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阪大 基礎工学研究科 システム創成専攻 数理科学II 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(解説10項目)

解説10項目の分野は微分積分・解析4項目、確率・統計1項目、線形代数1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 位相:連続関数の空間の部分集合は開か閉か

位相:連続関数の空間の部分集合は開か閉かの途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 解析:関数の下限と、下限に収束する数列

解析:関数の下限と、下限に収束する数列の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 線形代数:固有ベクトルによる分解と行列のべき

線形代数:固有ベクトルによる分解と行列のべきの途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 線形代数:複素係数多項式の空間の内積と、留数による線型写像

線形代数:複素係数多項式の空間の内積と、留数による線型写像の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 解析:超線形に増加する関数の最小値と導関数の全単射

解析:超線形に増加する関数の最小値と導関数の全単射の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 測度論:各点収束・測度収束と有界化した積分

測度論:各点収束・測度収束と有界化した積分の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 数理統計:平均と分散が等しい正規分布の最尤推定と漸近分布

数理統計:平均と分散が等しい正規分布の最尤推定と漸近分布の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 数理統計:標本の最大値の偏りと一致性

数理統計:標本の最大値の偏りと一致性の途中式・最終答をPDFで見る

第9問 — 数理統計:一様分布の最小値・最大値による検定

数理統計:一様分布の最小値・最大値による検定の途中式・最終答をPDFで見る

第10問 — 数理統計:幾何分布の成功確率の不偏推定量と最尤推定量

設問1 θ~n\widetilde\theta_n は不偏推定量か

不偏性と、確率関数の和の恒等式

推定量 TT が θ\theta の不偏推定量であるとは、母数の範囲 0<θ<10<\theta<1 のすべての値で Eθ[T]=θE_\theta[T]=\theta となることをいう。離散分布の期待値は E[g(Y)]=∑yg(y)P(Y=y)E[g(Y)]=\sum_yg(y)P(Y=y) で、g(y)=n−1n−1+yg(y)=\frac{n-1}{n-1+y} の係数が組合せ数 (n+y−1)!y!(n−1)!\frac{(n+y-1)!}{y!(n-1)!} の因数 (n+y−1)(n+y-1) を消し、指数 nn を n−1n-1 に下げる。その結果、和が1つ下の n−1n-1 の負の二項分布の確率の総和に変わる。n≥2n\ge2 の仮定は、分母 n−1+Ynn-1+Y_n が 00 にならないことと、階乗 (n−2)!(n-2)! が定義されることのために要る。

n=2n=2 での直接確認

n=2n=2 では P(Y2=y)=(y+1)θ2qyP(Y_2=y)=(y+1)\theta^2q^y で、θ~2=11+Y2\widetilde\theta_2=\frac1{1+Y_2} なので E[θ~2]=∑y=0∞11+y(y+1)θ2qy=θ2∑y=0∞qy=θ21−q=θ. E[\widetilde\theta_2]=\sum_{y=0}^\infty\frac1{1+y}(y+1)\theta^2q^y=\theta^2\sum_{y=0}^\infty q^y=\frac{\theta^2}{1-q}=\theta . n=2,3,5,10n=2,3,5,10 と θ=0.1,0.3,0.5,0.9\theta=0.1,0.3,0.5,0.9 の16通りで、確率関数を足して数値的に(10−3410^{-34} の精度で)確かめても、期待値は θ\theta と一致した。

最尤推定量との違い

n−1n−1+y≤nn+y\frac{n-1}{n-1+y}\le\frac n{n+y}(y>0y>0 では真の不等号)なので、θ~n\widetilde\theta_n は最尤推定量 θ^n=nn+Yn\widehat\theta_n=\frac n{n+Y_n} 以下である。E[θ~n]=θE[\widetilde\theta_n]=\theta なので、設問2の E[θ^n]E[\widehat\theta_n] は θ\theta より大きいことになる。最尤推定量の分子と分母の nn を n−1n-1 に取り替えることで、偏りが消える。

