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京大 経営管理教育部(専門職学位課程) 数学 2026年度 院試 過去問 解答例・解説(全2問)

全2問です。解説の小見出しは13件です。解説はすべて、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。残りは解答PDFに収録しています。問題本文は含みません。

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第1問 — 確率統計・線形代数:二項分布のポアソン近似と定数係数線形微分方程式

方針

1) は代入だけだが,分布を問われているので4つの値をすべて書き,和が1になることを添える。2) は吸収公式 k nCk=n n−1Ck−1k\,{}_{n}C_{k}=n\,{}_{n-1}C_{k-1} で和を二項定理の形に戻すのが最短で,E(X2)E(X^{2}) を直接求めようとすると k2k^{2} の扱いで行き詰まる。3) は「pp が小さく nn が大きい」を「λ=np\lambda=np を固定して n→∞n\to\infty」と読み替えることがすべてであり,この宣言を冒頭に書くかどうかで答案の質が決まる。

2) の別解

ii 回目の試行で表なら1,裏なら0をとる確率変数 XiX_{i} を導入すると X=∑i=1nXiX=\sum_{i=1}^{n}X_{i} と書ける。E(Xi)=pE(X_{i})=p,E(Xi2)=pE(X_{i}^{2})=p なので V(Xi)=p−p2=p(1−p)V(X_{i})=p-p^{2}=p(1-p) であり,X1,…,XnX_{1},\dots,X_{n} は独立だから E(X)=∑i=1nE(Xi)=np,V(X)=∑i=1nV(Xi)=np(1−p) E(X)=\sum_{i=1}^{n}E(X_{i})=np,\qquad V(X)=\sum_{i=1}^{n}V(X_{i})=np(1-p) となる。分散の加法性には独立性が必要であることを一言添えれば,この解法でも減点されない。確率母関数 G(t)=E(tX)=(q+pt)nG(t)=E(t^{X})=(q+pt)^{n} を用いて E(X)=G′(1)=npE(X)=G'(1)=np,E[X(X−1)]=G′′(1)=n(n−1)p2E[X(X-1)]=G''(1)=n(n-1)p^{2} としてもよい。

数値で確かめる

n=20n=20,p=0.1p=0.1(このとき λ=np=2\lambda=np=2)で両分布を並べると,nn がさほど大きくなくても値がよく一致することがわかる。

検算

極限の妥当性は平均と分散でも確かめられる。ポアソン分布は平均も分散も λ\lambda であるのに対し,二項分布では E(X)=np=λE(X)=np=\lambda,V(X)=np(1−p)=λ(1−λn)→λV(X)=np(1-p)=\lambda\left(1-\dfrac{\lambda}{n}\right)\to\lambda となり,極限で両者が一致する。さらに ∑k=0∞λkk!e−λ=e−λeλ=1\sum_{k=0}^{\infty}\dfrac{\lambda^{k}}{k!}e^{-\lambda}=e^{-\lambda}e^{\lambda}=1 なので,極限の関数がきちんと確率分布になっていることも確認できる。

失点しやすい点

3) で p→0p\to0 と n→∞n\to\infty を無関係に扱うと (1−p)n(1-p)^{n} の極限が定まらない。np=λnp=\lambda という結びつきを最初に書くこと。また (1−λ/n)n−k(1-\lambda/n)^{n-k} を (1−λ/n)n(1-\lambda/n)^{n} だけに置き換えて残りの (1−λ/n)−k(1-\lambda/n)^{-k} を落とす答案が多いが,「kk は固定なので1に収束する」と明示するのが安全である。2) で V(X)=npV(X)=np と書く誤りは,1−p≈11-p\approx1 というポアソン近似の結論を先取りしたものである。この設問は,二項分布の基本量を定義から導けるかと,極限操作でどの量を固定するかを意識できるかを試している。

