阪大 基礎工学研究科 システム創成専攻 数理科学II 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(解説9項目)
解説9項目の分野は微分積分・解析4項目、確率・統計1項目、線形代数1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。
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第1問 — 線形代数・数値解析:べき乗法(優越固有値の固有ベクトルへの収束)
線形代数・数値解析:べき乗法(優越固有値の固有ベクトルへの収束)の途中式・最終答をPDFで見る第2問 — 解析学:広義積分 ∫_0^∞\bigl(x^α-1-(x+1)^α-1\bigr)dx とガンマ関数
解析学:広義積分 ∫_0^∞\bigl(x^α-1-(x+1)^α-1\bigr)dx とガンマ関数の途中式・最終答をPDFで見る第3問 — 解析学:数列空間 \ell^2 の内積不等式と、弱収束とノルム収束から強収束
解析学:数列空間 \ell^2 の内積不等式と、弱収束とノルム収束から強収束の途中式・最終答をPDFで見る第4問 — 解析学・常微分方程式:ピカールの逐次近似と大域解の存在
解析学・常微分方程式:ピカールの逐次近似と大域解の存在の途中式・最終答をPDFで見る第5問 — 測度論・積分論:優収束定理による二重積分の極限
測度論・積分論:優収束定理による二重積分の極限の途中式・最終答をPDFで見る第6問 — 数理統計:ラプラス分布の位置母数、順序統計量と最尤推定量、不偏性
数理統計:ラプラス分布の位置母数、順序統計量と最尤推定量、不偏性の途中式・最終答をPDFで見る第7問 — 数理統計:非心カイ二乗分布の分布関数と、円板に関する検定の構成
数理統計:非心カイ二乗分布の分布関数と、円板に関する検定の構成の途中式・最終答をPDFで見る第8問 — 数理統計:非対称なラプラス型分布の標本平均(不偏性・偏り・一致性)
設問1 は の不偏推定量か
不偏推定量は がすべての で成り立つ推定量である。標本平均の期待値は、期待値の線形性により母集団の期待値 に等しい。したがって計算の中心は、この分布の期待値が になることの確認である。密度の指数部の係数が なので、 の符号( の符号と同じ)に応じて右側の裾が 、左側の裾が と非対称になる。指数分布の積率 で計算した。
別の見方として、( は率 、 は率 の独立な指数分布)と書ける。実際、2つの指数分布の差の密度は 、 で、 と一致する。期待値は で、同じ値を得る。パラメータ は期待値が になるように選ばれている。
数値で確かめた。 の5つの値で、記号積分によって全積分が 、期待値が となった。()、 で20万回の模擬実験をすると の平均が だった。
誤りは、密度のピークの位置と期待値を混同することである。指数部 は で最大になるので、モード(密度が最大の点)は によらず で、期待値 と一致しない。 ではモードが 、期待値が である。
設問2 は の不偏推定量か
分散と期待値の関係 を、 に使う。不偏な推定量を非線形な関数 に通した は、一般に の不偏推定量にならない。2乗は凸関数なので、イェンセンの不等式から で、等号は が定数のときだけである。偏りは そのものである。( で最小値 、対称ラプラス分布の分散)なので、偏りは でも ある。
記号計算で確かめた。 では 、 で、 の を直接の積分でも得る。 では で、積率母関数 から作った の積率の2階微分も同じ値だった。20万回の模擬実験でも である。
「 が不偏だから も不偏」と考えるのは誤りで、 で期待値は でなく になる。偏りを消すには、不偏標本分散 ()を使って とする。 で6万回の模擬実験の平均は で、 に合う。
設問3 は の一致推定量か
確率収束の主張は、大数の法則と連続写像定理の組み合わせである。標本平均 が に確率収束し、連続関数 に対して となる。本問の分散が有限であることは設問2で確かめてあるので、チェビシェフの不等式で収束が自己完結に示せる。 では、 なら が成り立つので、 とすればよい。この での上界 は で と大きい。実際の確率は の分布を模擬して を求めると、 で となった(各4000回)。この分布は分散が と大きいので、収束はゆっくりである。
一致性と不偏性は別の性質である。 は不偏でない。積率母関数から、( は の3次の中心積率)と求まり、 では で偏りが で、 で に近づく。偏りがあることから「一致推定量でない」と結論するのは誤りで、偏りが で に近づき、分散も に近づくなら、一致推定量になる。設問2の も同じ理由で、 の一致推定量である。
