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東大 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 専門科目 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(解説44項目)

解説44項目の分野は力学3項目、制御工学1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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午前 流体力学 第1問 — 乱流境界層の積分法:厚さの変数を取り替える

排除厚さ δ∗=∫0δ(1−u/U) dy\delta^*=\int_0^\delta(1-u/U)\,dy は、壁面で速度が落ちるために失われた流量を、一様流の厚さへ換算した量である。一方、運動量厚さは θ=∫0δuU(1−uU)dy \theta=\int_0^\delta\frac uU\left(1-\frac uU\right)dy であり、質量流量の重み u/Uu/U がもう一つ入る。どちらも長さの次元を持つが、一般に同じ値ではない。その比 H=δ∗/θH=\delta^*/\theta が速度分布の形を表す。

運動量積分式の 2+H2+H は、積の微分から来る。具体的には (U2θ)′=U2θ′+2UU′θ(U^2\theta)'=U^2\theta'+2UU'\theta、さらに排除厚さの項 δ∗UU′=HθUU′\delta^*UU'=H\theta UU' を足している。U>0U>0、θ>0\theta>0、物性一定の範囲で U2U^2 による除算と RpR^p の実数べきが定義できる。

変数変換の理由も確認しよう。摩擦の経験式は θ\theta を含む R−pR^{-p} に比例するので、元の式はそのままでは θ\theta に対して線形でない。z=Upθp+1/νpz=U^p\theta^{p+1}/\nu^p を使うと、θ′\theta' の係数が (p+1)Rp(p+1)R^p となり、右辺の R−pR^{-p} が打ち消される。AA は HH の関数でもよい。この設問では zz の定義に AA は含まれないから、A′A' を新たに加える必要はない。

次元を戻すと zz は長さ、z′z' と BB は無次元、(U′/U)z(U'/U)z も無次元である。外縁速度が一定なら U′=0U'=0 から z′=Bz'=B。正の壁面摩擦 A>0A>0 が厚さの増加を与えるので、符号も妥当である。

RR に含まれる θ\theta の微分を落とし、z′=wrongRp(θ′+pθU′/U)z'\overset{\mathrm{wrong}}=R^p(\theta'+p\theta U'/U) とする誤りでは、一定 UU でも z′=Az'=A となる。例えば p=1/4p=1/4、A=0.01A=0.01 なら正しくは z′=0.0125z'=0.0125 であり、誤式は発達率を20\%過小にする。経験式の係数を変えたのではなく、積の微分の項を失った差である。

解答

運動量積分式を ρU2\rho U^2 で割り、δ∗=Hθ\delta^*=H\theta を使うと θ′+(2+H)U′Uθ=C,C:=τwρU2=AR−p. \theta'+(2+H)\frac{U'}{U}\theta=C,\qquad C:=\frac{\tau_w}{\rho U^2}=AR^{-p}. R=Uθ/νR=U\theta/\nu、z=θRpz=\theta R^p を微分すれば z′=Rp[(1+p)θ′+pθU′U]=A(1+p)−{(1+p)(2+H)−p}U′Uz. z'=R^p\left[(1+p)\theta'+p\theta\frac{U'}{U}\right] =A(1+p)-\{(1+p)(2+H)-p\}\frac{U'}{U}z. 従って求める関係は

最終答

z′+kU′Uz−B=0,k=(1+p)(2+H)−p,B=(1+p)A.\displaystyle z'+k\frac{U'}U z-B=0,\qquad k=(1+p)(2+H)-p,\quad B=(1+p)A.

午前 流体力学 第2問 — 形状が一定の境界層:積分因子による厚さの計算

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午前 流体力学 第3問 — エネルギー厚さ:壁面外への流出を残して積分する

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午前 流体力学 第4問 — 形状係数の発達:二つの厚さの式から一つを消す

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午前 固体力学 第1問 — 圧縮された梁の微小要素:座屈の微分方程式

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午前 固体力学 第2問 — 弦を結ぶ梁の境界:回転する座標の根元条件

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午前 固体力学 第3問 — 自然長の差:低温で弦が無張力となる条件

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午前 固体力学 第4問 — 高温での圧縮力:二本の軸ばねの適合条件

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午前 固体力学 第5問 — 低温座屈の再評価:弛む旧弦と硬くなる追加材

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午前 航空宇宙システム学 第1問 — 剛体ロケットの回転:機体座標のオイラー方程式

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午前 航空宇宙システム学 第2問 — 大気中のスピン制御:安定条件と定常偏差

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午前 航空宇宙システム学 第3問 — 対称ロケットのニューテーション:成分の回転と慣性比

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午前 推進工学 第1問 — 振動型ジャイロの運動:回転座標に現れる三つの項

