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北大 工学院 応用量子科学系研究室群 応用量子科学系 専門科目 2024年度 院試 過去問 解答例・解説(全10問)

全10問の分野は材料力学・材料3問、電磁気学・回路3問、微分積分・解析2問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 応用数学 問1:常微分方程式

方針

最初にすることは求解ではなく型の判定である。dydy と dxdx が分離できるか、 y′+P(x)y=Q(x)y'+P(x)y=Q(x) の形か、M dx+N dy=0M\,dx+N\,dy=0 で My=NxM_y=N_x か、定数係数か、を順に確かめる。 判定さえ正しければ、あとは積分因子か特性方程式かの機械的な作業になる。

検算

(1-2) は y=xlog⁡∣x∣+x3+Cxy=x\log|x|+x^{3}+Cx を微分して y′=log⁡∣x∣+1+3x2+Cy'=\log|x|+1+3x^{2}+C とし、xy′−y=x+2x3xy'-y=x+2x^{3} に戻ることを確かめれば足りる。 (1-5) は A,BA,B を求めた直後に −2A−6B=−6+6=0-2A-6B=-6+6=0、6A−2B=18+2=206A-2B=18+2=20 と代入し直すのが速い。

失点しやすい点

(1-3) を「yy について解いた形」で書こうとすると行き詰まる。完全形の解は陰関数 F(x,y)=CF(x,y)=C のままでよい。 また (1-5) では、右辺が2種類の関数の和なので特殊解も2つ作って足す。片方だけ求めて終える答案が多い。

設問(2) 速度に比例する抵抗を受ける落下

検算

t→0t\to0 で v≃(mg/k)(kt/m)=gtv\simeq (mg/k)(kt/m)=gt となり、抵抗が効く前の自由落下に一致する。 また m/km/k が時定数の次元をもつことも確かめておくとよい。

物理的な意味

終端速度は「重力と抵抗が釣り合う速度」であり、初期条件によらない。 答案では、v∞v_{\infty} を極限からも力の釣り合いからも出せることを一言添えると理解が伝わる。

失点しやすい点

符号の取り違えが最大の失点源である。下向き正にとったなら抵抗は −kv-kv、上向き正にとったなら重力が −mg-mg になる。 どちらを正にしたかを最初の1行で宣言しておく。

設問(3) アポロニウスの円と直交曲線族

方針

「曲線群 →\to 微分方程式」は任意定数の消去、「直交曲線群」は傾きを −1/y′-1/y' に置き換えて解き直す、 という2段構えである。(3-1) は幾何の式変形にすぎないので、比を λ\lambda と置いて2乗した式から出発すれば迷わない。

検算(幾何的な確認)

求めた直交曲線族 x2+y2−Kx−1=0x^{2}+y^{2}-Kx-1=0 に x=0x=0 を代入すると y2=1y^{2}=1、すなわち KK によらず A(0,1)\mathrm{A}(0,1) と B(0,−1)\mathrm{B}(0,-1) を通る。もとのアポロニウスの円は A,B\mathrm{A},\mathrm{B} を通らず、 互いに交わらない同軸円族で、その極限点がちょうど A,B\mathrm{A},\mathrm{B} である。 「極限点を通る円族」と「極限点をもつ非交差円族」が直交するのは同軸円の標準的な性質であり、 結果が正しいことの強い裏づけになる。

別の導き方

(3-3) は完全形にせず、y2=uy^{2}=u と置いて u′−(1/x) u⋅(−1)u'-(1/x)\,u\cdot(-1) の形の1階線形に帰着させてもよい。 実際 2yy′=u′2yy'=u' を代入すると xu′+u=−(x2+1)x u'+u=-(x^{2}+1) となり、(xu)′=−(x2+1)(xu)'=-(x^{2}+1) から同じ結果が出る。

失点しやすい点

直交条件を「傾きの積が −1-1」と明記せずに計算だけ書くと、何をしたのかが答案から読み取れない。 また y′=0y'=0 や x=0x=0 など、消去の途中で割った量がゼロになる場合の断りを入れておくと安全である。

解答

任意定数は C,C1,C2,C3C,C_1,C_2,C_3 と書く。各解は、係数と対数の引数が意味をもつ区間で考える。

(1-1) 変数分離形

y≠−1y\neq-1、x≠−1x\neq-1 の区間で変数を分離すると dy1+y=dx1+x \frac{dy}{1+y}=\frac{dx}{1+x} であり、両辺を積分して log⁡∣1+y∣=log⁡∣1+x∣+const.\log|1+y|=\log|1+x|+\text{const.} を得る。したがって 1+y=C(1+x),y=C(1+x)−1. 1+y=C(1+x),\qquad y=C(1+x)-1 . C=0C=0 とすれば特異解 y=−1y=-1 も含まれる。

(1-2) 1階線形

x≠0x\neq0 で標準形に直すと y′−1x y=1+2x2 y'-\frac{1}{x}\,y=1+2x^{2} である。積分因子は exp⁡ ⁣(∫(−1/x) dx)=1/x\exp\!\left(\int(-1/x)\,dx\right)=1/x なので (yx)′=1+2x2x=1x+2x. \left(\frac{y}{x}\right)'=\frac{1+2x^{2}}{x}=\frac{1}{x}+2x . 両辺を積分して y/x=log⁡∣x∣+x2+Cy/x=\log|x|+x^{2}+C である。したがって y=xlog⁡∣x∣+x3+Cx. y=x\log|x|+x^{3}+Cx .

(1-3) 完全微分方程式

M=ex+cos⁡yM=e^{x}+\cos y、N=2y−xsin⁡yN=2y-x\sin y とおくと ∂M∂y=−sin⁡y,∂N∂x=−sin⁡y \frac{\partial M}{\partial y}=-\sin y,\qquad \frac{\partial N}{\partial x}=-\sin y で一致するから完全形である。ポテンシャル FF を Fx=MF_{x}=M で定めると F=ex+xcos⁡y+g(y) F=e^{x}+x\cos y+g(y) であり、Fy=−xsin⁡y+g′(y)=2y−xsin⁡yF_{y}=-x\sin y+g'(y)=2y-x\sin y より g′(y)=2yg'(y)=2y、g(y)=y2g(y)=y^{2} である。よって ex+xcos⁡y+y2=C. e^{x}+x\cos y+y^{2}=C .

