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阪大 基礎工学研究科 物質創成専攻 化学I 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(解説5項目)

解説5項目の分野は化学2項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 有機化学:モノグリセリドのけん化、臭素付加の立体化学、DCC・DMAPによるエステル化

有機化学:モノグリセリドのけん化、臭素付加の立体化学、DCC・DMAPによるエステル化の途中式・最終答をPDFで見る

第2問 — 有機合成:カルボンからヘルミントスポラールへ

有機合成:カルボンからヘルミントスポラールへの途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 無機化学:遷移金属錯体の構造と電子状態、酸性度の序列、I3- の構造

無機化学:遷移金属錯体の構造と電子状態、酸性度の序列、I3- の構造の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 反応速度論:自触媒反応 A → P の速度と時間変化

設問(a-1) 反応速度 vv の式と vv--[P][\mathrm{P}] のグラフ

物質収支は、容器が閉じていて体積が一定で、A と P の量論比が 1:11:1 のときに成り立つ。問題文の「一定温度に保たれた容器内」がこの前提を与える。和 [A]+[P][\mathrm{A}]+[\mathrm{P}] が一定なので、時間の関数としての [A][\mathrm{A}] と [P][\mathrm{P}] は一方が決まれば他方が決まり、速度は [P][\mathrm{P}] 1変数の関数になる。

速度が極大をもつ理由は、自触媒反応の2つの効果の競合である。P が増えると触媒が増えて速くなるが、同時に A が減るので、ある点から減少に転じる。放物線 v=k(S−p)pv=k(S-p)p(S=[A]0+[P]0S=[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0、p=[P]p=[\mathrm{P}])は、2つの零点 p=0p=0 と p=Sp=S の中点 p=S/2p=S/2 で最大になる。範囲は p≥[P]0p\ge[\mathrm{P}]_0 に限られ、[A]0>[P]0[\mathrm{A}]_0>[\mathrm{P}]_0 という条件が、頂点がこの範囲に入るための条件である。逆に [A]0≤[P]0[\mathrm{A}]_0\le[\mathrm{P}]_0 なら、頂点は範囲の左外にあり、vv は反応開始時に最大で、単調に減る。2階微分 −2k<0-2k<0 が極大であることを示す。

初速度 k[A]0[P]0k[\mathrm{A}]_0[\mathrm{P}]_0 は、[P]0=0[\mathrm{P}]_0=0 なら零である。生成物がまったくないと反応が始まらないのが、自触媒反応の特徴で、実際には微量の P(種)が要る。

数値で確かめる。k=1k=1、[A]0=1.0[\mathrm{A}]_0=1.0、[P]0=0.1[\mathrm{P}]_0=0.1(任意単位)では、初速度が 0.100.10、極大は [P]=0.55[\mathrm{P}]=0.55 で vmax⁡=1.12/4=0.3025v_{\max}=1.1^2/4=0.3025 であり、微分方程式を数値積分して得た速度の最大値も 0.30250.3025 だった。

答案の誤りとして、v=k[A][P]v=k[\mathrm{A}][\mathrm{P}] のまま、[A][\mathrm{A}] を消さずに [P][\mathrm{P}] の関数として描く例がある。極大の位置を [A]0/2[\mathrm{A}]_0/2 としてしまう例もあるが、[P]0[\mathrm{P}]_0 を落としている。上の数値例では、[P]=0.5[\mathrm{P}]=0.5 の速度は 0.30000.3000 で、極大値 0.30250.3025 より小さい。横軸の範囲を 00 から始める誤りもある。

設問(a-2) ktkt を [A]0, [P]0, [A], [P][\mathrm{A}]_0,\ [\mathrm{P}]_0,\ [\mathrm{A}],\ [\mathrm{P}] で表す式

この微分方程式は、ロジスティック方程式 dp/dt=k(S−p)pdp/dt=k(S-p)p である。変数分離形の積分は、部分分数分解が核になる。1x(S−x)=1S(1x+1S−x)\dfrac1{x(S-x)}=\dfrac1S\left(\dfrac1x+\dfrac1{S-x}\right) は、右辺を通分すると (S−x)+xS x(S−x)=1x(S−x)\dfrac{(S-x)+x}{S\,x(S-x)}=\dfrac1{x(S-x)} となり、確かめられる。分解で現れる 1/S1/S が、積分形の係数 1/([A]0+[P]0)1/([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0) になる。

