院試hub

阪大 基礎工学研究科 システム創成専攻 電子光科学II 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(解説8項目)

解説8項目の分野は電磁気学・回路4項目、物性物理3項目、熱・統計力学1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

最終更新:

第1問 — 電気回路:直列RLC回路の共振・Q値・半値幅

(1) ∣VC∣|V_C| が最大となる角周波数 ωr\omega_{\mathrm r}

共振の角周波数を決めるには、周波数を動かしたときの量の大きさを分母の2乗和 D(ω)D(\omega) に直し、その極小を探す。この方法は、線形素子だけの回路が単一周波数の正弦波定常状態にあるときに使える。キャパシタの電圧は VC=ZC E/ZV_C=Z_C\,E/Z の分圧なので、周波数を動かしたときの電圧は 1/(ωC)1/(\omega C) を含む。この ω\omega 依存性があるため、∣VC∣=∣I∣/(ωC)|V_C|=|I|/(\omega C) の最大点は電流 ∣I∣|I| の最大点とは一致しない。

問題文の「共振点」は、(4)で「∣I∣|I| は共振点で最大値 ∣Imax⁡∣|I_{\max}| となる」と言い換えられている。さらに(3)の Q=ωrL/RQ=\omega_{\mathrm r}L/R が成り立つのは ω=1/LC\omega=1/\sqrt{LC} の点に限られる。したがって本問の ωr\omega_{\mathrm r} は、リアクタンスが零で電流が最大になる点を指す。∣VC∣|V_C| の最大点との差は小さい量だが、答案には両者を分けて書く。R=5 ΩR=5\,\Omega、L=1 mHL=1\,\mathrm{mH}、C=1 μFC=1\,\mu\mathrm{F} では ωr=3.1623×104 rad/s\omega_{\mathrm r}=3.1623\times10^{4}\,\mathrm{rad/s}、Q=6.32Q=6.32 で、∣VC∣|V_C| の最大点は ωr1−1/(2Q2)=0.99373 ωr\omega_{\mathrm r}\sqrt{1-1/(2Q^2)}=0.99373\,\omega_{\mathrm r} にある。そのとき ∣VC/E∣=Q/1−1/(4Q2)=6.344|V_C/E|=Q/\sqrt{1-1/(4Q^2)}=6.344 で、ωr\omega_{\mathrm r} での 6.3256.325 より 0.31%0.31\% 大きいだけである。一般に最大点のずれは 1/(4Q2)1/(4Q^2) 程度で、Q≫1Q\gg1 なら無視できる。

QQ が小さいとずれは大きい。Q=1Q=1 では最大点が 0.707 ωr0.707\,\omega_{\mathrm r} に下がる。R2>2L/CR^2>2L/C(Q<1/2Q<1/\sqrt2)になると ω2\omega^2 の解が負になり、∣VC∣|V_C| は ω=0\omega=0 の値 ∣E∣|E| から単調に減るだけで極大がない。上の LL、CC なら R>44.7 ΩR>44.7\,\Omega がその境である。R=50 ΩR=50\,\Omega で ∣VC/E∣≤1|V_C/E|\le1 を数値で確かめた。

「∣VC∣=∣I∣/(ωC)|V_C|=|I|/(\omega C) だから ∣I∣|I| が最大のところで ∣VC∣|V_C| も最大」と書く答案が多い。1/(ωC)1/(\omega C) が ω\omega とともに変わることを落としている。条件 R2C/L≪1R^2C/L\ll1 を書かずに ωr=1/LC\omega_{\mathrm r}=1/\sqrt{LC} とだけ書くと、∣VC∣|V_C| の最大点として導いたことにならない。

(2) 共振点での VCV_C と VLV_L

インダクタでは vL=L di/dtv_L=L\,di/dt より電圧が電流より 90∘90^\circ 進み、キャパシタでは i=C dvC/dti=C\,dv_C/dt より電圧が電流より 90∘90^\circ 遅れる。フェーザではそれぞれ jωLj\omega L と 1/(jωC)=−j/(ωC)1/(j\omega C)=-j/(\omega C) という虚数因子で表される。直列回路のキルヒホッフの電圧則 E=RI+VL+VCE=RI+V_L+V_C に VL+VC=jXIV_L+V_C=jXI を入れると、共振点(X=0X=0)では E=RIE=RI になる。電源電圧がすべて RR にかかり、LL と CC の電圧は互いに打ち消し合う。これが共振を表す回路の状態である。