YnY_n を期待値 E[Yn]=n(1−θ)θE[Y_n]=\frac{n(1-\theta)}\theta に置き換えて E[θ~n]=n−1n−1+E[Yn]E[\widetilde\theta_n]=\frac{n-1}{n-1+E[Y_n]} とする誤りがある。この値は (n−1)θn−θ\frac{(n-1)\theta}{n-\theta} で、θ\theta に一致しない。n=2n=2、θ=0.5\theta=0.5 では 13\frac13、n=5n=5、θ=0.3\theta=0.3 では 1247≈0.255\frac{12}{47}\approx0.255、n=10n=10、θ=0.1\theta=0.1 では 111≈0.091\frac1{11}\approx0.091 となる。E[g(Y)]≠g(E[Y])E[g(Y)]\ne g(E[Y]) で、g(y)=n−1n−1+yg(y)=\frac{n-1}{n-1+y} が凸関数であることから、期待値は g(E[Y])g(E[Y]) より大きくなる。また θ^n\widehat\theta_n(分子が nn)を不偏と取り違える誤りもあり、n=5n=5、θ=0.3\theta=0.3 では E[θ^n]=0.3447E[\widehat\theta_n]=0.3447 で、θ=0.3\theta=0.3 より大きい。

設問2 lim⁡n→∞∣E[θ^n(ML)]−θ∣\lim_{n\to\infty}\bigl|E[\widehat\theta_n^{(\mathrm{ML})}]-\theta\bigr|

最尤推定量の定義と、幾何分布の平均・分散

最尤推定量は尤度を 0<θ<10<\theta<1 で最大にする値で、対数をとると積が和になって扱いやすい。幾何分布 P(X=x)=θqxP(X=x)=\theta q^x では E[X]=∑xxθqx=θ⋅q(1−q)2=qθE[X]=\sum_xx\theta q^x=\theta\cdot\frac q{(1-q)^2}=\frac q\theta、E[X(X−1)]=θ∑x(x−1)qx=2q2θ2E[X(X-1)]=\theta\sum x(x-1)q^x=\frac{2q^2}{\theta^2} なので、V[X]=2q2θ2+qθ−q2θ2=qθ2V[X]=\frac{2q^2}{\theta^2}+\frac q\theta-\frac{q^2}{\theta^2}=\frac q{\theta^2} である。この2つは、θ=0.2,0.5,0.8\theta=0.2,0.5,0.8 の確率関数の数値和でも確かめた。θ^n\widehat\theta_n が標本平均の関数 11+X‾n\frac1{1+\overline X_n} になることが解答の要点で、g(x)=11+xg(x)=\frac1{1+x} は x≥0x\ge0 で 0<g≤10<g\le1 の有界な滑らかな関数である。

偏りは 00 にならないが消える

gg は凸関数(g′′(x)=2(1+x)3>0g''(x)=\frac2{(1+x)^3}>0)なので、イェンセンの不等式から E[g(X‾n)]>g(E[X‾n])=θE[g(\overline X_n)]>g(E[\overline X_n])=\theta となり、θ^n\widehat\theta_n は各 nn で上にずれる。偏りの大きさは2次近似から 12g′′(μ)V[X‾n]=12⋅2θ3⋅1−θθ2n=θ(1−θ)n\frac12g''(\mu)V[\overline X_n]=\frac12\cdot2\theta^3\cdot\frac{1-\theta}{\theta^2n}=\frac{\theta(1-\theta)}n である。θ=0.3\theta=0.3 で確率関数を直接足した値は、次のとおりである。

nn

22

55

2020

100100

400400

E[θ^n]−θE[\widehat\theta_n]-\theta

0.11490.1149

0.04470.0447

0.01070.0107

0.002110.00211

0.0005260.000526

θ(1−θ)/n\theta(1-\theta)/n

0.1050.105

0.0420.042

0.01050.0105

0.00210.0021

0.0005250.000525

nn が大きいほど2つの行が近づく。解答の上界 (1−θ)/n\sqrt{(1-\theta)/n} は、n=100n=100 で 0.0840.084 と、実際の偏り 0.00210.0021 より大きいが、00 に収束することを示すには足りる。