結果を [P][\mathrm{P}] について解くと、 [P](t)=S1+[A]0[P]0 e−kSt [\mathrm{P}](t)=\frac{S}{1+\dfrac{[\mathrm{A}]_0}{[\mathrm{P}]_0}\,e^{-kSt}} となる。t=0t=0 で [P]0[\mathrm{P}]_0 に一致し、t→∞t\to\infty で SS(すなわち [A]→0[\mathrm{A}]\to0)に近づく。初めはゆっくり、中ほどで急に、最後はまたゆっくり進む S 字曲線で、自触媒反応の特徴である。式の確かめとして、t=0t=0 では対数の中が [A]0[P]0[P]0[A]0=1\dfrac{[\mathrm{A}]_0[\mathrm{P}]_0}{[\mathrm{P}]_0[\mathrm{A}]_0}=1 になって kt=0kt=0 となり、[A]→0[\mathrm{A}]\to0 で対数が発散して t→∞t\to\infty となる。反応が有限時間では完結しないことに対応する。次元は、kk が濃度の逆数と時間の逆数の積、kSkS が時間の逆数で、kStkSt は無次元になる。

数値で確かめる。k=1k=1、[A]0=1.0[\mathrm{A}]_0=1.0、[P]0=0.1[\mathrm{P}]_0=0.1 のとき、t=2.0t=2.0 で [P]=1.1/(1+10e−2.2)=0.5218[\mathrm{P}]=1.1/(1+10e^{-2.2})=0.5218、[A]=0.5782[\mathrm{A}]=0.5782 となる。この値を積分形に入れると 11.1ln⁡1.0×0.52180.1×0.5782=2.21.1=2.000\dfrac1{1.1}\ln\dfrac{1.0\times0.5218}{0.1\times0.5782}=\dfrac{2.2}{1.1}=2.000 で、kt=2.0kt=2.0 に一致する。

誤りとして、一次反応の積分形 ln⁡([A]0/[A])=kt\ln([\mathrm{A}]_0/[\mathrm{A}])=kt を流用する答案がある。この反応の速度は [A][\mathrm{A}] だけでなく [P][\mathrm{P}] にも比例するので、一次反応の式は使えない。係数 1/([A]0+[P]0)1/([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0) を落とす誤りもある。上の数値例では kt=2.2kt=2.2 と、10%10\% 大きな値になる。

設問(a-3) vv が極大となる時間 t′t'

v=k[A][P]v=k[\mathrm{A}][\mathrm{P}] で、和 [A]+[P][\mathrm{A}]+[\mathrm{P}] が一定のとき、積が最大になるのは2つが等しいときである(相加平均と相乗平均の関係)。これが「[A]=[P][\mathrm{A}]=[\mathrm{P}] で vv が最大」の別の見方で、(a-1)の放物線の頂点と同じ結論になる。極大の時刻は、この条件を(a-2)の積分形に代入して決まる。代入すると、対数の中が [A]0/[P]0[\mathrm{A}]_0/[\mathrm{P}]_0 だけになる。

別の見方として、ロジスティック曲線の変曲点が vv の最大点にあたる。[P](t)=S/2[\mathrm{P}](t)=S/2 とおくと、[A]0[P]0e−kSt′=1\dfrac{[\mathrm{A}]_0}{[\mathrm{P}]_0}e^{-kSt'}=1 で、t′=1kSln⁡[A]0[P]0t'=\dfrac{1}{kS}\ln\dfrac{[\mathrm{A}]_0}{[\mathrm{P}]_0} となり、同じ結果が得られる。

[A]0>[P]0[\mathrm{A}]_0>[\mathrm{P}]_0 のとき、ln⁡([A]0/[P]0)>0\ln([\mathrm{A}]_0/[\mathrm{P}]_0)>0 で t′>0t'>0 である。[P]0[\mathrm{P}]_0 が小さいほど、対数が大きくなって t′t' は遅れる。種が少ないと、反応が加速に入るまで時間がかかる。[A]0≤[P]0[\mathrm{A}]_0\le[\mathrm{P}]_0 なら、vv は反応開始時が最大で、この式は適用できない。

