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第1問 — 材料力学:丸棒から切り出すはりの最適断面と中空軸のねじり

方針

「素材から切り出す」という設定は,断面寸法 b,hb,h が独立ではなく b2+h2=d2b^2+h^2=d^2 で結ばれていることを意味する。この一行を書かずに bb と hh を独立に扱うと,bh3bh^3 も bh2bh^2 も上限をもたず最適化が成立しない。制約条件を明示することが答案の第一歩である。

二つの最適比が異なる理由

たわみは I∝bh3I\propto bh^3,曲げ応力は Z∝bh2Z\propto bh^2 に支配される。高さ hh のべきが3と2で違うため,「たわみに強い形」(h/b=3h/b=\sqrt3,やや細長い)と「応力に強い形」(h/b=2h/b=\sqrt2,やや太い)が一致しない。剛性設計と強度設計で最適形状がずれる,という実務的な含意をもつ設問である。

検算

h/b=3h/b=\sqrt3 のとき b=d/2b=d/2,h=3d/2h=\sqrt3 d/2 で制約を満たし,h/b=2h/b=\sqrt2 では b=d/3b=d/\sqrt3,h=2/3 dh=\sqrt{2/3}\,d で d2/3+2d2/3=d2d^2/3+2d^2/3=d^2 である。答えは E,b,L,PE,b,L,P と b,L,Pb,L,P だけで表すよう指定されているので,dd を bb で書き換える一手を忘れないこと。

失点しやすい点

bh3bh^3 の最大化で bb を変数にとると平方根が残り計算量が増える。hh を変数にとって2乗してから微分すると多項式だけで済む。また δ=PL3/(3EI)\delta=PL^3/(3EI) は先端集中荷重の公式であり,等分布荷重の PL4/(8EI)PL^4/(8EI) と取り違えないこと。

設問2 中空円筒と中実丸棒のねじり性能の比較

方針

比を問う設問なので,π\pi や dd の共通因子は最後まで残しておき,最後に約分する。Ip=π(Do4−Di4)/32I_p=\pi(D_o^4-D_i^4)/32 を外径・内径で書くか,Ip=π(Ro4−Ri4)/2I_p=\pi(R_o^4-R_i^4)/2 を半径で書くかを最初に決め,混用しないことが計算ミスを防ぐ。ここでは 0.94=0.65610.9^4=0.6561,1−0.6561=0.34391-0.6561=0.3439 という数値を1回だけ計算し,以降は使い回した。

数値の意味

質量は 0.760.76 倍に減っているのに,ねじり剛性の指標 IpI_p は 5.505.50 倍になっている。材料を外周に配置すると r2r^2 の重みで効くためで,これが中空軸・パイプ構造が使われる理由である。(2-2) の 7.247.24 倍がその効率を直接表している。

検算

5.5024×(0.25/0.19)5.5024\times(0.25/0.19) は 5.5024×25/195.5024\times 25/19 である。5.5024×25=137.565.5024\times25=137.56,137.56/19=7.24137.56/19=7.24 とちょうど割り切れる。桁が合わないときは 0.940.9^4 の計算(0.812=0.65610.81^2=0.6561)を見直すとよい。また (2-1) の 0.19/0.25=0.760.19/0.25=0.76 も 19/2519/25 と分数で確認できる。

失点しやすい点

外径が 2d2d,比較対象の丸棒が直径 dd である点を読み違え,同じ外径どうしで比べる誤りが多い。また肉厚 d/10d/10 を外「径」から引くと 2d−d/102d-d/10 となり誤る。半径で d−d/10=0.9dd-d/10=0.9d とするのが正しい。(2-3) では比の分子がどちらかを本文で宣言すること。

解答

(1-1) 長方形断面の断面二次モーメント

断面の図心を原点とし,幅方向に zz 軸,高さ方向に yy 軸をとる。中立軸は図心を通る zz 軸である。微小面積は dA=b dydA=b\,dy であるから,定義にしたがって I=∫Ay2 dA=∫−h/2h/2y2 b dy=b[y33]−h/2h/2=b3⋅2h38=bh312. I=\int_A y^2\,dA =\int_{-h/2}^{h/2} y^2\,b\,dy =b\left[\frac{y^3}{3}\right]_{-h/2}^{h/2} =\frac{b}{3}\cdot\frac{2h^3}{8} =\frac{bh^3}{12}.