(1-4) 定数係数3階線形

特性方程式は λ3−λ2+λ−1=λ2(λ−1)+(λ−1)=(λ−1)(λ2+1)=0 \lambda^{3}-\lambda^{2}+\lambda-1=\lambda^{2}(\lambda-1)+(\lambda-1) =(\lambda-1)(\lambda^{2}+1)=0 であり、根は λ=1, ±i\lambda=1,\ \pm i である。したがって y=C1ex+C2cos⁡x+C3sin⁡x. y=C_1e^{x}+C_2\cos x+C_3\sin x .

(1-5) 未定係数法(多項式+三角関数)

同次方程式の特性方程式は λ2−3λ+2=(λ−1)(λ−2)=0\lambda^{2}-3\lambda+2=(\lambda-1)(\lambda-2)=0 なので yh=C1ex+C2e2x. y_h=C_1e^{x}+C_2e^{2x}. 右辺の 2x2x に対して y=ax+by=ax+b を代入すると −3a+2(ax+b)=2ax+(2b−3a)=2x -3a+2(ax+b)=2ax+(2b-3a)=2x より a=1, b=3/2a=1,\ b=3/2 である。右辺の 20sin⁡2x20\sin 2x に対しては λ=±2i\lambda=\pm2i が特性根でないので y=Acos⁡2x+Bsin⁡2xy=A\cos 2x+B\sin 2x とおける。代入して整理すると (−2A−6B)cos⁡2x+(6A−2B)sin⁡2x=20sin⁡2x (-2A-6B)\cos 2x+(6A-2B)\sin 2x=20\sin 2x であるから −2A−6B=0-2A-6B=0、6A−2B=206A-2B=20、すなわち A=3, B=−1A=3,\ B=-1 である。以上より y=C1ex+C2e2x+x+32+3cos⁡2x−sin⁡2x. y=C_1e^{x}+C_2e^{2x}+x+\frac{3}{2}+3\cos 2x-\sin 2x .

鉛直下向きを正にとる。物体に働く力は重力 mgmg と抵抗 −kv-kv なので、運動方程式は mdvdt=mg−kv. m\frac{dv}{dt}=mg-kv . これは1階線形(かつ変数分離形)である。v<mg/kv<mg/k の範囲で変数を分離すると dv g−kmv =dt \frac{dv}{\,g-\dfrac{k}{m}v\,}=dt であり、積分して −mklog⁡(g−kmv)=t+const. -\frac{m}{k}\log\left(g-\frac{k}{m}v\right)=t+\text{const.} v(0)=0v(0)=0 より積分定数が定まり g−kmv=g e−kt/m,v(t)=mgk(1−e−kt/m). g-\frac{k}{m}v=g\,e^{-kt/m}, \qquad v(t)=\frac{mg}{k}\left(1-e^{-kt/m}\right). t→∞t\to\infty では指数項が消えるので、終端速度は v∞=mgk v_{\infty}=\frac{mg}{k} である。これは dv/dt=0dv/dt=0、すなわち mg=kvmg=kv の釣り合いからも直ちに得られる。

(3-1) 曲線群の導出

A(0,1)\mathrm{A}(0,1)、B(0,−1)\mathrm{B}(0,-1)、P(x,y)\mathrm{P}(x,y) に対し AP:BP=λ:1\mathrm{AP}:\mathrm{BP}=\lambda:1(λ>0, λ≠1\lambda>0,\ \lambda\neq1)が一定であるとする。 AP2=λ2BP2\mathrm{AP}^{2}=\lambda^{2}\mathrm{BP}^{2} より x2+(y−1)2=λ2{x2+(y+1)2} x^{2}+(y-1)^{2}=\lambda^{2}\left\{x^{2}+(y+1)^{2}\right\} であり、整理すると (1−λ2)(x2+y2+1)−2y(1+λ2)=0. (1-\lambda^{2})(x^{2}+y^{2}+1)-2y(1+\lambda^{2})=0 . λ≠1\lambda\neq1 なので 1−λ2≠01-\lambda^{2}\neq0 で割ることができ、 C=1+λ21−λ2 C=\frac{1+\lambda^{2}}{1-\lambda^{2}} とおけば x2+y2−2Cy+1=0,すなわちx2+(y−C)2=C2−1 x^{2}+y^{2}-2Cy+1=0, \qquad\text{すなわち}\qquad x^{2}+(y-C)^{2}=C^{2}-1 となる。これが求める曲線群である。λ>0,λ≠1\lambda>0,\lambda\neq1 のとき ∣C∣>1|C|>1 であり、半径 C2−1\sqrt{C^{2}-1} は実である。

(3-2) 任意定数の消去

x2+y2−2Cy+1=0x^{2}+y^{2}-2Cy+1=0 を xx で微分すると 2x+2yy′−2Cy′=0,C=x+yy′y′(y′≠0). 2x+2yy'-2Cy'=0, \qquad C=\frac{x+yy'}{y'} \quad (y'\neq0). 一方、もとの式から C=x2+y2+12y C=\frac{x^{2}+y^{2}+1}{2y} である。両者を等置して分母を払うと y′(x2+y2+1)=2y(x+yy′) y'(x^{2}+y^{2}+1)=2y(x+yy') であり、y′y' について整理して y′(x2−y2+1)=2xy,dydx=2xyx2−y2+1 y'\left(x^{2}-y^{2}+1\right)=2xy, \qquad \frac{dy}{dx}=\frac{2xy}{x^{2}-y^{2}+1} を得る。

(3-3) 直交曲線族

直交する曲線の傾きは負の逆数だから、求める曲線族は dydx=−x2−y2+12xy \frac{dy}{dx}=-\frac{x^{2}-y^{2}+1}{2xy} を満たす。これを (x2−y2+1) dx+2xy dy=0(x^{2}-y^{2}+1)\,dx+2xy\,dy=0 と書くと ∂∂y(x2−y2+1)=−2y,∂∂x(2xy)=2y \frac{\partial}{\partial y}(x^{2}-y^{2}+1)=-2y,\qquad \frac{\partial}{\partial x}(2xy)=2y で完全形ではない。しかし 12xy{(−2y)−(2y)}=−2x \frac{1}{2xy}\left\{(-2y)-(2y)\right\}=-\frac{2}{x} が xx だけの関数なので、積分因子 μ(x)=exp⁡ ⁣(∫(−2/x)dx)=x−2\mu(x)=\exp\!\left(\int(-2/x)dx\right)=x^{-2} が使える。両辺に掛けると (1−y2x2+1x2)dx+2yx dy=0 \left(1-\frac{y^{2}}{x^{2}}+\frac{1}{x^{2}}\right)dx+\frac{2y}{x}\,dy=0 となり、Fy=2y/xF_{y}=2y/x から F=y2/x+h(x)F=y^{2}/x+h(x)、 Fx=−y2/x2+h′(x)F_{x}=-y^{2}/x^{2}+h'(x) を上式と比べて h′(x)=1+1/x2h'(x)=1+1/x^{2}、h(x)=x−1/xh(x)=x-1/x である。よって y2x+x−1x=const. \frac{y^{2}}{x}+x-\frac{1}{x}=\text{const.} すなわち、任意定数を KK と置き直して x2+y2−Kx−1=0,(x−K2)2+y2=1+K24 x^{2}+y^{2}-Kx-1=0, \qquad \left(x-\frac{K}{2}\right)^{2}+y^{2}=1+\frac{K^{2}}{4} が直交曲線族である。