VLV_L と VCV_C の比は一般に VL/VC=−ω2LCV_L/V_C=-\omega^2LC で、振幅が等しいのは ω2LC=1\omega^2LC=1 のときだけである。ω=0.9 ωr\omega=0.9\,\omega_{\mathrm r} では ∣VL∣/∣VC∣=0.81|V_L|/|V_C|=0.81 となり、打ち消しが完全でなくなる。R=5 ΩR=5\,\Omega、L=1 mHL=1\,\mathrm{mH}、C=1 μFC=1\,\mu\mathrm{F} の共振点では VL=+j6.32 EV_L=+j6.32\,E、VC=−j6.32 EV_C=-j6.32\,E で、素子電圧は電源電圧の6.32倍に達する。電源電圧より大きな電圧が素子にかかる点が、(3)の QQ の意味である。

位相差を 90∘90^\circ と書く誤りがある。90∘90^\circ は VLV_L または VCV_C と II の位相差で、2つの素子電圧どうしは 90∘+90∘=180∘90^\circ+90^\circ=180^\circ になる。また VCV_C を EE と比べると VCV_C は EE より 90∘90^\circ 遅れ、VLV_L は EE より 90∘90^\circ 進む。進み・遅れの角度は基準にする量で値が変わるので、答案には何に対する位相かを書く。

(3) Q=∣VC/E∣Q=|V_C/E| から Q=ωrL/RQ=\omega_{\mathrm r}L/R を導く

QQ は、共振点で素子電圧が電源電圧の何倍になるかを表す。エネルギーで読み直すと意味がはっきりする。電流の振幅を ImI_{\mathrm m} とすると、共振点では電流が最大の瞬間に磁気エネルギー 12LIm2\tfrac12LI_{\mathrm m}^2 がすべて LL に蓄えられ、LL と CC のあいだでエネルギーが受け渡されるだけで全体は一定である。抵抗の消費電力は平均して P=12RIm2P=\tfrac12RI_{\mathrm m}^2 なので ωr×(蓄積エネルギー)P=ωr⋅12LIm212RIm2=ωrLR \frac{\omega_{\mathrm r}\times(\text{蓄積エネルギー})}{P}=\frac{\omega_{\mathrm r}\cdot\tfrac12LI_{\mathrm m}^2}{\tfrac12RI_{\mathrm m}^2}=\frac{\omega_{\mathrm r}L}{R} となり、(3)の結果と同じ式になる。QQ が大きいほど損失が小さく、蓄積エネルギーが長く保たれる。

問題文は QQ を ∣VC/E∣|V_C/E| で定義している。EE は電源電圧で、抵抗の電圧 VR=RIV_R=RI ではない。共振点では VR=EV_R=E なので偶然に一致するが、一般の周波数では ∣VC/E∣|V_C/E| と ∣VC/VR∣|V_C/V_R| は異なる。R=5 ΩR=5\,\Omega、L=1 mHL=1\,\mathrm{mH}、C=1 μFC=1\,\mu\mathrm{F} では ωrL/R=31.62/5=6.32\omega_{\mathrm r}L/R=31.62/5=6.32 と L/C/R=31.62/5=6.32\sqrt{L/C}/R=31.62/5=6.32 が一致する。

逆数 Q=R/(ωrL)Q=R/(\omega_{\mathrm r}L) と書く誤りがある。この値は 0.1580.158 で、素子電圧が電源電圧より小さいことになり、(2)の結果と矛盾する。

(4) 電流が ∣Imax⁡∣/2|I_{\max}|/\sqrt2 となる ω1\omega_1、ω2\omega_2

電力は ∣I∣2|I|^2 に比例するので、∣I∣=∣Imax⁡∣/2|I|=|I_{\max}|/\sqrt2 の点は電力が最大の半分になる点(半値、−3 dB-3\,\mathrm{dB})である。条件 R2+X2=2R2R^2+X^2=2R^2 は X=±RX=\pm R、つまりインピーダンスの偏角が ±45∘\pm45^\circ になる点を表す。X<0X<0 のとき回路は容量性で電流が電圧より進み(ω1\omega_1)、X>0X>0 のとき誘導性で電流が遅れる(ω2\omega_2)。2つの2次方程式は、ω\omega について解く前に ωC\omega C を掛けて分母を払う。解の公式の根号の中は正なので、各方程式は符号の異なる実数解を1つずつ持つ。負の解は角周波数として採用しない。