別の導き方

1n+y=∫01tn+y−1dt\frac1{n+y}=\int_0^1t^{n+y-1}dt と二項級数 ∑y(n+y−1y)uy=(1−u)−n\sum_y\binom{n+y-1}yu^y=(1-u)^{-n} により E[θ^n]=nθn∫01tn−1(1−qt)−ndt E[\widehat\theta_n]=n\theta^n\int_0^1t^{n-1}\bigl(1-qt\bigr)^{-n}dt という積分表示が得られる。被積分関数の主要部分 (t1−qt)n\bigl(\frac t{1-qt}\bigr)^n は t=1t=1 で最大値 θ−n\theta^{-n} をとり、nn が大きいほど t=1t=1 の近くに集中する。数値積分でこの表示が n=2,5,20n=2,5,20 で確率関数の和と一致することを確かめた。

θ^n\widehat\theta_n が設問1の θ~n\widetilde\theta_n と同じ形だから、そのまま不偏と書く誤りがある。偏りは 00 ではなく、θ=0.3\theta=0.3 の n=2n=2 では E[θ^2]=0.4149E[\widehat\theta_2]=0.4149 と θ\theta を 0.11490.1149 上回る。一方、不偏でないことと lim⁡∣E[θ^n]−θ∣≠0\lim|E[\widehat\theta_n]-\theta|\ne0 を取り違える答案もある。設問の量は、偏りが n→∞n\to\infty で消えるかどうかで、θ(1−θ)/n→0\theta(1-\theta)/n\to0 により消える。極限が 00 であることと、各 nn で偏りが 00 であることは別である。

設問3 θ^n(ML)\widehat\theta_n^{(\mathrm{ML})} は一致推定量か

一致性とチェビシェフの不等式

推定量の列 θ^n\widehat\theta_n が一致推定量であるとは、任意の ε>0\varepsilon>0 に対して P(∣θ^n−θ∣≥ε)→0P(|\widehat\theta_n-\theta|\ge\varepsilon)\to0(確率収束)となることである。チェビシェフの不等式 P(∣W−E[W]∣≥c)≤V[W]/c2P(|W-E[W]|\ge c)\le V[W]/c^2(c>0c>0)は、分散から確率を押さえる。ここでは W=X‾nW=\overline X_n、E[W]=μE[W]=\mu、V[W]=σ2nV[W]=\frac{\sigma^2}n で、設問2で得た「θ^n\widehat\theta_n の誤差は X‾n\overline X_n の誤差の θ\theta 倍以下」により、θ^n\widehat\theta_n の評価が標本平均の評価に移る。非線形な写像 g(x)=11+xg(x)=\frac1{1+x} を通した誤差は、設問2の式から ∣g(x)−g(μ)∣≤θ∣x−μ∣|g(x)-g(\mu)|\le\theta|x-\mu|(x≥0x\ge0)と評価できる。

確率の数値とチェビシェフの上界

θ=0.3\theta=0.3、ε=0.05\varepsilon=0.05 のとき、P(∣θ^n−θ∣≥ε)P(|\widehat\theta_n-\theta|\ge\varepsilon) を確率関数から直接計算すると、n=10,50,200,800n=10,50,200,800 でそれぞれ 0.5416, 0.1597, 0.00628, 1.4×10−70.5416,\ 0.1597,\ 0.00628,\ 1.4\times10^{-7} と急速に減る。チェビシェフの上界 1−θnε2=280n\frac{1-\theta}{n\varepsilon^2}=\frac{280}n は n=800n=800 で 0.350.35、n=104n=10^4 で 0.0280.028 と粗いが、00 に収束する。分散の近似は、n V[θ^n]≈θ2(1−θ)n\,V[\widehat\theta_n]\approx\theta^2(1-\theta)(デルタ法)である。θ=0.3\theta=0.3、n=400n=400 を6000回発生させた数値実験では n V[θ^n]=0.0625n\,V[\widehat\theta_n]=0.0625(理論値 0.0630.063)で、平均は 0.30040.3004 だった。θ2(1−θ)\theta^2(1-\theta) は幾何分布のフィッシャー情報量 1θ2(1−θ)\frac1{\theta^2(1-\theta)} の逆数と一致し、最尤推定量は漸近的に最良の分散をもつ。