(1-2) たわみが最小になる縦横比

長方形が直径 dd の円に内接するので,対角線が直径に一致し b2+h2=d2(∗) b^2+h^2=d^2 \tag{$\ast$} が拘束条件になる。先端集中荷重 PP を受ける長さ LL の片持ちはりの先端たわみは δ=PL33EI=PL33E⋅12bh3=4PL3E bh3 \delta=\frac{PL^3}{3EI}=\frac{PL^3}{3E}\cdot\frac{12}{bh^3}=\frac{4PL^3}{E\,bh^3} であるから,δ\delta の最小化は bh3bh^3 の最大化と同値である。(∗)(\ast) より b=d2−h2b=\sqrt{d^2-h^2} とおき,f(h)=bh3=h3d2−h2f(h)=bh^3=h^3\sqrt{d^2-h^2} の代わりに扱いやすい f(h)2=h6(d2−h2) f(h)^2=h^6\bigl(d^2-h^2\bigr) を最大化する。hh で微分して ddh(d2h6−h8)=6d2h5−8h7=2h5(3d2−4h2)=0⟹h2=34d2. \frac{d}{dh}\left(d^2h^6-h^8\right)=6d^2h^5-8h^7=2h^5\left(3d^2-4h^2\right)=0 \quad\Longrightarrow\quad h^2=\frac{3}{4}d^2 . h>0h>0 の範囲で f2f^2 はここで唯一の極大をとる。(∗)(\ast) より b2=d2−34d2=14d2b^2=d^2-\tfrac34 d^2=\tfrac14 d^2 なので hb=3d2/4d2/4=3. \frac{h}{b}=\sqrt{\frac{3d^2/4}{d^2/4}}=\sqrt{3}. このとき h=3 bh=\sqrt3\,b であり bh3=b⋅33 b3=33 b4bh^3=b\cdot 3\sqrt3\,b^3=3\sqrt3\,b^4 だから,先端たわみは δmin⁡=4PL333 Eb4=43 PL39Eb4. \delta_{\min}=\frac{4PL^3}{3\sqrt3\,E b^4}=\frac{4\sqrt3\,PL^3}{9Eb^4}.

(1-3) 曲げ応力が最小になる縦横比

固定端で曲げモーメントが最大 Mmax⁡=PLM_{\max}=PL となり,断面係数は Z=I/(h/2)=bh2/6Z=I/(h/2)=bh^2/6 であるから σmax⁡=Mmax⁡Z=6PLbh2. \sigma_{\max}=\frac{M_{\max}}{Z}=\frac{6PL}{bh^2}. よって σmax⁡\sigma_{\max} の最小化は bh2bh^2 の最大化と同値である。(∗)(\ast) を用いて (bh2)2=h4(d2−h2),ddh(d2h4−h6)=4d2h3−6h5=2h3(2d2−3h2)=0 \left(bh^2\right)^2=h^4\left(d^2-h^2\right),\qquad \frac{d}{dh}\left(d^2h^4-h^6\right)=4d^2h^3-6h^5=2h^3\left(2d^2-3h^2\right)=0 から h2=23d2h^2=\tfrac23 d^2,b2=d2−23d2=13d2b^2=d^2-\tfrac23 d^2=\tfrac13 d^2 を得る。したがって hb=2/31/3=2. \frac{h}{b}=\sqrt{\frac{2/3}{1/3}}=\sqrt2 . h2=2b2h^2=2b^2 より bh2=2b3bh^2=2b^3 なので σmax⁡=6PL2b3=3PLb3. \sigma_{\max}=\frac{6PL}{2b^3}=\frac{3PL}{b^3}.

(2-1) 質量比

中空円筒は外径 2d2d(外半径 dd),肉厚 d/10d/10 なので内半径は d−d/10=0.9dd-d/10=0.9d である。断面積は Ah=π{d2−(0.9d)2}=πd2(1−0.81)=0.19 πd2. A_{\mathrm{h}}=\pi\left\{d^2-(0.9d)^2\right\}=\pi d^2(1-0.81)=0.19\,\pi d^2 . 直径 dd の丸棒(半径 d/2d/2)の断面積は As=π(d2)2=0.25 πd2. A_{\mathrm{s}}=\pi\left(\frac{d}{2}\right)^2=0.25\,\pi d^2 . 長さ LL と密度が共通なので質量比は断面積比に等しく mhms=0.190.25=0.76. \frac{m_{\mathrm{h}}}{m_{\mathrm{s}}}=\frac{0.19}{0.25}=0.76 .

(2-2) 質量あたりの断面二次極モーメントの比

円環断面の断面二次極モーメントは Iph=π2{d4−(0.9d)4}=π2 d4 (1−0.6561)=π32⋅5.5024 d4, I_{p\mathrm{h}}=\frac{\pi}{2}\left\{d^4-(0.9d)^4\right\} =\frac{\pi}{2}\,d^4\,(1-0.6561) =\frac{\pi}{32}\cdot 5.5024\,d^4 , 中実丸棒では Ips=π32d4. I_{p\mathrm{s}}=\frac{\pi}{32}d^4 . 質量あたりの値は断面積で割ればよいので,求める比は Iph/AhIps/As=IphIps⋅AsAh=5.5024×0.250.19=7.24. \frac{I_{p\mathrm{h}}/A_{\mathrm{h}}}{I_{p\mathrm{s}}/A_{\mathrm{s}}} =\frac{I_{p\mathrm{h}}}{I_{p\mathrm{s}}}\cdot\frac{A_{\mathrm{s}}}{A_{\mathrm{h}}} =5.5024\times\frac{0.25}{0.19} =7.24 .