数値で確かめる。k=1k=1、[A]0=1.0[\mathrm{A}]_0=1.0、[P]0=0.1[\mathrm{P}]_0=0.1 のとき、t′=ln⁡101.1=2.093t'=\dfrac{\ln10}{1.1}=2.093 である。微分方程式を数値積分し、速度が最大になる時刻を探すと 2.0932.093 で、そのときの [P][\mathrm{P}] は 0.550.55 だった。

誤りには、積分形の係数を取り違える例がある。分母を k[A]0k[\mathrm{A}]_0 とすると 2.3032.303、k([A]0−[P]0)k([\mathrm{A}]_0-[\mathrm{P}]_0) とすると 2.5582.558 になり、正しい 2.0932.093 と合わない。[A]=[P][\mathrm{A}]=[\mathrm{P}] を使わずに、[P]=[A]0/2[\mathrm{P}]=[\mathrm{A}]_0/2 などを代入する誤りもある。

設問(b) 速度の差 v−v1v-v_1 が最大となる [P][\mathrm{P}]

「同じ生成物濃度で比べる」ことの意味は、(b)の速度 v1v_1 も [P][\mathrm{P}] の関数として書き、(a)の vv と同じ横軸の上に並べることである。(b)の系でも、初濃度が同じで量論が 1:11:1 なら、[A][\mathrm{A}] は [P][\mathrm{P}] から [A]0+[P]0−[P][\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0-[\mathrm{P}] と決まる。したがって、v1v_1 は [P][\mathrm{P}] の1次関数で、グラフでは ( [P]0, k[A]0[P]0)(\,[\mathrm{P}]_0,\ k[\mathrm{A}]_0[\mathrm{P}]_0) と ([A]0+[P]0, 0)([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0,\ 0) を結ぶ直線になる。放物線 vv と直線 v1v_1 は、両端で交わる。

差 v−v1v-v_1 の意味を式で見ると、v−v1=k[A]([P]−[P]0)v-v_1=k[\mathrm{A}]\bigl([\mathrm{P}]-[\mathrm{P}]_0\bigr) である。触媒の濃度が初期値 [P]0[\mathrm{P}]_0 から増えた分 [P]−[P]0[\mathrm{P}]-[\mathrm{P}]_0 が、反応を加速する量を表す。[P][\mathrm{P}] の増加が大きいほど加速が大きいが、A が減るにつれて加速の効く相手が少なくなる。この積は、A がちょうど半分([A]=[A]0/2[\mathrm{A}]=[\mathrm{A}]_0/2)に減ったときに最大になる。このとき [P]−[P]0=[A]0−[A]=[A]0/2[\mathrm{P}]-[\mathrm{P}]_0=[\mathrm{A}]_0-[\mathrm{A}]=[\mathrm{A}]_0/2 となり、確かに等しい。

数値で確かめる。k=1k=1、[A]0=1.0[\mathrm{A}]_0=1.0、[P]0=0.1[\mathrm{P}]_0=0.1 では、最大位置が [P]=0.6[\mathrm{P}]=0.6、最大値が 0.5×0.5=0.250.5\times0.5=0.25 となり、k[A]02/4=0.25k[\mathrm{A}]_0^2/4=0.25 と一致する。格子点で差を計算して最大を探した値も 0.60.6 と 0.250.25 だった。

(a)の速度の最大位置 ([A]0+[P]0)/2([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0)/2 と、この問いの位置 [P]0+[A]0/2[\mathrm{P}]_0+[\mathrm{A}]_0/2 は異なる。前者は vv そのものの最大、後者は vv と v1v_1 の差の最大で、v1v_1 が [P][\mathrm{P}] とともに減るぶん、最大点が右へ [P]0/2[\mathrm{P}]_0/2 だけずれる。数値例では 0.550.55 と 0.60.6 である。

