件を明記した自作概念図を解説しています。
公式公開PDFには問8(2)の選択曲線と時刻t1の位置が掲載されていないため、その選択記号と時刻の確定答案は収録していません。輸送機構から導ける変化と、条件を明記した自作概念図を解説しています。
第4問 — 遺伝・進化:遺伝子の履歴と集団の頻度
遺伝・進化:遺伝子の履歴と集団の頻度の途中式・最終答をPDFで見る第5問 — 選択小問:代謝・動物・植物・人類・種分化
選択小問:代謝・動物・植物・人類・種分化の途中式・最終答をPDFで見る年度別の解答例(6年度)
分子生物学:遺伝子発現の段階とホルモン応答の実験 / 分子生物学:配列決定の原理と反復配列の解析 / 細胞生物学:細胞内輸送と増殖・細胞死の制御
2025年度(このページ・解説5項目)
分子生物学:転写因子の修飾と発生時の神経再構成 / 分子生物学・生化学:tRNA合成の特異性と校正 / 細胞生物学:核輸送と核膜の動態
分子生物学:複製の正確性と細胞系譜の追跡 / 細胞生物学:微小管と膜上の局所パターン / 生化学:膜輸送の自由エネルギーと精製
分子生物学:クロマチンと転写因子の条件依存性 / 細胞生物学:増殖・酸素供給・ATPの収支 / タンパク質の構造と非酵素的な卵膜の溶解
DNAの電気泳動・制限酵素地図と複製フォーク / 神経分泌と速い・遅い受容体応答 / アミノ酸の化学・DNA結合とSDS-PAGE
ゲノム・RNAと分化の発現制御 / 細胞骨格と分岐したアクチンの重合 / タンパク質の精製と自己リン酸化
2025年度の出題内容
解説5項目
前年度(2024年度)との違い
- 大問数
- 2024年度 5問 → 2025年度 5問
東京大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2015〜2020・2023〜2026(公開筆記問題)
- 公式の解答例
- 解答例の掲載なし
- 英語の扱い
- ここでは専門科目の過去問を扱う。英語の受験方法は当該年度の募集要項で確認。
- 院試hubの最終確認
- 2026-10-20