東京大学 × 京都大学
東大 京大 数学 院試 比較|数理科学 専門科目Aと基礎科目の出題論点・収録年度・併願
東京大学 数理科学研究科 専門科目Aと京都大学 理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目の院試を、収録年度・大問数・両校に共通する出題論点で対比。固有値・線形空間・留数定理などの重なりを出題数で確認でき、公式の過去問配布と解答の公開状況(確認日つき)も並べます。
数理科学研究科 数理科学専攻は20年度140大問、理学研究科 数学・数理解析専攻は6年度40大問の解答を収録しています。両校に共通する出題論点は7件です。
日本の数学系院試で最上位に位置する東京大学 数理科学研究科と京都大学 理学研究科 数学・数理解析専攻は、毎年外部受験者が「どちらに出願するか」「両方併願するか」で悩む二大目標です。両者とも代数・幾何・解析を中心とした学部数学の本格的な運用力を測りますが、出題形式・選択方式・答案文化・英語の扱い・口述試験・研究環境に明確な差があります。
一目でわかる比較表
| 比較項目 | 東大 数理科学 | 京大 数学・数理解析 |
|---|---|---|
| 試験科目 | 専門A or 専門B(選択) | 基礎科目 + 専門科目 |
| 出題形式 | 4分野からの大問選択(得意分野で勝負しやすい) | 基礎で全範囲、専門で深掘り(穴を作りにくい) |
| 口述試験 | 実施年度あり(研究室志望と関連) | 実施年度あり(基礎・専門の口頭確認) |
| 研究分野の広さ | 代数〜確率・数理物理まで幅広い | 数学専攻と数理解析専攻(RIMS)の二系統 |
| 立地 | 東京・駒場(本郷の研究科もあり) | 京都・北部構内 |
| 向いている受験生 | 特定2分野に強みがある/論述を端的に書ける | 全範囲を均一に運用できる/論理を積み上げる |
試験形式・出題形式の違い
東大 数理科学研究科の筆記試験は専門科目Aと専門科目Bの選択構成で、Aは代数・幾何・解析・確率の4分野からの大問選択、Bはより専門色の強い大問構成という位置づけです。選択方式のため、得意分野2つを完答に近づける戦略が成立しやすいのが特徴です。
京大 数学・数理解析専攻は基礎科目と専門科目の二段構成で、基礎科目で線形代数・微積分・複素解析・ルベーグ積分など学部標準の運用力を、専門科目で代数・幾何・解析の踏み込んだ内容を測る構成が一般的です。基礎科目で穴を作ると専門科目で挽回しづらいため、学部標準を全範囲で均一に運用できる状態に仕上げる必要があります。京大の数理解析専攻はさらに数理解析寄りの選択問題が用意される年度があり、進学先研究室の方針次第で対策範囲が広がります。
分野別に見る対策の重なりと違い
二校とも学部数学の標準範囲を要求するため、土台は大きく重なります。違いは「どの深さまで踏み込むか」と「答案の書き方」です。
代数
両校とも群・環・体と加群の標準範囲が中心です。シローの定理、PID・UFDの判定、ガロア対応は共通の頻出論点。京大は基礎科目で標準的な計算を、専門科目で踏み込んだ証明を求める傾向があり、東大の専門Aは選択した場合に証明の論述精度を強く見られます。
幾何
位相空間論の基礎と多様体の入口は共通。両校とも well-definedness の確認や、コンパクト性・連結性の定義の運用を厳しく見ます。研究室が幾何系の場合、京大は数理解析専攻側の選択問題で踏み込んだ内容が出ることがあります。
解析
複素解析(留数定理・解析接続)、ルベーグ積分(収束定理・フビニ)、関数解析の基礎が共通の頻出範囲です。京大の基礎科目はこの解析の運用力を厚く見る傾向があり、東大の専門Aで解析を選択する場合も同じ土台が活きます。
確率
測度論的確率論の入り口は両校共通ですが、確率論を本格的に研究したい場合は東大 数理科学のほうが選択肢が広い傾向があります。伊藤積分・マルチンゲールまで踏み込むかは志望研究室次第です。
東大の専門Aは「論述の方針表示」を磨くと戦いやすく、結論を端的に示すスタイルと相性が良いです。京大は計算過程と論理を最後まで丁寧に積み上げる文化があり、途中式を省略すると配点を取り切れない傾向があります。京大で基礎を厚く積んだ受験者は、東大の専門A対策で方針表示を磨くだけで十分戦える状態になることが多いです。
研究環境・立地・進路の違い
東大 数理科学研究科は駒場キャンパスを中心に、代数・幾何・解析・確率・数理物理まで幅広い研究室が揃います。京大は数学専攻と数理解析専攻(数理解析研究所 RIMS)の二系統があり、特に RIMS は代数幾何・表現論・数理物理で世界的な拠点です。立地は東京(駒場)と京都(北部構内)で、生活環境・研究コミュニティの雰囲気も判断材料になります。
