東大 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 専門科目 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(解説29項目)
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午前 流体力学 第1問 — 一定水頭から流出する定常速度
一定水頭から流出する定常速度の途中式・最終答をPDFで見る午前 流体力学 第2問 — 非定常 Bernoulli 式と速度ポテンシャル
非定常 Bernoulli 式と速度ポテンシャルの途中式・最終答をPDFで見る午前 流体力学 第3問 — 管内流速の立ち上がり
管内流速の立ち上がりの途中式・最終答をPDFで見る午前 流体力学 第4問 — 加速中の管入口圧力
加速中の管入口圧力の途中式・最終答をPDFで見る午前 固体力学 第1問 — サンドイッチ梁のせん断変形と先端たわみ
設問1 微小要素の釣り合い
断面に作用するせん断力は、要素の左面と右面で逆向きになる。鉛直合力 から第一式を得る。上表板は引張、下表板は圧縮で、二つの軸力が間隔 の偶力を作る。その差とせん断力による偶力を比べると となる。 のような二次の微小量は残さない。
と は力、 は長さ当たりの力だから、 と 、 と の単位は一致する。先端のみ上向きの力を加え、区間内に分布荷重がなければ は一定となる。この場合も軸力 は一定ではなく、曲げモーメント に対応して直線的に変わる。
例えば なら 。 と書く誤りは間隔を落とし、数値も単位も異なる。この例で誤って とすれば、必要な断面偶力の勾配を10分の1にしてしまう。
有限の区間 の式でも確認できる。鉛直の釣り合いから 、表板の偶力差から 。例えば が一定なら 、 となる。力が直線、偶力が二次という次数の関係が微分式に対応する。端の力だけを読み取って としてしまうと、力と力勾配を同じ量にすることになり、この積分関係も満たさない。
設問2 表板の軸力と軸変位
ひずみ は、微小線分 の伸び を元の長さ で割った量である。変位が滑らかなら極限で となる。応力 を、表板内で一様とする膜の近似で面積積分すれば を得る。板自身の曲げを無視できる薄い表板、微小ひずみ、一定の が条件である。
この式に使う面積は片側の表板の である。上下表板をまとめた ではない。原題の は一枚の表板の軸力であり、曲げを担う偶力にはもう一枚の逆向き軸力を間隔 で組み合わせる。
検算として を入れると が一定となる。 という説明例なら 。誤って とすれば であり、同じひずみから一枚の表板に二枚分の荷重を割り当ててしまう。これは後の曲げ剛性も2倍にする誤りにつながる。
構成式はエネルギーからも導ける。単位体積当たりの軸弾性エネルギーは、無ひずみから負荷する仕事 。一枚の表板の単位長さ当たりでは であり、軸ひずみで微分した一般化力が となる。圧縮ひずみでは は負になるが、エネルギーは二乗で正のままである。上下二枚のエネルギーを足す際の係数2と、一枚の構成式の係数を区別できる。
設問3 軸変位の支配方程式
同じ変位の微分階数が増えるのは、構成式と二つの釣り合いを順に使うためである。軸ひずみ が軸力を作り、その勾配 がせん断力へ、その勾配 が分布荷重へ結びつく。横変位 の四階方程式を直ちに使う必要はない。せん断変形を持つ芯材があり、 と は独立に近い自由度だからである。
の次元は 、右辺は 。分布荷重がない区間では となり、 は高々二次式となる。これは一定のせん断力から表板軸力が直線分布することと一致する。
簡単な解の確認として、一定 なら 。三回微分して元の式へ戻せる。定数は端部の変位や力から決めるので、この段階で全て0と置いてはいけない。
とする誤式では微分を一回失う。無分布荷重・先端荷重の場合、その誤式は 、従って としてしまう。実際には が必要であり、先端力を伝えられない。この境界力との照合で階数の誤りを見つけられる。
境界値を持つ先端荷重の解を先取りして確かめると、、、 から 、。積分して となる。 が二次でも は負から0へ変わるので、表板の圧縮が根元ほど大きくなる。 は「軸力もひずみも0」という条件ではなく、三階微分だけが0という条件である。微分方程式を解く際には積分定数を境界力へ対応させる。