(2-3) 先端ねじり角の比

一端固定・他端に一定のねじりモーメント TT を与えた長さ LL の軸の先端ねじり角は ϕ=TLGIp \phi=\frac{TL}{G I_p} である。T,L,GT,L,G が共通なので,ねじり角は IpI_p に反比例する。よって丸棒のねじり角 ϕs\phi_{\mathrm{s}} と中空円筒のねじり角 ϕh\phi_{\mathrm{h}} の比は ϕsϕh=IphIps=5.5024 ≒ 5.50. \frac{\phi_{\mathrm{s}}}{\phi_{\mathrm{h}}}=\frac{I_{p\mathrm{h}}}{I_{p\mathrm{s}}}=5.5024\ \fallingdotseq\ 5.50 .

最終答

I=bh312I=\dfrac{bh^3}{12}, hb=3\dfrac{h}{b}=\sqrt3, δmin⁡=43 PL39Eb4\delta_{\min}=\dfrac{4\sqrt3\,PL^3}{9Eb^4}

hb=2\dfrac{h}{b}=\sqrt2, σmax⁡=3PLb3\sigma_{\max}=\dfrac{3PL}{b^3}

中空円筒の質量は丸棒の 0.760.76 倍

質量あたりの断面二次極モーメントは 7.247.24 倍

ϕsϕh=5.5024\dfrac{\phi_{\mathrm{s}}}{\phi_{\mathrm{h}}}=5.5024(丸棒のほうが約 5.55.5 倍ねじれる)

第2問 — 材料力学:3本棒トラスの不静定解析とカスティリアーノの定理

方針

不静定トラスでは,まず「釣合いで何本の式が立つか」を数えて不静定次数を確定させる。ここでは節点が1つ,未知軸力が3つ,平面の釣合い式が2本なので不静定次数は 3−2=13-2=1 である。したがって余力を1つ(ここでは N1=NN_1=N)選び,残りをそれで表す,という設問1の作業が以降すべての土台になる。

符号の約束

引張正で通すと,最終的に得られる符号がそのまま引張・圧縮の判定になる。棒2・棒3の軸力が N−WN-W という形になったので,N<WN<W であればこの2本は圧縮である。答案では「引張を正とする」と一行宣言しておくと,以降の符号の議論が読み手に伝わる。

失点しやすい点

120∘120^\circ という角度を,棒2・棒3が水平となす角と取り違えやすい。棒1が鉛直なので,棒1と 120∘120^\circ をなす棒2・棒3は水平から 30∘30^\circ 下がった向きであり,鉛直成分の係数は cos⁡60∘=1/2\cos 60^\circ=1/2 になる。cos⁡30∘=3/2\cos 30^\circ=\sqrt3/2 を使うと以降がすべてずれる。

設問2 弾性ひずみエネルギーの総和

式の形の確認

3本とも L,A,EL,A,E が等しいので,共通因子 L/(2EA)L/(2EA) を括り出せる。棒2と棒3の軸力が等しいことは設問1で示してあるから,2(N−W)22(N-W)^2 とまとめてよい。この「NN と WW だけの2変数関数」という形が,次の設問で NN について微分するための準備になっている。

この設問が試していること

軸力一定の棒の弾性エネルギー N2L/(2EA)N^2L/(2EA) は,U=∫σ2/(2E) dVU=\int \sigma^2/(2E)\,dV に σ=N/A\sigma=N/A,V=ALV=AL を代入したものである。公式を暗記しているかどうかではなく,不静定量 NN を含んだままエネルギーを書き,あとで最小化するという道筋を組み立てられるかが問われている。

設問3 最小仕事の原理と余力の決定

論述で書くべき骨格

「余力を切り離す →\rightarrow カスティリアーノの定理で ∂U/∂N\partial U/\partial N が相対変位を表す →\rightarrow 実際には連続だから 0」の3段を書けば十分である。単に「最小仕事の原理だから」とだけ書くと,なぜ最小になるのかという根拠を欠くため減点されやすい。

検算

UU は NN の下に凸な2次関数(N2N^2 の係数 3L/(2EA)>03L/(2EA)>0)なので,∂U/∂N=0\partial U/\partial N=0 は最小値を与える。得られた N=2W/3N=2W/3 を釣合い式に戻すと,yy 方向は 23W−12⋅(−13W)×2=23W+13W=W\tfrac23W-\tfrac12\cdot(-\tfrac13W)\times2=\tfrac23W+\tfrac13W=W となって外力とつり合う。符号も,下向き荷重に対して鉛直な棒1が引張,斜めの2本が圧縮という直感と一致する。

別の解き方

変位法でも解ける。節点の下向き変位を δ\delta とすると,棒 ii の伸びは −(0,−δ)⋅ei-(0,-\delta)\cdot\boldsymbol{e}_i であるから,棒1は δ\delta,棒2・棒3は −δ/2-\delta/2 である。フックの法則 Ni=EA×(伸び)/LN_i=EA\times(\text{伸び})/L を釣合いの yy 成分に代入すると EAδL−12⋅(−EAδ2L)×2=3EAδ2L=W \frac{EA\delta}{L}-\frac12\cdot\left(-\frac{EA\delta}{2L}\right)\times 2=\frac{3EA\delta}{2L}=W となり δ=2WL/(3EA)\delta=2WL/(3EA),そこから同じ軸力が得られる。設問4の検算にも使える。