設問2 線形微分方程式の連立系への変換と対角化

方針

手順が指定されているので,特性方程式 λ2−3λ+2=0\lambda^{2}-3\lambda+2=0 を書いて y=C1ex+C2e2xy=C_{1}e^{x}+C_{2}e^{2x} と即答するのは出題意図に反する。連立化,固有値・固有ベクトル,対角化,変数分離,逆変換の5段をすべて書く。P−1P^{-1} は 2×22\times2 なので余因子で一気に求められ,det⁡P=1\det P=1 なので分数も出ない。

検算

得られた yy を式①に直接代入すると d2ydx2−3dydx+2y=C1(1−3+2)ex+C2(4−6+2)e2x=0 \frac{d^{2}y}{dx^{2}}-3\frac{dy}{dx}+2y =C_{1}(1-3+2)e^{x}+C_{2}(4-6+2)e^{2x}=0 となり,確かに解である。初期条件を与えたときの定数は (C1C2)=P−1(y(0)y′(0))\begin{pmatrix}C_{1}\\C_{2}\end{pmatrix}=P^{-1}\begin{pmatrix}y(0)\\y'(0)\end{pmatrix} で決まる。たとえば y(0)=1y(0)=1,y′(0)=0y'(0)=0 なら C1=2C_{1}=2,C2=−1C_{2}=-1 で y=2ex−e2xy=2e^{x}-e^{2x} となり,y′(0)=2−2=0y'(0)=2-2=0 を満たす。

背景

AA は多項式 λ2−3λ+2\lambda^{2}-3\lambda+2 のコンパニオン行列であり,det⁡(A−λI)\det(A-\lambda I) が微分方程式の特性方程式そのものになる。一般に nn 階の定数係数線形方程式は y,y′,…,y(n−1)y,y',\dots,y^{(n-1)} を成分とする nn 次元の1階連立系に直せ,その係数行列の固有値が特性根に一致する。高校以来使ってきた「eλxe^{\lambda x} を仮定して特性方程式を立てる」手続きが,行列の固有値問題として説明される,というのがこの設問の背景である。

重解・複素根の場合

特性方程式が重解 λ0\lambda_{0} をもつとき,コンパニオン行列の固有空間は1次元しかないので対角化できず,ジョルダン標準形 (λ010λ0)\begin{pmatrix}\lambda_{0}&1\\0&\lambda_{0}\end{pmatrix} になる。このとき一般解は (C1+C2x)eλ0x(C_{1}+C_{2}x)e^{\lambda_{0}x} の形をとる。複素共役根 α±iβ\alpha\pm i\beta のときは複素数の範囲で対角化でき,e(α±iβ)xe^{(\alpha\pm i\beta)x} の実部と虚部をとって eαx(C1cos⁡βx+C2sin⁡βx)e^{\alpha x}(C_{1}\cos\beta x+C_{2}\sin\beta x) と書き直す。本問は相異なる実根なので,何の但し書きもなく対角化できる恵まれた場合である。

失点しやすい点

dt/dx=3t−2sdt/dx=3t-2s を (s,t)(s,t) の順に並べ直さずに行列へ写すと,AA の第2行が (3,−2)(3,-2) になってしまう。固有ベクトルには定数倍の自由度があるので「(1,1)T(1,1)^{\mathsf{T}} の定数倍」と書き,PP の列の順序と DD の対角成分の順序をそろえる。最後は一般解を問われているので,任意定数が2個現れることを明示する。この設問は,微分方程式の解法そのものより,対角化が連立系の分離にどう効くかを理解しているかを試している。