不偏性・漸近不偏性・一致性の関係

設問1の θ~n\widetilde\theta_n は不偏で、設問2の θ^n\widehat\theta_n は不偏でないが、どちらも一致推定量である。θ~n\widetilde\theta_n も同様に ∣θ~n−θ∣≤∣θ~n−θ^n∣+∣θ^n−θ∣|\widetilde\theta_n-\theta|\le|\widetilde\theta_n-\widehat\theta_n|+|\widehat\theta_n-\theta| で、第1項は Yn(n+Yn)(n−1+Yn)≤1n→0\frac{Y_n}{(n+Y_n)(n-1+Y_n)}\le\frac1n\to0 なので一致性が従う。不偏性があれば自動的に一致するわけではなく、分散が 00 に近づくことが別に要る。たとえば 1{X1=0}\mathbf 1_{\{X_1=0\}} は E=P(X1=0)=θE=P(X_1=0)=\theta で不偏だが、X1X_1 しか使わないので nn を増やしても精度が上がらず、一致推定量ではない。

極限の値を取り違える誤りがある。X‾n→μ=1−θθ\overline X_n\to\mu=\frac{1-\theta}\theta から θ^n=11+X‾n\widehat\theta_n=\frac1{1+\overline X_n} ではなく 1X‾n\frac1{\overline X_n} を作ると、θ1−θ\frac\theta{1-\theta} に収束し、θ=0.3\theta=0.3 では 0.42860.4286 と θ\theta に一致しない。また「θ^n\widehat\theta_n は不偏でないから一致推定量ではない」とするのも誤りで、偏りが θ(1−θ)/n\theta(1-\theta)/n で消えるうえ、分散も消える。逆に「偏りが 00 に近づくから一致推定量」とするのも不十分で、P(∣θ^n−θ∣≥ε)→0P(|\widehat\theta_n-\theta|\ge\varepsilon)\to0 には、偏りに加えて分散(または確率の直接評価)が要る。

解答

設問1 θ~n\widetilde\theta_n は不偏推定量か

n≥2n\ge2 なので n−1+Yn≥1n-1+Y_n\ge1 で θ~n\widetilde\theta_n は常に定義される。期待値を確率関数で書くと E[θ~n]=∑y=0∞n−1n−1+y⋅(n+y−1)!y! (n−1)! θn(1−θ)y. E[\widetilde\theta_n]=\sum_{y=0}^\infty\frac{n-1}{n-1+y}\cdot\frac{(n+y-1)!}{y!\,(n-1)!}\,\theta^n(1-\theta)^y . (各項は非負で、n−1n−1+y≤1\frac{n-1}{n-1+y}\le1 により P(Yn=y)P(Y_n=y) 以下だから、和は収束する。)係数を整理する。(n+y−1)!=(n+y−1)(n+y−2)!(n+y-1)!=(n+y-1)(n+y-2)! と (n−1)!=(n−1)(n−2)!(n-1)!=(n-1)(n-2)! より n−1n−1+y⋅(n+y−1)!y! (n−1)!=(n−1) (n+y−2)!y! (n−1) (n−2)!=(n+y−2)!y! (n−2)!. \frac{n-1}{n-1+y}\cdot\frac{(n+y-1)!}{y!\,(n-1)!}=\frac{(n-1)\,(n+y-2)!}{y!\,(n-1)\,(n-2)!}=\frac{(n+y-2)!}{y!\,(n-2)!}. したがって E[θ~n]=θ∑y=0∞((n−1)+y−1)!y! ((n−1)−1)! θ n−1(1−θ)y. E[\widetilde\theta_n]=\theta\sum_{y=0}^\infty\frac{\bigl((n-1)+y-1\bigr)!}{y!\,\bigl((n-1)-1\bigr)!}\,\theta^{\,n-1}(1-\theta)^y . 和の中身は、n−1 (≥1)n-1\ (\ge1) 個の独立な幾何分布の和の確率関数 P(Yn−1=y)P(Y_{n-1}=y) そのもので、yy について 00 から ∞\infty まで足すと 11 である。よって E[θ~n]=θ⋅1=θ(0<θ<1) E[\widetilde\theta_n]=\theta\cdot1=\theta\qquad(0<\theta<1) となり、θ~n\widetilde\theta_n は θ\theta の不偏推定量である。