どちらを優先するかの判断フロー
判断基準は研究したい分野・学部の履修分布・答案スタイルの3点です。
- 確率論・統計系・数理物理の研究室志望 → 東大 数理科学(選択肢が広い)
- 代数幾何・表現論・数理解析を志望 → 京大 数学・数理解析(RIMSを含む)
- 学部で4分野を均等に履修 → 京大の基礎+専門構成と相性が良い
- 特定2分野に強みがある → 東大の選択方式が活きる
- 結論を端的に書くのが得意 → 東大向き
- 計算過程を丁寧に積み上げるスタイル → 京大向き
関連する解答パック・ガイド
東大 数理科学の答案を細かく確認したい場合は東京大学 数理科学研究科 専門科目Aの解答パックを、京大 数学・数理解析の方は京都大学 数学・数理解析専攻 基礎科目の解答パックを確認してください。
東大 専門科目A と 京大 基礎科目 の院試 過去問 収録年度・大問数(2004〜2026年度)
東大 専門科目Aは20年度・20回の試験で140大問、京大 基礎科目は6年度・6回の試験で40大問の解答を作っています。
| 項目 | 東大 専門科目A | 京大 基礎科目 |
|---|---|---|
| 収録年度 | 2004〜2026年度(20年度) | 2020〜2026年度(6年度) |
| 収録した試験の回数 | 20回 | 6回 |
| 大問の合計 | 140問 | 40問 |
| 1回あたりの大問数 | 7問 | 6〜7問 |
| 解説に典型ミスを書いた大問 | 22問 | 13問 |
| 解説に採点・部分点の置き所を書いた大問 | 11問 | 33問 |
実施回ごとの大問数(年度ページへのリンク)
東大 専門科目A
東大と京大に共通して出ている論点と、片方だけに出ている論点
テーマ別に数えると、共通する論点は7件、東大だけに出ている論点は7件、京大だけは3件です。
東大だけに出ている論点
- テイラー展開 3問
- 正定値行列 3問
- 偏微分可能性と連続性 3問
- フーリエ変換 2問
- 群論・環論 1問
- 特性関数 1問
- 微分方程式の級数解法 1問
京大だけに出ている論点
- ラグランジュの未定乗数法 2問
- コーシーの積分定理 1問
- ベータ関数・ガンマ関数 1問
年度別の大問見出し(東大 / 京大・直近8年度)
解答PDFに付けた大問見出しをそのまま並べています。年度は各年度の解答・解説ページへリンクしています。
2026年度
東大 専門科目A
- 第1問 円板上の重積分
- 第2問 像と核の直和分解
- 第3問 べき級数とタウバー型定理
- 第4問 Euler作用素と多項式性
- 第5問 Lotka--Volterra型方程式
- 第6問 Fourier積分と正定値行列
- 第7問 コンパクト性とファイバーの濃度
京大 基礎科目
- 第1問 広義積分の収束範囲
- 第2問 行列の階数
- 第3問 可換な行列全体の次元
- 第4問 上極限・下極限の最値
- 第5問 調和関数の表示
- 第6問 陰関数で定まる曲面と高さ関数の臨界点
- 第7問 二元部分集合族の分類
2025年度
東大 専門科目A
- 第1問 広義積分と漸近展開
- 第2問 射影された線形写像
- 第3問 反復正弦と log-sum-exp
- 第4問 対称双線形写像の普遍性
- 第5問 コンパクト集合を保つ全単射
- 第6問 Schwarz積分と有理型関数
- 第7問 Riccati 方程式
京大 基礎科目
- 第1問 回転対称な積分
- 第2問 三次行列の固有値
- 第3問 交換子と対角化可能行列
- 第4問 振動積分の収束範囲
- 第5問 対数を含む有理型積分
- 第6問 連結な閉集合と固定点
- 第7問 円板上の多項式の最大最小
2024年度
東大 専門科目A
- 第1問 巡回型行列
- 第2問 斉次関数の臨界点
- 第3問 負内積ベクトル族
- 第4問 床関数を含む積分
- 第5問 有理数軸に付く位相
- 第6問 対数積分
- 第7問 非線形系の位相共役
京大 基礎科目
- 第1問 極座標による二重積分
- 第2問 三角型に近い行列の固有値と階数
- 第3問 核と像の直和分解
- 第4問 ガウス型に集中する振動関数
- 第5問 偶奇性とフーリエ積分
- 第6問 球面二つの和写像の臨界値
- 第7問 行列単位を作る基底
2023年度
京大 基礎科目
- 第1問 二次形式の球殻積分
- 第2問 二つの核の共通部分
- 第3問 可換な対角化可能写像
- 第4問 ラプラス型の変数変換
- 第5問 平方根型常微分方程式の一様収束