解答

1) p=1/2p=1/2,n=3n=3 の場合の分布と期待値

n=3n=3,p=1/2p=1/2 を代入すると,pk(1−p)3−k=(1/2)3=1/8p^{k}(1-p)^{3-k}=(1/2)^{3}=1/8 は kk によらない。したがって P(X=k)=3Ck(12)k(12)3−k=3Ck8(k=0,1,2,3) P(X=k)={}_{3}C_{k}\left(\frac12\right)^{k}\left(\frac12\right)^{3-k} =\frac{{}_{3}C_{k}}{8}\qquad(k=0,1,2,3) である。3C0=1{}_{3}C_{0}=1,3C1=3{}_{3}C_{1}=3,3C2=3{}_{3}C_{2}=3,3C3=1{}_{3}C_{3}=1 であるから k0123P(X=k)18383818 \begin{array}{c|cccc} k & 0 & 1 & 2 & 3\\\hline P(X=k) & \dfrac18 & \dfrac38 & \dfrac38 & \dfrac18 \end{array} となり,和は (1+3+3+1)/8=1(1+3+3+1)/8=1 で確かに確率分布になっている。期待値は定義から E(X)=∑k=03k P(X=k)=0⋅18+1⋅38+2⋅38+3⋅18=0+3+6+38=128=32. E(X)=\sum_{k=0}^{3}k\,P(X=k) =0\cdot\frac18+1\cdot\frac38+2\cdot\frac38+3\cdot\frac18 =\frac{0+3+6+3}{8}=\frac{12}{8}=\frac32 .

2) 一般の nn,pp における期待値と分散

q=1−pq=1-p とおく。二項係数の吸収公式 k nCk=n n−1Ck−1k\,{}_{n}C_{k}=n\,{}_{n-1}C_{k-1}(k≥1k\ge1)を使うと E(X)=∑k=0nk nCk pkqn−k=np∑k=1nn−1Ck−1 pk−1q(n−1)−(k−1)=np (p+q)n−1=np E(X)=\sum_{k=0}^{n}k\,{}_{n}C_{k}\,p^{k}q^{n-k} =np\sum_{k=1}^{n}{}_{n-1}C_{k-1}\,p^{k-1}q^{(n-1)-(k-1)} =np\,(p+q)^{n-1}=np となる(最後に二項定理と p+q=1p+q=1 を用いた)。分散は E[X(X−1)]E[X(X-1)] を経由すると計算が短い。k(k−1) nCk=n(n−1) n−2Ck−2k(k-1)\,{}_{n}C_{k}=n(n-1)\,{}_{n-2}C_{k-2}(k≥2k\ge2)より E[X(X−1)]=∑k=2nk(k−1) nCk pkqn−k=n(n−1)p2∑k=2nn−2Ck−2 pk−2q(n−2)−(k−2)=n(n−1)p2 E[X(X-1)]=\sum_{k=2}^{n}k(k-1)\,{}_{n}C_{k}\,p^{k}q^{n-k} =n(n-1)p^{2}\sum_{k=2}^{n}{}_{n-2}C_{k-2}\,p^{k-2}q^{(n-2)-(k-2)} =n(n-1)p^{2} である。E(X2)=E[X(X−1)]+E(X)=n(n−1)p2+npE(X^{2})=E[X(X-1)]+E(X)=n(n-1)p^{2}+np であるから V(X)=E(X2)−{E(X)}2=n(n−1)p2+np−n2p2=np−np2=np(1−p). V(X)=E(X^{2})-\{E(X)\}^{2} =n(n-1)p^{2}+np-n^{2}p^{2} =np-np^{2}=np(1-p). 1) の数値は E(X)=np=3⋅12=32E(X)=np=3\cdot\dfrac12=\dfrac32 と一致する。