設問4 荷重点変位

別の導き方

先に N=2W/3N=2W/3 を代入して U=L2EA{49W2+2⋅19W2}=W2L3EA U=\frac{L}{2EA}\left\{\frac49W^2+2\cdot\frac19W^2\right\}=\frac{W^2L}{3EA} としてから δ=dU/dW=2WL/(3EA)\delta=dU/dW=2WL/(3EA) としてもよい。設問3の結果があるので両者は必ず一致する。答案では計算の少ない後者を採り,∂U/∂N=0\partial U/\partial N=0 を根拠として一行添えるのが早い。

検算

棒1の伸びは N1L/(EA)=2WL/(3EA)N_1L/(EA)=2WL/(3EA) で,鉛直な棒1の伸びは節点の下向き変位そのものである。δ\delta と一致した。棒2については,節点変位 (0,−δ)(0,-\delta) の e2\boldsymbol{e}_2 方向成分から伸びが −δ/2=−WL/(3EA)-\delta/2=-WL/(3EA) となり,N2L/(EA)=−WL/(3EA)N_2L/(EA)=-WL/(3EA) と合う。3本すべてで整合するので変位は正しい。

失点しやすい点

カスティリアーノの定理を使うとき,UU の中に WW が2か所(NN を通じてと,(N−W)(N-W) の中に直接)現れることを忘れて連鎖律の項を落とす答案が出る。本問では ∂U/∂N=0\partial U/\partial N=0 のおかげでその項が消えるが,その理由を書かずに消すと論理が飛ぶ。1行でよいので「設問3より第2項は 0」と明記すること。

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第3問 — 機械力学:斜面を転がる円柱と,撃力を受ける剛体棒

方針

剛体の平面運動は「重心の並進」と「重心まわりの回転」に分けるのが原則である。接地点まわりのモーメントで一気に解く方法もあるが,(1-2) が摩擦力 ff を明示的に使う形を要求しているので,本問では分けて立てるほうが設問の意図に沿う。

摩擦力の向きの決め方

静止摩擦力の向きは,仮に摩擦がなかったときの接触点の相対すべりを打ち消す向きである。摩擦がなければ円柱は回転せずに斜面を滑り落ちるので,接地点は斜面下向きに滑る。したがって摩擦は斜面上向きに働き,その結果生じるモーメントが円柱を転がす。この一文を書けば,(1-2) の符号がすべて確定する。

検算

a=23gsin⁡θa=\tfrac23 g\sin\theta は,自由落下に相当する gsin⁡θg\sin\theta より小さい。回転にエネルギーが分配されるためで,物理的に妥当である。また一様円板でなく薄肉円筒(I=mr2I=mr^2)なら同じ手順で a=12gsin⁡θa=\tfrac12 g\sin\theta,μ≥12tan⁡θ\mu\ge\tfrac12\tan\theta となる。慣性モーメントが大きいほど加速度が小さく,必要な摩擦係数が大きくなるという傾向も確認できる。

失点しやすい点

条件を μ≥tan⁡θ\mu\ge\tan\theta(質点が滑らない条件)と書いてしまう誤りが多い。転がる円柱では必要な摩擦力が重力成分の 1/31/3 で済むため,条件は 1/31/3 だけ緩くなる。また f=μNf=\mu N と等号で置いてしまうと「滑る直前」の状態に限定されてしまう。滑らない間は ff は釣合いで決まる静止摩擦力であり,μN\mu N は上限でしかない。

設問2 撃力を受ける水平面上の剛体棒

速度分布の見方

剛体の速度場は棒に沿って1次関数になるので,図のように直線1本で表せる。撃力側の端で最大,反対側の端で符号が反転し,その間のどこか1点で 0 になる。この 0 になる点が打撃の中心(衝撃中心)で,d=J/(Mr)d=J/(Mr) という関係は rr と dd が互いに他方を決めることを示している。rr を大きくすると dd は小さくなる。

背景

d=J/(Mr)d=J/(Mr) は打撃の中心の一般公式である。バットやラケットで球をとらえたときに手に衝撃が伝わりにくい「芯」がこの点にあたる。rr を握り位置,dd をボールの当たる位置と読み替えると,rd=J/M=L2/12rd=J/M=L^2/12 という関係になる。r=L/3r=L/3 が与えられているのは,dd がちょうど L/4L/4 という切りのよい値になるように選ばれているためである。

検算

r=L/2r=L/2(棒の端をたたく)とすると d=L2/(12⋅L/2)=L/6d=L^2/(12\cdot L/2)=L/6 となり,0<d≤L/20<d\le L/2 を満たす。一方 r→0r\to 0 では d→∞d\to\infty となって棒の中に速度 0 の点は存在しない。これは図心をまっすぐ押した場合に棒が回転せず全体が平行移動する,という直感と一致する。

失点しやすい点

角力積を「図心まわり」ではなく作用点まわりに取ってしまうと ω\omega が求まらない。回転の基準は重心(ここでは図心)に固定すること。また速度分布を書くときに,並進速度と回転による速度の符号を同符号にしてしまうと,棒のどこにも速度 0 の点が現れず矛盾する。P\mathrm{P} 側が速く Q\mathrm{Q} 側が遅い,という向きを図か一文で確認してから式を立てるとよい。