最終答

(1-1) y=C(1+x)−1y=C(1+x)-1 (1-2) y=xlog⁡∣x∣+x3+Cxy=x\log|x|+x^{3}+Cx (1-3) ex+xcos⁡y+y2=Ce^{x}+x\cos y+y^{2}=C (1-4) y=C1ex+C2cos⁡x+C3sin⁡xy=C_1e^{x}+C_2\cos x+C_3\sin x (1-5) y=C1ex+C2e2x+x+32+3cos⁡2x−sin⁡2xy=C_1e^{x}+C_2e^{2x}+x+\dfrac32+3\cos 2x-\sin 2x

v(t)=mgk(1−e−kt/m)v(t)=\dfrac{mg}{k}\left(1-e^{-kt/m}\right)、終端速度 v∞=mgkv_{\infty}=\dfrac{mg}{k}

(3-2) dydx=2xyx2−y2+1\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{2xy}{x^{2}-y^{2}+1} (3-3) x2+y2−Kx−1=0x^{2}+y^{2}-Kx-1=0(KK は任意定数)

第2問 — 応用数学 問2:ベクトル解析

方針

「平面に平行」は法線との垂直条件でも書けるが、平面が2本のベクトルで与えられている場合は 3本のスカラー三重積を 00 とおくのが最短である。外積を計算してから内積を取るより計算量が少ない。

失点しやすい点

ss の2次方程式が出るので解は原則2つある。s=0s=0 を「平面が退化する」と早合点して捨てないこと。 s=0s=0 でも u=(1,0,0)\boldsymbol{u}=(1,0,0) と v=(0,0,−1)\boldsymbol{v}=(0,0,-1) は一次独立で、zxzx 平面を張る。 逆に、独立性の確認を書かずに両方を答えるのも危ういので、一行添えておく。

設問(2) 方向微分係数と最大方向

検算

∇ϕ⋅v^=∣∇ϕ∣cos⁡θ=5cos⁡θ\nabla\phi\cdot\hat{\boldsymbol{v}}=|\nabla\phi|\cos\theta=5\cos\theta なので cos⁡θ=−7/25\cos\theta=-7/25 である。 ∣ ⁣cos⁡θ∣≤1|\!\cos\theta|\le1 を満たしており、値が負であることは v\boldsymbol{v} が勾配と鈍角をなす(ϕ\phi が減少する向き)ことを意味する。

失点しやすい点

方向ベクトルを単位化せずに内積を取ると −7-7 となり、5倍ずれる。 方向微分は必ず単位ベクトルとの内積で定義されることを答案に明示する。

設問(3) 接平面が原点を通る条件

方針

陰関数で与えられた曲面の接平面は ∇G⋅(r−rP)=0\nabla G\cdot(\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}_{\mathrm P})=0 が定型である。 zz について解いて z=f(x,y)z=f(x,y) の形にしようとすると、yy で割る操作が入って場合分けが増える。

この設問が試していること

「点 P\mathrm{P} が曲面上にあるか」を先に確かめる習慣があるかどうかである。 ここでは tt が両辺で相殺して恒等的に成り立つが、確認せずに進む答案は、 条件が矛盾する類題で必ず破綻する。

設問(4) ベクトル関数の大きさと向きの微分

方針

(4-1) は「2乗してから微分する」が定石で、 \sqrt{\ } を直接微分するより見通しがよい。 (4-2) は (4-1) の結果を再利用する設計になっており、独立に解こうとすると遠回りになる。

幾何的な意味

(4-2) の条件は「向きが変わらず、大きさだけが変わる」ことを述べている。 逆に A⋅A′=0\boldsymbol{A}\cdot\boldsymbol{A}'=0 なら (4-1) より ∣A∣|\boldsymbol{A}| が一定、 すなわち「大きさが変わらず向きだけが変わる」場合であり、両者は対になっている。

失点しやすい点

A′=λA\boldsymbol{A}'=\lambda\boldsymbol{A} と置く根拠(外積が零かつ A≠0\boldsymbol{A}\neq\boldsymbol{0})を書かずに使うと、 証明の骨格が抜けたと見なされる。

設問(5) 1/r1/r 型の場に対する発散とラプラシアン

原点の扱い

r=0r=0 を含めると ∇⋅(r/r3)=4πδ3(r)\nabla\cdot(\boldsymbol{r}/r^{3})=4\pi\delta^{3}(\boldsymbol{r})、 ∇2(1/r)=−4πδ3(r)\nabla^{2}(1/r)=-4\pi\delta^{3}(\boldsymbol{r}) であり、これが点電荷のガウスの法則そのものである。 設問は r≠0r\neq0 と断っているので 00 でよいが、 「原点を除いて 00」と書き添えると、なぜ点電荷の場が成立するのかを理解していることが伝わる。

検算

球座標のラプラシアン ∇2f=1r2ddr(r2dfdr)\nabla^{2}f=\dfrac{1}{r^{2}}\dfrac{d}{dr}\left(r^{2}\dfrac{df}{dr}\right) に f=1/rf=1/r を代入すると、r2f′=−1r^{2}f'=-1 が定数なので微分して 00 である。直交座標で成分計算するより速い。

設問(6) 半球面上の回転の面積分

方針

∇×F=(2y, 3z2, 1)\nabla\times\boldsymbol{F}=(2y,\,3z^{2},\,1) を球面上で直接積分することもできるが、 面積要素と法線を書き下す手間が大きい。境界が平面上の単位円と分かった時点でストークスの定理に切り替えるのが得策である。