3) ポアソン分布への収束

2) より平均は λ=np\lambda=np である。「pp が1より十分小さく nn が十分大きい」という条件は,平均 λ=np\lambda=np を一定に保ったまま n→∞n\to\infty,したがって p=λ/n→0p=\lambda/n\to0 とすることを意味する。kk を固定して式(A)を書き直すと P(X=k)=n(n−1)⋯(n−k+1)k!(λn)k(1−λn)n−k P(X=k)=\frac{n(n-1)\cdots(n-k+1)}{k!} \left(\frac{\lambda}{n}\right)^{k}\left(1-\frac{\lambda}{n}\right)^{n-k} となる。さらに λk/k!\lambda^{k}/k! をくくり出して3つの因子に分けると P(X=k)=λkk!⋅n(n−1)⋯(n−k+1)nk⏟(i)⋅(1−λn)n⏟(ii)⋅(1−λn)−k⏟(iii) P(X=k)=\frac{\lambda^{k}}{k!}\cdot \underbrace{\frac{n(n-1)\cdots(n-k+1)}{n^{k}}}_{\text{(i)}}\cdot \underbrace{\left(1-\frac{\lambda}{n}\right)^{n}}_{\text{(ii)}}\cdot \underbrace{\left(1-\frac{\lambda}{n}\right)^{-k}}_{\text{(iii)}} と書ける。各因子の極限を順に見る。

(i) は kk 個の因子の有限積に分解できて n(n−1)⋯(n−k+1)nk=∏j=0k−1(1−jn)⟶1(n→∞). \frac{n(n-1)\cdots(n-k+1)}{n^{k}} =\prod_{j=0}^{k-1}\left(1-\frac{j}{n}\right)\longrightarrow 1 \qquad(n\to\infty).

(ii) は対数をとると,∣λ/n∣<1|\lambda/n|<1 のとき log⁡(1−u)=−u−u2/2−⋯\log(1-u)=-u-u^{2}/2-\cdots より nlog⁡(1−λn)=n(−λn−λ22n2−⋯ )=−λ−λ22n−⋯⟶−λ n\log\left(1-\frac{\lambda}{n}\right) =n\left(-\frac{\lambda}{n}-\frac{\lambda^{2}}{2n^{2}}-\cdots\right) =-\lambda-\frac{\lambda^{2}}{2n}-\cdots\longrightarrow-\lambda であるから (1−λn)n→e−λ\left(1-\dfrac{\lambda}{n}\right)^{n}\to e^{-\lambda} となる。

(iii) は kk が固定された有限の指数なので (1−λn)−k→1−k=1\left(1-\dfrac{\lambda}{n}\right)^{-k}\to1^{-k}=1 である。

以上を合わせると,各 k=0,1,2,…k=0,1,2,\dots について P(X=k)⟶λkk! e−λ P(X=k)\longrightarrow\frac{\lambda^{k}}{k!}\,e^{-\lambda} が成り立ち,二項分布は平均 λ=np\lambda=np のポアソン分布(式(B))に収束する。

1) 係数行列 AA

s=ys=y,t=dydxt=\dfrac{dy}{dx} とおく。第1式は定義そのもので dsdx=dydx=t \frac{ds}{dx}=\frac{dy}{dx}=t である。式①を d2ydx2=3dydx−2y\dfrac{d^{2}y}{dx^{2}}=3\dfrac{dy}{dx}-2y と変形すると,s,ts,t を用いて dtdx=d2ydx2=3t−2s=−2s+3t \frac{dt}{dx}=\frac{d^{2}y}{dx^{2}}=3t-2s=-2s+3t となる。(s,t)(s,t) の順に並べてまとめると (dsdxdtdx)=(01−23)(st) \begin{pmatrix}\dfrac{ds}{dx}\\[3mm]\dfrac{dt}{dx}\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}0&1\\-2&3\end{pmatrix} \begin{pmatrix}s\\t\end{pmatrix} であるから,求める行列は A=(01−23)A=\begin{pmatrix}0&1\\-2&3\end{pmatrix} である。

2) 固有値と固有ベクトル

特性方程式は det⁡(A−λI)=∣−λ1−23−λ∣=−λ(3−λ)+2=λ2−3λ+2=(λ−1)(λ−2)=0 \det(A-\lambda I) =\begin{vmatrix}-\lambda&1\\-2&3-\lambda\end{vmatrix} =-\lambda(3-\lambda)+2 =\lambda^{2}-3\lambda+2=(\lambda-1)(\lambda-2)=0 であるから,固有値は λ1=1\lambda_{1}=1,λ2=2\lambda_{2}=2 の相異なる2実数である。