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午前 推進工学 第2問 — 固有振動数とQ値:減衰係数を測定しやすい量へ直す

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午前 推進工学 第3問 — 駆動振幅の最大点:共振が現れるQ値の条件

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午前 推進工学 第4問 — 直交方向の振幅:角速度の大きさを取り出す

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午前 推進工学 第5問 — 角度を直接測る振動子:自由振動の方向を観測する

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午後 流体力学 第1問 — 臨界マッハ数:局所音速点の圧力係数

臨界マッハ数:局所音速点の圧力係数の途中式・最終答をPDFで見る

午後 流体力学 第2問 — 遷音速の翼まわり:超音速領域と衝撃波の位置

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午後 流体力学 第3問 — 移動する衝撃波:波に固定した保存則

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午後 流体力学 第4問 — 上流大気の地上速度:非自明な圧縮波を選ぶ

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午後 流体力学 第5問 — 衝撃波上流の静圧:飛行マッハ数による表示

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午後 流体力学 第6問 — 圧力係数から飛行速度へ:逆算する枝と適用範囲

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午後 固体力学 第1問 — 補強された薄板:せん断応力と三本の軸力

補強された薄板:せん断応力と三本の軸力の途中式・最終答をPDFで見る

午後 固体力学 第2問 — 薄板と軸力材のエネルギー:分担に応じて積分する

薄板と軸力材のエネルギー:分担に応じて積分するの途中式・最終答をPDFで見る

午後 固体力学 第3問 — 荷重点の変位:カスティリアーノの定理を使う条件

荷重点の変位:カスティリアーノの定理を使う条件の途中式・最終答をPDFで見る

午後 固体力学 第4問 — 細長い構造の梁近似:軸力を持つ面積で剛性を作る

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午後 固体力学 第5問 — 梁近似の成り立つ範囲:せん断と軸変形の比を調べる

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午後 航空宇宙システム学 第1問 — 二つの球を結ぶ剛体:主慣性モーメント

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午後 航空宇宙システム学 第2問 — 支点から外れた重心:物理振り子の微小振動

支点から外れた重心:物理振り子の微小振動の途中式・最終答をPDFで見る

午後 航空宇宙システム学 第3問 — 対称軸の自由回転:一定となる角速度成分

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午後 航空宇宙システム学 第4問 — 横角速度の自由運動:保存される振幅と回転方向

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午後 航空宇宙システム学 第5問 — 一軸のトルクで減衰を与える:臨界ゲインの符号

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午後 航空宇宙システム学 第6問 — 重力勾配による指向:長い軸が地球へ向く理由

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午後 航空宇宙システム学 第7問 — 軌道面内の微小振動:重力勾配の復元周波数

軌道面内の微小振動:重力勾配の復元周波数の途中式・最終答をPDFで見る

午後 航空宇宙システム学 第8問 — ロールとヨーの連成:零固有値の重なりを調べる

ロールとヨーの連成:零固有値の重なりを調べるの途中式・最終答をPDFで見る

午後 推進工学 第1問 — 過膨張サイクルの圧力:断熱圧縮と定容加熱

過膨張サイクルの圧力:断熱圧縮と定容加熱の途中式・最終答をPDFで見る

午後 推進工学 第2問 — 圧縮・加熱後の温度:体積比と圧力比の使い分け

圧縮・加熱後の温度:体積比と圧力比の使い分けの途中式・最終答をPDFで見る

午後 推進工学 第3問 — 膨張後と放熱途中の温度:膨張圧縮比を戻す

膨張後と放熱途中の温度:膨張圧縮比を戻すの途中式・最終答をPDFで見る

午後 推進工学 第4問 — 定容加熱の熱量:内部エネルギーの増加を使う

定容加熱の熱量:内部エネルギーの増加を使うの途中式・最終答をPDFで見る

午後 推進工学 第5問 — 二段の放熱:定容と定圧で比熱が変わる

二段の放熱:定容と定圧で比熱が変わるの途中式・最終答をPDFで見る

午後 推進工学 第6問 — サイクルの熱効率:放熱を受熱で割る

サイクルの熱効率:放熱を受熱で割るの途中式・最終答をPDFで見る

午後 推進工学 第7問 — 大気圧までの膨張:定容放熱が消える境界

大気圧までの膨張:定容放熱が消える境界の途中式・最終答をPDFで見る

午後 推進工学 第8問 — 三つのT--s線図:同じ受熱に対する放熱を比べる

三つのT--s線図:同じ受熱に対する放熱を比べるの途中式・最終答をPDFで見る

専門科目の解答・解説PDF

2022〜2026年度(5年度) · ¥2,880

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年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(解説16項目)