- 第6問 曲面と水平断面
2022年度
東大 専門科目A
- 第1問 線型写像の対角化
- 第2問 極座標による重積分
- 第3問 ディリクレ積分
- 第4問 連立微分方程式の極限
- 第5問 特殊な距離空間
- 第6問 対称行列の固有値評価
- 第7問 関数列と関数項級数
京大 基礎科目
- 第1問 極座標で見る収束条件
- 第2問 四つのベクトルの一次独立性
- 第3問 有限アーベル群の部分群の数え上げ
- 第4問 積分で定まる凸関数の最小値
- 第5問 留数計算型の実積分
- 第6問 二つの制約で定まる多様体
2020年度
東大 専門科目A
- 第1問 上三角行列の対角化条件
- 第2問 極座標領域上の対数積分
- 第3問 半円と補間二次関数の面積漸近
- 第4問 連立一次微分方程式
- 第5問 対角化可能作用素の不変部分空間
- 第6問 確率重み列と極限交換
- 第7問 右上集合が生成する位相
京大 基礎科目
- 第1問 第1八分球での単項式積分
- 第2問 パラメータ付き三次行列の固有値
- 第3問 右逆写像からの直和分解
- 第4問 単調関数と可積分性
- 第5問 ベータ関数型積分
- 第6問 直交2フレームの多様体
- 第7問 リーマン和の一次補正
2019年度
東大 専門科目A
- 第1問 関数の極限と展開
- 第2問 直交行列と上三角分解
- 第3問 冪零行列の可換行列
- 第4問 商空間と点列
- 第5問 第一象限の零点数
- 第6問 平均型積分方程式
- 第7問 畳み込みの導関数と一様可積分性
京大 基礎科目
この年度の収録なし
2018年度
東大 専門科目A
- 第1問 平均値の極限
- 第2問 二次多項式空間上の線形変換
- 第3問 極座標と平面領域の積分
- 第4問 臨界点と可算性
- 第5問 行列の可換環
- 第6問 一次線形微分方程式の極限
- 第7問 三乗 sinc 積分
京大 基礎科目
この年度の収録なし
公式が配布している過去問と解答の公開状況(東大 / 京大)
院試hubが公式ページを開いて確認した記録です。日付はそのページを最後に確認した日です。
| 項目 | 東大 | 京大 |
|---|---|---|
| 確認した公式ページ | 数理科学研究科 数理科学専攻(修士) | 理学研究科 数学・数理解析専攻 |
| 公式が出している年度 | 直近3年度(おおむね2020〜2022相当) | 1989〜2027(2021年度は試験場での筆記試験なし) |
| 公式解答 | 問題のみ(解答例は非公開) | 問題のみ(解答例は非公開) |
| 英語の扱い | TOEIC L&R または TOEFL iBT/ITP のスコア提出。学内英語試験は実施なし。 | TOEFL iBT スコア提出。年度により英語問題は著作権の都合で非掲載。 |
| 最終確認日 | 2026-06-03 | 2026-09-26 |
| 公式ページ | www.ms.u-tokyo.ac.jp/kyoumu/examination1.html | www.math.kyoto-u.ac.jp/ja/past-exams |
よくある質問
- 東大数理と京大数学は併願できますか。
- 両試験は同年8月に実施されるのが通例で、試験日程が重ならない年度であれば物理的には併願可能です。ただし過去問の量が単純に倍になり、論述演習にかけられる時間が圧迫されます。6か月以上前から準備できるなら両方狙う、3か月前なら片方に絞って残りはチャレンジ受験、という二段構えが現実的です。日程は必ず最新の募集要項で確認してください。
- どちらの方が難しいですか。
- 難易度は単純比較できません。東大 専門Aは選択方式のため得意分野2つを完答に近づける戦略が成立しやすく、京大は基礎科目で穴を作ると専門科目で挽回しづらい構造になりやすいです。学部標準を全範囲で均一に運用できる受験生は京大向き、特定2分野に強みがある受験生は東大向きの傾向があります。
- 確率論を研究したい場合はどちらが良いですか。
- 確率論・統計系・数理物理の研究室を志望するなら、東大 数理科学研究科のほうが選択肢が広い傾向があります。代数幾何・解析寄りの数理解析を志望するなら京大 数学・数理解析専攻(数理解析研究所 RIMS を含む)が向きます。最終的には志望研究室の指導教員と研究テーマで判断してください。
- 英語スコアはどちらも必要ですか。
- 両校とも TOEFL/TOEIC 系のスコア提出が課される年度があります。提出方式・有効期限・締切は年度ごとに更新されるため、最新の募集要項で必ず確認し、出願2か月以上前にスコアを確保しておくのが安全です。