λ1=1\lambda_{1}=1 のとき,v=(v1,v2)T\mathbf{v}=(v_{1},v_{2})^{\mathsf{T}} とすると (A−I)v=(−11−22)(v1v2)=0 (A-I)\mathbf{v} =\begin{pmatrix}-1&1\\-2&2\end{pmatrix} \begin{pmatrix}v_{1}\\v_{2}\end{pmatrix}=\mathbf{0} であり,2本の式はいずれも v2=v1v_{2}=v_{1} に帰着する。よって固有ベクトルは v1=(1,1)T\mathbf{v}_{1}=(1,1)^{\mathsf{T}} の定数倍である。

λ2=2\lambda_{2}=2 のときは (A−2I)v=(−21−21)(v1v2)=0 (A-2I)\mathbf{v} =\begin{pmatrix}-2&1\\-2&1\end{pmatrix} \begin{pmatrix}v_{1}\\v_{2}\end{pmatrix}=\mathbf{0} より v2=2v1v_{2}=2v_{1} で,固有ベクトルは v2=(1,2)T\mathbf{v}_{2}=(1,2)^{\mathsf{T}} の定数倍である。

3) 対角化による一般解

固有ベクトルを列に並べて P=(1112),det⁡P=2−1=1≠0,P−1=(2−1−11) P=\begin{pmatrix}1&1\\1&2\end{pmatrix},\qquad \det P=2-1=1\neq0,\qquad P^{-1}=\begin{pmatrix}2&-1\\-1&1\end{pmatrix} とおく。固有値が相異なるので PP は正則で,AA は対角化できる。実際 AP=(01−23)(1112)=(1214),P−1AP=(2−1−11)(1214)=(1002)=:D. AP=\begin{pmatrix}0&1\\-2&3\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&1\\1&2\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}1&2\\1&4\end{pmatrix},\qquad P^{-1}AP=\begin{pmatrix}2&-1\\-1&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&2\\1&4\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}1&0\\0&2\end{pmatrix}=:D . 新しい変数を (uv)=P−1(st)\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix}=P^{-1}\begin{pmatrix}s\\t\end{pmatrix} で定める。PP は定数行列なので微分と交換でき ddx(uv)=P−1ddx(st)=P−1A(st)=P−1AP(uv)=D(uv) \frac{d}{dx}\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} =P^{-1}\frac{d}{dx}\begin{pmatrix}s\\t\end{pmatrix} =P^{-1}A\begin{pmatrix}s\\t\end{pmatrix} =P^{-1}AP\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} =D\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} となる。DD は対角行列だから成分ごとに独立な1階方程式 dudx=u,dvdx=2v \frac{du}{dx}=u,\qquad \frac{dv}{dx}=2v に分離し,任意定数 C1,C2C_{1},C_{2} を用いて u=C1exu=C_{1}e^{x},v=C2e2xv=C_{2}e^{2x} を得る。元の変数に戻すと (st)=P(uv)=(1112)(C1exC2e2x)=(C1ex+C2e2xC1ex+2C2e2x) \begin{pmatrix}s\\t\end{pmatrix}=P\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}1&1\\1&2\end{pmatrix} \begin{pmatrix}C_{1}e^{x}\\C_{2}e^{2x}\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}C_{1}e^{x}+C_{2}e^{2x}\\C_{1}e^{x}+2C_{2}e^{2x}\end{pmatrix} である。s=ys=y であるから求める一般解は y=C1ex+C2e2xy=C_{1}e^{x}+C_{2}e^{2x} となる。第2成分は C1ex+2C2e2xC_{1}e^{x}+2C_{2}e^{2x} で,これは第1成分を xx で微分したものに一致しており,t=dy/dxt=dy/dx という置き方と矛盾しない。