    層流の円管:せん断応力、速度分布と面積平均 / 円管の摩擦係数:断面平均の力の釣り合い / 断熱円管の圧縮性流れ:マッハ数とチョーク

  • 2025年度(解説14項目)

    低速のピトー静圧管:圧力差と対気速度 / 圧縮性を含む対気速度:よどみ温度とよどみ圧 / 超音速のピトー管:衝撃波を挟んだ圧力比

  • 2024年度(このページ・解説44項目)

    乱流境界層の積分法:厚さの変数を取り替える / 形状が一定の境界層:積分因子による厚さの計算 / エネルギー厚さ:壁面外への流出を残して積分する

  • 2023年度(解説29項目)

    一定水頭から流出する定常速度 / 非定常 Bernoulli 式と速度ポテンシャル / 管内流速の立ち上がり

  • 2022年度(解説39項目)

    一様吸い込みによる下流の境界層 / 壁面で満たす一次・二次速度勾配の関係 / 二つの速度分布を補間する吸い込みパラメータ

2024年度の出題内容

解説44項目

この44問の分野は力学3問・制御工学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
午前 流体力学 第1問厚さの変数を取り替える—あり
午前 流体力学 第2問積分因子による厚さの計算—あり
午前 流体力学 第3問壁面外への流出を残して積分する—あり
午前 流体力学 第4問二つの厚さの式から一つを消す—あり
午前 固体力学 第1問座屈の微分方程式—あり
午前 固体力学 第2問回転する座標の根元条件—あり
午前 固体力学 第3問低温で弦が無張力となる条件—あり
午前 固体力学 第4問二本の軸ばねの適合条件—あり
午前 固体力学 第5問弛む旧弦と硬くなる追加材—あり
午前 航空宇宙システム学 第1問力学機体座標のオイラー方程式—あり
午前 航空宇宙システム学 第2問制御工学安定条件と定常偏差—あり
午前 航空宇宙システム学 第3問成分の回転と慣性比—あり
午前 推進工学 第1問—振動型ジャイロの運動:回転座標に現れる三つの項—あり
午前 推進工学 第2問—固有振動数とQ値:減衰係数を測定しやすい量へ直す—あり
午前 推進工学 第3問共振が現れるQ値の条件—あり
午前 推進工学 第4問角速度の大きさを取り出す—あり
午前 推進工学 第5問—角度を直接測る振動子:自由振動の方向を観測する—あり
午後 流体力学 第1問局所音速点の圧力係数—あり
午後 流体力学 第2問超音速領域と衝撃波の位置—あり
午後 流体力学 第3問波に固定した保存則—あり
午後 流体力学 第4問非自明な圧縮波を選ぶ—あり
午後 流体力学 第5問飛行マッハ数による表示—あり
午後 流体力学 第6問逆算する枝と適用範囲—あり
午後 固体力学 第1問せん断応力と三本の軸力—あり
午後 固体力学 第2問分担に応じて積分する—あり
午後 固体力学 第3問カスティリアーノの定理を使う条件—あり
午後 固体力学 第4問軸力を持つ面積で剛性を作る—あり
午後 固体力学 第5問せん断と軸変形の比を調べる—あり
午後 航空宇宙システム学 第1問力学主慣性モーメント—あり
午後 航空宇宙システム学 第2問力学物理振り子の微小振動—あり
午後 航空宇宙システム学 第3問一定となる角速度成分—あり
午後 航空宇宙システム学 第4問保存される振幅と回転方向—あり
午後 航空宇宙システム学 第5問—一軸のトルクで減衰を与える:臨界ゲインの符号—あり
午後 航空宇宙システム学 第6問長い軸が地球へ向く理由—あり
午後 航空宇宙システム学 第7問—軌道面内の微小振動:重力勾配の復元周波数—あり
午後 航空宇宙システム学 第8問零固有値の重なりを調べる—あり
午後 推進工学 第1問断熱圧縮と定容加熱—あり
午後 推進工学 第2問体積比と圧力比の使い分け—あり
午後 推進工学 第3問膨張圧縮比を戻す—あり
午後 推進工学 第4問内部エネルギーの増加を使う—あり
午後 推進工学 第5問定容と定圧で比熱が変わる—あり
午後 推進工学 第6問放熱を受熱で割る—あり
午後 推進工学 第7問定容放熱が消える境界—あり
午後 推進工学 第8問同じ受熱に対する放熱を比べる—あり

前年度(2023年度)との違い

大問数
2023年度 29問 → 2024年度 44問
2023年度の解答例

東京大学の公式過去問

公開年度範囲
2022〜2026(専門科目の公開筆記問題)
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
専門科目の過去問を扱う。英語の受験方法とスコア要件は当該年度の募集要項で確認。
院試hubの最終確認
2026-10-20
東京大学の公式過去問PDF