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院試の研究計画書の書き方 完全ガイド|構成・例文・分野別の書き分けとNG例

院試の研究計画書の書き方を、基本構成(背景・問い・方法・意義)から分野別の書き分け、文字数別の調整、よくあるNG例、添削の受け方まで網羅。志望理由書との違いも整理し、外部生が志望研究室と噛み合う研究計画を書くための実務ガイドです。例文・骨格テンプレート付き。

最終更新: 2026-05-20

研究計画書は、出願書類の中で最も「書き方が分からない」と外部生がつまずく書類です。学部生にとって本格的な研究計画を立てた経験は少なく、何をどう書けばいいのか手が止まりがちです。しかし、求められているのは完璧で実行可能な計画ではありません。「研究という営みを理解しているか」「志望研究室のテーマと自分の関心が噛み合っているか」を示せれば十分です。本ガイドは、研究計画書の役割から構成・例文・分野別の書き分け・NG例・添削の受け方までを、外部生の立場で具体的に解説します。

研究計画書は何のために書くのか

研究計画書は、書類選考と口述試験の両方で評価される、出願の核となる書類です。面接官(多くは志望研究室の教員)は、研究計画書から次の3点を読み取ろうとします。第一に研究適性——論理的に問いを立て、方法を構想できるか。第二に研究室との適合——その研究室で指導可能なテーマか。第三に志望度——その研究室の研究を理解した上で志望しているか。

裏を返せば、研究計画書は「合格後に2年以上を共に過ごす相手として、この学生を受け入れたいか」を教員が判断する材料です。だからこそ、抽象的な憧れや一般論ではなく、具体的な問題意識と研究室との接続を書く必要があります。

研究計画書と志望理由書の違い

混同されがちですが、両者は目的が異なります。研究科によってはどちらか一方、または両方の提出が求められます。

項目研究計画書志望理由書
問い大学院で何を研究するかなぜこの研究科・研究室を志望するか
中心研究テーマ・方法・意義動機・経緯・将来像
評価される点研究適性・研究室との適合志望度・自己理解

両方を提出する場合は、内容を整合させつつ役割を分けます。志望理由書で「なぜこの分野・研究室か」を語り、研究計画書で「具体的に何をどう研究するか」を語る、という分担です。志望動機の組み立て方は面接・口述試験の攻略ガイドでも詳しく扱っています。

研究計画書の基本構成(4要素)

分野を問わず、説得力のある研究計画書は次の4要素を備えています。この順序で書けば、論理が通った計画になります。

  1. 背景——その分野・テーマがなぜ重要か。現状で何がどこまで分かっているか。
  2. 問い(課題)——その中で、まだ解決されていない・自分が取り組みたい具体的な問いは何か。
  3. 方法(アプローチ)——その問いにどう取り組むか。どんな理論・実験・解析手法を使うか。
  4. 意義——それが明らかになると何が分かるか・何の役に立つか。

外部生が陥りやすいのは、「背景」と「意義」だけで終わり、肝心の「問い」と「方法」が曖昧なパターンです。「〇〇は重要な分野です。私はこれを研究したいです」では研究計画になりません。「〇〇という分野で、△△という点がまだ解決されていない。私は□□という手法でこれに取り組みたい」と、問いと方法を具体化することが核心です。

骨格テンプレートと例文

4要素を文章にする際の骨格は次のとおりです。これはあくまで型であり、分野や様式に合わせて調整します。

【背景】 近年、〇〇分野では△△が注目されている。これまでに□□が明らかにされてきたが、◇◇については十分に解明されていない。

【問い】 本研究計画では、◇◇について「××はどのような条件で成り立つか」という問いに取り組みたい。

【方法】 この問いに対し、貴研究室が開発してきた〜〜という手法を用い、〜〜を解析することでアプローチする。具体的には〜〜を行う。

【意義】 これが明らかになれば、〜〜の理解が進み、〜〜への応用が期待できる。学部の卒業研究で△△に取り組んだ経験を、この研究で発展させたい。

ポイントは、最後に学部での経験(卒業研究・講義・実験)と研究計画を接続することです。これにより「これまでの蓄積の延長線上にある、地に足のついた計画」という印象を与えられます。

志望研究室と噛み合わせる技術

研究計画書で最も差がつくのは、志望研究室の研究との接続の精度です。教員は「自分の研究室で指導できるテーマか」を見ています。接続を作るには、研究室の公式サイト・最近の発表論文を読み、その研究室が使っている手法・取り組んでいる課題を具体的に把握する必要があります。

ただし、研究室の研究をそのまま丸写しするのは逆効果です。「貴研究室の〇〇という研究を踏まえ、自分は△△の部分を深めたい/□□の応用に関心がある」と、既存研究を理解した上で自分の視点を1つ加えるのが理想です。研究室訪問で教員と話した内容を反映できると、さらに説得力が増します。情報収集の手順は研究室訪問ガイドにまとめています。

分野別の書き分け

数学系

数学の研究計画は、具体的な研究テーマが学部段階では立てにくい分野です。志望する分野(代数・幾何・解析・確率など)と、その中で関心のある対象・定理・問題を挙げ、志望研究室の研究との接続を示すのが現実的です。「〇〇論を学び、△△の問題に取り組みたい」という方向性が伝われば十分なことが多いです。

物理系

理論か実験か、対象(素粒子・物性・宇宙・生物物理など)を明確にし、志望研究室の研究手法(計測技術・数値計算・理論モデル)との接続を書きます。卒業研究で扱った現象や手法を出発点にすると書きやすくなります。