2つの解の積は ω1ω2=1/(LC)=ωr2\omega_1\omega_2=1/(LC)=\omega_{\mathrm r}^2 で、ωr\omega_{\mathrm r} は ω1\omega_1 と ω2\omega_2 の相乗平均である。相加平均ではない。R=5 ΩR=5\,\Omega、L=1 mHL=1\,\mathrm{mH}、C=1 μFC=1\,\mu\mathrm{F} では ω1=2.9221×104\omega_1=2.9221\times10^{4}、ω2=3.4221×104 rad/s\omega_2=3.4221\times10^{4}\,\mathrm{rad/s} で、ωr=3.1623×104 rad/s\omega_{\mathrm r}=3.1623\times10^{4}\,\mathrm{rad/s} はこの2つの中点 3.1721×1043.1721\times10^{4} よりわずかに低い。両方で ∣I∣/∣Imax⁡∣=0.70711|I|/|I_{\max}|=0.70711 となることを確かめた。

Q≫1Q\gg1 の近似 ω1,2≈ωr∓R/(2L)\omega_{1,2}\approx\omega_{\mathrm r}\mp R/(2L) を使うと、上の例で 2.9123×1042.9123\times10^{4}、3.4123×104 rad/s3.4123\times10^{4}\,\mathrm{rad/s} となり、そこでの ∣I∣/∣Imax⁡∣|I|/|I_{\max}| は 0.6920.692、0.7200.720 で、0.7070.707 から外れる。ただし2つの差は R/LR/L のままなので、(5)の結論には影響しない。条件を ∣I∣=∣Imax⁡∣/2|I|=|I_{\max}|/2 と取り違えると X=±3RX=\pm\sqrt3R となり、間隔が 8660 rad/s8660\,\mathrm{rad/s} に広がって ωr/(ω2−ω1)=3.65\omega_{\mathrm r}/(\omega_2-\omega_1)=3.65 と出る。X=±2RX=\pm\sqrt2R とすると間隔が 7071 rad/s7071\,\mathrm{rad/s} で 4.474.47 となる。どちらも(3)の 6.326.32 に合わない。

(5) Q=ωr/(ω2−ω1)Q=\omega_{\mathrm r}/(\omega_2-\omega_1) を示す

ω2−ω1=R/L\omega_2-\omega_1=R/L は近似を使わない厳密な関係である。X=+RX=+R と X=−RX=-R の2式を引くと (ω2−ω1)L+ω2−ω1ω1ω2C=2R(\omega_2-\omega_1)L+\dfrac{\omega_2-\omega_1}{\omega_1\omega_2C}=2R となり、ω1ω2=1/(LC)\omega_1\omega_2=1/(LC) より第2項も (ω2−ω1)L(\omega_2-\omega_1)L に等しいので、2L(ω2−ω1)=2R2L(\omega_2-\omega_1)=2R から同じ結果を得る。QQ が大きいほど半値幅 ω2−ω1=ωr/Q\omega_2-\omega_1=\omega_{\mathrm r}/Q が狭く、共振曲線が鋭くなる。実験では、周波数を掃引して ∣I∣|I| が最大の 1/21/\sqrt2 になる2点を読めば QQ を求められる。周波数 f=ω/2πf=\omega/2\pi で書いても同じ比で、たとえば fr=1 MHzf_{\mathrm r}=1\,\mathrm{MHz}、Q=100Q=100 なら半値幅は 10 kHz10\,\mathrm{kHz} である。(3)の定義 ∣VC/E∣|V_C/E| から求めた値と等しいので、2つの定義は同じ QQ を与える。

Q=6.32の共振曲線。横軸はω/ωr、縦軸は|I|/|Imax|。ωrで1になり、1/√2になる2点ω1とω2の間隔がω2−ω1=R/L。

自作解説図:Q=6.32Q=6.32 の共振曲線(∣I∣/∣Imax⁡∣=1/1+Q2(x−1/x)2|I|/|I_{\max}|=1/\sqrt{1+Q^2(x-1/x)^2}、x=ω/ωrx=\omega/\omega_{\mathrm r})と半値の2点

