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阪大 基礎工学研究科 物質創成専攻 物性物理科学I 2023年度 院試 過去問 解答例・解説(解説3項目)

解説3項目の分野は電磁気学・回路1項目、量子力学1項目、力学1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 剛体の力学:2本の糸で吊るした直方体のねじれ振動

[1] 主慣性モーメント

軸のまわりの慣性モーメントの定義は I=∫ρ r⊥2 dVI=\int\rho\,r_\perp^2\,dV(r⊥r_\perp は質量要素から軸までの距離)である。軸が主軸かどうかは慣性乗積で決まる。直方体は重心を通る面について対称なので、ξ→−ξ\xi\to-\xi の反転で自分自身に重なり、ξ\xi の奇数次を含む積分は零になる。主軸のまわりの回転では角運動量が角速度と平行になり、[2] の回転エネルギーは 12Iζθ˙2\frac12I_\zeta\dot\theta^2 の1項で書ける。

辺の全長 w,dw,d の直方体が、重心を通り w,dw,d の辺を含む面に垂直な軸のまわりに持つ慣性モーメントは M(w2+d2)/12M(w^2+d^2)/12 である。この問題の a,ba,b は辺の半分なので全長は 2a,2b2a,2b で、w=2a, d=2bw=2a,\ d=2b を入れると M(4a2+4b2)/12=M(a2+b2)/3M(4a^2+4b^2)/12=M(a^2+b^2)/3 となり、上の積分と一致する。教科書の式の w,dw,d に、問題の a,ba,b をそのまま入れない。

極限で確かめる。a=ba=b の立方体(一辺 2a2a)では3軸とも 23Ma2\frac23Ma^2 で、立方体の Ms2/6Ms^2/6(s=2as=2a)と一致する。b→0b\to0 の正方形の板では Iξ=23Ma2I_\xi=\frac23Ma^2、Iη=Iζ=13Ma2I_\eta=I_\zeta=\frac13Ma^2 となり、直交軸の定理 Iξ=Iη+IζI_\xi=I_\eta+I_\zeta を満たす。a→0a\to0 の細い棒(長さ 2b2b)では Iζ=13Mb2=M(2b)2/12I_\zeta=\frac13Mb^2=M(2b)^2/12、Iξ→0I_\xi\to0 である。次元は kg m2{\rm kg\,m^2} である。数値例で ρ=2.70×103 kg/m3\rho=2.70\times10^3\ {\rm kg/m^3}(アルミニウム相当)とすると、M=10.8 kgM=10.8\ {\rm kg}、Iζ=0.153 kg m2I_\zeta=0.153\ {\rm kg\,m^2}、Iξ=0.0180 kg m2I_\xi=0.0180\ {\rm kg\,m^2} である。この数値を [5] まで使う。

辺の半分を全長と読み違えて M(a2+b2)/12M(a^2+b^2)/12 とすると 0.0383 kg m20.0383\ {\rm kg\,m^2} で、正しい値の1/4になり、[5] の周期は半分の 0.341 s0.341\ {\rm s} になる。IζI_\zeta の代わりに Iξ=23Ma2I_\xi=\frac23Ma^2 を使う誤りもあり、この場合の周期は 0.234 s0.234\ {\rm s} になる(正しい値は 0.683 s0.683\ {\rm s})。

[2] 運動エネルギー、ポテンシャルエネルギー、ラグランジアン

使う知識は、ケーニッヒの定理と、主軸まわりの回転エネルギーである。剛体の運動エネルギーは、重心の速度 vG\boldsymbol v_G による 12MvG2\frac12Mv_G^2 と、重心まわりの回転 12ω⋅Iω\frac12\boldsymbol\omega\cdot\mathsf I\boldsymbol\omega の和になる。質量要素の速度を vG+ω×r′\boldsymbol v_G+\boldsymbol\omega\times\boldsymbol r'(r′\boldsymbol r' は重心から測った位置)と書いて2乗すると、vG⋅(ω×∫ρr′dV)\boldsymbol v_G\cdot\bigl(\boldsymbol\omega\times\int\rho\boldsymbol r'dV\bigr) の交差項が出るが、重心の定義から ∫ρr′dV=0\int\rho\boldsymbol r'dV=0 なので消える。この問題は ζ\zeta 軸まわりの回転だけを考えるので ω=θ˙ ζ^\boldsymbol\omega=\dot\theta\,\hat{\boldsymbol\zeta} であり、[1] で主軸と確かめた ζ\zeta 軸の IζI_\zeta がそのまま使える。