設問2 lim⁡n→∞∣E[θ^n(ML)]−θ∣\lim_{n\to\infty}\bigl|E[\widehat\theta_n^{(\mathrm{ML})}]-\theta\bigr|

最尤推定量

X1,…,XnX_1,\dots,X_n の尤度は ∏iθ(1−θ)xi=θn(1−θ)y\prod_i\theta(1-\theta)^{x_i}=\theta^n(1-\theta)^{y}(y=∑xiy=\sum x_i)で、対数尤度は ℓ(θ)=nlog⁡θ+ylog⁡(1−θ)\ell(\theta)=n\log\theta+y\log(1-\theta) である。ℓ′(θ)=nθ−y1−θ=0\ell'(\theta)=\frac n\theta-\frac y{1-\theta}=0 から θ=nn+y\theta=\frac n{n+y} で、ℓ′′(θ)=−nθ2−y(1−θ)2<0\ell''(\theta)=-\frac n{\theta^2}-\frac y{(1-\theta)^2}<0 なので、これが最大点である。よって θ^n=nn+Yn=11+X‾n. \widehat\theta_n=\frac n{n+Y_n}=\frac1{1+\overline X_n}. (Yn=0Y_n=0 のとき ℓ\ell は増加関数で、θ^n=1\widehat\theta_n=1 と定める。この確率 θn\theta^n は 00 に近づく。)

偏りの評価

1個の XiX_i の平均と分散は μ=E[X1]=1−θθ\mu=E[X_1]=\frac{1-\theta}\theta、σ2=V[X1]=1−θθ2\sigma^2=V[X_1]=\frac{1-\theta}{\theta^2} で、θ=11+μ\theta=\frac1{1+\mu} である。したがって θ^n−θ=11+X‾n−11+μ=μ−X‾n(1+X‾n)(1+μ)=θ (μ−X‾n)1+X‾n \widehat\theta_n-\theta=\frac1{1+\overline X_n}-\frac1{1+\mu}=\frac{\mu-\overline X_n}{(1+\overline X_n)(1+\mu)}=\frac{\theta\,(\mu-\overline X_n)}{1+\overline X_n} で、1+X‾n≥11+\overline X_n\ge1 から ∣θ^n−θ∣≤θ ∣X‾n−μ∣|\widehat\theta_n-\theta|\le\theta\,|\overline X_n-\mu| である。∣E[Z]∣≤E∣Z∣|E[Z]|\le E|Z| と、コーシー・シュワルツの不等式による E∣Z∣≤E[Z2]E|Z|\le\sqrt{E[Z^2]} を使って ∣E[θ^n]−θ∣≤E∣θ^n−θ∣≤θ E∣X‾n−μ∣≤θV[X‾n]=θ⋅σn=1−θn⟶0. \bigl|E[\widehat\theta_n]-\theta\bigr|\le E\bigl|\widehat\theta_n-\theta\bigr|\le\theta\,E\bigl|\overline X_n-\mu\bigr|\le\theta\sqrt{V[\overline X_n]}=\theta\cdot\frac\sigma{\sqrt n}=\sqrt{\frac{1-\theta}n}\longrightarrow0 . したがって極限は 00 である。