ω2−ω1\omega_2-\omega_1 を R/(2L)R/(2L) と書き、「ω1\omega_1 と ωr\omega_{\mathrm r} の差」と取り違える誤りがある。このとき Q=ωr/(ω2−ω1)Q=\omega_{\mathrm r}/(\omega_2-\omega_1) が 2ωrL/R=12.62\omega_{\mathrm r}L/R=12.6 と(3)の2倍の値になり、式が合わない。半値幅は ωr\omega_{\mathrm r} の左右を合わせた全幅である。

解答

(1) ∣VC∣|V_C| が最大となる角周波数 ωr\omega_{\mathrm r}

素子は直列なので電流 II は共通で、回路のインピーダンスと電流は Z=R+jωL+1jωC=R+j(ωL−1ωC),I=EZ Z=R+j\omega L+\frac1{j\omega C}=R+j\left(\omega L-\frac1{\omega C}\right),\qquad I=\frac EZ である。キャパシタの電圧は VC=IjωC=EjωC Z=E(1−ω2LC)+jωCR V_C=\frac{I}{j\omega C}=\frac{E}{j\omega C\,Z}=\frac{E}{(1-\omega^2LC)+j\omega CR} となる(jωC Z=jωCR−ω2LC+1j\omega C\,Z=j\omega CR-\omega^2LC+1 を使った)。∣E∣|E| を一定として大きさを取ると ∣VC∣2=∣E∣2D(ω),D(ω)=(1−ω2LC)2+(ωCR)2 |V_C|^2=\frac{|E|^2}{D(\omega)},\qquad D(\omega)=(1-\omega^2LC)^2+(\omega CR)^2 で、∣VC∣|V_C| が最大になるのは DD が最小のときである。u=ω2u=\omega^2 とおくと D=(1−LCu)2+C2R2uD=(1-LCu)^2+C^2R^2u なので dDdu=−2LC(1−LCu)+C2R2=0⟹ω2=1LC−R22L2. \frac{dD}{du}=-2LC(1-LCu)+C^2R^2=0\quad\Longrightarrow\quad \omega^2=\frac1{LC}-\frac{R^2}{2L^2}. RR が小さく R2C/L≪1R^2C/L\ll1 のとき、右辺の第2項は第1項に比べて無視できて ω2=1/(LC)\omega^2=1/(LC) となる。同じ点は電流の側からも決まる。∣I∣=∣E∣/R2+X2|I|=|E|/\sqrt{R^2+X^2}(X=ωL−1/(ωC)X=\omega L-1/(\omega C))は X=0X=0 のとき最大で、X=0X=0 すなわち ωL=1/(ωC)\omega L=1/(\omega C) から、厳密に ωr=1LC \omega_{\mathrm r}=\frac1{\sqrt{LC}} が得られる。

(2) 共振点での VCV_C と VLV_L

共振点では ωr2LC=1\omega_{\mathrm r}^2LC=1 なので ωrL=1/(ωrC)\omega_{\mathrm r}L=1/(\omega_{\mathrm r}C) で、リアクタンスが零になり Z=RZ=R、I=E/RI=E/R(EE と同位相)である。2つの素子電圧は VL=jωrL I,VC=IjωrC=−jIωrC=−jωrL I V_L=j\omega_{\mathrm r}L\,I,\qquad V_C=\frac{I}{j\omega_{\mathrm r}C}=-j\frac{I}{\omega_{\mathrm r}C}=-j\omega_{\mathrm r}L\,I となる。よって VC=−VLV_C=-V_L で、2つの大きさはともに ωrL∣I∣\omega_{\mathrm r}L|I| に等しい。VLV_L は II より 90∘90^\circ 進み、VCV_C は II より 90∘90^\circ 遅れるので、位相差は 180∘180^\circ である。

(3) Q=∣VC/E∣Q=|V_C/E| から Q=ωrL/RQ=\omega_{\mathrm r}L/R を導く

(2)より共振点で I=E/RI=E/R なので VC=−jωrL I=−jωrLRE,Q=∣VCE∣=ωrLR V_C=-j\omega_{\mathrm r}L\,I=-j\frac{\omega_{\mathrm r}L}{R}E,\qquad Q=\left|\frac{V_C}{E}\right|=\frac{\omega_{\mathrm r}L}{R} となり、示された。ωrL=1/(ωrC)=L/C\omega_{\mathrm r}L=1/(\omega_{\mathrm r}C)=\sqrt{L/C} を使えば、Q=1ωrCR=1RLCQ=\dfrac1{\omega_{\mathrm r}CR}=\dfrac1R\sqrt{\dfrac LC} とも書ける。

