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室蘭工業大学 工学研究科 専門科目 2025年度 第2次募集 院試 過去問 解答例・解説(解説20項目)

解説20項目の分野は熱・統計力学1項目です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1日・力学 問題[1] — 斜面を滑る物体と摩擦の仕事

運動エネルギーの変化は、各力のする仕事の和 ΔK=∫∑F⋅dr\Delta K=\int\sum\bm F\cdot d\bm r に等しい。滑っている間の動摩擦力は速度と逆向きなので、その仕事は負になる。斜面上の移動距離と鉛直方向の落下量は異なるため、重力の仕事に使う長さを確認する。

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第1日・力学 問題[2] — 棒への力積と重心・回転運動

短時間の力は、力積 J=∫Fdt\bm J=\int\bm Fdt にまとめて重心の運動量変化と結べる。同じ力でも作用点が重心からずれると、重心まわりの角力積も必要になる。瞬間的な力積の近似では打撃中の移動を捨てるため、有限時間のパルスを扱う式とは時刻の基準を分ける。

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第1日・熱力学 問題[1] — 実在気体の圧力展開と近似の次数

実在気体の低圧の振る舞いを PVm=RT+B(T)P+C(T)P2+⋯PV_m=RT+B(T)P+C(T)P^2+\cdots と整理すると、一次の係数は圧力を0へ近づけた際の傾きに対応する。途中の VmV_m を理想気体の値へ置く近似で一次まで求められても、二次係数まで同じ精度で求めたことにはならない。

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第1日・熱力学 問題[2] — 熱機関・速さ分布・自由膨張

熱機関では、一巡して作業物質が元の状態へ戻るという条件がある。単一熱源から受けた熱を全て仕事へ変え、それ以外の変化を残さない周期機関は作れない。物体が一度だけ膨張する過程と周期機関を混同せず、第二法則を用いる際には周囲も含めたエントロピー収支を考える。

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第1日・電磁気学 問題[1] — 点電荷の合力と直並列の静電容量

電場と電位は E=−∇ϕ\bm E=-\nabla\phi で結ばれる。点電荷からの距離を変えたときの電位差は電場の線積分で求められ、基準電位をどこに取るかも必要である。力の合成では方向への射影、容量の合成では端子の接続関係を使い、異なる問題の規則を混ぜない。

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第1日・電磁気学 問題[2] — 平行電流の磁場と単位長さ当たりの力

電流を流す導線の微小部分に働く磁気力は dF=I dℓ×Bd\bm F=I\,d\bm\ell\times\bm B である。二本の導線の相互作用では、一方が作った磁場を他方へ作用させる。全力を求めるのか、単位長さ当たりの力を求めるのかで、長さの因子と単位が変わる。

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第2日・量子力学[1] 問題[1] — 消滅演算子と電場で移る調和振動子

調和ポテンシャルへ位置に比例する項を加えると、平方完成で中心の移動と定数の変化に分けられる。二次の係数が変わらないため、固有状態の幅や準位間隔は元の振動子と対応する。中心の移動を波動関数へ入れる際には、全実数軸上の規格化も確かめる。

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第2日・統計力学[2] 問題[1] — 熱浴の状態数から導く正準分布

熱浴の状態数をエントロピーへ直すと SB=kBln⁡WBS_B=k_B\ln W_B となり、温度は 1/T=(∂SB/∂EB)V,N1/T=(\partial S_B/\partial E_B)_{V,N} で定まる。全体のエネルギーが固定なら、小系が受け取る分だけ浴の側が減る。この保存則の符号を先に決めてから、浴のエントロピーを展開する。

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第2日・統計力学[2] 問題[2] — 調和振動子の統計熱力学

調和振動子の分配関数では、一定間隔の準位の和を幾何級数として計算する。∑n=0∞qn=1/(1−q)\sum_{n=0}^{\infty}q^n=1/(1-q) を使う条件は ∣q∣<1|q|<1 である。原題で零点エネルギーを含めた準位を指定している場合、分配関数の前に出るその重みを落とさない。

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第2日・固体物理[3] 問題[1] — 水の結合と電子のHall偏向

磁場中の電子の向きは、まず v×B\bm v\times\bm B を右手系で求め、その後に負電荷の符号を掛けて力へ直す。定常状態のHall電場は横方向の磁気力を打ち消す電気力を作る。電場そのものと電子への電気力は逆向きなので、負号を二度掛けない。

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第2日・固体物理[3] 問題[2] — 転位・一面心正方格子・格子比熱

同じ格子点の集合でも、より小さな原始胞で表せる場合がある。胞の体積は ∣a1⋅(a2×a3)∣|\bm a_1\cdot(\bm a_2\times\bm a_3)| で、独立な格子点の数と対応させる。心の点がどの面にあるかを読み、底面だけの配置へ全側面の点まで加えて解釈しない。