別解による検算

境界が同じなら曲面は取り替えてよい。z=0z=0、x2+y2≤1x^{2}+y^{2}\le1 の円板 S′S'(法線 +k+\boldsymbol{k})で置き換えると ∇×F⋅k=1\nabla\times\boldsymbol{F}\cdot\boldsymbol{k}=1 だから、積分値は円板の面積 π\pi に等しい。

失点しやすい点

向きの取り違えで符号が反転する。外向き法線 →\to 上から見て反時計回り、という対応を明記すること。 また F\boldsymbol{F} の第1成分 z3z^{3} は CC 上で 00 になるので、これを落とさず「z=0z=0 より消える」と書いておく。

応用数学 問2:ベクトル解析の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 応用数学 問3:複素関数

方針

(1-1)(1-2) はいずれも wα=eαlog⁡ww^{\alpha}=e^{\alpha\log w}、log⁡w=log⁡∣w∣+iarg⁡w\log w=\log|w|+i\arg w に戻せば機械的である。 (1-3) は「見かけの3位の極」に惑わされず、分子を z−1z-1 の冪で整理すること。 展開してしまえば留数定理も微分公式も不要になる。

失点しやすい点

(1-1) で nn を書き忘れて e−π/2e^{-\pi/2} だけを答えると、「nn を整数とするとき」という設問の指定に答えていない。 逆に (1-2) は主値と指定されているので 2nπi2n\pi i を付けてはいけない。どちらを問われているかを読み分ける。

検算

(1-3) は正則部分 22 の寄与が 00 であることを確認しておく。定数関数は閉曲線上の周回積分で必ず 00 になる。

設問(2) f(z)=z∗/∣z∣2f(z)=z^{*}/|z|^{2} の微分可能性

方針

z∗z^{*} を含む関数は原則として微分不可能(f(z)=z∗f(z)=z^{*} は Cauchy--Riemann を満たさない)だが、 本問は ∣z∣2=zz∗|z|^{2}=zz^{*} によって共役が約分される特殊な場合である。 まず「共役が消える」ことに気づくのが第一歩で、そこから先は定型の議論になる。

答案の書き方

定義(差分商の極限)と Cauchy--Riemann のどちらか一方でよいが、 Cauchy--Riemann で示す場合は「偏導関数が連続」まで述べないと十分条件にならない。 関係式の成立だけでは微分可能性は保証されない点が採点で見られる。

失点しやすい点

∣z∣2|z|^{2} を x2+y2x^{2}+y^{2} とだけ見て実関数のつもりで扱うと、約分に気づかず計算が膨らむ。 また z=0z=0 を除く断りを落とさないこと。

設問(3) Helmholtz 方程式の Green 関数

検算(微分方程式に直接代入)

r≠0r\neq0 では球対称ラプラシアン ∇2=1rd2dr2r\nabla^{2}=\dfrac{1}{r}\dfrac{d^{2}}{dr^{2}}r を使って ∇2eikrr=1rd2dr2eikr=−k2eikrr \nabla^{2}\frac{e^{ikr}}{r}=\frac{1}{r}\frac{d^{2}}{dr^{2}}e^{ikr}=-k^{2}\frac{e^{ikr}}{r} となり (∇2+k2)G0=0(\nabla^{2}+k^{2})G_{0}=0 である。原点近傍では eikr/r→1/re^{ikr}/r\to1/r で ∇2(1/r)=−4πδ3(r)\nabla^{2}(1/r)=-4\pi\delta^{3}(\boldsymbol{r}) だから (∇2+k2)(−eikr4πr)=δ3(r) (\nabla^{2}+k^{2})\left(-\frac{e^{ikr}}{4\pi r}\right)=\delta^{3}(\boldsymbol{r}) となり、確かに Green 関数である。積分の計算とは独立な確認になる。

解が複数あることの意味

極を逆側へよける処方では −e−ikr/(4πr)-e^{-ikr}/(4\pi r)(内向き波)が、 主値をとれば −cos⁡(kr)/(4πr)-\cos(kr)/(4\pi r)(定在波)が得られる。 三者の差はいずれも斉次方程式 (∇2+k2)ψ=0(\nabla^{2}+k^{2})\psi=0 の解であり、 どれを選ぶかは境界条件(無限遠で外向きか内向きか)で決まる。 散乱問題では外向き波を選ぶのが物理的な要請である。

失点しやすい点

sin⁡(k′r)\sin(k'r) を Im⁡eik′r\operatorname{Im}e^{ik'r} と置き換えて虚部を最後に取る扱いは、 極をよける処方が入ると成り立たない。指数関数2本に分け、 それぞれを収束する側の半平面で閉じるという手順を守る。

答案の分量

留数の計算そのものは短いので、配点は「なぜ上半面/下半面で閉じるのか」 「ε\varepsilon をどう入れたか」の説明に置かれていると考えてよい。 Jordan の補題を一言引用し、極の位置を図示するつもりで座標を書けば十分である。

応用数学 問3:複素関数の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 応用数学 問4:ラプラス変換・フーリエ変換・拡散方程式

方針

(1-2)(1-3) は部分積分を2回するより、複素指数に分解して (1-1) を使うほうが短く、符号ミスも減る。 aa が複素数でよいと明示されているのは、この使い方を想定した誘導である。

検算

(1-5) は t=0t=0 で左辺が 00、右辺 sin⁡0=0\sin 0=0 で整合する。 さらに両辺を tt で微分すると f(t)+2∫0tf(τ)e2(t−τ)dτ=cos⁡tf(t)+2\displaystyle\int_{0}^{t}f(\tau)e^{2(t-\tau)}d\tau=\cos t、 すなわち f(t)+2sin⁡t=cos⁡tf(t)+2\sin t=\cos t となり、f(t)=cos⁡t−2sin⁡tf(t)=\cos t-2\sin t が直接得られる。 ラプラス変換を使わない別解にもなっている。

失点しやすい点

(1-4) で積分順序を交換する際、τ\tau の積分範囲が [τ,∞)[\tau,\infty) に変わることを書き落とすと、 置換の結果が L[f2]\mathcal{L}[f_2] にならない。三角形領域の書き換えであることを明示する。

設問(2) A(−k)=A∗(k)A(-k)=A^{*}(k) となる条件

方針

「複素共役を取る」と「kk の符号を変える」がともに e−ikx→e+ikxe^{-ikx}\to e^{+ikx} を生むことに気づけば、 両辺を同じ形にそろえられる。差を取って一意性を使うのが、必要十分性まで示す最短の書き方である。

