阪大 基礎工学研究科 システム創成専攻 電子光科学II 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(解説8項目)
解説8項目の分野は電磁気学・回路4項目、物性物理1項目、量子力学1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。
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第1問 — 電気回路:RLC並列共振回路の共振周波数・共振時の枝電流・抵抗電流の周波数特性
電気回路:RLC並列共振回路の共振周波数・共振時の枝電流・抵抗電流の周波数特性の途中式・最終答をPDFで見る第2問 — 電気回路:無損失伝送線路の入力インピーダンスと1/4波長変成器
電気回路:無損失伝送線路の入力インピーダンスと1/4波長変成器の途中式・最終答をPDFで見る第3問 — 電子回路:理想オペアンプの増幅回路と、抵抗をコンデンサに置き換えた積分回路
電子回路:理想オペアンプの増幅回路と、抵抗をコンデンサに置き換えた積分回路の途中式・最終答をPDFで見る第4問 — 論理回路:JKフリップフロップとDフリップフロップによる2ビットカウンタ
論理回路:JKフリップフロップとDフリップフロップによる2ビットカウンタの途中式・最終答をPDFで見る第5問 — 量子力学:水素原子の基底状態のハミルトニアンと r・位置エネルギー・運動エネルギーの期待値
(1) 全エネルギーのハミルトニアン
古典力学の全エネルギー の運動量 を演算子 に置き換えたものがハミルトニアンである。本問は、原子核の質量が電子に比べて十分大きいという条件があるので、核の運動エネルギーと換算質量の補正を考えず、電子の質量 をそのまま使える。電荷が異符号なので引力となり、位置エネルギーは負である。
確かめは次元で行う。 の単位は でエネルギーの次元になり、 の単位も である。誤りには、位置エネルギーの符号を正にすること、SI単位系の指定があるのにガウス単位系の と書いて を落とすこと、および運動エネルギーの係数 を落として とすることがある。
(2) の期待値
期待値は、波動関数が規格化されているとき、物理量の演算子 について で定義される。 が、体積 の中に電子を見いだす確率だからである。 の演算子は掛け算なので、 の積分になる。球対称な では、半径 から の薄い球殻の体積が で、動径確率密度は となる。 の最大は (最確半径)にある。平均が と最確値より大きいのは、 が の大きい側へ裾を引く非対称な形だからである。
規格化の確認は同じ積分でできる。 を使って となり、与えられた が規格化されている。積分の誤りには、体積要素の を落として とするものがあり、結果は となって長さの次元にならない。指数を2乗し忘れて とすると で、正しい値の16倍になる。波動関数の2乗が確率密度である点が、指数の の出どころである。
(3) 静電ポテンシャルエネルギーの期待値
は から求める。 が の関数なので、 のように期待値を関数の中へ入れることはできない。関数が線形でないとき、期待値と関数の順序は入れ替えられない。実際、 を に代入すると となり、正しい値の 倍になる。数値では、正しい が (ハートリーエネルギー)、この誤りの値が である。 は の凸関数なので、一般に が成り立ち(ここでは )、核に近い領域が に大きく寄与する。
は で発散するが、体積要素の が掛かるので積分は有限になる。(3)の結果は、最確半径 での位置エネルギー と一致する。これは という基底状態の結果から出るもので、別の状態や別のポテンシャルで成り立つ一般則ではない。符号と大きさの確かめとして、 は全エネルギー の2倍()になっており、(4)で運動エネルギーが正の になるための前提と整合する。
(4) 運動エネルギーの期待値
全エネルギーの期待値が運動エネルギーと位置エネルギーの期待値の和になるのは、期待値の線形性による。結果は 、 という関係を満たし、これは力が に比例するクーロン力のときに成り立つビリアル定理 と一致する。数値では 、、 である。
別の導き方として、運動エネルギーを直接計算できる。球対称な では で、 となる。ボーア半径の式 から なので、これは に一致する。同じ計算で の の項が打ち消し合う条件が であることも示せる。
誤りとして、引き算の向きを逆にして ()とするものがある。運動エネルギーの演算子 は期待値が負にならない演算子なので、負の値は結果として成り立たない。符号の確認で気づける。
解答
