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早稲田大学 基幹理工学研究科 情報理工・情報通信専攻 専門科目 2025年度 院試 過去問 解答例・解説(全4問)

全4問の分野は情報1問、電磁気学・回路1問です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 情報基礎

番兵付き挿入整列

行14--18は単なる前処理ではなく,最小値を左端に置くことで内側ループの停止を保証している。行24の回数を数えるときは,元の反転数ではなく,この前処理で消えた反転を差し引く。

データ構造の前提

配列キューを素朴に先頭詰めで実装すると dequeue が O(N)O(N) になるが,問題文は最も効率のよい実現を仮定している。循環バッファを使うため O(1)O(1) と判断する。

採点の置き所

オートマトンでは、受理言語、同値なNFA、正規文法、A∗A^*、交差の空性を順に対応させる。データ構造の計算量は、スタックとキューをどの端で操作するかを明示して O(1)O(1) と答える。挿入整列では、番兵処理後に残る反転数を数えること、特に降順とブロック条件の差を説明することが採点対象である。

典型ミスと検算

A∗A^* は奇数個の0の連結だけでなく、空語と偶数個の0も作れるので 0∗0^* 全体になる。A∩0∗1A\cap0^*1 は末尾が1である時点で空である。降順24要素の行24回数は (232)\binom{23}{2} ではなく、番兵処理で最小値が左端に移った後の残り23要素の反転数 (232)=253\binom{23}{2}=253 と見ると検算しやすい。

解答

  1. 状態遷移図から,受理される語は 11 を含まず,00 の個数が奇数である語である。 したがって A={02k+1∣k≥0} A=\{0^{2k+1}\mid k\ge 0\} である。2状態NFAは,初期状態 SS と受理状態 TT を置き,S→0TS\xrightarrow{0}T, T→0ST\xrightarrow{0}S とし,入力 11 に対する遷移を置かなければよい。 形式的には (Q,Σ,δ,S,F)=({S,T},{0,1},δ,S,{T}) (Q,\Sigma,\delta,S,F)=(\{S,T\},\{0,1\},\delta,S,\{T\}) δ(S,0)={T},δ(T,0)={S},δ(S,1)=δ(T,1)=∅. \delta(S,0)=\{T\},\quad \delta(T,0)=\{S\},\quad \delta(S,1)=\delta(T,1)=\emptyset . 正規文法は S→0T,T→0S,T→ε S\to 0T,\qquad T\to 0S,\qquad T\to \varepsilon でよい。A∗A^* は空語と任意個数の 00 からなる語をすべて含むので 0∗0^* である。 また B=0∗1B=0^*1 は末尾に 11 を含むため,A∩B=∅A\cap B=\emptyset である。従って交差を受理するDFAは,非受理状態1個の自己ループだけで足りる。

  2. 配列によるスタックは末尾をトップにすれば push/pop とも O(1)O(1) である。連結リストによるスタックも先頭をトップにすれば O(1)O(1) である。 FIFOキューは配列で循環バッファを用い,連結リストで先頭・末尾ポインタを持てば,enqueue/dequeue とも O(1)O(1) で実現できる。 よって空欄はすべて選択肢(ア)O(1)O(1) である。

  3. 行14--18は,隣接比較交換を右から左へ行い,区間内の最小値を左端 a[L]a[L] へ移動する処理である。 これにより後半の挿入整列では番兵が置かれ,内側 while で j>Lj>L の境界判定を省ける。

    行24の実行回数は,番兵処理後に残った反転数に等しい。24個が昇順なら0回である。 降順なら番兵処理で最小値が左端へ移り,残り23個は降順なので 1+2+⋯+22=253 1+2+\cdots+22=253 回である。

    3つの8要素ブロックがブロック間では昇順に分かれている場合,最大化するには各ブロック内を降順にする。 各ブロックの反転数は (82)=28\binom{8}{2}=28,番兵処理で各ブロック内の最小値が先頭へ動くため7個ずつ減る。 従って最大回数は 3(28−7)=63 3(28-7)=63 である。

    一般に3個ずつのブロックが nn 個ある場合,各ブロック内の最大反転数は3であり,番兵処理で2個ずつ減る。 よって最大回数は nn である。

最終答

A={02k+1}A=\{0^{2k+1}\},A∗=0∗A^*=0^*,A∩0∗1=∅A\cap 0^*1=\emptyset。計算量の空欄は全て O(1)O(1)。行24は昇順0回,降順253回,ブロック条件では63回,一般形は nn 回。