誤りとして、(a)の頂点 ([A]0+[P]0)/2([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0)/2 をそのまま答える例がある。数値例でこの位置 [P]=0.55[\mathrm{P}]=0.55 の差は 0.55×0.45=0.24750.55\times0.45=0.2475 で、最大値 0.250.25 より小さい。また、k1k_1 を k[A]0k[\mathrm{A}]_0 とおく例は、初速度が等しいという条件 k1[A]0=k[A]0[P]0k_1[\mathrm{A}]_0=k[\mathrm{A}]_0[\mathrm{P}]_0 を使っていない。

解答

設問(a-1) 反応速度 vv の式と vv--[P][\mathrm{P}] のグラフ

A →\to P の化学量論は 1:11:1 なので、A が濃度 xx だけ反応すると [A]=[A]0−x[\mathrm{A}]=[\mathrm{A}]_0-x、[P]=[P]0+x[\mathrm{P}]=[\mathrm{P}]_0+x となり、 [A]+[P]=[A]0+[P]0 [\mathrm{A}]+[\mathrm{P}]=[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0 が成り立つ。これで [A][\mathrm{A}] を消すと、速度は [P][\mathrm{P}] の関数として v=k[A][P]=k([A]0+[P]0−[P])[P] v=k[\mathrm{A}][\mathrm{P}]=k\bigl([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0-[\mathrm{P}]\bigr)[\mathrm{P}] と表せる。[P][\mathrm{P}] の2次関数で、上に凸の放物線である。[P][\mathrm{P}] が取りうる範囲は、反応開始時の [P]0[\mathrm{P}]_0 から、A が尽きる [P]=[A]0+[P]0[\mathrm{P}]=[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0 までである。極大点は dvd[P]=k([A]0+[P]0−2[P])=0 ⇒ [P]=[A]0+[P]02 \frac{dv}{d[\mathrm{P}]}=k\bigl([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0-2[\mathrm{P}]\bigr)=0 \ \Rightarrow\ [\mathrm{P}]=\frac{[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0}{2} で、[A]0>[P]0[\mathrm{A}]_0>[\mathrm{P}]_0 なので ([A]0+[P]0)/2>[P]0([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0)/2>[\mathrm{P}]_0 となり、極大は範囲の内側にある。極大値は vmax⁡=k([A]0+[P]0)2/4v_{\max}=k([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0)^2/4 である。端点の値は、[P]=[P]0[\mathrm{P}]=[\mathrm{P}]_0 で v=k[A]0[P]0v=k[\mathrm{A}]_0[\mathrm{P}]_0、[P]=[A]0+[P]0[\mathrm{P}]=[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0 で v=0v=0 である。

反応速度vと生成物濃度[P]の関係。vは上に凸の放物線で、反応開始の[P]0から右へ進み、([A]0+[P]0)/2で極大になる。

自作図:vv と [P][\mathrm{P}] の関係。反応は左端から右へ進む。放物線の形を見せるため、[P]0[\mathrm{P}]_0 は [A]0[\mathrm{A}]_0 より十分小さくとった

設問(a-2) ktkt を [A]0, [P]0, [A], [P][\mathrm{A}]_0,\ [\mathrm{P}]_0,\ [\mathrm{A}],\ [\mathrm{P}] で表す式

v=d[P]/dtv=d[\mathrm{P}]/dt と(a-1)の結果から、 d[P]dt=k[A][P]=k(S−[P])[P],S=[A]0+[P]0 \frac{d[\mathrm{P}]}{dt}=k[\mathrm{A}][\mathrm{P}]=k\bigl(S-[\mathrm{P}]\bigr)[\mathrm{P}],\qquad S=[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0 である。変数を分離して、 d[P](S−[P])[P]=k dt. \frac{d[\mathrm{P}]}{\bigl(S-[\mathrm{P}]\bigr)[\mathrm{P}]}=k\,dt. 左辺は部分分数に分解できる。 1(S−[P])[P]=1S(1[P]+1S−[P]) \frac{1}{\bigl(S-[\mathrm{P}]\bigr)[\mathrm{P}]}=\frac1S\left(\frac1{[\mathrm{P}]}+\frac1{S-[\mathrm{P}]}\right) これを t=0→tt=0\to t、[P]=[P]0→[P][\mathrm{P}]=[\mathrm{P}]_0\to[\mathrm{P}] で積分する。 1S[ln⁡[P]−ln⁡(S−[P])][P]0[P]=kt \frac1S\Bigl[\ln[\mathrm{P}]-\ln\bigl(S-[\mathrm{P}]\bigr)\Bigr]_{[\mathrm{P}]_0}^{[\mathrm{P}]}=kt S−[P]=[A]S-[\mathrm{P}]=[\mathrm{A}]、S−[P]0=[A]0S-[\mathrm{P}]_0=[\mathrm{A}]_0 なので、 kt=1[A]0+[P]0ln⁡[A]0 [P][P]0 [A]. kt=\frac{1}{[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0}\ln\frac{[\mathrm{A}]_0\,[\mathrm{P}]}{[\mathrm{P}]_0\,[\mathrm{A}]}.