(4) 電流が ∣Imax⁡∣/2|I_{\max}|/\sqrt2 となる ω1\omega_1、ω2\omega_2

電流の大きさは ∣I∣=∣E∣R2+(ωL−1ωC)2 |I|=\frac{|E|}{\sqrt{R^2+\left(\omega L-\dfrac1{\omega C}\right)^2}} で、共振点(リアクタンス零)の最大値は ∣Imax⁡∣=∣E∣/R|I_{\max}|=|E|/R である。∣I∣=∣Imax⁡∣/2|I|=|I_{\max}|/\sqrt2 とおくと ∣E∣R2+X2=∣E∣2 R ⟹ X2=R2 ⟹ ωL−1ωC=±R \frac{|E|}{\sqrt{R^2+X^2}}=\frac{|E|}{\sqrt2\,R}\ \Longrightarrow\ X^2=R^2\ \Longrightarrow\ \omega L-\frac1{\omega C}=\pm R が方程式になる。両辺に ωC\omega C を掛けると、+R+R の場合は LCω2−RCω−1=0LC\omega^2-RC\omega-1=0、−R-R の場合は LCω2+RCω−1=0LC\omega^2+RC\omega-1=0 である。ω≥0\omega\ge0 の解だけを取ると ω2=R2L+(R2L)2+1LC(+R),ω1=−R2L+(R2L)2+1LC(−R) \omega_2=\frac R{2L}+\sqrt{\left(\frac R{2L}\right)^2+\frac1{LC}}\quad(+R),\qquad \omega_1=-\frac R{2L}+\sqrt{\left(\frac R{2L}\right)^2+\frac1{LC}}\quad(-R) である。根号が R/(2L)R/(2L) より大きいので ω1>0\omega_1>0 で、ω1<ω2\omega_1<\omega_2 を満たす。

(5) Q=ωr/(ω2−ω1)Q=\omega_{\mathrm r}/(\omega_2-\omega_1) を示す

(4)の2つの解の差を取ると、根号が打ち消し合って ω2−ω1=R2L−(−R2L)=RL \omega_2-\omega_1=\frac R{2L}-\left(-\frac R{2L}\right)=\frac RL となる。(3)の Q=ωrL/RQ=\omega_{\mathrm r}L/R と比べると ωrω2−ω1=ωrLR=Q \frac{\omega_{\mathrm r}}{\omega_2-\omega_1}=\frac{\omega_{\mathrm r}L}{R}=Q で、示された。

最終答

(1) ∣VC∣|V_C| が最大となる角周波数 ωr\omega_{\mathrm r}

ωr=1LC\omega_{\mathrm r}=\dfrac1{\sqrt{LC}}。電流が最大になる点(X=0X=0)としては厳密に成り立つ。∣VC∣|V_C| 自身の最大点は厳密には 1/(LC)−R2/(2L2)\sqrt{1/(LC)-R^2/(2L^2)} で、R2C/L≪1R^2C/L\ll1 のときに ωr\omega_{\mathrm r} に一致する。

(2) 共振点での VCV_C と VLV_L

VC=−VLV_C=-V_L(振幅はともに ωrL∣I∣=ωrL∣E∣/R\omega_{\mathrm r}L|I|=\omega_{\mathrm r}L|E|/R、位相差 180∘180^\circ)。

(3) Q=∣VC/E∣Q=|V_C/E| から Q=ωrL/RQ=\omega_{\mathrm r}L/R を導く

Q=ωrLRQ=\dfrac{\omega_{\mathrm r}L}{R}(=1RLC=\dfrac1R\sqrt{\dfrac LC})が示された。

(4) 電流が ∣Imax⁡∣/2|I_{\max}|/\sqrt2 となる ω1\omega_1、ω2\omega_2

方程式は ωL−1ωC=±R\omega L-\dfrac1{\omega C}=\pm R。ω1=−R2L+R24L2+1LC\omega_1=-\dfrac R{2L}+\sqrt{\dfrac{R^2}{4L^2}+\dfrac1{LC}}、 ω2=R2L+R24L2+1LC\omega_2=\dfrac R{2L}+\sqrt{\dfrac{R^2}{4L^2}+\dfrac1{LC}}。