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第4問 — 制御工学:1自由度振動系の状態方程式と極配置,PD補償器の安定範囲

方針

(1-1) から (1-3) は同じ系の3つの表現(微分方程式・状態空間・伝達関数)を行き来する練習である。どれか1つを間違えると以降がすべて崩れるので,G(s)G(s) の分母 ms2+cs+kms^2+cs+k と状態行列 AA の第2行 [−k/m, −c/m][-k/m,\ -c/m] が対応していることを確認してから先に進む。

検算

(1-5) の答えは y(0)=5/2−5+5/2=0y(0)=5/2-5+5/2=0,y˙(0)=5−5=0\dot y(0)=5-5=0 を満たし,静止状態から始まるという初期条件と整合する。また t→∞t\to\infty で y→5/2y\to 5/2 であり,これは最終値の定理 lim⁡s→0sY(s)=5/2\lim_{s\to0}sY(s)=5/2,あるいはばねの静的なつり合い y∞=1/k=1/0.4=2.5y_\infty=1/k=1/0.4=2.5 と一致する。ゲインの単位まで含めて確認できる良い検算である。

(1-6) の符号

f(t)=F⃗⋅x⃗f(t)=\vec F\cdot\vec x と定義されているので,閉ループ行列は A−BF⃗A-B\vec F ではなく A+BF⃗A+B\vec F である。負帰還の形 u=−Kxu=-Kx を習慣的に使っていると符号を1つ落とし,f1=+2.6f_1=+2.6,f2=+1f_2=+1 という誤答になる。問題文が与えた符号の約束をそのまま使うこと。得られたゲインが負であることは,「変位と速度の増加を打ち消す向きに力を加えて減衰を強める」という物理的な意味と一致する。

可制御性

極配置が可能なのは系が可制御だからである。[BAB]=[055−15]\begin{bmatrix}B&AB\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}0&5\\ 5&-15\end{bmatrix} の行列式は −25≠0-25\neq0 なので可制御であり,任意の極配置ができる。答案に書く必要は必ずしもないが,一行添えると理解の深さが伝わる。

設問2 PD 補償器による不安定プラントの安定化

なぜ P 制御では安定化できないか

KD=0K_{\mathrm D}=0 とすると特性方程式は s2−2s+kKP=0s^2-2s+kK_{\mathrm P}=0 となり,ss の係数が負なので KPK_{\mathrm P} をどう選んでも不安定である。プラントの極 s=2s=2 が右半平面にあり,比例動作だけではこの極を左に動かせない。微分動作が ss の係数を kKD−2kK_{\mathrm D}-2 に持ち上げることで初めて安定化できる,という点がこの設問の核心である。

定常偏差が 0 になる理由

プラントに積分器 1/s1/s が1つ含まれている(1型の系)ため,ステップ目標値に対する定常偏差は 0 になる。(2-3) は G(0)=1G(0)=1 を示せば足りるが,「P(s)P(s) が原点に極をもつから」と一言添えると,計算結果が偶然ではないことを示せる。ただし最終値の定理は閉ループが安定なときにしか使えないので,KD>1K_{\mathrm D}>1 を前提とする旨を書いておくと確実である。

検算

KD=1K_{\mathrm D}=1 ちょうどでは特性方程式が s2+2=0s^2+2=0 となり,極は s=±j2s=\pm j\sqrt2 の純虚数で持続振動する(安定限界)。KD<1K_{\mathrm D}<1 なら極の実部が正になり発散する。境界値の挙動が「振動が減衰も発散もしない」となることは,2次系の安定限界の典型的な様子であり,答えの妥当性を裏づける。

答案の書き方

(2-4) は3次以上ならラウス・フルビッツの表を書く必要があるが,本問は2次なので「2次系では全係数が同符号であることが安定の必要十分条件」と一行根拠を述べて係数条件を書けば十分である。表を書いても誤りではないが,時間を使う割に得点は増えない。

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第5問 — 流体力学:循環を伴う円柱まわりのポテンシャル流れと揚力

方針

複素速度ポテンシャルから実際に使う量を取り出す手順は,(i) z=reiθz=re^{i\theta} を代入して実部・虚部に分ける,(ii) 実部が Φ\Phi,虚部が流れ関数 Ψ\Psi,(iii) Φ\Phi を微分して速度,である。log⁡z=log⁡r+iθ\log z=\log r+i\theta の分解を落とすと Γ\Gamma の項が消えてしまうので,ここは丁寧に書く。

各項の意味

UzUz は一様流,Ua2/zUa^2/z は円柱を作るための二重湧き出し,(iΓ/2π)log⁡z(i\Gamma/2\pi)\log z は原点まわりの循環(渦)である。uθu_\theta に現れる −Γ/(2πr)-\Gamma/(2\pi r) の負号は,循環が時計回りであることを表している。uru_r には Γ\Gamma が現れないので,渦を重ねても円柱表面が流線であるという性質は保たれる。