設問4 芯材の工学せん断ひずみ
工学せん断ひずみは、元は直角だった二つの微小辺の角度変化の和である。微小変形では となる。ひずみテンソルの成分 はこの半分であり、 と区別する。
上下の表板の変位差は 。これを芯材高さ で割った傾きが となる。 は横変位の軸方向勾配で、別の辺の回転を表す。二つの回転が相殺されれば角度は直角のままで、せん断変形はない。
例えば剛体回転の微小角を とし、 と置くと 。剛体回転から弾性応力が生まれないことが確認できる。説明用の なら である。
二つの傾きを引いて とする誤りでは、先の剛体回転で が生じる。また とする誤りはテンソルひずみとの混同で、 の例なら正しい を としてしまう。
変位勾配を行列に並べると、 面の微小ひずみは 反対称部分 は剛体回転であり、これを弾性ひずみと混ぜない。上下の水平変位差だけを見ると剛体回転にもせん断応力を割り当ててしまうが、対称部分を取れば先の剛体回転の例はちょうど消える。せん断の構成式に使う角度は、辺の回転角そのものではなく直角からの変化である。
設問5 横変位と軸変位の結合
は芯材のせん断弾性率であり、表板の Young 率 とは別の物性である。ここでは芯材の軸方向荷重を省き、せん断力を芯材が負担する。断面平均のせん断応力に対して、工学ひずみの構成式 を使う。
横変位の傾きは、断面の回転に相当する と、芯材が直角からずれるせん断変形 の和となる。Euler--Bernoulli 梁は後者を0とする極限である。 なら 、反対に芯材が柔らかければ同じ力でも傾きが増す。
右辺の は長さであり、 と掛ければ無次元、 と同じになる。例えば なら、せん断による傾きは0.01。表板の回転が0の断面ではこれがそのまま となる。
として表板の面積を使う誤りでは、芯材高さ を表板厚さ に置き換えてしまう。 の例なら傾きを100倍の1と計算する。この誤差は後の先端変位のせん断項にもそのまま残る。
この関係と を合わせれば、横変位の二階微分は 。分布荷重が一定の場合でも、せん断ひずみの勾配が曲率へ寄与することがわかる。 が非常に大きい場合だけ、断面回転の勾配と中心線の曲率を同一視できる。せん断補正が小さいかは、材料の比 、高さ、厚さ、長さを組み合わせて判断し、表板の Young 率が大きいという理由だけで横せん断を消さない。
設問6 先端集中荷重によるたわみ
自由端に端部モーメントはなく、表板が作る偶力 は0である。一方せん断力は端荷重と等しい。 を積分して を求め、根元で表板が軸方向に滑らない条件を使う。横変位の積分定数は根元の で決まる。せん断変形を許すので、 を追加してはいけない。根元では断面回転 でも、芯材のひずみによる が残る。
第一項は一定せん断力によるひずみの積分、第二項は表板の伸縮による曲げ変位である。表板二枚の有効断面二次モーメントは 。通常の片持ち梁 は第二項と一致し、 の極限を確かめられる。
例えば SI 単位で という説明例なら、せん断項 、曲げ項 。両者は正で、エネルギーの正定性とも一致する。
とする誤りは表板二枚の を2倍にし、曲げ項を半分にする。上の例では となる。力の分布・根元条件・既知の梁の極限を同時に満たすかを確かめれば、係数2を追跡できる。
先端変位をエネルギーで再計算する。二枚の表板と芯材に蓄えられるエネルギーは 線形弾性・荷重の作用点が固定された小変形系では、仕事の微分 が荷重方向の変位に等しい。微分すると答案の二項が得られる。 を変位にする誤りでは半分になる。これは線形ばねのエネルギーが最終荷重と変位の積の半分 だからである。
解答
設問1 微小要素の釣り合い
上向きの分布荷重を とし、要素の上下力、断面偶力の釣り合いを取る。
上下面の軸力の増分が作る偶力 を、せん断力の偶力 が支える。
設問2 表板の軸力と軸変位
表板の微小な軸ひずみは 。線形弾性則と断面積 により
下側はひずみ なので軸力も逆符号となる。
設問3 軸変位の支配方程式
を微分し、 と を代入する。材料と断面が一様なら
設問4 芯材の工学せん断ひずみ
芯材中の軸方向変位を厚さ方向 に対し線形な とする。横変位は だから
設問5 横変位と軸変位の結合