設問(a-3) vv が極大となる時間 t′t'

vv が極大になる条件は、(a-1)より [P]=([A]0+[P]0)/2[\mathrm{P}]=([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0)/2 である。このとき、物質収支から [A]=[A]0+[P]0−[P]=([A]0+[P]0)/2[\mathrm{A}]=[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0-[\mathrm{P}]=([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0)/2 となり、[A]=[P][\mathrm{A}]=[\mathrm{P}] である。(a-2)の式で [P]/[A]=1[\mathrm{P}]/[\mathrm{A}]=1 を代入すると、 kt′=1[A]0+[P]0ln⁡[A]0[P]0 ⇒ t′=1k([A]0+[P]0)ln⁡[A]0[P]0. kt'=\frac1{[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0}\ln\frac{[\mathrm{A}]_0}{[\mathrm{P}]_0} \ \Rightarrow\ t'=\frac{1}{k\bigl([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0\bigr)}\ln\frac{[\mathrm{A}]_0}{[\mathrm{P}]_0}.

設問(b) 速度の差 v−v1v-v_1 が最大となる [P][\mathrm{P}]

(b)の反応は一次反応 v1=k1[A]v_1=k_1[\mathrm{A}] である。初速度が(a)の反応と等しいので、k1[A]0=k[A]0[P]0k_1[\mathrm{A}]_0=k[\mathrm{A}]_0[\mathrm{P}]_0 から k1=k[P]0k_1=k[\mathrm{P}]_0 となる。(b)でも A →\to P は 1:11:1 で、初濃度が(a)と同じだから、同じ生成物濃度 [P][\mathrm{P}] のとき [A]=[A]0+[P]0−[P][\mathrm{A}]=[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0-[\mathrm{P}] も同じである。したがって、 v1=k[P]0([A]0+[P]0−[P]), v_1=k[\mathrm{P}]_0\bigl([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0-[\mathrm{P}]\bigr), v−v1=k([A]0+[P]0−[P])([P]−[P]0). v-v_1=k\bigl([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0-[\mathrm{P}]\bigr)\bigl([\mathrm{P}]-[\mathrm{P}]_0\bigr). これは [P][\mathrm{P}] の2次関数で、上に凸、零点は [P]=[P]0[\mathrm{P}]=[\mathrm{P}]_0 と [P]=[A]0+[P]0[\mathrm{P}]=[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0 である。最大は2つの零点の中点で、 [P]=[P]0+([A]0+[P]0)2=[P]0+[A]02 [\mathrm{P}]=\frac{[\mathrm{P}]_0+\bigl([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0\bigr)}{2}=[\mathrm{P}]_0+\frac{[\mathrm{A}]_0}{2} である。そのときの差は k([A]02)2=k[A]024k\left(\dfrac{[\mathrm{A}]_0}{2}\right)^2=\dfrac{k[\mathrm{A}]_0^2}{4} である。