最終答

P(X=k)=3Ck8P(X=k)=\dfrac{{}_{3}C_{k}}{8},すなわち 18, 38, 38, 18\dfrac18,\ \dfrac38,\ \dfrac38,\ \dfrac18。E(X)=32E(X)=\dfrac32

E(X)=npE(X)=np,V(X)=np(1−p)V(X)=np(1-p)

λ=np\lambda=np を一定に保って n→∞n\to\infty とすると,nCk pk(1−p)n−k⟶λkk!e−λ\displaystyle {}_{n}C_{k}\,p^{k}(1-p)^{n-k}\longrightarrow\frac{\lambda^{k}}{k!}e^{-\lambda}

A=(01−23)A=\begin{pmatrix}0&1\\-2&3\end{pmatrix}

λ1=1\lambda_{1}=1,v1=c(11)\mathbf{v}_{1}=c\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix};λ2=2\lambda_{2}=2,v2=c′(12)\mathbf{v}_{2}=c'\begin{pmatrix}1\\2\end{pmatrix}(c,c′≠0c,c'\neq0)

y=C1ex+C2e2xy=C_{1}e^{x}+C_{2}e^{2x}(C1,C2C_{1},C_{2} は任意定数)

第2問 — 数理計画・空間ベクトル:凸2次計画のKuhn--Tucker条件と平面への直交射影

方針

3段構成の設問だが,1) の結論(HH が半正定値)と 3) の場合分けはつながっている。r=4r=4 は 1) で求めた範囲の内側にあるので狭義凸が使え,「Kuhn--Tucker 点が見つかればそれが大域的最小解」と言い切れる。凸でない問題ならこの一言が使えず,見つけた停留点が最小である保証がない。

場合分けの書き方

相補性条件 μ(2x+y−5)=0\mu(2x+y-5)=0 は「μ=0\mu=0」か「2x+y=52x+y=5」のいずれかを要求する。実務的には,まず制約を無視した停留点を求めてそれが実行可能かどうかを確かめ,実行可能ならそこで終わり,実行不可能なら制約を等式にして解き直す,という順で書けばよい。ただし答案としては (b) を検討して μ<0\mu<0 になることまで示すと,条件を尽くしたことが伝わって安全である。逆に (b) から始めて μ<0\mu<0 を得た場合も,そこで「よって制約は有効でない」と結論して (a) に移ればよい。

検算

(3/4,−1/2)(3/4,-1/2) が停留点であることは fx=8⋅34−4⋅(−12)−8=6+2−8=0f_{x}=8\cdot\frac34-4\cdot\left(-\frac12\right)-8=6+2-8=0,fy=−4⋅34+6⋅(−12)+6=−3−3+6=0f_{y}=-4\cdot\frac34+6\cdot\left(-\frac12\right)+6=-3-3+6=0 で確かめられる。また u=x−34u=x-\frac34,v=y+12v=y+\frac12 と平行移動すると f=4u2−4uv+3v2−92 f=4u^{2}-4uv+3v^{2}-\frac92 と1次の項が消え,4u2−4uv+3v2=4(u−v2)2+2v2≥04u^{2}-4uv+3v^{2}=4\left(u-\frac{v}{2}\right)^{2}+2v^{2}\ge0 なので,f≥−92f\ge-\frac92 が等号 u=v=0u=v=0 のときに限って成り立つ。この平方完成は,狭義凸であることと最小値 −9/2-9/2 を同時に確認できる。

失点しやすい点

半正定値性の判定で首座小行列式(fxxf_{xx} と det⁡H\det H)だけを見るのは誤りで,半正定値の場合はすべての主小行列式を見る必要がある(本問では fyy=6>0f_{yy}=6>0 なので結論は変わらない)。凸性の範囲を r>0r>0 に限って 0≤r≤430\le r\le4\sqrt3 と答えるのも取りこぼしで,rr の符号は指定されていない。乗数の符号は定式化に依存し,L=f−μgL=f-\mu g と置いた場合は μ≤0\mu\le0 になるので,自分の置き方を明記すること。3) では制約が有効でないことを確かめずに (3/4,−1/2)(3/4,-1/2) と答えると,条件を確認していない答案とみなされる。