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第2日・固体物理[3] 問題[3] — 逆格子・赤外吸収・電子状態密度

状態密度 D(E)D(E) は、幅 dEdE にある状態数を D(E)dED(E)dE と表す量である。エネルギー以下の累積状態数 N(E)N(E) を数えた後、D(E)=dN(E)/dED(E)=dN(E)/dE と微分して求める。累積数と密度の指数を同じにせず、体積当たりか全体系か、スピンを含むかを明示する。

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第2日・物理系実験[4] 問題[1] — キャリパーの副尺を読む

副尺の最小読取りは、本尺と副尺の間隔の差で決まる。0から数えた一致線の刻み数を使い、l=M+nδl=M+n\delta と本尺へ加算する。印刷数字の間に線がもう一本ある場合には、その数字を直接 δ\delta に掛けない。図ごとの具体的な数値は原図を見て読み取る。

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第2日・物理系実験[4] 問題[2] — マイクロメータの半mmと推読

マイクロメータでは、半mmの線がシンブルの端より左へ出ているかを先に確かめる。その後、基準線に合うシンブルの0.01 mm刻みを加える。0.001 mmまでの推読を求められても、目盛自体が0.001 mm刻みで刻まれているという意味ではない。

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第2日・物理系実験[4] 問題[3] — 抵抗温度計と熱電対

温度を抵抗から求める測定には、抵抗と温度の校正関係が必要になる。温度が下がると抵抗が増す型では dR/dT<0dR/dT<0 である。測定電流を大きくすると自己発熱 I2RI^2R で素子の温度を変えるため、校正だけでなく測定中の発熱にも注意する。

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第2日・物理系実験[4] 問題[4] — SI単位から物理量を選ぶ

単位を選ぶ際は、関係式のどの量を割るかまで確認する。例えば、エネルギーを温度で割る量と、エネルギーを温度・物質量の両方で割る量ではmolの因子が異なる。物理量の名前の印象だけで決めず、基本単位へ戻して一つずつ検算する。

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第2日・物理系実験[4] 問題[5] — 薄凸レンズの焦点距離

実物体から実像を作る薄凸レンズでは、正の距離を使う流儀なら f=ab/(a+b)f=ab/(a+b) となる。距離は全て同じ単位で代入し、有効数字の処理は最後に行う。求めた ff が a,ba,b の両方より小さいことは、1/f=1/a+1/b1/f=1/a+1/b の符号の検算になる。

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第2日・物理系実験[4] 問題[6] — コンデンサの放電と過渡現象

(1) 回路を駆動する電圧と抵抗の電圧降下

電池は最初に Q(0)=CVQ(0)=CV を蓄える役割を持つが、放電中の右側の回路には入っていない。したがって放電中も一定の電池電圧 VV が抵抗を駆動するとしてはいけない。電荷が減るにつれてコンデンサの電圧も下がる。

厳密にはコンデンサが電池のように非静電的な起電力を作るわけではないが、本問の起電力の欄には、蓄えられたエネルギーから回路を駆動する電圧を記す。KVLの符号を放電の向きに取ると Q/C−RI=0Q/C-RI=0 となる。

(2) 放電電流の微分方程式

求めるのは QQ だけの式ではなく、電流 I(t)I(t) についての式なので、KVLを一度微分する。I=dQ/dtI=dQ/dt と置くと電荷が放電中に増す向きになり、指数が正になってしまう。電流の向きを最初に定めたことで、減衰する符号が決まる。

変数分離で dI/I=−dt/(RC)dI/I=-dt/(RC) を積分し、初期値を代入すれば I(t)=(V/R)e−t/(RC)I(t)=(V/R)e^{-t/(RC)} となる。RCRC の単位は秒で、指数は無次元である。また ∫0∞I(t)dt=CV\int_0^\infty I(t)dt=CV となり、初めに蓄えた全電荷が抵抗を通ることを確認できる。

(3) 定常状態へ至る途中の現象

スイッチを切り替えた直後から、時間に依存しない定常状態へ移るまでの変化を過渡現象という。t=RCt=RC で初期値の 1/e1/e となり、理想的な式では有限時刻に突然0へ落ちるわけではない。

初めの電場エネルギーは CV2/2CV^2/2 であり、放電中の抵抗での損失は ∫0∞RI(t)2dt=CV2/2\int_0^\infty RI(t)^2dt=CV^2/2 となる。電池が切り離された回路でエネルギーが新たに加わらず、蓄積エネルギーが全て熱へ変わることも、電流解の符号と係数の検算になる。

解答

(1) 回路を駆動する電圧と抵抗の電圧降下

時刻 tt の正極側の電荷を Q(t)Q(t) とすると、コンデンサの電圧は Q(t)/CQ(t)/C である。放電電流 I(t)I(t) が抵抗を通るときの電圧降下は RI(t)RI(t) となる。

(2) 放電電流の微分方程式

正極側から電荷が出ていくので I=−dQ/dtI=-dQ/dt である。Q/C=RIQ/C=RI を時間微分すると、 1CdQdt=RdIdt⟹RdIdt+IC=0. \frac1C\frac{dQ}{dt}=R\frac{dI}{dt} \quad\Longrightarrow\quad R\frac{dI}{dt}+\frac IC=0.

