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室蘭工業大学 工学研究科 専門科目 2025年度 第1次募集 院試 過去問 解答例・解説(解説19項目)

解説19項目の分野は熱・統計力学1項目、力学1項目です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1日・力学 問題[1] — 逆二乗の中心力と円軌道の保存量

中心力は位置ベクトルと同じ直線上に働くため、中心まわりのトルクが0になる。dL/dt=r×Fd\bm L/dt=\bm r\times\bm F を使えば、角運動量が保存する理由を直接確認できる。エネルギーの保存とは別の条件であり、保存量の成分を求めるときは運動面と軸の向きを定める。

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第1日・力学 問題[2] — 左右のばねによる微小横振動

微小振動の角振動数は、つり合い位置でのポテンシャルの二次の係数から決まる。U(y)≃U(0)+U′′(0)y2/2U(y)\simeq U(0)+U''(0)y^2/2 なら ω2=U′′(0)/m\omega^2=U''(0)/m である。二次の係数が0になる境界では、この単振動の式をそのまま使えず、次の次数を調べる必要がある。

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第1日・熱力学 問題[1] — 二つの等圧過程を持つ熱機関

等圧過程での可逆な熱は、系全体の定圧熱容量を用いて Q=∫CP dTQ=\int C_P\,dT と計算する。一定熱容量なら温度差へ比例するが、放熱を「加えられた熱」として数えると負になる。熱機関の効率の分母には、排熱の符号付き和でなく外から受け取る正の熱を使う。

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第1日・熱力学 問題[2] — 理想気体の状態変化と熱力学ポテンシャル

体膨張率は、温度を少し変えたときの相対的な体積変化 β=(1/V)(∂V/∂T)p\beta=(1/V)(\partial V/\partial T)_p で定義される。温度依存の体積式では、微分した分子だけでなく元の体積を分母へ残す。式全体へ共通に掛かる規格化係数はこの比で消えるが、温度依存の係数は消せない。

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第1日・熱力学 問題[3] — Maxwellの速さ分布の規格化と最頻値

Maxwellの速さ分布では、三次元の速度空間の球殻の体積要素が掛かる。このため、速度の一成分のGauss分布と、非負の速さの分布は形が異なる。最頻値は密度の最大点、平均は ⟨u⟩=∫0∞uf(u)du\langle u\rangle=\int_0^\infty u f(u)du であり、同じ操作で求めない。

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第1日・電磁気学 問題[1] — 対称な点電荷・直線電荷・容量の直並列

点電荷の合力は距離の逆二乗だけでなく、各力を加える方向も使って求める。キャパシタの回路では、同じ二端子間につながる枝が並列である。見た目の個数だけで判断せず、並列群の合成容量を求めてから、群同士の直列接続へ進む。

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第1日・電磁気学 問題[2] — 環状コイルの磁場と交差電流のトルク

電流要素が磁場から受ける力は dF=I dℓ×Bd\bm F=I\,d\bm\ell\times\bm B で、そのトルクは基準点からの腕との外積になる。力の大きさが位置で変わる場合は、全長へ一つの値を掛けず積分する。交点を含む理想細線の模型では、局所的な発散と、積分する物理量の収束も分けて調べる。

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第2日・量子力学[1] — Gauss型試行関数による調和振動子の変分法

変分法では、試行関数を用いたエネルギーの比 E[ψ]=⟨ψ∣H∣ψ⟩/⟨ψ∣ψ⟩\mathcal E[\psi]=\langle\psi|H|\psi\rangle/\langle\psi|\psi\rangle を最小にする。正しく規格化した量で比較する限り、基底エネルギーの上からの評価になる。Gauss関数では波動関数と確率密度の指数に2倍の違いがあることに注意する。

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第2日・統計力学[2] — 独立な二準位系の状態数とSchottky比熱

正準分布の定積熱容量は、エネルギーの揺らぎと CV=(⟨E2⟩−⟨E⟩2)/(kBT2)C_V=(\langle E^2\rangle-\langle E\rangle^2)/(k_BT^2) で結ばれる。二準位系のように取り得るエネルギーが上でも止まる模型では、高温での振る舞いが無限に準位を持つ振動子と異なる。平均エネルギーとその温度微分を区別する。

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第2日・固体物理[3] 問題[1] — 金属の輸送係数と電子の占有分布

一様な導体の抵抗は R=ρℓ/SR=\rho\ell/S で決まり、断面積は直径の二乗に比例する。直径を変えた比を求める際、抵抗率そのものと試料の幾何形状を分けて考える。電気伝導と熱伝導を比べる法則を使う部分では、温度と単位の基準もそろえる。

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第2日・固体物理[3] 問題[2] — 格子波・結晶対称性・格子定数