糸の張力は剛体に働くが、ラグランジアンには入らない。糸は伸びないので、P の速度は A から P への糸と垂直な成分しか持たず(P は A を中心とする半径 ll の球面上を動く)、張力は仕事をしない。糸の効果は [3] の拘束条件で ZZ と θ\theta を結びつける形で入る。

次元を確かめる。MZ˙2M\dot Z^2 は kg (m/s)2=J{\rm kg\,(m/s)^2}={\rm J}、Iζθ˙2I_\zeta\dot\theta^2 は kg m2 s−2=J{\rm kg\,m^2\,s^{-2}}={\rm J}(θ\theta は無次元)、MgZMgZ は kg⋅m/s2⋅m=J{\rm kg\cdot m/s^2\cdot m}={\rm J} で、3つの項はすべてエネルギーである。ZZ の原点を平衡位置の重心に置いたことは UU に定数が加わるかどうかだけに関わり、運動方程式を変えない。

誤りは、UU の符号を逆にして −MgZ-MgZ とすることである。[3] 以降の計算で、数値例の ω2\omega^2 が +84.7 s−2+84.7\ {\rm s^{-2}} ではなく −84.7 s−2-84.7\ {\rm s^{-2}} になり、振動解が得られない。

[3] θ\theta だけを座標とするラグランジアン

使う知識は、拘束による自由度の削減と、微小振動の近似の次数である。剛体の座標 (θ,Z)(\theta,Z) のうち、糸の長さが一定という条件 ∣Q−B∣=l|{\rm Q}-{\rm B}|=l が ZZ を θ\theta の関数に決める。自由度は2から1に減り、拘束力である張力は消える。問題文のヒントが、点Qが点Bを中心とする半径 ll の球面上にあることを指摘しており、これがこの条件を使う合図である。

微小振動では、ラグランジアンを θ,θ˙\theta,\dot\theta の2次まで残せば、運動方程式が線形になる。拘束の式から ZZ は θ2\theta^2 のオーダーなので、Z2∼θ4Z^2\sim\theta^4 は Zh∼θ2Zh\sim\theta^2 に比べて落とせる。Z˙2\dot Z^2 も θ2θ˙2\theta^2\dot\theta^2 で4次であり、2次の項 θ˙2\dot\theta^2 と θ2\theta^2 だけが残る。数値例で θ=0.02 rad\theta=0.02\ {\rm rad} とすると、拘束の式を厳密に解いた Z=h−h2−2bc(1−cos⁡θ)Z=h-\sqrt{h^2-2bc(1-\cos\theta)} は 0.02449 mm0.02449\ {\rm mm}、近似式は bcθ2/(2h)=0.02449 mmbc\theta^2/(2h)=0.02449\ {\rm mm} で一致する。落とした Z2Z^2 の項の相対的な大きさ Z/(2h)Z/(2h) は 2.5×10−52.5\times10^{-5}、Z˙2\dot Z^2 の項は θ˙=1 rad/s\dot\theta=1\ {\rm rad/s} のとき回転の項の 4.2×10−44.2\times10^{-4} 倍である。

物理的な意味は、図の上面図から読める。棒が θ\theta だけねじれると、糸の水平方向の投影が長くなる。糸の長さは変わらないので鉛直方向の成分が縮み、剛体が持ち上がる(Z>0Z>0)。ねじれの向きによらず θ2\theta^2 に比例して持ち上がるので、θ=0\theta=0 が位置エネルギーの極小になり、復元力が働く。

誤りは、1−cos⁡θ≃θ2/21-\cos\theta\simeq\theta^2/2 の係数 1/21/2 を落とすことである。Z=bcθ2/hZ=bc\theta^2/h となって位置エネルギーが2倍になり、[5] の周期は 0.483 s0.483\ {\rm s} と、正しい値の 1/21/\sqrt2 倍になる。

[4] θ\theta に関するラグランジュ方程式

ラグランジュ方程式は、作用 ∫L dt\int L\,dt が停留する条件から出る。座標 θ\theta が拘束を満たす形で選ばれているので、拘束力である張力は方程式に現れない。力学の原理は同じだが、力を1つずつ数える方法に比べて、張力のような未知の拘束力を計算せずに済む。