設問3 θ^n(ML)\widehat\theta_n^{(\mathrm{ML})} は一致推定量か

一致推定量である。設問2の式より ∣θ^n−θ∣≤θ ∣X‾n−μ∣|\widehat\theta_n-\theta|\le\theta\,|\overline X_n-\mu| である。任意の ε>0\varepsilon>0 に対し、チェビシェフの不等式から P(∣θ^n−θ∣≥ε)≤P(∣X‾n−μ∣≥εθ)≤V[X‾n](ε/θ)2=σ2θ2nε2=1−θnε2⟶0(n→∞). P\bigl(|\widehat\theta_n-\theta|\ge\varepsilon\bigr)\le P\Bigl(|\overline X_n-\mu|\ge\frac\varepsilon\theta\Bigr)\le\frac{V[\overline X_n]}{(\varepsilon/\theta)^2}=\frac{\sigma^2\theta^2}{n\varepsilon^2}=\frac{1-\theta}{n\varepsilon^2}\longrightarrow0\qquad(n\to\infty). よって θ^n\widehat\theta_n は θ\theta に確率収束し、θ\theta の一致推定量である。

最終答

設問1 θ~n\widetilde\theta_n は不偏推定量か

不偏推定量である。E[θ~n]=θE[\widetilde\theta_n]=\theta(0<θ<10<\theta<1、n≥2n\ge2)。

設問2 lim⁡n→∞∣E[θ^n(ML)]−θ∣\lim_{n\to\infty}\bigl|E[\widehat\theta_n^{(\mathrm{ML})}]-\theta\bigr|

lim⁡n→∞∣E[θ^n(ML)]−θ∣=0\displaystyle\lim_{n\to\infty}\Bigl|E\bigl[\widehat\theta_n^{(\mathrm{ML})}\bigr]-\theta\Bigr|=0(θ^n(ML)=nn+Yn\widehat\theta_n^{(\mathrm{ML})}=\dfrac n{n+Y_n} は漸近不偏)。

設問3 θ^n(ML)\widehat\theta_n^{(\mathrm{ML})} は一致推定量か

一致推定量である。P(∣θ^n−θ∣≥ε)≤1−θnε2→0P\bigl(|\widehat\theta_n-\theta|\ge\varepsilon\bigr)\le\dfrac{1-\theta}{n\varepsilon^2}\to0。

数理科学IIの解答・解説PDF

2022〜2026年度(5年度) · ¥2,880

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年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(このページ・解説10項目)

    位相:連続関数の空間の部分集合は開か閉か / 解析:関数の下限と、下限に収束する数列 / 線形代数:固有ベクトルによる分解と行列のべき

  • 2025年度(解説10項目)

    偏微分方程式:波動方程式の変数変換とダランベールの公式 / 複素解析:鍵穴型の積分路と広義積分 ∫_0^∞ x^a-1(1+x)^-ndx / 実解析:指数型関数の積分の評価と優収束定理

  • 2024年度(解説9項目)

    線形代数・数値解析:べき乗法(優越固有値の固有ベクトルへの収束) / 解析学:広義積分 ∫_0^∞\bigl(x^α-1-(x+1)^α-1\bigr)dx とガンマ関数 / 解析学:数列空間 \ell^2 の内積不等式と、弱収束とノルム収束から強収束

  • 2023年度(解説9項目)

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  • 2022年度(解説10項目)

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2026年度の出題内容

解説10項目

この10問の分野は微分積分・解析4問・確率・統計1問・線形代数1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分積分・解析連続関数の空間の部分集合は開か閉か——
第2問微分積分・解析関数の下限と、下限に収束する数列—あり
第3問線形代数固有ベクトルによる分解と行列のべき—あり
第4問—線形代数:複素係数多項式の空間の内積と、留数による線型写像—あり
第5問微分積分・解析超線形に増加する関数の最小値と導関数の全単射——
第6問微分積分・解析各点収束・測度収束と有界化した積分——
第7問平均と分散が等しい正規分布の最尤推定と漸近分布—あり
第8問標本の最大値の偏りと一致性—あり
第9問—数理統計:一様分布の最小値・最大値による検定—あり
第10問確率・統計幾何分布の成功確率の不偏推定量と最尤推定量不偏性と、確率関数の和の恒等式 / n=2 での直接確認あり

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 10問 → 2026年度 10問
2025年度の解答例

大阪大学の公式過去問

公開年度範囲
領域別。電子光・物性物理・化学・化学工学・数理科学は2022〜2026年度など
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
受験する年度・専攻の募集要項で確認してください。
院試hubの最終確認
2026-10-26
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