設問2 三角形の測量データと平面への直交射影

方針

最初に AB→,AC→,AD→\overrightarrow{AB},\overrightarrow{AC},\overrightarrow{AD} と外積 n=(3,4,5)\mathbf{n}=(3,4,5) を求めてしまえば,4つの小問はすべてこの4本のベクトルの組み合わせで片づく。1) は n≠0\mathbf{n}\neq\mathbf{0},2) は n\mathbf{n} を法線とする平面,3) は n\mathbf{n} 方向への射影の長さ,4) は AD→\overrightarrow{AD} から法線成分を引いた残りと ∣n∣/2|\mathbf{n}|/2 である。答案の冒頭でこの4本を並べておくと,以降の計算が短くなる。

4) の別解(正規方程式)

射影ベクトルを最初から αAB→+βAC→\alpha\overrightarrow{AB}+\beta\overrightarrow{AC} とおき,「差 AD→−(αAB→+βAC→)\overrightarrow{AD}-(\alpha\overrightarrow{AB}+\beta\overrightarrow{AC}) が AB→\overrightarrow{AB} とも AC→\overrightarrow{AC} とも直交する」という条件から連立方程式を立ててもよい。必要な内積は AB→⋅AB→=9,AB→⋅AC→=2,AC→⋅AC→=6,AD→⋅AB→=1,AD→⋅AC→=0 \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AB}=9,\quad \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}=2,\quad \overrightarrow{AC}\cdot\overrightarrow{AC}=6,\quad \overrightarrow{AD}\cdot\overrightarrow{AB}=1,\quad \overrightarrow{AD}\cdot\overrightarrow{AC}=0 であるから,グラム行列を用いて (9226)(αβ)=(10)⟹(αβ)=150(6−2−29)(10)=(3/25−1/25) \begin{pmatrix}9&2\\2&6\end{pmatrix} \begin{pmatrix}\alpha\\\beta\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix} \quad\Longrightarrow\quad \begin{pmatrix}\alpha\\\beta\end{pmatrix} =\frac{1}{50}\begin{pmatrix}6&-2\\-2&9\end{pmatrix} \begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}3/25\\-1/25\end{pmatrix} と同じ答えが出る。このときグラム行列式が 9⋅6−22=50=∣AB→×AC→∣29\cdot6-2^{2}=50=|\overrightarrow{AB}\times\overrightarrow{AC}|^{2} になっており,面積 1250\dfrac12\sqrt{50} をこの行列式から直接読むこともできる。外積を使わずに解く場合はこの道筋が便利である。

検算

3) と 4) は互いに整合している。∣AD→∣2=1+1+1=3|\overrightarrow{AD}|^{2}=1+1+1=3 であり,法線方向成分の長さは 1250⋅52=625\dfrac{12}{50}\cdot5\sqrt2=\dfrac{6\sqrt2}{5} で 3) の距離に一致する。三平方の定理から平面上成分の長さの2乗は ∣AD→∥∣2=∣AD→∣2−d2=3−7225=325 |\overrightarrow{AD}_{\parallel}|^{2}=|\overrightarrow{AD}|^{2}-d^{2} =3-\frac{72}{25}=\frac{3}{25} で,直接計算した 1252(72+12+52)=75625=325\dfrac{1}{25^{2}}(7^{2}+1^{2}+5^{2})=\dfrac{75}{625}=\dfrac{3}{25} と合う。四面体 ABCDABCD の体積でも確かめられる。スカラー三重積からは V=16∣AD→⋅(AB→×AC→)∣=16∣3+4+5∣=2, V=\frac16\left|\overrightarrow{AD}\cdot(\overrightarrow{AB}\times\overrightarrow{AC})\right| =\frac16|3+4+5|=2, 底面積と高さからは V=13Sd=13⋅522⋅625=2V=\dfrac13Sd=\dfrac13\cdot\dfrac{5\sqrt2}{2}\cdot\dfrac{6\sqrt2}{5}=2 で一致する。