張力のトルクから別に導いて確かめる。2本の糸の張力の大きさを同じ ff とする。Q にかかる張力は Q から B へ向き、成分は fl(c−bcos⁡θ, −bsin⁡θ, h−Z)\frac fl(c-b\cos\theta,\ -b\sin\theta,\ h-Z) である。鉛直方向の釣り合い(微小量で ZZ を無視)から 2f h/l=Mg2f\,h/l=Mg、すなわち f/l=Mg/(2h)f/l=Mg/(2h) である。Q の水平成分による ζ\zeta 軸まわりのトルクは、位置 (bcos⁡θ, bsin⁡θ)(b\cos\theta,\ b\sin\theta) との外積で −fl bcsin⁡θ-\frac fl\,bc\sin\theta となり、P 側も同じ値を持つ。2本の合計は Kζ=−2⋅fl bcsin⁡θ=−Mgbchsin⁡θ≃−Mgbch θ K_\zeta=-2\cdot\frac fl\,bc\sin\theta=-\frac{Mgbc}{h}\sin\theta\simeq-\frac{Mgbc}{h}\,\theta で、Iζθ¨=KζI_\zeta\ddot\theta=K_\zeta から [4] の式と一致する。

次元は、Iζθ¨I_\zeta\ddot\theta が kg m2 s−2{\rm kg\,m^2\,s^{-2}}、(Mgbc/h)θ(Mgbc/h)\theta が kg⋅m/s2⋅m{\rm kg\cdot m/s^2\cdot m} で、どちらもトルクの単位 N m{\rm N\,m} である。

誤りは、∂L/∂θ\partial L/\partial\theta の符号を落として Iζθ¨−(Mgbc/h)θ=0I_\zeta\ddot\theta-(Mgbc/h)\theta=0 とすることである。数値例では θ¨=+84.7 s−2 θ\ddot\theta=+84.7\ {\rm s^{-2}}\,\theta となり、θ\theta が指数関数的に増える解になる。[3] で位置エネルギーが θ2\theta^2 に比例して増えることと矛盾するので、符号は確かめられる。

[5] 微小振動の周期

θ¨=−ω2θ\ddot\theta=-\omega^2\theta の一般解は θ0cos⁡(ωt+φ)\theta_0\cos(\omega t+\varphi) で、周期 2π/ω2\pi/\omega は振幅 θ0\theta_0 によらない。この等時性は、位置エネルギーが θ2\theta^2 に比例する(ラグランジアンを2次で打ち切った)ことから出る。振幅が大きくなれば、落とした4次の項の影響で周期が変わる。数値例で、厳密な拘束 Z(θ)Z(\theta) と Z˙\dot Z の項を含む1自由度のラグランジアンを数値積分すると、振幅 0.002 rad0.002\ {\rm rad} の周期は 0.682619 s0.682619\ {\rm s} で、公式の 0.682618 s0.682618\ {\rm s} と一致する。振幅 0.30 rad0.30\ {\rm rad} では 0.6997 s0.6997\ {\rm s} で、約2.5\%長い。

当てはめでは、数値例の h=0.502−0.102 m=0.4899 mh=\sqrt{0.50^2-0.10^2}\ {\rm m}=0.4899\ {\rm m}、Iζ/M=(0.052+0.202)/3 m2=0.014167 m2I_\zeta/M=(0.05^2+0.20^2)/3\ {\rm m^2}=0.014167\ {\rm m^2} から ω=9.8×0.20×0.30/(0.4899×0.014167) s−1=9.205 rad/s\omega=\sqrt{9.8\times0.20\times0.30/(0.4899\times0.014167)}\ {\rm s^{-1}}=9.205\ {\rm rad/s}、T=0.683 sT=0.683\ {\rm s} である。

次元は (Iζ/M) h/(g bc)(I_\zeta/M)\,h/(g\,bc) が m2⋅m/(m/s2⋅m2)=s2{\rm m^2\cdot m/(m/s^2\cdot m^2)}={\rm s^2} で、平方根が時間になる。質量 MM が消えるのは、慣性(Iζ∝MI_\zeta\propto M)と復元力(∝Mg\propto Mg)がともに MM に比例するためである。極限として、糸が鉛直な c=bc=b では h=lh=l となり、T=2πl(a2+b2)/(3gb2)T=2\pi\sqrt{l(a^2+b^2)/(3gb^2)} である。これは、回転半径 kk の物体を間隔 2r2r の2本の糸(長さ ll)で吊る二本吊りの標準式 T=2πk2l/(gr2)T=2\pi\sqrt{k^2l/(gr^2)} に、r=br=b、k2=(a2+b2)/3k^2=(a^2+b^2)/3 を入れたものになる。a→0a\to0 の細い棒では T=2πhb/(3gc)T=2\pi\sqrt{hb/(3gc)} である。糸が水平に近づく c−b→lc-b\to l(h→0h\to0)では、T→0T\to0 となる。下の図は、b=0.20 mb=0.20\ {\rm m}、l=0.50 ml=0.50\ {\rm m} を固定して cc を変えた周期である。cc が大きいほど糸が斜めになって復元力が強まり、周期が短くなる。

