設問1 ∫0xe−tsinαtdt
部分積分は、u,v が連続な導関数を持つとき ∫0xuv′dt=[uv]0x−∫0xu′vdt である。e−t と sinαt、cosαt の積は、微分しても積分しても同じ型の関数が現れる。2回部分積分すると元の積分 I が −α2I の形で戻るので、I についての一次方程式として解ける。
複素数を使うと一度で済む。sinαt=Imeiαt から、
∫0xe(−1+iα)tdt=−1+iαe(−1+iα)x−1=1+α2(−1−iα)(e−x(cosαx+isinαx)−1)
の虚部は 1+α2α−e−x(αcosαx+sinαx) で、解答と一致する。実部は J=1+α21+e−x(αsinαx−cosαx) で、設問3で α=1,3 として使う。
確かめは微分である。結果を x で微分すると 1+α2e−x(αcosαx+sinαx)−e−x(αcosαx−α2sinαx)=e−xsinαx となり、x=0 では 1+α2α−α=0 で下端の条件も合う。x→∞ では 1+α2α に収束し、∫0∞e−tsinαtdt=Im1−iα1 に等しい。α=1、x=2π では 21−e−π/2≈0.3961 で、設問2で使う。
x=0 の項を落として −1+α2e−x(sinαx+αcosαx) と答える誤りがある。x=0 で −1+α2α となり、積分区間が空のときの値 0 に合わない。
設問2 積分方程式 f(x)=e−xsinx+∫0π/2f(t)dt
この型の積分方程式は、積分の上端と下端が x に依らないので、右辺の積分が定数 c になる。解を「既知の関数 e−xsinx と定数 c の和」と決めて、c が満たす一次方程式に帰着させる。定数の積分 ∫0π/2cdt=2πc を忘れないことが要で、これで c の係数が 1−2π になる。この係数が 0 でないことが解の存在と一意性の条件で、問題は「1つ求めよ」とあるが、1−2π=0 により解は上の一つに限られる。仮に積分区間の上端が 2π でなく 1 なら係数が 0 になり、右辺の ∫01e−tsintdt>0 と合わず、解が存在しない。
数値で確かめる。c≈−0.6939 で、∫0π/2fdt=0.3961+2π(−0.6939)=0.3961−1.0900≈−0.6939 となり、c に戻る。
∫0π/2cdt を落とした誤りでは c=21−e−π/2≈0.3961 となる。代入して確かめると ∫0π/2fdt=0.3961+2π⋅0.3961≈1.018 で、c と一致しない。
設問3 積分方程式 y(x)=cos3x+∫0xy(t)dt
上端が x の積分を含む方程式(ボルテラ型)は、微分すると積分が消える。連続関数 y について dxd∫0xydt=y(x) が成り立つ(微分積分学の基本定理)。ただし微分すると元の式に含まれていた情報が一つ失われるので、元の式に x=0 を代入して得られる条件を別に書く。本問では ∫00=0 より y(0)=cos30=1 である。積分方程式は「微分方程式 y′=y−3cos2xsinx と y(0)=1」と同値になる。
Y′−Y=cos3x は一階線形の微分方程式で、積分因子 e−x を掛けると左辺が (e−xY)′ になる。次数下げ cos3t=43cost+cos3t は、cos3t=4cos3t−3cost から出る。cost と cos3t はどちらも ∫0xe−tcosβtdt の型になり、設問1の部分積分がそのまま使える。結果の ex の項は、微分方程式の同次解 Cex に当たる。C=52 は Y(0)=0 と、y(0)=1 のどちらからも出る。
確かめは x=0 で行う。y(0)=52+83+409=4016+15+9=1。微分方程式 y′=y−3cos2xsinx の x=0 では右辺が 1 で、y′(0)=52+83+409=1 と合う。x=1 では y(1)=1.3933 で、cos31+∫01ydt=0.1577+1.2356=1.3933 と一致する。
ex の項を落とした特殊解 yp=83(cosx+sinx)+409cos3x+403sin3x は微分方程式を満たすが、yp(0)=53=1 で、元の式との差 yp−cos3x−∫0xypdt が定数 −52 になる。初期条件で 52ex を補う必要がある。
解答
設問1 ∫0xe−tsinαtdt
I=∫0xe−tsinαtdt、J=∫0xe−tcosαtdt とおく。部分積分で
I=[−e−tsinαt]0x+α∫0xe−tcosαtdt=−e−xsinαx+αJ,
J=[−e−tcosαt]0x−α∫0xe−tsinαtdt=1−e−xcosαx−αI.
第2式を第1式に代入すると I=−e−xsinαx+α(1−e−xcosαx)−α2I となり、(1+α2)I=α−e−x(sinαx+αcosαx)。
設問2 積分方程式 f(x)=e−xsinx+∫0π/2f(t)dt
c=∫0π/2f(t)dt とおく。c は x によらない定数で、方程式は f(x)=e−xsinx+c となる。これを c の定義式に代入して
c=∫0π/2e−tsintdt+∫0π/2cdt=∫0π/2e−tsintdt+2πc.
設問1で α=1、x=2π とすると、sin2π=1、cos2π=0 より ∫0π/2e−tsintdt=21−e−π/2。よって (1−2π)c=21−e−π/2 で、1−2π=0 だから c=2−π1−e−π/2。
逆に、この c について f(x)=e−xsinx+c は [0,∞) で連続で、∫0π/2fdt=21−e−π/2+2πc=c となり、方程式を満たす。
設問3 積分方程式 y(x)=cos3x+∫0xy(t)dt
Y(x)=∫0xy(t)dt とおく。y は連続なので Y は微分可能で Y′=y、また Y(0)=0。方程式は y=cos3x+Y なので
Y′−Y=cos3x,Y(0)=0.
両辺に e−x を掛けると (e−xY)′=e−xcos3x で、0 から x まで積分して Y(0)=0 を使うと
Y(x)=ex∫0xe−tcos3tdt.
cos3t=43cost+cos3t で、設問1と同じ部分積分により ∫0xe−tcosβtdt=1+β21+e−x(βsinβx−cosβx) なので
∫0xe−tcos3tdt=43⋅21+e−x(sinx−cosx)+41⋅101+e−x(3sin3x−cos3x).
ex を掛けて 83+401=52 にまとめると
Y(x)=52ex+83(sinx−cosx)+401(3sin3x−cos3x).
y=cos3x+Y に cos3x=43cosx+41cos3x を入れて整理する。逆に、この Y に対して y=cos3x+Y とおくと、Y′=y かつ Y(0)=0 から Y=∫0xydt となり、方程式を満たす。
最終答
設問1 ∫0xe−tsinαtdt
∫0xe−tsinαtdt=1+α2α−e−x(αcosαx+sinαx)
設問2 積分方程式 f(x)=e−xsinx+∫0π/2f(t)dt
f(x)=e−xsinx+2−π1−e−π/2(この解のほかに解はない)。
設問3 積分方程式 y(x)=cos3x+∫0xy(t)dt
y(x)=52ex+83(cosx+sinx)+409cos3x+403sin3x