検算

r→∞r\to\infty で ur→Ucos⁡θu_r\to U\cos\theta,uθ→−Usin⁡θu_\theta\to-U\sin\theta となる。これは xx 方向の一様流 (U,0)(U,0) を極座標に直したものに一致する。また a→0a\to0,Γ→0\Gamma\to0 とすれば一様流だけが残る。極限で既知の流れに戻ることを確認しておくと,符号ミスを早期に発見できる。

設問2 円柱表面の圧力と,流れが受ける力

クッタ・ジュコフスキーの定理との対応

一般に単位長さあたりの揚力の大きさは ρUΓ\rho U\Gamma で与えられる(クッタ・ジュコフスキーの定理)。Γ=2πaU\Gamma=2\pi aU を代入すると ρU⋅2πaU=2πaρU2\rho U\cdot 2\pi aU=2\pi a\rho U^2 となり,(5) の結果と一致する。ただし本問は「導出の過程も記すこと」と指定されているので,定理を引用するだけでは不十分であり,表面圧力を積分する上の計算を書く必要がある。

よどみ点と (4) の答えの関係

Γ=2πaU\Gamma=2\pi aU では,表面の速さが 0 になるよどみ点は 2sin⁡θ+1=02\sin\theta+1=0,すなわち θ=7π/6, 11π/6\theta=7\pi/6,\ 11\pi/6 の2点で,どちらも円柱の下側にある。循環によって流れが下側で遅く,上側で速くなるため上向きの力が生じる,という構図である。(4) で求めた3点は,よどみ点ではなく「速さがちょうど一様流に戻る点」であることに注意する。

xx 方向の力

同じ計算を cos⁡θ\cos\theta について行うと,∫02πsin⁡2θcos⁡θ dθ=0\int_0^{2\pi}\sin^2\theta\cos\theta\,d\theta=0,∫02πsin⁡θcos⁡θ dθ=0\int_0^{2\pi}\sin\theta\cos\theta\,d\theta=0 よりすべての項が消えて Fx=0F_x=0 となる。粘性を無視したポテンシャル流れでは抗力が生じない(ダランベールのパラドックス)ことの具体例であり,余裕があれば一言添えるとよい。

失点しやすい点

q2q^2 を計算するとき,ur=0u_r=0 を確認せずに ur2u_r^2 を残してしまう誤りがある。r=ar=a では uru_r は恒等的に 0 なので q=∣uθ∣q=|u_\theta| である。また積分で sin⁡2θ\sin^2\theta の平均が 1/21/2(積分値 π\pi)であることを 2π2\pi と取り違えると答えが2倍になる。∫02πsin⁡2θ dθ=π\int_0^{2\pi}\sin^2\theta\,d\theta=\pi を確実に押さえること。

流体力学:循環を伴う円柱まわりのポテンシャル流れと揚力の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 流体力学:傾いた平行平板間の定常層流とレイノルズ数・フルード数

論証の型

「f(x)=g(y)f(x)=g(y) が領域全体で成り立つならば両辺は定数」という論法は,チャネル流れ・ハーゲン・ポアズイユ流れで繰り返し現れる。答案では,yy 成分から ∂p/∂x\partial p/\partial x が yy によらないことを言い,xx 成分から ∂p/∂x\partial p/\partial x が xx によらないことを言う,という2段構えで書くと過不足がない。

語句選択の落とし穴

(イ)(ウ)を「定常の条件」と「連続の式」にしてしまう誤りが多い。左辺第2項が消えるのに必要なのは ∂u/∂x=0\partial u/\partial x=0 であって ∂u/∂t=0\partial u/\partial t=0 ではない。∂u/∂x=0\partial u/\partial x=0 を出すには v=0v=0(流れが xx 軸に平行)と連続の式の両方が要る,という因果の順序を押さえる。

設問2 せん断応力,平均速度と最大速度

検算

uM/U=12/8=3/2u_{\mathrm M}/U=12/8=3/2 となり,2次元ポアズイユ流れの「最大速度は平均速度の 3/23/2 倍」という既知の関係に一致する(円管なら 2 倍)。この比を確認するだけで (4) の2式を同時に検算できる。

せん断応力の向きの説明

τ0\tau_0 と τH\tau_H の符号が逆になるのは,速度分布が上に凸の放物線で,下半分と上半分で du/dydu/dy の符号が反対だからである。しかし「板が受ける力」はどちらも下流向きになる。符号だけを答えて向きを書かないと設問の要求(働く方向も答えよ)を満たさないので,法線の向きに触れて一言添えること。

設問3 Fr2/Re\mathrm{Fr}^2/\mathrm{Re} の θ\theta 依存性

絶対値が必要な理由

定義式に ∣U∣|U| が使われているのは,平均速度の向きが θ\theta によって反転するためである。sin⁡θ<1/2\sin\theta<1/2(θ<π/6\theta<\pi/6)では圧力勾配 α=ρg/2\alpha=\rho g/2 が重力の斜面方向成分 ρgsin⁡θ\rho g\sin\theta に勝ち,流れは xx 軸負の向きになる。θ=π/6\theta=\pi/6 でちょうど釣り合って流れが止まり,θ>π/6\theta>\pi/6 では重力が勝って xx 軸正の向きに流れる。絶対値を外して sin⁡θ−1/2\sin\theta-1/2 のまま描くと,θ<π/6\theta<\pi/6 で負の値になり誤りとなる。