(5) Q=ωr/(ω2−ω1)Q=\omega_{\mathrm r}/(\omega_2-\omega_1) を示す

ω2−ω1=R/L\omega_2-\omega_1=R/L より、Q=ωrω2−ω1Q=\dfrac{\omega_{\mathrm r}}{\omega_2-\omega_1} が示された。

第2問 — 電気回路・波動:無損失伝送線路の初期値問題と進行波・定在波

電気回路・波動:無損失伝送線路の初期値問題と進行波・定在波の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 電子回路:ウィーン・ブリッジ発振回路と発振の角周波数

電子回路:ウィーン・ブリッジ発振回路と発振の角周波数の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — ディジタル回路:NAND型SRラッチの動作とリング発振回路

ディジタル回路:NAND型SRラッチの動作とリング発振回路の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 電子物性:pn接合の拡散電位・少数キャリア拡散・電流密度

電子物性:pn接合の拡散電位・少数キャリア拡散・電流密度の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 電子物性:閃亜鉛鉱型GaAsの構造因子・消滅則・電子回折環

電子物性:閃亜鉛鉱型GaAsの構造因子・消滅則・電子回折環の途中式・最終答をPDFで見る

第7問 — 統計力学:理想気体の分配関数とマクスウェル分布

統計力学:理想気体の分配関数とマクスウェル分布の途中式・最終答をPDFで見る

第8問 — 電子物性:3d遷移金属の結晶構造・原子あたりの磁気モーメント・交換積分

電子物性:3d遷移金属の結晶構造・原子あたりの磁気モーメント・交換積分の途中式・最終答をPDFで見る

電子光科学IIの解答・解説PDF

2022〜2026年度(5年度) · ¥2,880

解答PDFの商品ページへ

年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(解説8項目)

    電気回路:テブナン等価回路・最大電力供給・力率改善 / 電磁気:伝送線路の途中に挿入したキャパシタでの反射と透過 / 電子回路:理想オペアンプによる計装アンプ

  • 2025年度(このページ・解説8項目)

    電気回路:直列RLC回路の共振・Q値・半値幅 / 電気回路・波動:無損失伝送線路の初期値問題と進行波・定在波 / 電子回路:ウィーン・ブリッジ発振回路と発振の角周波数

  • 2024年度(解説8項目)

    電気回路:トランジスタ増幅回路モデルの入力インピーダンス・増幅率・負荷電流 / 電気回路・高周波:直列インピーダンスだけの2端子対回路の散乱行列 / 電子回路:理想オペアンプ2個による一般化インピーダンスコンバータ

  • 2023年度(解説8項目)

    電気回路:RL直列回路の過渡応答(定電圧と階段状電圧) / 電気回路・波動:半無限の無損失伝送線路への電力供給 / 電子回路:バイポーラトランジスタのA級電力増幅回路と電力効率

  • 2022年度(解説8項目)

    電気回路:RLC並列共振回路の共振周波数・共振時の枝電流・抵抗電流の周波数特性 / 電気回路:無損失伝送線路の入力インピーダンスと1/4波長変成器 / 電子回路:理想オペアンプの増幅回路と、抵抗をコンデンサに置き換えた積分回路

2025年度の出題内容

解説8項目

この8問の分野は電磁気学・回路4問・物性物理3問・熱・統計力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問電磁気学・回路直列RLC回路の共振・Q値・半値幅—あり
第2問電磁気学・回路無損失伝送線路の初期値問題と進行波・定在波—あり
第3問電磁気学・回路ウィーン・ブリッジ発振回路と発振の角周波数—あり
第4問電磁気学・回路NAND型SRラッチの動作とリング発振回路—あり
第5問物性物理pn接合の拡散電位・少数キャリア拡散・電流密度—あり
第6問物性物理閃亜鉛鉱型GaAsの構造因子・消滅則・電子回折環—あり
第7問熱・統計力学理想気体の分配関数とマクスウェル分布—あり
第8問物性物理3d遷移金属の結晶構造・原子あたりの磁気モーメント・交換積分—あり

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 8問 → 2025年度 8問
2024年度の解答例

大阪大学の公式過去問

公開年度範囲
領域別。電子光・物性物理・化学・化学工学・数理科学は2022〜2026年度など
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
受験する年度・専攻の募集要項で確認してください。
院試hubの最終確認
2026-10-26
大阪大学の公式過去問PDF