芯材のせん断応力を一様とし、 を使う。前の式を代入して さらに から
設問6 先端集中荷重によるたわみ
区間内は 、自由端で とする。従って となる。根元 を用いて前問を積分する。
最終答
午前 固体力学 第2問 — 質量一定の芯材高さの最適化
質量一定の芯材高さの最適化の途中式・最終答をPDFで見る午前 航空宇宙システム学 第1問 — 二質点ばね・減衰系の運動方程式
二質点ばね・減衰系の運動方程式の途中式・最終答をPDFで見る午前 航空宇宙システム学 第2問 — 変位・速度を用いた状態空間表現
変位・速度を用いた状態空間表現の途中式・最終答をPDFで見る午前 航空宇宙システム学 第3問 — 位置一つからの可観測性
位置一つからの可観測性の途中式・最終答をPDFで見る午前 航空宇宙システム学 第4問 — 力から第1質点変位への伝達関数
力から第1質点変位への伝達関数の途中式・最終答をPDFで見る午前 航空宇宙システム学 第5問 — モータを含む負帰還制御の線図
モータを含む負帰還制御の線図の途中式・最終答をPDFで見る午前 航空宇宙システム学 第6問 — 四次系の Routh 安定判別
四次系の Routh 安定判別の途中式・最終答をPDFで見る午前 推進工学 第1問 — Stirling サイクルと完全再生の効率
Stirling サイクルと完全再生の効率の途中式・最終答をPDFで見る午前 推進工学 第2問 — 熱電発電の収支と負荷の最適化
熱電発電の収支と負荷の最適化の途中式・最終答をPDFで見る午後 流体力学 第1問 — 等エントロピー流れの静圧と全圧
等エントロピー流れの静圧と全圧の途中式・最終答をPDFで見る午後 流体力学 第2問 — 断面変化と圧力勾配の関係
断面変化と圧力勾配の関係の途中式・最終答をPDFで見る午後 流体力学 第3問 — 断面変化と Mach 数の微分関係
断面変化と Mach 数の微分関係の途中式・最終答をPDFで見る午後 流体力学 第4問 — 背圧で変わる Laval ノズルの流れ
背圧で変わる Laval ノズルの流れの途中式・最終答をPDFで見る午後 流体力学 第5問 — 圧縮衝撃波と等エントロピー圧縮の比較
圧縮衝撃波と等エントロピー圧縮の比較の途中式・最終答をPDFで見る午後 固体力学 第1問 — 異材を直列につないだときの等価弾性率
異材を直列につないだときの等価弾性率の途中式・最終答をPDFで見る午後 固体力学 第2問 — 直列試験片の脆性破断と応力低下
直列試験片の脆性破断と応力低下の途中式・最終答をPDFで見る午後 固体力学 第3問 — 異材を並列につないだときの等価弾性率
異材を並列につないだときの等価弾性率の途中式・最終答をPDFで見る午後 固体力学 第4問 — 並列試験片の二段階破断
並列試験片の二段階破断の途中式・最終答をPDFで見る午後 航空宇宙システム学 第1問 — レーザー輻射圧による並進と姿勢の変化
レーザー輻射圧による並進と姿勢の変化の途中式・最終答をPDFで見る午後 航空宇宙システム学 第2問 — レーザー力の軌道方向への分解
レーザー力の軌道方向への分解の途中式・最終答をPDFで見る午後 航空宇宙システム学 第3問 — 軌道角運動量の変化率
軌道角運動量の変化率の途中式・最終答をPDFで見る午後 航空宇宙システム学 第4問 — 照射する方向の最適化
照射する方向の最適化の途中式・最終答をPDFで見る午後 推進工学 第1問 — 偏心を持つ無減衰ロータの振れ回り
偏心を持つ無減衰ロータの振れ回りの途中式・最終答をPDFで見る午後 推進工学 第2問 — 一方向に支持された不釣り合いモータ
一方向に支持された不釣り合いモータの途中式・最終答をPDFで見る年度別の解答例(5年度)
層流の円管:せん断応力、速度分布と面積平均 / 円管の摩擦係数:断面平均の力の釣り合い / 断熱円管の圧縮性流れ:マッハ数とチョーク
低速のピトー静圧管:圧力差と対気速度 / 圧縮性を含む対気速度:よどみ温度とよどみ圧 / 超音速のピトー管:衝撃波を挟んだ圧力比
乱流境界層の積分法:厚さの変数を取り替える / 形状が一定の境界層:積分因子による厚さの計算 / エネルギー厚さ:壁面外への流出を残して積分する
2023年度(このページ・解説29項目)