グラフに書き込むこと

設問が「比の最高値を明示」「最高およびゼロとなる θ\theta を明示」と指定しているので,縦軸に 1/241/24,横軸に θ=0, π/6, π/2\theta=0,\ \pi/6,\ \pi/2 を必ず記入する。θ=π/6\theta=\pi/6 で折れ曲がる V 字形になることも図から読み取れるようにしておく。曲線の細かい形(sin⁡\sin の曲がり方)まで正確に描く必要はないが,θ=π/6\theta=\pi/6 の左右で傾きが不連続になる点は落とさない。

無次元数の意味

Fr2/Re=μ∣U∣/(ρgH2)\mathrm{Fr}^2/\mathrm{Re}=\mu|U|/(\rho gH^2) は,粘性力と重力の比を表す無次元数である(同じ組み合わせは液膜流れでよく現れる)。慣性を表す ∣U∣2|U|^2 が約分されて ∣U∣|U| の1乗だけが残るので,慣性の効果が消えた指標になっている。θ=π/6\theta=\pi/6 でこの比が 0 になるのは,正味の駆動力が消えて流れが止まるからで,物理的な意味と数式が対応している。

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第7問 — 熱力学:隔壁を除いた理想気体の混合と,その後の等圧膨張

方針

第一法則を書き,QQ と LL がそれぞれ 0 になる理由を条件(断熱・ピストン固定)と一対一で対応させて示すのが (1) の答案である。結果だけ「ΔU=0\Delta U=0」と書くと,どの条件がどちらを消したかが伝わらない。(2) はその ΔU=0\Delta U=0 を,質量で重みづけた温度の平均という形に翻訳する作業になる。

同種の気体であることの効き方

cvc_{\mathrm v} が共通なので,(2) の式から cvc_{\mathrm v} が消えて温度だけの関係になる。異種の気体なら cvAc_{\mathrm v A},cvBc_{\mathrm v B} が残り,T1=(mAcvATA+mBcvBTB)/(mAcvA+mBcvB)T_1=(m_{\mathrm A}c_{\mathrm vA}T_{\mathrm A}+m_{\mathrm B}c_{\mathrm vB}T_{\mathrm B})/(m_{\mathrm A}c_{\mathrm vA}+m_{\mathrm B}c_{\mathrm vB}) となる。問題文の「同じ種類の理想気体」という条件を使ったことを一言書いておくとよい。

検算

T1T_1 は TAT_{\mathrm A} と TBT_{\mathrm B} の質量加重平均なので,必ず両者の間の値になる。mB=0m_{\mathrm B}=0 とすれば T1=TAT_1=T_{\mathrm A},mA=mBm_{\mathrm A}=m_{\mathrm B} なら単純平均 (TA+TB)/2(T_{\mathrm A}+T_{\mathrm B})/2 である。極端な場合で妥当な値を返すことを確かめておく。

設問2 等圧膨張の仕事とエントロピー変化

(4) で cpc_{\mathrm p} を使う理由

エントロピー変化は経路によらない状態量の差だが,計算に使うのは「同じ始点と終点を結ぶ可逆過程」の ∫δQrev/T\int\delta Q_{\text{rev}}/T である。ここでは実際の過程が等圧かつ準静的なので,そのまま δQ=mcpdT\delta Q=mc_{\mathrm p}dT を使える。定積比熱 cvc_{\mathrm v} を使うと等積過程の式になってしまう。cpc_{\mathrm p} で表せという設問の指定も,このことを確認させる意図である。

不可逆性の根拠の書き方

「断熱だから可逆」という誤りが多い。断熱は Q=0Q=0 を意味するだけで可逆性とは無関係である。(1) が不可逆なのは,有限の温度差での熱移動と,仕切りを外した後の自発的な混合という,2つの自発変化を含むからである。実際 (1) では ΔS>0\Delta S>0(孤立系のエントロピー増大)となる。一方 (3) は「準静的」と明示されているので可逆と判定してよい。

検算

(3) の LL は,T2>T1T_2>T_1(加熱して膨張)なら正になり,気体が外部に仕事をしたという設定と符号が合う。また第一法則から,この過程での加熱量は Q=ΔU+L=(mA+mB)cv(T2−T1)+(mA+mB)R(T2−T1)=(mA+mB)cp(T2−T1)Q=\Delta U+L=(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})c_{\mathrm v}(T_2-T_1)+(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})R(T_2-T_1)=(m_{\mathrm A}+m_{\mathrm B})c_{\mathrm p}(T_2-T_1) となり,マイヤーの関係 cp=cv+Rc_{\mathrm p}=c_{\mathrm v}+R と整合する。この確認が (4) の cpc_{\mathrm p} の妥当性も同時に裏づける。

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第8問 — 熱力学:等圧・等温・等積・可逆断熱からなるサイクルの熱量と熱効率