ねじれ振動の周期Tと上の間隔cの関係(c=0.2〜0.7 m)。cが大きくなるとTは短くなり、c−b=l(h=0)で0になる。c=0.30 mではT=0.683 s。

誤りは、慣性モーメントと高さの取り違えに集中する。IζI_\zeta の代わりに Iξ=23Ma2I_\xi=\frac23Ma^2 を使うと T=0.234 sT=0.234\ {\rm s} となり、正しい値の約0.34倍である。糸が斜めであることを見落とし、hh を糸の長さ ll に置き換えると T=0.690 sT=0.690\ {\rm s} で、約1.0\%長い。慣性モーメントを M(a2+b2)/12M(a^2+b^2)/12(辺の半分を全長と読み違え)にすると 0.341 s0.341\ {\rm s}、[3] で係数 1/21/2 を落とすと 0.483 s0.483\ {\rm s} になる。これらの値は、いずれも同じ数値例から計算した。

解答

[1] 主慣性モーメント

剛体は密度 ρ\rho で一様で、重心Gを原点にして −b≤ξ≤b-b\le\xi\le b、−a≤η≤a-a\le\eta\le a、−a≤ζ≤a-a\le\zeta\le a の領域を占める。質量は M=ρ⋅2b⋅2a⋅2a=8ρa2bM=\rho\cdot2b\cdot2a\cdot2a=8\rho a^2b である。ξ,η,ζ\xi,\eta,\zeta の各軸は面の中心を貫く対称軸で、慣性乗積 ∫ρ ξη dV\int\rho\,\xi\eta\,dV などは奇関数の積分になって零なので、3つの軸は主軸である。軸からの距離の2乗を積分する。ζ\zeta 軸のまわりでは距離の2乗が ξ2+η2\xi^2+\eta^2 で、 Iζ=ρ∫(ξ2+η2) dV=ρ[4a2∫−bbξ2dξ+4ab∫−aaη2dη]=ρ[8a2b33+8a4b3]=8ρa2b3(a2+b2). I_\zeta=\rho\int(\xi^2+\eta^2)\,dV =\rho\Bigl[4a^2\int_{-b}^{b}\xi^2d\xi+4ab\int_{-a}^{a}\eta^2d\eta\Bigr] =\rho\Bigl[\frac{8a^2b^3}{3}+\frac{8a^4b}{3}\Bigr] =\frac{8\rho a^2b}{3}(a^2+b^2). M=8ρa2bM=8\rho a^2b を使うと Iζ=13M(a2+b2)I_\zeta=\frac13M(a^2+b^2) である。η\eta 軸まわりは η\eta と ζ\zeta の役割が同じなので Iη=IζI_\eta=I_\zeta となる。ξ\xi 軸まわりは ∫η2dV=∫ζ2dV=8a4b/3\int\eta^2dV=\int\zeta^2dV=8a^4b/3 から Iξ=ρ⋅16a4b/3=23Ma2I_\xi=\rho\cdot16a^4b/3=\frac23Ma^2 である。

[2] 運動エネルギー、ポテンシャルエネルギー、ラグランジアン

剛体の運動は、重心Gの鉛直方向の移動 ZZ と、ζ\zeta 軸(鉛直)まわりの回転角 θ\theta だけである。重心は (0,0,Z)(0,0,Z) にとどまり、ξ\xi 軸と η\eta 軸のまわりの回転は考えない。運動エネルギーは重心の並進と重心まわりの回転の和である。重心の速さは ∣Z˙∣|\dot Z|、角速度は大きさ ∣θ˙∣|\dot\theta| で ζ\zeta 軸の向きを持ち、ζ\zeta 軸は主軸なので、回転の部分は 12Iζθ˙2\frac12I_\zeta\dot\theta^2 になる。糸は質量がなく、運動エネルギーを持たない。重力のポテンシャルエネルギーは、平衡位置の重心の高さ(Z=0Z=0)を基準にして MgZMgZ である。