物理的な意味

この対称性はエルミート性と呼ばれ、実信号のスペクトルが必ず満たす性質である。 実の波形を扱う限り負の周波数成分は独立な情報をもたず、k≥0k\ge0 側だけで表現できることを保証している。

失点しやすい点

「十分条件」だけを示して終わる答案が多い。aa が実なら成り立つのは明らかなので、 逆向き(条件が成り立てば実である)を一意性で押さえておくと完答になる。

設問(3) 1次元拡散方程式

方針

初期条件が固有関数そのものなので、フーリエ級数展開を書く必要はない。 「n=1n=1 の項だけが残る」と一言添えて時間因子を掛ければ解答になる。 級数を立ててから係数を積分して求める答案は、時間の無駄が大きい。

検算

f=sin⁡(πx/L)e−λtf=\sin(\pi x/L)e^{-\lambda t} を代入すると、左辺 −λf-\lambda f、右辺 −D(π/L)2f-D(\pi/L)^{2}f で λ=Dπ2/L2\lambda=D\pi^{2}/L^{2} が確定する。 また I(t)I(t) を直接微分した値 −2πDe−λt/L-2\pi D e^{-\lambda t}/L が、 上の流束計算 D[∂f/∂x]0LD[\partial f/\partial x]_{0}^{L} と一致することを確かめると、 (3-2) の説明が式のうえでも裏づけられる。

答案に書くべき論点

設問は「境界条件に起因する」と明言しているので、 拡散方程式そのものが保存則(∂f/∂t=−∂j/∂x\partial f/\partial t=-\partial j/\partial x)であること、 したがって内部では総量が変わらず、変化はすべて端の流束であることを述べるのが核心である。 もし両端が断熱・不透過(∂f/∂x=0\partial f/\partial x=0)なら II は一定に保たれる、と対比させると説明が締まる。

失点しやすい点

「拡散でならされるから減る」という説明は誤りである。 一様化するだけなら総量は変わらない。減るのは端から出ていくからである。

応用数学 問4:ラプラス変換・フーリエ変換・拡散方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第5問 — 電磁気学 問1:帯電円板対が軸上につくる電界と電位

方針

電界をベクトルのまま積分するより、スカラーの電位を先に求めて Ez=−dV/dzE_{z}=-dV/dz とするほうが手数が少ない。 電位の輪帯積分は ∫R dR/R2+ζ2=R2+ζ2\int R\,dR/\sqrt{R^{2}+\zeta^{2}}=\sqrt{R^{2}+\zeta^{2}} で終わるからである。 電界を直接積分する場合は ∫R dR/(R2+ζ2)3/2\int R\,dR/(R^{2}+\zeta^{2})^{3/2} となり、結果は同じ g(ζ)g(\zeta) に帰着する。

検算(極限で確かめる)

a→∞a\to\infty(無限に広い平板)では h′(ζ)→32−1−12sgn⁡ζh'(\zeta)\to\tfrac32-1-\tfrac12\operatorname{sgn}\zeta の形が効いて、 両板の間で ∣Ez∣|E_{z}| が一定値に近づく。平行平板コンデンサの一様電界に一致する挙動であり、 式の形が破綻していないことの手早い確認になる。

失点しやすい点

ζ2=∣ζ∣\sqrt{\zeta^{2}}=|\zeta| を ζ\zeta と書いてしまうと、円板をはさんで電界が不連続に跳ぶ性質 (面電荷による σs/ε0\sigma_{s}/\varepsilon_{0} の跳び)が消えてしまう。 絶対値と sgn⁡\operatorname{sgn} を残したまま最後まで進めること。

設問(2) 遠方での電位が双極子の形になること

結果の意味

得られた式は V=p/(4πε0z2)V=p/(4\pi\varepsilon_{0}z^{2})、p=Qdp=Qd という電気双極子の軸上電位そのものである。 遠方では電荷分布の細かい形(ここでは σ/2\sigma/2 と 3σ/23\sigma/2 の2段構造)は見えなくなり、 全電荷 00 の系では双極子モーメントだけが残る、という多重極展開の一般則を具体例で確かめたことになる。

検算

Ez=−∂V∂z=2Qd4πε0z3=Qd2πε0z3E_{z}=-\dfrac{\partial V}{\partial z}=\dfrac{2Qd}{4\pi\varepsilon_{0}z^{3}}=\dfrac{Qd}{2\pi\varepsilon_{0}z^{3}} となり、双極子の軸上電界 E=2p/(4πε0z3)E=2p/(4\pi\varepsilon_{0}z^{3}) と一致する。 また d→0d\to0 で V→0V\to0 となるのも、正負が重なって双極子が消えることに対応している。

失点しやすい点

展開を a2/ζ2a^{2}/\zeta^{2} の1次で打ち切ると、ζ\zeta に比例する項の相殺を確認しないまま進むことになる。 実際には 3/2−1−1/2=03/2-1-1/2=0 が成り立つからこそ 1/z21/z^{2} が主項になるので、 この相殺を式のうえで見せるのが設問の狙いである。 また 1/(z∓d/2)1/(z\mp d/2) を展開せずに通分してから d2/4d^{2}/4 を落とすほうが、符号を間違えにくい。

電磁気学 問1:帯電円板対が軸上につくる電界と電位の途中式・最終答をPDFで見る

第6問 — 電磁気学 問2:回転帯電円板がつくる電流・磁気モーメント・磁場

方針

面電荷密度が2段でも、内側と外側の面積が等しい(a/2a/\sqrt2 が面積を2等分する半径)ことに気づけば、 (a) は平均密度 σ0\sigma_{0} の一様円板と同じ電荷になる。この事実は (b)(c)(d) では使えない (重みが RR、R3R^{3} と変わるため)が、(a) の検算にはなる。

電流の向き

「負電荷が逆回転する」ことで電流が同符号になる点が本問の仕掛けである。 電流密度は j=ρv\boldsymbol{j}=\rho\boldsymbol{v} であり、ρ<0\rho<0 かつ v\boldsymbol{v} も逆向きなら j\boldsymbol{j} の向きはもとと同じになる。ここを取り違えると (b)(c)(d) がすべて 00 になってしまう。

失点しやすい点

dI=dq ω/(2π)dI=dq\,\omega/(2\pi) の 2π2\pi を落とすミスが多い。 「1周に要する時間で電荷を割る」と言葉で書いてから式にすると防げる。