線図を描くときの要点

状態変化が分かるように描けばよいので,(i) 1→21\to2 が水平線,(ii) 3→43\to4 と 5→15\to1 が垂直線,(iii) 2→32\to3 の等温線より 4→54\to5 の断熱線のほうが急である,の3点が押さえられていれば十分である。等温線は pV=pV= 一定,可逆断熱線は pVκ=pV^{\kappa}= 一定で κ=1.35>1\kappa=1.35>1 だから,同じ点を通れば断熱線のほうが傾きが急になる。

実際の縮尺

p4=8000 kPap_4=8000\ \mathrm{kPa} は p1=200 kPap_1=200\ \mathrm{kPa} の40倍,V1V_1 は V3V_3 の10倍である。線形目盛でそのまま描くと状態1・2・5がすべて底に貼りつく縦長の図になるため,上の図では縦軸を圧縮している。試験本番では線形目盛の手書きでかまわないが,状態1・2・5の位置関係(p2=p1<p5p_2=p_1<p_5)が読み取れるようにしておくこと。

設問2 各過程の状態量と熱量

計算の順序

状態量は 1→2→3→4→51\to2\to3\to4\to5 の順に,各過程で「何が一定か」を先に書いてから決める。等圧なら V/TV/T,等温なら pVpV,等積なら p/Tp/T,可逆断熱なら pVκpV^{\kappa} と TVκ−1TV^{\kappa-1} である。V3V_3 だけはエントロピー変化から逆算する点が山場になる。

検算

4→54\to5 の断熱膨張後の状態5について,状態方程式で T5T_5 を独立に求めると T5=p5V5mR=357.3×5.00×10−43.333×10−4=536.0 K T_5=\frac{p_5V_5}{mR}=\frac{357.3\times5.00\times10^{-4}}{3.333\times10^{-4}}=536.0\ \mathrm{K} となり,TVκ−1TV^{\kappa-1} 一定から求めた値と一致する。また V3/V2=0.1250V_3/V_2=0.1250 はちょうど 1/81/8 で,ln⁡8=2.079\ln 8=2.079 に対応している。数値が揃うよう作られているので,中途半端な値が出たら計算を見直す合図になる。

熱効率の分母

η=L/Qin\eta=L/Q_{\text{in}} の QinQ_{\text{in}} は「入熱の総和」であって「熱量の総和」ではない。本問では入熱が Q34Q_{34} だけなので η=L/Q34\eta=L/Q_{34} だが,∣Q12∣|Q_{12}| などを分母に加えると効率が過小になる。各過程の符号を一覧にしてから分母を決めること。

結果の妥当性

最高温度 T4=1200 KT_4=1200\ \mathrm{K},最低温度 T2=T3=240 KT_2=T_3=240\ \mathrm{K} の間で働くカルノーサイクルの効率は 1−240/1200=80.0 %1-240/1200=80.0\ \% である。得られた 48.8 %48.8\ \% はこれを下回り,熱力学第二法則に反しない。この一行を添えるだけで計算全体の妥当性を示せる。

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年度別の解答例(3年度)

  • 2026年度(このページ・全8問)

    材料力学:丸棒から切り出すはりの最適断面と中空軸のねじり / 材料力学:3本棒トラスの不静定解析とカスティリアーノの定理 / 機械力学:斜面を転がる円柱と,撃力を受ける剛体棒

  • 2025年度(全8問)

    材料力学 問1 / 材料力学 問2 / 機械力学・制御工学 問1

  • 2024年度(全8問)

    材料力学 問1 / 材料力学 問2 / 機械力学・制御工学 問1

2026年度の出題内容

全8問

この8問の分野は力学6問・熱・統計力学2問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学丸棒から切り出すはりの最適断面と中空軸のねじり二つの最適比が異なる理由 / 数値の意味あり
第2問力学3本棒トラスの不静定解析とカスティリアーノの定理符号の約束 / 式の形の確認あり
第3問力学斜面を転がる円柱と,撃力を受ける剛体棒摩擦力の向きの決め方 / 速度分布の見方あり
第4問力学1自由度振動系の状態方程式と極配置,PD補償器の安定範囲(1-6) の符号 / 可制御性あり
第5問力学循環を伴う円柱まわりのポテンシャル流れと揚力各項の意味 / クッタ・ジュコフスキーの定理との対応あり
第6問力学傾いた平行平板間の定常層流とレイノルズ数・フルード数論証の型 / 語句選択の落とし穴あり
第7問熱・統計力学隔壁を除いた理想気体の混合と,その後の等圧膨張同種の気体であることの効き方 / (4) で c_p を使う理由あり
第8問熱・統計力学等圧・等温・等積・可逆断熱からなるサイクルの熱量と熱効率線図を描くときの要点 / 実際の縮尺あり

2026年度の解説には検算8件・失点しやすい点4件・答案の書き方1件が付いています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 8問 → 2026年度 8問
2025年度の解答例

北海道大学の公式過去問

公開年度範囲
直近2年(2025・2026年度)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
TOEFL iBT スコア提出。最新年度のみ「出題の意図」が併載される場合あり。
院試hubの最終確認
2026-06-03
北海道大学の公式過去問PDF