[3] θ\theta だけを座標とするラグランジアン

点Qは点B=(c,0,h)=(c,0,h) から距離 ll にある。平衡位置では Q=(b,0,0)=(b,0,0) なので (c−b)2+h2=l2(c-b)^2+h^2=l^2、すなわち h=l2−(c−b)2h=\sqrt{l^2-(c-b)^2} である。θ\theta だけ回転した状態では重心が (0,0,Z)(0,0,Z) にあり、Q は重心から ξ\xi 軸の向きに bb の位置なので Q=(bcos⁡θ, bsin⁡θ, Z){\rm Q}=(b\cos\theta,\ b\sin\theta,\ Z) である。球面の条件 ∣Q−B∣2=l2|{\rm Q}-{\rm B}|^2=l^2 は次のとおりである。 (bcos⁡θ−c)2+b2sin⁡2θ+(Z−h)2=l2. (b\cos\theta-c)^2+b^2\sin^2\theta+(Z-h)^2=l^2 . 展開すると b2+c2−2bccos⁡θ+Z2−2Zh+h2=l2b^2+c^2-2bc\cos\theta+Z^2-2Zh+h^2=l^2 である。h2=l2−c2+2bc−b2h^2=l^2-c^2+2bc-b^2 から b2+c2+h2−l2=2bcb^2+c^2+h^2-l^2=2bc なので、 Z2−2Zh=−2bc (1−cos⁡θ). Z^2-2Zh=-2bc\,(1-\cos\theta). P と A も、P=−Q{\rm P}=-{\rm Q}、A=−B{\rm A}=-{\rm B} の対称性から同じ式を与える。θ,θ˙\theta,\dot\theta は微小量なので、与えられた近似 cos⁡θ≃1−θ2/2\cos\theta\simeq1-\theta^2/2、Z2−2Zh≃−2ZhZ^2-2Zh\simeq-2Zh を使うと −2Zh=−bc θ2-2Zh=-bc\,\theta^2 となり、 Z=bc2h θ2,Z˙=bch θθ˙. Z=\frac{bc}{2h}\,\theta^2,\qquad \dot Z=\frac{bc}{h}\,\theta\dot\theta . 12MZ˙2=M2(bch)2θ2θ˙2\frac12M\dot Z^2=\frac{M}{2}\bigl(\frac{bc}{h}\bigr)^2\theta^2\dot\theta^2 は θ,θ˙\theta,\dot\theta の4次なので無視する。ポテンシャルエネルギーは U=MgZ=Mgbc2hθ2U=MgZ=\dfrac{Mgbc}{2h}\theta^2 である。これを [2] の LL に代入すると次を得る。

2本の糸でつるした剛体。左は平衡位置の前面図で、上の点A、Bと剛体の点P、Qを長さlの糸で結び、間隔c、b、高さhを示す。右は鉛直軸のまわりに角θだけねじれた状態の上面図。

[4] θ\theta に関するラグランジュ方程式

θ\theta に関するラグランジュ方程式は ddt∂L∂θ˙−∂L∂θ=0\dfrac{d}{dt}\dfrac{\partial L}{\partial\dot\theta}-\dfrac{\partial L}{\partial\theta}=0 である。[3] の LL から ∂L/∂θ˙=Iζθ˙\partial L/\partial\dot\theta=I_\zeta\dot\theta、∂L/∂θ=−Mgbchθ\partial L/\partial\theta=-\dfrac{Mgbc}{h}\theta なので、

[5] 微小振動の周期

[4] を IζI_\zeta で割ると θ¨=−ω2θ\ddot\theta=-\omega^2\theta、ω2=MgbchIζ\omega^2=\dfrac{Mgbc}{hI_\zeta} である。解は θ=θ0cos⁡(ωt+φ)\theta=\theta_0\cos(\omega t+\varphi) で、周期は T=2π/ωT=2\pi/\omega である。Iζ=13M(a2+b2)I_\zeta=\frac13M(a^2+b^2) を代入すると MM が消えて、 ω2=3gbch (a2+b2),T=2πω=2πIζhMgbc=2πh (a2+b2)3gbc. \omega^2=\frac{3gbc}{h\,(a^2+b^2)},\qquad T=\frac{2\pi}{\omega}=2\pi\sqrt{\frac{I_\zeta h}{Mgbc}}=2\pi\sqrt{\frac{h\,(a^2+b^2)}{3gbc}} .