(1) 全エネルギーのハミルトニアン
電子の運動エネルギーの演算子は、運動量演算子 から である。静電ポテンシャルエネルギーは、電荷 の原子核(原点)と電荷 の電子が距離 だけ離れているときのクーロンエネルギーで、無限遠を0とするSI単位系では である。この2つの和がハミルトニアンになる。
(2) の期待値
演算子 は座標をかけるだけなので、期待値は である。 は球対称で、球座標の体積要素は である。角度の積分は となるので、 である。ヒントで とおくと なので、 となる。
(3) 静電ポテンシャルエネルギーの期待値
の期待値は、 の代わりに の期待値を使う。 (2)と同じ形の積分で、 のべきが3乗から1乗に下がっただけである。ヒントで とおくと なので、 である。したがって
(4) 運動エネルギーの期待値
基底状態は の固有状態なので、全エネルギーの期待値 は固有値 に等しい。(3)の を使って である。
最終答
(1) 全エネルギーのハミルトニアン
(2) の期待値
( なので約 )
(3) 静電ポテンシャルエネルギーの期待値
(4) 運動エネルギーの期待値
(約 )
第6問 — 電子物性:単純立方結晶の(100)表面からのX線回折とエワルド球
電子物性:単純立方結晶の(100)表面からのX線回折とエワルド球の途中式・最終答をPDFで見る第7問 — 電子物性:一次元結晶の電子バンド(空格子近似)と格子振動の分散関係
電子物性:一次元結晶の電子バンド(空格子近似)と格子振動の分散関係の途中式・最終答をPDFで見る第8問 — 磁性:磁性体薄膜の磁化曲線の読み取りと磁区構造
磁性:磁性体薄膜の磁化曲線の読み取りと磁区構造の途中式・最終答をPDFで見る年度別の解答例(5年度)
電気回路:テブナン等価回路・最大電力供給・力率改善 / 電磁気:伝送線路の途中に挿入したキャパシタでの反射と透過 / 電子回路:理想オペアンプによる計装アンプ
電気回路:直列RLC回路の共振・Q値・半値幅 / 電気回路・波動:無損失伝送線路の初期値問題と進行波・定在波 / 電子回路:ウィーン・ブリッジ発振回路と発振の角周波数
電気回路:トランジスタ増幅回路モデルの入力インピーダンス・増幅率・負荷電流 / 電気回路・高周波:直列インピーダンスだけの2端子対回路の散乱行列 / 電子回路:理想オペアンプ2個による一般化インピーダンスコンバータ
電気回路:RL直列回路の過渡応答(定電圧と階段状電圧) / 電気回路・波動:半無限の無損失伝送線路への電力供給 / 電子回路:バイポーラトランジスタのA級電力増幅回路と電力効率
2022年度(このページ・解説8項目)
電気回路:RLC並列共振回路の共振周波数・共振時の枝電流・抵抗電流の周波数特性 / 電気回路:無損失伝送線路の入力インピーダンスと1/4波長変成器 / 電子回路:理想オペアンプの増幅回路と、抵抗をコンデンサに置き換えた積分回路
2022年度の出題内容
解説8項目
この8問の分野は電磁気学・回路4問・物性物理1問・量子力学1問です。
| 大問 | 分野 | 主題 | 解説の小見出し | 最終答 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 電磁気学・回路 | RLC並列共振回路の共振周波数・共振時の枝電流・抵抗電流の周波数特性 | — | あり |
| 第2問 | 電磁気学・回路 | 無損失伝送線路の入力インピーダンスと1/4波長変成器 | — | あり |
| 第3問 | 電磁気学・回路 | 理想オペアンプの増幅回路と、抵抗をコンデンサに置き換えた積分回路 | — | あり |
| 第4問 | 電磁気学・回路 | JKフリップフロップとDフリップフロップによる2ビットカウンタ | — | あり |
| 第5問 | 量子力学 | 水素原子の基底状態のハミルトニアンと r・位置エネルギー・運動エネルギーの期待値 | — | あり |
| 第6問 | 物性物理 | 単純立方結晶の(100)表面からのX線回折とエワルド球 | — | あり |
| 第7問 | — | 電子物性:一次元結晶の電子バンド(空格子近似)と格子振動の分散関係 | — | あり |
| 第8問 | 磁性体薄膜の磁化曲線の読み取りと磁区構造 | — | あり |
大阪大学の公式過去問
- 公開年度範囲
- 領域別。電子光・物性物理・化学・化学工学・数理科学は2022〜2026年度など
- 公式の解答例
- 解答例の掲載なし
- 英語の扱い
- 受験する年度・専攻の募集要項で確認してください。
- 院試hubの最終確認
- 2026-10-26