立方晶の格子定数は、単位胞に実際に含まれる原子数を数えて密度と結び付ける。角の原子、面上の原子などは周囲の胞と共有されるため、見えている点を全て1個ずつとは数えない。質量密度からセル体積を得るときは、モル質量とAvogadro定数の単位を合わせる。

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第2日・固体物理[3] 問題[3] — 第一Brillouin帯と低温比熱の読み方

低温比熱を C=γT+AT3C=\gamma T+AT^3 と表せる範囲では、C/TC/T を T2T^2 に対して描くと切片と傾きが分かれる。切片の電子の寄与と傾きの格子の寄与は、物理的な起源が異なる。十分低温という条件を外れた温度へ、低温の三乗則を延長して比較しない。

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第2日・物理系実験[4] 問題[1] — キャリパーの主尺と副尺の読取り

キャリパーの副尺では、印刷数字と刻みの本数が一致するとは限らない。副尺0の直前の本尺を整数部分とし、重なる線の刻み数へ最小読取りを掛ける。小数部分を図の隙間の見た目だけで決めず、離れた場所も含めて線の一致を探す。原図の具体的な目盛値は販売答案で扱う。

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第2日・物理系実験[4] 問題[2] — マイクロメータの半ミリ目盛と推読

マイクロメータは、スリーブで整数・半mmを読み、シンブルの回転に対応する小数部分を加える。シンブルの端の直前に半mm線が出ているかで、読取りが0.5 mm変わる。最小目盛より細かい桁を目分量で補う推読と、器械に刻まれた分解能は区別する。

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第2日・物理系実験[4] 問題[3] — 球形振り子でgを測る最小の測定量

測定に必要な量を選ぶには、目的量の式を先に整理して消える変数を確かめる。振り子の周期を T=tN/NT=t_N/N と測る場合、NN 往復の時間をまとめて計ると一回当たりの読取り誤差を抑えられる。半径と直径、支点から表面までと重心までの長さを混ぜない。

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第2日・物理系実験[4] 問題[4] — 実像の距離から求める焦点距離

薄い凸レンズの焦点距離は、物体と実像までの距離の逆数の和から求める。実像の距離を正に取るなら f=ab/(a+b)f=ab/(a+b) となる。長さの単位をそろえ、途中で丸めずに最後に有効数字を合わせる。平均距離 (a+b)/2(a+b)/2 とは異なる量である。

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第2日・物理系実験[4] 問題[5] — 電流密度・Lorentz力・Hall効果

Hall効果では、横方向の定常状態の力のつり合いを q(EH+v×B)=0q(\bm E_H+\bm v\times\bm B)=0 と書ける。外積の向きへ電荷の符号を掛けて力を決める。電子の流れる向きと電流の向き、電場の向きと電子の受ける電気力の向きをそれぞれ区別する。

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第2日・応用力学[5] — モール円と主応力面の角度

モール円で得た回転角は、実際の面の法線を回す角度の2倍である。せん断成分が0になる二方向のどちらが大きい主応力を与えるかは、垂直応力を代入して確かめる。さらに法線の方向と面自体の方向は90度違うので、設問が求める対象を最後まで保つ。

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第2日・材料科学[6] — Ag–Snの不変反応と相の質量割合

(1) 三つの不変反応

包晶は、液相と一つの固相が反応して新しい固相を作る L+α→βL+\alpha\to\beta 型の反応である。AではAgに富む固相と液相から ζ\zeta、Bでは ζ\zeta と液相から ε\varepsilon が生じる。二つとも冷却前に固相が存在するため、液相だけから二固相ができる共晶とは区別する。

Cでは221度の水平線で液相が ε\varepsilon と β\beta-Snへ分かれるので共晶になる。固相だけが反応する共析や包析とするのは、反応式の LL を見落としている。一定圧力の二元系では、三相共存の自由度は F=C−P+1=2−3+1=0F=C-P+1=2-3+1=0 で、平衡では温度が固定される。このため三相の反応を不変反応と呼ぶ。

(2)① 同じ元素での結晶構造の変化

一つの元素が異なる結晶構造を取る同素体の間の変化を、同素変態という。Snではダイヤモンド型の α\alpha-Snと体心正方の β\beta-Snが対応し、結晶中の原子の配置と結合の仕方が変わる。元素の種類や合金の平均組成が変わる反応ではない。

同じ固体内の構造変化なので、液体を経由する融解・凝固とは区別する。また、異なる二元素へ分かれる分解反応でもない。温度によって安定相が変わるため、低温側と高温側の構造を同じSnとして比較できる。

(2)② 変態と電気抵抗率

結晶構造が変わると、電子のバンド構造も変わる。α\alpha-Snは零ギャップ半導体として扱われる電子構造を持ち、β\beta-Snは金属である。本問の相の比較では、金属相へ移ることで電気が流れやすくなる。α\alpha-SnをSiと同じ有限の大きな禁制帯幅を持つ半導体と説明する必要はない。