(3) 定常状態へ至る途中の現象

時刻0の電流から、時定数 RCRC で指数的に減衰して最終的な I=0I=0 へ近づく。

最終答

(1) 回路を駆動する電圧と抵抗の電圧降下

起電力に当たる駆動電圧:Q(t)/CQ(t)/C。電圧降下:RI(t)RI(t)。

(2) 放電電流の微分方程式

dIdt=−IRC\displaystyle \frac{dI}{dt}=-\frac{I}{RC}。初期値は I(0)=V/RI(0)=V/R。

(3) 定常状態へ至る途中の現象

過渡現象。

第2日・応用力学[5] — せん断の符号とモール円

主応力は応力テンソルの固有値であり、その方向ではせん断成分が0になる。モール円の縦軸の符号は、原題が指定するせん断の正方向へ合わせる。tan⁡2θ\tan2\theta だけでは直交する二つの候補が残るため、垂直応力を代入して大きい主応力の方向を選ぶ。

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第2日・材料科学[6] — 相安定性・部分モル量・正則溶体

部分モルGibbs自由エネルギーは μi=(∂G/∂ni)T,P,nj≠i\mu_i=(\partial G/\partial n_i)_{T,P,n_{j\ne i}} で定義される。混合物へ成分を少し加えたときの増分なので、純物質のモル値と一般には異なる。温度・圧力・他成分の量を固定するという微分の条件を保って、混合前後の量を比べる。

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2025〜2026年度・4回 · ¥2,580

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年度別の解答例(4年度)

  • 2026年度 第2次募集(解説18項目)

    剛体振り子と慣性モーメントの測定 / 摩擦の仕事と保存力の判定 / 状態方程式と熱容量差の一般式

  • 2026年度 第1次募集(解説18項目)

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  • 2025年度 第2次募集(このページ・解説20項目)

    斜面を滑る物体と摩擦の仕事 / 棒への力積と重心・回転運動 / 実在気体の圧力展開と近似の次数

  • 2025年度 第1次募集(解説19項目)

    逆二乗の中心力と円軌道の保存量 / 左右のばねによる微小横振動 / 二つの等圧過程を持つ熱機関

2025年度 第2次募集の出題内容

解説20項目

この20問の分野は熱・統計力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1日・力学 問題[1]—斜面を滑る物体と摩擦の仕事—あり
第1日・力学 問題[2]—棒への力積と重心・回転運動—あり
第1日・熱力学 問題[1]—実在気体の圧力展開と近似の次数—あり
第1日・熱力学 問題[2]—熱機関・速さ分布・自由膨張—あり
第1日・電磁気学 問題[1]—点電荷の合力と直並列の静電容量—あり
第1日・電磁気学 問題[2]—平行電流の磁場と単位長さ当たりの力—あり
第2日・量子力学[1] 問題[1]—消滅演算子と電場で移る調和振動子—あり
第2日・統計力学[2] 問題[1]—熱浴の状態数から導く正準分布—あり
第2日・統計力学[2] 問題[2]熱・統計力学調和振動子の統計熱力学—あり
第2日・固体物理[3] 問題[1]—水の結合と電子のHall偏向—あり
第2日・固体物理[3] 問題[2]—転位・一面心正方格子・格子比熱—あり
第2日・固体物理[3] 問題[3]—逆格子・赤外吸収・電子状態密度—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[1]—キャリパーの副尺を読む—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[2]—マイクロメータの半mmと推読—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[3]—抵抗温度計と熱電対—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[4]—SI単位から物理量を選ぶ—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[5]—薄凸レンズの焦点距離—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[6]—コンデンサの放電と過渡現象—あり
第2日・応用力学[5]—せん断の符号とモール円—あり
第2日・材料科学[6]—相安定性・部分モル量・正則溶体—あり

前年度(2025年度 第1次募集)との違い

大問数
2025年度 第1次募集 19問 → 2025年度 第2次募集 20問
2025年度 第1次募集の解答例

室蘭工業大学の公式過去問

公開年度範囲
2025・2026年度 第1次・第2次募集
公式の解答例
全年度・全科目で公開
院試hubの最終確認
2026-10-24
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