設問(c) 全磁気モーメント

重みの違い

電流の積分では重みが RR、磁気モーメントでは πR2\pi R^{2} が掛かって R3R^{3} になる。 外側の高密度領域 3σ0/23\sigma_{0}/2 が磁気モーメントに効く割合は 9/109/10 で、 電流に効く割合 3/43/4 より大きい。外側ほど寄与が大きくなる構造を意識すると、 配分を間違えたときに気づきやすい。

別の見方

一様な面電荷密度 σs\sigma_{s} の円板が ω\omega で回るときの磁気モーメントは m=πωσsa4/4m=\pi\omega\sigma_{s}a^{4}/4 である。本問を「σ0/2\sigma_{0}/2 の一様円板」 ++「外側だけ σ0\sigma_{0} を追加した輪帯」と分解しても同じ値になり、独立な検算になる。

設問(d) 軸上の磁場 Hz(0,0,z)H_{z}(0,0,z)

検算(遠方で磁気双極子に戻ること)

∣ζ∣≫a|\zeta|\gg a で R02+2ζ2R02+ζ2=2∣ζ∣+R044∣ζ∣3+⋯\dfrac{R_{0}^{2}+2\zeta^{2}}{\sqrt{R_{0}^{2}+\zeta^{2}}} =2|\zeta|+\dfrac{R_{0}^{4}}{4|\zeta|^{3}}+\cdots であるから、R02=a2R_{0}^{2}=a^{2} と R02=a2/2R_{0}^{2}=a^{2}/2 を入れて Φ(ζ)≃(3−2−1)σ0∣ζ∣+σ0(32⋅a44−a416)1∣ζ∣3=5σ0a416∣ζ∣3. \Phi(\zeta)\simeq\left(3-2-1\right)\sigma_{0}|\zeta| +\sigma_{0}\left(\frac{3}{2}\cdot\frac{a^{4}}{4}-\frac{a^{4}}{16}\right)\frac{1}{|\zeta|^{3}} =\frac{5\sigma_{0}a^{4}}{16|\zeta|^{3}} . したがって z→∞z\to\infty で Hz≃ω2⋅2⋅5σ0a416z3=5ωσ0a416z3. H_{z}\simeq\frac{\omega}{2}\cdot\frac{2\cdot5\sigma_{0}a^{4}}{16z^{3}} =\frac{5\omega\sigma_{0}a^{4}}{16z^{3}} . 一方、磁気双極子の軸上磁場は Hz=m/(2πz3)H_{z}=m/(2\pi z^{3}) で、(c) の m=5πωσ0a4/8m=5\pi\omega\sigma_{0}a^{4}/8 を代入すると同じ値になる。 ∣ζ∣|\zeta| に比例する項が 3−2−1=03-2-1=0 で消えることが、この一致の鍵である。

失点しやすい点

輪帯に公式を適用するとき、公式の bb は輪帯半径 RR、ii は dIdI に置き換える。 bb を円板半径 aa に固定したまま積分すると、まったく別の量になってしまう。 また F(0;ζ)=2∣ζ∣F(0;\zeta)=2|\zeta| を ∣ζ∣|\zeta| と書くと下限の処理を誤る。

答案の分量

(d) は積分公式さえ出せば残りは代入なので、 ∫R3(R2+ζ2)−3/2dR\int R^{3}(R^{2}+\zeta^{2})^{-3/2}dR の計算過程を明示することに紙面を割くとよい。 最後に遠方の極限が (c) と整合することを1行添えると、検算まで済ませた答案になる。

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第7問 — 電磁気学 問3:電磁誘導と導体棒の運動

方針

回転体の起電力は、各辺に v×B\boldsymbol{v}\times\boldsymbol{B} を積分してもよいが、 本問のように閉回路の磁束が簡単に書けるときは −dΦ/dt-d\Phi/dt が圧倒的に速い。 「変化するのは凸部の射影面積だけ」と言い切れるかどうかで所要時間が変わる。

定数項が効かないこと

長方形部の cdcd は時間によらないので起電力に寄与しない。 起電力を求める段階で消えるため、cdcd の値を正確に書く必要はないが、 磁束の式には残しておくほうが「何が変化しているか」が採点者に伝わる。

失点しやすい点

cos⁡ωt\cos\omega t の初期位相を取り違えて Φ=B(cd+absin⁡ωt)\Phi=B(cd+ab\sin\omega t) としてしまうと、 t=0t=0 で凸部が紙面内にあるという条件に反する。 t=0t=0 で射影面積が最大(abab)になることを確認してから微分する。 また、凸部が「外側に凸」なので面積は加算される。内側に凸なら cd−abcos⁡ωtcd-ab\cos\omega t となり、 起電力の符号が反転する。

設問(2) 直流電源につないだ導体棒の過渡応答

方針

未知関数が2つ(II と vv)あるので、式も2本(運動方程式と回路方程式)必要である。 どちらか一方を消去して1階線形方程式に落とすのが定石で、 本問では II を消して vv の方程式にするほうが初期条件 v(0)=0v(0)=0 を素直に使える。

検算(終状態と時定数)

t→∞t\to\infty では加速が止まるので F=IBc=0F=IBc=0、すなわち I→0I\to0 である。 このとき (b) から E=BcvE=Bcv、つまり v→E/(Bc)v\to E/(Bc) となり、解の漸近値と一致する。 また τ=MR/(B2c2)\tau=MR/(B^{2}c^{2}) は [kg⋅Ω/(T2m2)][\mathrm{kg}\cdot\Omega/(\mathrm{T}^{2}\mathrm{m}^{2})] で、 T=V s/m2\mathrm{T}=\mathrm{V\,s/m^{2}} を使うと確かに秒の次元になる。

エネルギーの流れ

電源が供給する仕事 EIEI は、抵抗での発熱 RI2RI^{2} と棒の運動エネルギー増加 Bcv⋅I=Mv v˙Bcv\cdot I=Mv\,\dot v に分配される。実際 EI=RI2+BcvIEI=RI^{2}+BcvI は (b) に II を掛けた式そのものである。 この配分を一言書くと、単なる式操作でなく物理を追えていることが伝わる。

失点しやすい点

(b) で誘導起電力の符号を誤り E+Bcv=RIE+Bcv=RI としてしまうと、電流が発散して物理的に破綻する。 レンツの法則により、誘導起電力は必ず電流を減らす向きに働くことを言葉でも書いておく。 (d) では「範囲を明記すること」と指定されているので、 II が 00 に達しない(漸近する)こと、vv が E/(Bc)E/(Bc) を超えないことを必ず述べる。

