阪大 基礎工学研究科 システム創成専攻 電子光科学II 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(解説8項目)
解説8項目の分野は電磁気学・回路4項目、物性物理3項目、熱・統計力学1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。
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第1問 — 電気回路:直列RLC回路の共振・Q値・半値幅
(1) が最大となる角周波数
共振の角周波数を決めるには、周波数を動かしたときの量の大きさを分母の2乗和 に直し、その極小を探す。この方法は、線形素子だけの回路が単一周波数の正弦波定常状態にあるときに使える。キャパシタの電圧は の分圧なので、周波数を動かしたときの電圧は を含む。この 依存性があるため、 の最大点は電流 の最大点とは一致しない。
問題文の「共振点」は、(4)で「 は共振点で最大値 となる」と言い換えられている。さらに(3)の が成り立つのは の点に限られる。したがって本問の は、リアクタンスが零で電流が最大になる点を指す。 の最大点との差は小さい量だが、答案には両者を分けて書く。、、 では 、 で、 の最大点は にある。そのとき で、 での より 大きいだけである。一般に最大点のずれは 程度で、 なら無視できる。
が小さいとずれは大きい。 では最大点が に下がる。()になると の解が負になり、 は の値 から単調に減るだけで極大がない。上の 、 なら がその境である。 で を数値で確かめた。
「 だから が最大のところで も最大」と書く答案が多い。 が とともに変わることを落としている。条件 を書かずに とだけ書くと、 の最大点として導いたことにならない。
(2) 共振点での と
インダクタでは より電圧が電流より 進み、キャパシタでは より電圧が電流より 遅れる。フェーザではそれぞれ と という虚数因子で表される。直列回路のキルヒホッフの電圧則 に を入れると、共振点()では になる。電源電圧がすべて にかかり、 と の電圧は互いに打ち消し合う。これが共振を表す回路の状態である。
と の比は一般に で、振幅が等しいのは のときだけである。 では となり、打ち消しが完全でなくなる。、、 の共振点では 、 で、素子電圧は電源電圧の6.32倍に達する。電源電圧より大きな電圧が素子にかかる点が、(3)の の意味である。
位相差を と書く誤りがある。 は または と の位相差で、2つの素子電圧どうしは になる。また を と比べると は より 遅れ、 は より 進む。進み・遅れの角度は基準にする量で値が変わるので、答案には何に対する位相かを書く。
(3) から を導く
は、共振点で素子電圧が電源電圧の何倍になるかを表す。エネルギーで読み直すと意味がはっきりする。電流の振幅を とすると、共振点では電流が最大の瞬間に磁気エネルギー がすべて に蓄えられ、 と のあいだでエネルギーが受け渡されるだけで全体は一定である。抵抗の消費電力は平均して なので となり、(3)の結果と同じ式になる。 が大きいほど損失が小さく、蓄積エネルギーが長く保たれる。
問題文は を で定義している。 は電源電圧で、抵抗の電圧 ではない。共振点では なので偶然に一致するが、一般の周波数では と は異なる。、、 では と が一致する。
逆数 と書く誤りがある。この値は で、素子電圧が電源電圧より小さいことになり、(2)の結果と矛盾する。
(4) 電流が となる 、
電力は に比例するので、 の点は電力が最大の半分になる点(半値、)である。条件 は 、つまりインピーダンスの偏角が になる点を表す。 のとき回路は容量性で電流が電圧より進み()、 のとき誘導性で電流が遅れる()。2つの2次方程式は、 について解く前に を掛けて分母を払う。解の公式の根号の中は正なので、各方程式は符号の異なる実数解を1つずつ持つ。負の解は角周波数として採用しない。
2つの解の積は で、 は と の相乗平均である。相加平均ではない。、、 では 、 で、 はこの2つの中点 よりわずかに低い。両方で となることを確かめた。
の近似 を使うと、上の例で 、 となり、そこでの は 、 で、 から外れる。ただし2つの差は のままなので、(5)の結論には影響しない。条件を と取り違えると となり、間隔が に広がって と出る。 とすると間隔が で となる。どちらも(3)の に合わない。
(5) を示す
は近似を使わない厳密な関係である。 と の2式を引くと となり、 より第2項も に等しいので、 から同じ結果を得る。 が大きいほど半値幅 が狭く、共振曲線が鋭くなる。実験では、周波数を掃引して が最大の になる2点を読めば を求められる。周波数 で書いても同じ比で、たとえば 、 なら半値幅は である。(3)の定義 から求めた値と等しいので、2つの定義は同じ を与える。
自作解説図: の共振曲線(、)と半値の2点
を と書き、「 と の差」と取り違える誤りがある。このとき が と(3)の2倍の値になり、式が合わない。半値幅は の左右を合わせた全幅である。
解答
(1) が最大となる角周波数
素子は直列なので電流 は共通で、回路のインピーダンスと電流は である。キャパシタの電圧は となる( を使った)。 を一定として大きさを取ると で、 が最大になるのは が最小のときである。 とおくと なので が小さく のとき、右辺の第2項は第1項に比べて無視できて となる。同じ点は電流の側からも決まる。()は のとき最大で、 すなわち から、厳密に が得られる。
(2) 共振点での と
共振点では なので で、リアクタンスが零になり 、( と同位相)である。2つの素子電圧は となる。よって で、2つの大きさはともに に等しい。 は より 進み、 は より 遅れるので、位相差は である。
(3) から を導く
(2)より共振点で なので となり、示された。 を使えば、 とも書ける。
(4) 電流が となる 、
電流の大きさは で、共振点(リアクタンス零)の最大値は である。 とおくと が方程式になる。両辺に を掛けると、 の場合は 、 の場合は である。 の解だけを取ると である。根号が より大きいので で、 を満たす。
(5) を示す
(4)の2つの解の差を取ると、根号が打ち消し合って となる。(3)の と比べると で、示された。
最終答
(1) が最大となる角周波数
。電流が最大になる点()としては厳密に成り立つ。 自身の最大点は厳密には で、 のときに に一致する。
(2) 共振点での と
(振幅はともに 、位相差 )。
(3) から を導く
()が示された。
(4) 電流が となる 、
方程式は 。、 。
(5) を示す
より、 が示された。
第2問 — 電気回路・波動:無損失伝送線路の初期値問題と進行波・定在波
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2025年度(このページ・解説8項目)
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電気回路:RL直列回路の過渡応答(定電圧と階段状電圧) / 電気回路・波動:半無限の無損失伝送線路への電力供給 / 電子回路:バイポーラトランジスタのA級電力増幅回路と電力効率
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2025年度の出題内容
解説8項目
この8問の分野は電磁気学・回路4問・物性物理3問・熱・統計力学1問です。
前年度(2024年度)との違い
- 大問数
- 2024年度 8問 → 2025年度 8問
大阪大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 領域別。電子光・物性物理・化学・化学工学・数理科学は2022〜2026年度など
- 公式の解答例
- 解答例の掲載なし
- 英語の扱い
- 受験する年度・専攻の募集要項で確認してください。
- 院試hubの最終確認
- 2026-10-26