工学系(機械・電気・化学・材料)

工学系は応用や社会的意義を書きやすい分野です。背景(産業・社会のニーズ)、解決したい技術的課題、志望研究室の手法、期待される応用、という流れが自然です。卒業研究の延長や、インターン・実験で得た問題意識を活かせます。

情報系

取り組みたい技術領域(機械学習・システム・セキュリティ・HCIなど)と、具体的な課題・アプローチを書きます。プログラミング経験や、関心のあるモデル・論文に触れると研究適性が伝わります。

文字数・様式別の調整

様式は研究科ごとに異なります。文字数指定がある場合は9割以上を埋めるのが原則です。

  • 800〜1000字(A4で半〜1枚)——4要素を簡潔に。背景は2〜3文に圧縮し、問いと方法に字数を割く。
  • 1500〜2000字(A4で1〜2枚)——標準的な分量。各要素をバランスよく、研究室との接続を厚めに。
  • 3000字以上(A4で3枚以上)——背景に先行研究のレビューを加え、研究計画を段階(前半・後半)に分けて記述する。

よくあるNG例と改善

  • 抽象的な憧れだけ(「最先端の研究に携わりたい」)→ 具体的な問いと方法に落とす。
  • 研究室の研究の丸写し→ 自分の視点・関心を1つ加える。
  • 問いがなく背景と意義だけ→ 「何を明らかにするか」を一文で明示する。
  • 志望研究室で指導できないテーマ→ 研究室の手法・対象に合わせて調整する。
  • 誤字・専門用語の誤用→ 推敲と第三者チェックで潰す。専門家は用語の誤用に敏感。

添削の受け方・推敲の手順

研究計画書は一度書いて終わりにせず、必ず推敲します。手順は次のとおりです。第一に、書いた直後ではなく1日空けてから読み返す。第二に、4要素(背景・問い・方法・意義)が揃っているかをチェックする。第三に、学部の指導教員や、その分野に詳しい先輩に読んでもらう。第四に、志望研究室の教員に研究室訪問の際に方向性を相談する(可能なら)。

外部生は添削してくれる人を見つけにくいのが難点ですが、学部の指導教員は分野が違っても「研究計画としての論理」はチェックできます。論理の通り方と、問い・方法の具体性を中心に見てもらいましょう。

提出前チェックリスト

  • 背景・問い・方法・意義の4要素が揃っている
  • 「何を明らかにするか」という問いが一文で明示されている
  • 志望研究室の研究と具体的に接続している(論文・手法に言及)
  • 学部での経験(卒業研究・講義)と研究計画がつながっている
  • 研究室で指導可能なテーマになっている
  • 誤字・専門用語の誤用がない(第三者チェック済み)
  • 文字数指定の9割以上を満たしている
  • 口頭で1分・3分に要約できる(面接対策)

研究計画書は、書く過程で自分の研究関心が明確になる書類でもあります。時間をかけて練り上げれば、口述試験の準備にもそのまま活きます。出願全体の流れは外部生のための院試完全攻略ガイドを、書いた計画を口頭で説明する技術は面接・口述試験の攻略ガイドを参照してください。

研究計画書の様式・文字数・提出書類は研究科ごとに異なります。必ず最新の公式募集要項で確認してください。

よくある質問

研究計画書はどのくらいの文字数で書きますか。
研究科により様式が異なり、A4で1〜2枚(800〜2000字程度)が一般的ですが、研究科や専攻によっては3〜5枚を求める場合もあります。文字数の指定がある場合は9割以上を埋めるのが原則です。文字数より、志望研究室の研究テーマと自分の問題意識が噛み合うように書けているかが本質です。
学部生で研究計画なんて立てられません。どう書けばいいですか。
完璧で実行可能な研究計画を求められているわけではありません。求められているのは『研究という営みを理解しているか』『志望研究室のテーマと自分の関心が接続しているか』です。卒業研究や講義で芽生えた具体的な問題意識を出発点に、志望研究室の手法でそれをどう深められるかを書けば十分です。入学後にテーマが変わるのは前提とされています。
志望研究室の研究内容をそのまま書いてもいいですか。
研究室の研究を理解していることを示すのは重要ですが、丸写しは『自分の問題意識がない』と受け取られます。研究室の既存研究を踏まえた上で、『自分はこの部分を深めたい/この応用に関心がある』という自分なりの視点を1つ加えると、研究適性が伝わります。
研究計画書と面接の内容は一致させるべきですか。
必ず一致させます。口述試験では研究計画書の内容を要約・説明させられることが多く、書いた内容と口頭の説明が食い違うと信頼性を損ないます。提出後も自分の研究計画書を読み返し、口頭で1分・3分に要約できるよう準備しておきます。
専門用語はどの程度使うべきですか。
志望分野の専門家が読むことを前提に、必要な専門用語は正確に使います。ただし、用語を並べただけで論理がない文章は逆効果です。専門用語は『自分が理解して使っている』ことが伝わる文脈で用い、定義が曖昧なまま使うのは避けます。
参考文献は書くべきですか。
様式に指定があれば従います。指定がなくても、志望研究室の論文や分野の基礎的な文献を数件挙げると、研究の文脈を理解していることが伝わります。ただし読んでいない論文を挙げるのは危険です。面接で内容を問われて答えられないと信頼を失います。

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