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第8問 — 材料科学 問1:面心立方格子の粉末X線回折

方針

(2) は「単位格子1個の質量 ÷\div 体積」に尽きる。Z=4Z=4 を出すために、 頂点は 1/81/8、面心は 1/21/2 ずつ数えるという配分を必ず書く。 数値だけでは、fcc であることを使った答案に見えない。

検算

a=0.3615 nma=0.3615\ \mathrm{nm} から最近接原子間距離は a/2=0.256 nma/\sqrt2=0.256\ \mathrm{nm}、 原子半径は 0.128 nm0.128\ \mathrm{nm} となり、金属としてもっともらしい大きさである。 充填率は 4×43π(2a/4)3/a3=π/(32)=0.744\times\tfrac43\pi(\sqrt2a/4)^{3}/a^{3}=\pi/(3\sqrt2)=0.74 で、 最密充填の値に一致する。

失点しやすい点

(3) の「立方晶だから面の指数と法線の指数が一致する」という前提は、 正方晶や六方晶では成り立たない。無条件に使わず、立方晶であることを断る。 (5) で8通り全部を書くと「平行な面は一方のみ」という指定に反する。

設問(6)〜(8) 結晶構造因子と消滅則

偶奇が混ざる場合の数え方

h,k,lh,k,l の偶奇が混ざるとき、必ず「同じ偶奇のものが2つ、違うものが1つ」になる。 同じ偶奇の2つから作る和だけが偶数で、残り2組は奇数である。 したがって 1+1−1−1=01+1-1-1=0 となる。場合分けを hh が偶か奇かで始めると煩雑になるので、 この数え方で書くと短い。

背景

消滅則は格子の並進対称性だけで決まり、原子の種類にはよらない。 だから同じ fcc でも、体心立方なら h+k+lh+k+l が偶数、 単純立方なら制限なし、と格子型ごとに固有のパターンになる。 粉末X線回折で結晶構造を同定できるのは、この対応があるからである。

設問(9) ブラッグ角の数値計算

有効数字の扱い

(2) で aa を 0.361 nm0.361\ \mathrm{nm} に丸めてから代入すると sin⁡θ2=0.4266\sin\theta_{2}=0.4266、θ2=25.25∘\theta_{2}=25.25^{\circ} となり、 小数第1位への丸めが 25.3∘25.3^{\circ} に変わってしまう。 最終桁まで指定されている設問では、途中の量は丸めずに保持し、 最後にだけ丸めるのが原則である。答案には「a=0.3615 nma=0.3615\ \mathrm{nm} を用いた」と一言添えておく。

ブラッグ角の定義

本問は「入射光ならびに回折光が結晶面となす角」を θ\theta と定義している。 回折装置で読む角度は 2θ2\theta なので、 2θ1=43.3∘2\theta_{1}=43.3^{\circ}、2θ2=50.4∘2\theta_{2}=50.4^{\circ}、2θ3=74.1∘2\theta_{3}=74.1^{\circ} である。 どちらを聞かれているかで答えが2倍違う。

検算

sin⁡θ\sin\theta が 3:4:8=1:1.155:1.633\sqrt{3}:\sqrt{4}:\sqrt{8}=1:1.155:1.633 の比になっているかを確かめる。 fcc の粉末パターンでは、低角側から (111),(200),(220),(311),(222)(111),(200),(220),(311),(222) と続き、 最初の2本が近接し3本目が離れる特徴的な並びになる。 問題の図で θ1\theta_1 と θ2\theta_2 が近く θ3\theta_3 が離れているのは、この比の反映である。

失点しやすい点

h2+k2+l2=1,2h^{2}+k^{2}+l^{2}=1,2((100),(110)(100),(110))を消滅則で除外し忘れると、 θ\theta が3つとも小さくずれる。(8) の結果を必ず使う設計になっている。

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第9問 — 材料科学 問2:純鉄中への炭素の拡散(浸炭)

図で押さえるべき点

どの曲線も x=0x=0 で CsC_{s} を通ること、x→∞x\to\infty で C0C_{0} に漸近すること、 時間が経つほど曲線が右へ寝ることの3点である。 曲線どうしが交差しないことも重要で、交差する図を描くと拡散の単調性に反する。

失点しやすい点

t0=0t_{0}=0 を「表面も C0C_{0}」と描いてしまうと境界条件と矛盾する。 x=0x=0 では最初から CsC_{s} である。

設問(2) 2温度での拡散係数

検算

両条件で CxC_{x} も tt も同じなので erf\mathrm{erf} の引数が等しく、x∝Dx\propto\sqrt{D} である。よって D1473D1273=(1.90.9)2=4.46 \frac{D_{1473}}{D_{1273}}=\left(\frac{1.9}{0.9}\right)^{2}=4.46 となるはずで、上で求めた 2.2×10−10/4.9×10−11=4.52.2\times10^{-10}/4.9\times10^{-11}=4.5 と一致する。 この比は zz の読み取り値に依存しないので、erf\mathrm{erf} の読みが多少ずれても正しい。

失点しやすい点

mm\mathrm{mm} と m\mathrm{m}、時間と秒の換算を忘れると桁が大きく狂う。 DD の単位が m2 s−1\mathrm{m^{2}\,s^{-1}} と指定されているので、xx は m\mathrm{m}、tt は s\mathrm{s} に直す。

設問(3)(4) 活性化エネルギーと外挿

方針

2点しかないので最小二乗は不要で、ln⁡D\ln D と 1/T1/T の2点を結ぶ直線の傾きが −Q/R-Q/R である。 D0D_{0} を先に求めてから代入してもよいが、指数の桁が大きく丸め誤差が乗りやすい。 (4) のように「基準点からの差分」で外挿すると誤差が小さく、計算も速い。

検算

1100 ∘C1100\,^{\circ}\mathrm{C} は 10001000 と 12001200 の中間なので、 D1373=1.1×10−10D_{1373}=1.1\times10^{-10} が 4.9×10−114.9\times10^{-11} と 2.2×10−102.2\times10^{-10} の間にあることを確認する。 ln⁡D\ln D は 1/T1/T の1次式なので、幾何平均 4.9×2.2×10−10.5≃1.04×10−10\sqrt{4.9\times2.2}\times10^{-10.5}\simeq1.04\times10^{-10} に近いはずで、 実際その通りである。