第2問 — 計算機システム

プロセスごとのアドレス空間

ページテーブルは仮想アドレスから物理アドレスへの対応表である。プロセスごとに仮想アドレス空間が独立しているので,同じ仮想アドレスでもプロセスが違えば別の変換表を使う。

copy-on-write

COWの狙いは,fork直後に大量の物理ページをコピーしないことである。ただし仮想アドレス空間を表すためのページテーブルまで不要になるわけではない。

採点の置き所

再帰呼び出しでは、呼び出しごとに別フレームが作られること、戻り番地と局所変数がフレームごとに管理されることを書く。ページテーブルでは、仮想アドレス空間サイズをページサイズで割ってエントリ数を出す。2段ページテーブルでは、オフセット、2段目インデックス、1段目インデックスのビット分割を明示する。

典型ミスと検算

5プロセスでページテーブルを共有できるとすると、独立した仮想アドレス空間という前提を落としている。232/211=2212^{32}/2^{11}=2^{21}、32−12−10=1032-12-10=10 のように指数で計算すると、桁ずれを見つけやすい。COWは実データページのコピーを遅らせる仕組みであり、ページテーブルや管理情報までゼロになるわけではない。

計算機システムの途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 回路

電流源の電力符号

電源が供給するか吸収するかは,電流が高電位端子から入るかどうかで決まる。この問題では電流源の電流方向に沿った電圧が負になるため,電流源は電力を供給している。

加減算器

2の補数減算では,ビット反転と最下位キャリー1の両方が必要である。制御信号の意味を取り違えると,XNORとXOR,NOTとバッファが逆になる。

採点の置き所

回路では、節点方程式から端子電圧を求め、独立源を止めて等価抵抗を出し、電圧源と電流源それぞれの電力符号を判定する流れが採点される。加減算器では、M=1M=1 が加算、M=0M=0 が減算という指定から ZiZ_i の真理値表を作り、初段キャリーと桁あふれ条件を別に答える。

典型ミスと検算

電流源の電力は、電流の向きに沿った電圧が負なら供給である。100V100\mathrm{V} 源の供給 2100W2100\mathrm{W} と10A源の供給 300W300\mathrm{W} は、抵抗消費電力の合計と整合する。減算時に YY を反転して初段キャリー1を足す必要があるため、反転器だけ、またはキャリーだけでは2の補数減算にならない。

回路の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 情報通信ネットワーク

リンク層とネットワーク層

MACアドレスは次ホップまでの配送に使われる。一方,IPアドレスはエンドツーエンドの宛先を表すので,通常のルータ転送では送信元・宛先IPアドレスは変化しない。

累積ACK

TCPの確認応答番号は「次に受け取りたいバイト番号」である。1000バイトのセグメントが seq=1seq=1 から5本続けば,最後まで揃った後のACKは5001になる。

採点の置き所

フレームA/Bの表では、MACアドレスが各リンクで張り替わり、IPアドレスはエンドツーエンドで維持されることを明示する。パケット判定は、IPヘッダのProtocol番号、TCP宛先ポート、ペイロードの文字列、SYNフラグを根拠にする。Go-back-Nとスロースタートでは、ACK番号とウィンドウ増加を数式または時系列で示す。

典型ミスと検算

ルータ転送で送信元IPをルータのIPに変えると、通常のIP転送ではなくNATを仮定した答案になってしまう。TCPのACK番号は受信済み最後の番号ではなく次に欲しい番号であるため、最後の1000バイトが 40014001 から始まるならACKは 50015001 になる。スロースタート後の 2W2W は1RTT後の値であり、1ACKごとの増加とRTT単位の倍増を混同しない。

情報通信ネットワークの途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(5年度)

2025年度の出題内容

全4問

この4問の分野は情報1問・電磁気学・回路1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問—情報基礎番兵付き挿入整列 / データ構造の前提あり
第2問情報計算機システムプロセスごとのアドレス空間 / copy-on-writeあり
第3問電磁気学・回路回路電流源の電力符号 / 加減算器あり
第4問—情報通信ネットワークリンク層とネットワーク層 / 累積ACKあり

2025年度の解説には採点の置き所4件が付いています。

前年度(2024年度)との違い

大問数
2024年度 4問 → 2025年度 4問
2024年度の解答例

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公開年度範囲
2024〜2027年度(現行一覧。大学は過去3年分の公開と案内)
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一部の年度・科目のみ公開
院試hubの最終確認
2026-09-26
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