抵抗率は ρ=1/σ\rho=1/\sigma なので、伝導率が増えると抵抗率は減る。結晶構造が違う二相を比べており、同じ金属相の中で温度を上げたときの散乱による抵抗増加だけを当てはめない。試料の長さや断面積の変化による抵抗 RR と、材料の抵抗率 ρ\rho も分けて考える。

(3) 480度直下の二相と割合

二相の組成を結ぶ等温線に対して、てこの規則は wε=52−3052−27=2225=0.88,wL=30−2752−27=325=0.12 w_\varepsilon=\frac{52-30}{52-27}=\frac{22}{25}=0.88, \qquad w_L=\frac{30-27}{52-27}=\frac3{25}=0.12 となる。これは相の質量保存とSnの質量保存を解いたものなので、横軸がwt\%であることに対応した質量割合である。体積割合や原子数割合へは、そのまま読み替えられない。図は等温線上の三つの組成だけを抜き出して独自に描いた。

全体30は27に近いため、27の固相が多くなる。割合を逆にすると、平均組成が30から離れてしまう。実際に 0.88×27+0.12×52=300.88\times27+0.12\times52=30 と元のSn組成を再現する。また、480度の直上の固相 ζ\zeta の24.5を用いると、冷却後の相を取り違える。温度は「やや低い」と指定されているため、ここでは480度直下の境界の図の値を用いた概数として答えている。

解答

(1) 三つの不変反応

冷却方向で、AとBでは液相と既存の固相から別の固相が生じる。Cでは液相から二つの固相が同時に生じる。

(2)① 同じ元素での結晶構造の変化

組成をSnのまま保ち、結晶構造が α\alpha 型から β\beta 型へ変わる現象である。

(2)② 変態と電気抵抗率

α\alpha-Snから金属の β\beta-Snへ変わると、電気を運ぶ電子の状態が変わり、抵抗率は低下する。

(3) 480度直下の二相と割合

全体組成30 wt\% Snは、480度の反応の直下では ε+L\varepsilon+L の二相域にある。境界付近の図の読みとして、ε\varepsilon の組成は約27 wt\% Sn、液相は約52 wt\% Snである。質量分率を wε,wLw_\varepsilon,w_L とすると wε+wL=1,27wε+52wL=30. w_\varepsilon+w_L=1,\qquad 27w_\varepsilon+52w_L=30. これを解く。

二相の組成と全体組成の質量収支

最終答

(1) 三つの不変反応

A:包晶反応、(Ag)+L→ζ(\mathrm{Ag})+L\to\zeta。 B:包晶反応、ζ+L→ε\zeta+L\to\varepsilon。 C:共晶反応、L→ε+(β-Sn)L\to\varepsilon+(\beta\text{-}\mathrm{Sn})。

(2)① 同じ元素での結晶構造の変化

同素変態。

(2)② 変態と電気抵抗率

小さくなる。

(3) 480度直下の二相と割合

現れる相は ε\varepsilon 相(約27 wt\% Sn)と液相 LL(約52 wt\% Sn)。存在する質量割合は ε\varepsilon 相88\%、液相12\%。

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2025年度 第1次募集の出題内容

解説19項目

この19問の分野は熱・統計力学1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1日・力学 問題[1]—逆二乗の中心力と円軌道の保存量—あり
第1日・力学 問題[2]力学左右のばねによる微小横振動—あり
第1日・熱力学 問題[1]—二つの等圧過程を持つ熱機関—あり
第1日・熱力学 問題[2]熱・統計力学理想気体の状態変化と熱力学ポテンシャル—あり
第1日・熱力学 問題[3]—Maxwellの速さ分布の規格化と最頻値—あり
第1日・電磁気学 問題[1]—対称な点電荷・直線電荷・容量の直並列—あり
第1日・電磁気学 問題[2]—環状コイルの磁場と交差電流のトルク—あり
第2日・量子力学[1]—Gauss型試行関数による調和振動子の変分法—あり
第2日・統計力学[2]—独立な二準位系の状態数とSchottky比熱—あり
第2日・固体物理[3] 問題[1]—金属の輸送係数と電子の占有分布—あり
第2日・固体物理[3] 問題[2]—格子波・結晶対称性・格子定数—あり
第2日・固体物理[3] 問題[3]—第一Brillouin帯と低温比熱の読み方—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[1]—キャリパーの主尺と副尺の読取り—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[2]—マイクロメータの半ミリ目盛と推読—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[3]—球形振り子でgを測る最小の測定量—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[4]—実像の距離から求める焦点距離—あり
第2日・物理系実験[4] 問題[5]—電流密度・Lorentz力・Hall効果—あり
第2日・応用力学[5]—モール円と主応力面の角度—あり
第2日・材料科学[6]—Ag–Snの不変反応と相の質量割合—あり

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