最終答

[1] 主慣性モーメント

Iξ=23Ma2,Iη=Iζ=13M(a2+b2)\displaystyle I_\xi=\frac23Ma^2,\qquad I_\eta=I_\zeta=\frac13M(a^2+b^2)

[2] 運動エネルギー、ポテンシャルエネルギー、ラグランジアン

T=12MZ˙2+12Iζθ˙2,U=MgZ,L=T−U=12MZ˙2+12Iζθ˙2−MgZ\displaystyle T=\frac12M\dot Z^2+\frac12I_\zeta\dot\theta^2,\qquad U=MgZ,\qquad L=T-U=\frac12M\dot Z^2+\frac12I_\zeta\dot\theta^2-MgZ

[3] θ\theta だけを座標とするラグランジアン

L=12Iζθ˙2−Mgbc2h θ2,h=l2−(c−b)2\displaystyle L=\frac12I_\zeta\dot\theta^2-\frac{Mgbc}{2h}\,\theta^2,\qquad h=\sqrt{l^2-(c-b)^2}

[4] θ\theta に関するラグランジュ方程式

Iζθ¨+Mgbch θ=0\displaystyle I_\zeta\ddot\theta+\frac{Mgbc}{h}\,\theta=0

[5] 微小振動の周期

T=2πIζhMgbc=2π(a2+b2)l2−(c−b)23gbc\displaystyle T=2\pi\sqrt{\frac{I_\zeta h}{Mgbc}}=2\pi\sqrt{\frac{(a^2+b^2)\sqrt{l^2-(c-b)^2}}{3gbc}}

第2問 — 電磁気学:トロイダルコイルの磁束とインダクタンス、空隙のある鉄心の磁気回路

電磁気学:トロイダルコイルの磁束とインダクタンス、空隙のある鉄心の磁気回路の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 量子力学:結合した2つの調和振動子と外場による遷移

量子力学:結合した2つの調和振動子と外場による遷移の途中式・最終答をPDFで見る

物性物理科学Iの解答・解説PDF

2022〜2026年度(5年度) · ¥2,880

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年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(解説3項目)

    力学:回転円盤上の振り子と有効ポテンシャル / 電磁気学:導波管の遮断周波数と空洞共振器 / 量子力学:1次元調和振動子と消滅演算子の固有状態

  • 2025年度(解説3項目)

    力学:穴を通るひもでつながれた2質点の運動とパラメトリック共鳴 / 電磁気学:電気双極子の電位・電場と、分子間のファンデルワールス引力 / 量子力学:2次元の自由粒子・正方形の井戸型ポテンシャルと縮退のある摂動論

  • 2024年度(解説3項目)

    力学:引力と斥力をもつポテンシャルの極小点と微小振動 / 電磁気学:同軸円筒コンデンサと液体の電荷緩和 / 量子力学:調和振動子の基底状態と運動量表示

  • 2023年度(このページ・解説3項目)

    剛体の力学:2本の糸で吊るした直方体のねじれ振動 / 電磁気学:トロイダルコイルの磁束とインダクタンス、空隙のある鉄心の磁気回路 / 量子力学:結合した2つの調和振動子と外場による遷移

  • 2022年度(解説4項目)

    力学:バネでつながれた2質点(重心座標・相対座標)と重力 / 電磁気学:同軸ケーブルの容量・インダクタンスと信号の伝搬速度 / 量子力学:2準位系のハミルトニアン・密度演算子・ブロッホ方程式

2023年度の出題内容

解説3項目

この3問の分野は電磁気学・回路1問・量子力学1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学2本の糸で吊るした直方体のねじれ振動—あり
第2問電磁気学・回路トロイダルコイルの磁束とインダクタンス、空隙のある鉄心の磁気回路—あり
第3問量子力学結合した2つの調和振動子と外場による遷移—あり

前年度(2022年度)との違い

大問数
2022年度 4問 → 2023年度 3問
2022年度の解答例

大阪大学の公式過去問

公開年度範囲
領域別。電子光・物性物理・化学・化学工学・数理科学は2022〜2026年度など
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
受験する年度・専攻の募集要項で確認してください。
院試hubの最終確認
2026-10-26
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