測量データとしての読み方

平面上成分の長さは ∣AD→∥∣=35≒0.35|\overrightarrow{AD}_{\parallel}|=\dfrac{\sqrt3}{5}\fallingdotseq0.35 m で,∣AD→∣=3≒1.73|\overrightarrow{AD}|=\sqrt3\fallingdotseq1.73 m のうちほとんどが法線方向である。つまり点 DD は標柱 AA のほぼ真上にあり,AD→\overrightarrow{AD} と平面のなす角は 90∘90^{\circ} に近い。また β=−125<0\beta=-\dfrac{1}{25}<0 なので,垂線の足 HH は辺 ABAB を境に CC と反対側に落ち,厳密には三角形 ABCABC の内部からわずかに外れている。図3 で HH が AA のすぐ近くに描かれるのはこのためである。答案では計算結果をそのまま述べればよい。

失点しやすい点

1) を「AB→\overrightarrow{AB} は AC→\overrightarrow{AC} の定数倍でない」とだけ書くのは検証になっていない。外積が零でないこと,または成分比が一致しないことを示す。外積の計算では j\mathbf{j} 成分の符号(余因子展開の交代符号)を落としやすいので,(3,4,5)(3,4,5) が AB→,AC→\overrightarrow{AB},\overrightarrow{AC} の双方と内積0になることをその場で確認しておくとよい。3) は平面の式を右辺0の形に直してから代入する。4) で求めるのは AD→\overrightarrow{AD} から法線成分を引いた残りであって,法線成分そのものではない。面積を 12∣AB→∣∣AC→∣\dfrac12|\overrightarrow{AB}||\overrightarrow{AC}| としてしまう誤りも多い(sin⁡θ\sin\theta が抜けている)。この設問は,外積・内積・直交射影という3つの道具を同じ座標データに一貫して適用できるかを試している。

数理計画・空間ベクトル:凸2次計画のKuhn--Tucker条件と平面への直交射影の途中式・最終答をPDFで見る

年度別の解答例(4年度)

  • 2026年度(このページ・全2問)

    確率統計・線形代数:二項分布のポアソン近似と定数係数線形微分方程式 / 数理計画・空間ベクトル:凸2次計画のKuhn--Tucker条件と平面への直交射影

  • 2025年度(全2問)

    確率・統計と最適化:ポアソン過程,最小二乗法,ラグランジュ乗数法 / 線形代数と微分積分:逆行列,行列のべき乗,積分,微分方程式

  • 2024年度(全2問)

    微分積分・線形代数・確率の基本6題 / 確率統計・積分・線形計画法の5題

  • 2023年度(全2問)

    微分積分・線形代数:基本計算7題 / 確率統計・数理計画:確率変数,線形計画の双対,凸計画

2026年度の出題内容

全2問
大問主題解説の小見出し最終答
第1問確率統計・線形代数:二項分布のポアソン近似と定数係数線形微分方程式2) の別解 / 数値で確かめるあり
第2問数理計画・空間ベクトル:凸2次計画のKuhn--Tucker条件と平面への直交射影場合分けの書き方 / 4) の別解(正規方程式)あり

2026年度の解説には検算2件・失点しやすい点2件が付いています。

前年度(2025年度)との違い

大問数
2025年度 2問 → 2026年度 2問
2025年度の解答例

京都大学の公式過去問

公開年度範囲
2023〜2026(直近4年)
公式の解答例
非公開(問題冊子のみ)
英語の扱い
一般選抜は英語外部試験のスコア提出。学内での英語筆記試験はない。
院試hubの最終確認
2026-09-26
京都大学の公式過去問PDF