(a)の速度v(実線)と(b)の速度v1(破線)を同じ[P]の横軸で比べた図。両者の差v−v1が最大になる位置を矢印で示す。

自作図:(a)の速度 vv(実線)と(b)の速度 v1v_1(破線)。横軸は同じ [P][\mathrm{P}] で、両者の差が最大になる位置を矢印で示す

最終答

設問(a-1) 反応速度 vv の式と vv--[P][\mathrm{P}] のグラフ

v=k([A]0+[P]0−[P])[P]v=k\bigl([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0-[\mathrm{P}]\bigr)[\mathrm{P}]。グラフは、[P]0≤[P]≤[A]0+[P]0[\mathrm{P}]_0\le[\mathrm{P}]\le[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0 で、点 ([P]0, k[A]0[P]0)([\mathrm{P}]_0,\ k[\mathrm{A}]_0[\mathrm{P}]_0) から上り、[P]=[A]0+[P]02[\mathrm{P}]=\dfrac{[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0}{2} で極大値 k([A]0+[P]0)24\dfrac{k([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0)^2}{4} をとり、点 ([A]0+[P]0, 0)([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0,\ 0) へ下がる放物線の一部である。

設問(a-2) ktkt を [A]0, [P]0, [A], [P][\mathrm{A}]_0,\ [\mathrm{P}]_0,\ [\mathrm{A}],\ [\mathrm{P}] で表す式

kt=1[A]0+[P]0ln⁡[A]0[P][P]0[A]\displaystyle kt=\frac{1}{[\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0}\ln\frac{[\mathrm{A}]_0[\mathrm{P}]}{[\mathrm{P}]_0[\mathrm{A}]}

設問(a-3) vv が極大となる時間 t′t'

t′=1k([A]0+[P]0)ln⁡[A]0[P]0\displaystyle t'=\frac{1}{k\bigl([\mathrm{A}]_0+[\mathrm{P}]_0\bigr)}\ln\frac{[\mathrm{A}]_0}{[\mathrm{P}]_0}

設問(b) 速度の差 v−v1v-v_1 が最大となる [P][\mathrm{P}]

[P]=[P]0+[A]02=[A]0+2[P]02[\mathrm{P}]=[\mathrm{P}]_0+\dfrac{[\mathrm{A}]_0}{2}=\dfrac{[\mathrm{A}]_0+2[\mathrm{P}]_0}{2}(そのときの差 v−v1v-v_1 の最大値は k[A]024\dfrac{k[\mathrm{A}]_0^2}{4})。

第5問 — 電気化学:金属 X の電位--pH 図と標準生成 Gibbs エネルギー

電気化学:金属 X の電位--pH 図と標準生成 Gibbs エネルギーの途中式・最終答をPDFで見る

化学Iの解答・解説PDF

2023〜2026年度(4年度) · ¥2,580

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年度別の解答例(4年度)

  • 2026年度(解説5項目)

    反応速度論:NOの気相酸化と定常状態近似 / 相平衡:化学ポテンシャルから導く沸点上昇 / 無機化学:O_2の分子軌道、窒素のLatimer図、イオン化エネルギー

  • 2025年度(このページ・解説5項目)

    有機化学:モノグリセリドのけん化、臭素付加の立体化学、DCC・DMAPによるエステル化 / 有機合成:カルボンからヘルミントスポラールへ / 無機化学:遷移金属錯体の構造と電子状態、酸性度の序列、I3- の構造

  • 2024年度(解説5項目)

    無機化学:分子の構造と点群、八面体錯体の結晶場理論 / 有機化学:ピリジンの求電子置換と求核置換、ピラジン環の構築 / 有機化学:Claisen縮合、ジアゾ化合物による環拡大、ジアニオンのアルキル化

  • 2023年度(解説5項目)

    有機合成:Claisen 転位を使った β-ionone の合成 / 糖質化学:D-ガラクトースから epi-inositol への合成 / 無機化学:アルカリ金属の結晶構造・酸化物・還元反応

2025年度の出題内容

解説5項目

この5問の分野は化学2問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問化学モノグリセリドのけん化、臭素付加の立体化学、DCC・DMAPによるエステル化—あり
第2問カルボンからヘルミントスポラールへ—あり
第3問化学遷移金属錯体の構造と電子状態、酸性度の序列、I3- の構造—あり
第4問自触媒反応 A → P の速度と時間変化—あり
第5問金属 X の電位--pH 図と標準生成 Gibbs エネルギー—あり

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 5問 → 2025年度 5問
2024年度の解答例

大阪大学の公式過去問

公開年度範囲
領域別。電子光・物性物理・化学・化学工学・数理科学は2022〜2026年度など
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
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院試hubの最終確認
2026-10-26
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