解答
設問1 は の不偏推定量か
、、 とおくと、 より で、密度は である。、 とおく。また なので 正規化の確認:、 より、 である。
期待値を求める。 と、 の置換による から、 で なので、 である。期待値の線形性より
設問2 は の不偏推定量か
とおく。 は独立同分布なので で、設問1より だから を求める。 から 、、 より である。 を使うと ここで (設問1の )を使った。さらに より 、 なので したがって で、すべての と で に等しくない。
設問3 は の一致推定量か
一致推定量とは、すべての で任意の に対し となる推定量である。 を固定し、 をとる。関数 は で連続なので、ある が存在して となる。対偶により チェビシェフの不等式(、、 は設問2)より よって は に確率収束する。
最終答
設問1 は の不偏推定量か
は の不偏推定量である(すべての で )
設問2 は の不偏推定量か
は の不偏推定量ではない。
設問3 は の一致推定量か
は の一致推定量である
第9問 — 確率・近似:ベルヌーイ標本平均によるベルンシュタイン多項式と一様収束
確率・近似:ベルヌーイ標本平均によるベルンシュタイン多項式と一様収束の途中式・最終答をPDFで見る年度別の解答例(5年度)
位相:連続関数の空間の部分集合は開か閉か / 解析:関数の下限と、下限に収束する数列 / 線形代数:固有ベクトルによる分解と行列のべき
偏微分方程式:波動方程式の変数変換とダランベールの公式 / 複素解析:鍵穴型の積分路と広義積分 ∫_0^∞ x^a-1(1+x)^-ndx / 実解析:指数型関数の積分の評価と優収束定理
2024年度(このページ・解説9項目)
線形代数・数値解析:べき乗法(優越固有値の固有ベクトルへの収束) / 解析学:広義積分 ∫_0^∞\bigl(x^α-1-(x+1)^α-1\bigr)dx とガンマ関数 / 解析学:数列空間 \ell^2 の内積不等式と、弱収束とノルム収束から強収束
実解析:平行移動した可積分関数と、無限遠で消える関数の積の積分 / 位相・距離空間:離散距離の開集合と、コンパクト空間からの連続写像 / 複素解析:切れ目に沿う2本の半直線と留数定理による実積分の計算
微積分:広義積分 ∫_0^∞ x^-α(1+x)^-\betadx の収束条件と対数因子の働き / 微積分:下限を含むパラメータ付き広義積分の微分と、漸化式による ∫_1^∞(x^3+1)^-3dx / 解析学:優級数による級数の収束と、∑ g_n(π/2)/n! の値
2024年度の出題内容
解説9項目
この9問の分野は微分積分・解析4問・確率・統計1問・線形代数1問・微分方程式1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 線形代数 | べき乗法(優越固有値の固有ベクトルへの収束) | — | あり |
| 第2問 | 微分積分・解析 | 広義積分 ∫_0^∞\bigl(x^α-1-(x+1)^α-1\bigr)dx とガンマ関数 | — | あり |
| 第3問 | 微分積分・解析 | 数列空間 \ell^2 の内積不等式と、弱収束とノルム収束から強収束 | — | あり |
| 第4問 | 微分方程式 | ピカールの逐次近似と大域解の存在 | — | あり |
| 第5問 | 微分積分・解析 | 優収束定理による二重積分の極限 | — | あり |
| 第6問 | — | 数理統計:ラプラス分布の位置母数、順序統計量と最尤推定量、不偏性 | — | あり |
| 第7問 | — | 数理統計:非心カイ二乗分布の分布関数と、円板に関する検定の構成 | — | あり |
| 第8問 | 微分積分・解析 | 非対称なラプラス型分布の標本平均(不偏性・偏り・一致性) | — | あり |
| 第9問 | 確率・統計 | ベルヌーイ標本平均によるベルンシュタイン多項式と一様収束 | — | あり |
前年度(2023年度)との違い
- 大問数
- 2023年度 9問 → 2024年度 9問
大阪大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 領域別。電子光・物性物理・化学・化学工学・数理科学は2022〜2026年度など
- 公式の解答例
- 解答例の掲載なし
- 英語の扱い
- 受験する年度・専攻の募集要項で確認してください。
- 院試hubの最終確認
- 2026-10-26