答案の書き方

設問はいずれも「計算過程も含めて解答しなさい」と指定している。 erf\mathrm{erf} の読み取り値、単位換算、対数を取る操作の3点を明示的に書くこと。 数値だけの答案は、正しくても配点の大半を落とす。

設問(5) 低温側で結果が変わる理由

答案に必ず入れる要素

設問が「911 ∘C911\,^{\circ}\mathrm{C} での bcc/fcc 変態」と「炭素の侵入型固溶」を明示的に前提として与えている。 この2つを結びつけ、「相が違えば拡散経路が違い、Arrhenius パラメータも別物になる」と述べることが答えの骨格である。 測定誤差や実験条件の違いに帰する答案は的を外している。

補足になる事実

炭素の固溶度は γ\gamma 鉄で最大 2.1 wt%2.1\ \mathrm{wt\%} 程度、α\alpha 鉄では 0.02 wt%0.02\ \mathrm{wt\%} 程度と2桁違う。 固溶度が小さいのに拡散が速いのは、両者が別の物理量であることの好例で、 一言添えると理解の深さが伝わる。

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第10問 — 材料科学 問3:Gibbs の相律と壁面での不均一核生成

数え上げの要点

「モル分率の和が1」で1相あたり1個減ること、 「化学ポテンシャルの等式」が相の個数 pp に対して p−1p-1 本であること、この2つが数え間違いの温床である。 pp 本と数えると自由度が CC 個ずれる。

結果の使い方

凝縮系で圧力を一定とみなす場合は変数が1つ減り F=C−p+1F=C-p+1 となる。 2元系状態図で「3相共存が水平線(不変系反応)になる」のは、 C=2, p=3C=2,\ p=3 で F=0F=0 になるからである。導出だけでなく、この使い道まで書けると答案が締まる。

設問(2-1)(2-2) 過冷却と界面張力の釣り合い

冷却曲線で示すべき特徴

「TmT_{m} を下回る谷」「復熱による立ち上がり」「TmT_{m} での水平部」「凝固後の再下降」の4点である。 谷を描かずに水平部だけを描くと、過冷却が起きていない通常の冷却曲線になってしまう。

失点しやすい点

(2-2) で釣り合いを取る方向を壁面に垂直にとると、固体側の弾性応力が入って式が閉じない。 壁面に沿う成分だけを見る、という断りを入れる。

設問(2-3)(2-4) 自由エネルギー変化の導出

要点

体積項と界面項の両方に、まったく同じ f(θ)f(\theta) が現れることが証明の核心である。 これは偶然ではなく、球欠の体積と表面積が同じ幾何因子で球と結ばれているためで、 だからこそ ΔG\Delta G 全体が「均一核生成の式 ×f(θ)\times f(\theta)」という簡潔な形になる。

失点しやすい点

(2-3) で −ACSσLS-A_{\mathrm{CS}}\sigma_{\mathrm{LS}} の項を落とすと、f(θ)f(\theta) がくくり出せない。 問題文が「液相と壁面との界面積は ACSA_{\mathrm{CS}} だけ減少している」と注意を促しているのは、 まさにこの項のことである。

設問(2-5) 壁面での核生成が容易であること

臨界半径が変わらないこと

ΔGhet\Delta G_{\text{het}} は ΔGhom\Delta G_{\text{hom}} を定数倍しただけなので、 dΔG/dr=0d\Delta G/dr=0 を与える rr は共通である。 「壁面では小さな核でよい」と書くのは誤りで、正しくは「同じ大きさの核を作る仕事が小さくてすむ」である。 球欠なので、同じ rr でも体積は f(θ)f(\theta) 倍しかないことが実質的な利得になっている。

f(θ)f(\theta) の値の感覚

θ=30∘\theta=30^{\circ} なら f≃0.013f\simeq0.013、θ=90∘\theta=90^{\circ} で f=0.5f=0.5 である。 ぬれがよい場合は障壁が2桁下がる。鋳造で接種剤(核生成剤)を加えて結晶粒を微細化するのは、 この ff を小さくする粒子を意図的に分散させる操作である。

答案の構成

設問は「(1)(2)式を使って説明」と指定しているので、 f(θ)f(\theta) の値域を評価して ΔGhet≤ΔGhom\Delta G_{\text{het}}\le\Delta G_{\text{hom}} を示すことが本体である。 そのうえで(2-1)の過冷却と結びつけ、θ\theta が大きいほど過冷度が大きくなると述べれば要求を満たす。

材料科学 問3:Gibbs の相律と壁面での不均一核生成の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(3年度)

  • 2026年度(全10問)

    応用数学 / 接地導体面と鏡像法 / 電流が作る磁場と力のモーメント

  • 2025年度(全10問)

    微分方程式 / ベクトル解析 / 複素関数

  • 2024年度(このページ・全10問)

    応用数学 問1:常微分方程式 / 応用数学 問2:ベクトル解析 / 応用数学 問3:複素関数

2024年度の出題内容

全10問

この10問の分野は材料力学・材料3問・電磁気学・回路3問・微分積分・解析2問・微分方程式1問・複素解析1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問微分方程式常微分方程式検算(幾何的な確認) / 別の導き方あり
第2問微分積分・解析ベクトル解析この設問が試していること / 幾何的な意味あり
第3問複素解析複素関数検算(微分方程式に直接代入) / 解が複数あることの意味あり
第4問微分積分・解析ラプラス変換・フーリエ変換・拡散方程式答案に書くべき論点あり
第5問電磁気学・回路帯電円板対が軸上につくる電界と電位検算(極限で確かめる) / 結果の意味あり
第6問電磁気学・回路回転帯電円板がつくる電流・磁気モーメント・磁場電流の向き / 重みの違いあり
第7問電磁気学・回路電磁誘導と導体棒の運動定数項が効かないこと / 検算(終状態と時定数)あり
第8問材料力学・材料面心立方格子の粉末X線回折偶奇が混ざる場合の数え方 / 有効数字の扱いあり
第9問材料力学・材料純鉄中への炭素の拡散(浸炭)図で押さえるべき点 / 答案に必ず入れる要素あり
第10問材料力学・材料Gibbs の相律と壁面での不均一核生成数え上げの要点 / 結果の使い方あり

2024年度の解説には失点しやすい点10件・検算7件・答案の書き方2件が付いています。

北海道大学の公式過去問

公開年度範囲
直近2年(2025・2026年度)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
TOEFL iBT スコア提出。最新年度のみ「出題の意図」が併載される場合あり。
院試hubの最終確認
2026-06-03
北海道大学の公式過去問PDF