一定水頭から流出する定常速度 / 非定常 Bernoulli 式と速度ポテンシャル / 管内流速の立ち上がり
一様吸い込みによる下流の境界層 / 壁面で満たす一次・二次速度勾配の関係 / 二つの速度分布を補間する吸い込みパラメータ
2023年度の出題内容
解説29項目
この29問の分野は制御工学1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 午前 流体力学 第1問 | — | 一定水頭から流出する定常速度 | — | あり |
| 午前 流体力学 第2問 | — | 非定常 Bernoulli 式と速度ポテンシャル | — | あり |
| 午前 流体力学 第3問 | — | 管内流速の立ち上がり | — | あり |
| 午前 流体力学 第4問 | — | 加速中の管入口圧力 | — | あり |
| 午前 固体力学 第1問 | — | サンドイッチ梁のせん断変形と先端たわみ | — | あり |
| 午前 固体力学 第2問 | — | 質量一定の芯材高さの最適化 | — | あり |
| 午前 航空宇宙システム学 第1問 | — | 二質点ばね・減衰系の運動方程式 | — | あり |
| 午前 航空宇宙システム学 第2問 | — | 変位・速度を用いた状態空間表現 | — | あり |
| 午前 航空宇宙システム学 第3問 | — | 位置一つからの可観測性 | — | あり |
| 午前 航空宇宙システム学 第4問 | — | 力から第1質点変位への伝達関数 | — | あり |
| 午前 航空宇宙システム学 第5問 | 制御工学 | モータを含む負帰還制御の線図 | — | あり |
| 午前 航空宇宙システム学 第6問 | — | 四次系の Routh 安定判別 | — | あり |
| 午前 推進工学 第1問 | — | Stirling サイクルと完全再生の効率 | — | あり |
| 午前 推進工学 第2問 | — | 熱電発電の収支と負荷の最適化 | — | あり |
| 午後 流体力学 第1問 | — | 等エントロピー流れの静圧と全圧 | — | あり |
| 午後 流体力学 第2問 | — | 断面変化と圧力勾配の関係 | — | あり |
| 午後 流体力学 第3問 | — | 断面変化と Mach 数の微分関係 | — | あり |
| 午後 流体力学 第4問 | — | 背圧で変わる Laval ノズルの流れ | — | あり |
| 午後 流体力学 第5問 | — | 圧縮衝撃波と等エントロピー圧縮の比較 | — | あり |
| 午後 固体力学 第1問 | — | 異材を直列につないだときの等価弾性率 | — | あり |
| 午後 固体力学 第2問 | — | 直列試験片の脆性破断と応力低下 | — | あり |
| 午後 固体力学 第3問 | — | 異材を並列につないだときの等価弾性率 | — | あり |
| 午後 固体力学 第4問 | — | 並列試験片の二段階破断 | — | あり |
| 午後 航空宇宙システム学 第1問 | — | レーザー輻射圧による並進と姿勢の変化 | — | あり |
| 午後 航空宇宙システム学 第2問 | — | レーザー力の軌道方向への分解 | — | あり |
| 午後 航空宇宙システム学 第3問 | — | 軌道角運動量の変化率 | — | あり |
| 午後 航空宇宙システム学 第4問 | — | 照射する方向の最適化 | — | あり |
| 午後 推進工学 第1問 | — | 偏心を持つ無減衰ロータの振れ回り | — | あり |
| 午後 推進工学 第2問 | — | 一方向に支持された不釣り合いモータ | — | あり |
前年度(2022年度)との違い
- 大問数
- 2022年度 39問 → 2023年度 29問
東京大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 2022〜2026(専門科目の公開筆記問題)
- 公式の解答例
- 解答例の掲載なし
- 英語の扱い
- 専門科目の過去問を扱う。英語の受験方法とスコア要件は当該年度の募集要項で確認。
- 院試hubの最終確認
- 2026-10-20