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阪大 基礎工学研究科 物質創成専攻 物性物理科学I 2022年度 院試 過去問 解答例・解説(解説4項目)

解説4項目の分野は電磁気学・回路1項目、熱・統計力学1項目、量子力学1項目です。解説は1問、途中式と最終答は大問1問ぶんを公開しています。PDFの収録範囲は商品ページで確認できます。問題本文は含みません。

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第1問 — 力学:バネでつながれた2質点(重心座標・相対座標)と重力

[1] x1,x2x_1,x_2 で表したラグランジアン

ラグランジアンは運動エネルギーからポテンシャルエネルギーを引いた L=T−UL=T-U である。バネの弾性エネルギーは、伸び(長さと自然長の差)の2乗に k/2k/2 を掛けたもので、フックの法則 F=−k (伸び)F=-k\,(\text{伸び}) が成り立つ範囲で使える。質量の無視できるバネは自分の運動エネルギーをもたないので、TT には2つの質点の項だけが入る。「滑らかで水平な床」「水平運動のみ」という条件が、重力と垂直抗力を考えなくてよいという合図になる。

確かめとして、オイラー・ラグランジュ方程式を立てると m1x¨1=k(x2−x1−l)m_1\ddot x_1=k(x_2-x_1-l)、m2x¨2=−k(x2−x1−l)m_2\ddot x_2=-k(x_2-x_1-l) となる。伸びが正のとき、バネは質点1を +x+x 向きに、質点2を −x-x 向きに同じ大きさで引き、作用・反作用の法則に合う。次元は、kk の N/m{\rm N/m} に長さの2乗を掛けて N m=J{\rm N\,m}={\rm J} となり、エネルギーに一致する。

誤りは、自然長 ll を落として U=12k(x2−x1)2U=\frac12k(x_2-x_1)^2 と書くことである。k=3 N/mk=3\,{\rm N/m}、l=1 ml=1\,{\rm m}、質点間の距離が 1.2 m1.2\,{\rm m} の例では、正しい弾性エネルギーは 12⋅3⋅0.22=0.06 J\frac12\cdot3\cdot0.2^2=0.06\,{\rm J} だが、誤った式では 2.16 J2.16\,{\rm J} になる。釣り合いの位置も x2−x1=lx_2-x_1=l から x2−x1=0x_2-x_1=0 へずれてしまう。

[2] 重心座標・相対座標で表したラグランジアン

重心座標は質量で重みを付けた平均位置で、MX˙=m1x˙1+m2x˙2M\dot X=m_1\dot x_1+m_2\dot x_2 は系の全運動量にあたる。座標の組 (x1,x2)→(X,x)(x_1,x_2)\to(X,x) は1次の変換で、ヤコビ行列式の絶対値は1、逆変換も一意に定まる。ラグランジュの運動方程式は座標の選び方に依らず同じ形をとる(点変換に対する共変性)ので、LL に上の関係を代入するだけでよい。

運動エネルギーの交差項が消えるのは、XX が質量で重みを付けた平均だからである。単純平均 (x1+x2)/2(x_1+x_2)/2 を使うと 12(m2−m1)Y˙x˙\frac12(m_2-m_1)\dot Y\dot x が残り、m1≠m2m_1\neq m_2 のとき2つの座標が分離しない。μ\mu は換算質量で、1/μ=1/m1+1/m21/\mu=1/m_1+1/m_2 と書ける。

極限で確かめる。m1=m2=mm_1=m_2=m では M=2mM=2m、μ=m/2\mu=m/2 となる。m2→∞m_2\to\infty では μ→m1\mu\to m_1、X→x2X\to x_2 で、重い質点が止まったまま軽い質点だけが動く1個のバネ振り子になる。

誤りは、μ\mu を (m1+m2)/(m1m2)(m_1+m_2)/(m_1m_2) と逆さに書くことである。m1=1 kgm_1=1\,{\rm kg}、m2=2 kgm_2=2\,{\rm kg} で正しい μ\mu は 2/3 kg2/3\,{\rm kg} だが、逆さにした式は 1.5 kg−11.5\,{\rm kg^{-1}} となり、質量の次元に合わない。この値を [4] の ω=k/μ\omega=\sqrt{k/\mu} に入れると k=3 N/mk=3\,{\rm N/m} で ω=1.414 rad/s\omega=1.414\,{\rm rad/s} となり、正しい 2.121 rad/s2.121\,{\rm rad/s} から外れる。

[3] 重心座標と相対座標の運動方程式

LL が XX に陽に依らないので、XX に共役な運動量 P=MX˙P=M\dot X は保存する。外力が働かず、バネの力が内力であることの現れで、解は等速運動 X=X0+VtX=X_0+Vt である。相対座標のほうは、質量 μ\mu の1個の質点が自然長からの変位 x−lx-l に比例する復元力を受ける単振動になり、解は x=l+Acos⁡(ωt+φ)x=l+A\cos(\omega t+\varphi) である。2体問題が「重心の等速運動」と「1体問題」に分かれるのが、座標を移す目的である。

確かめは、[1] の運動方程式から作れる。x¨=x¨2−x¨1=−k (x−l) (1/m1+1/m2)=−(k/μ)(x−l)\ddot x=\ddot x_2-\ddot x_1=-k\,(x-l)\,(1/m_1+1/m_2)=-(k/\mu)(x-l) となり一致する。m1x¨1+m2x¨2=0m_1\ddot x_1+m_2\ddot x_2=0 も同じ式から出る。

誤りは、相対座標の式で自然長を落として μx¨=−kx\mu\ddot x=-kx と書くことである。x=1.1 mx=1.1\,{\rm m}、l=1 ml=1\,{\rm m}、k=3 N/mk=3\,{\rm N/m} のとき、復元力は正しくは −k(x−l)=−0.3 N-k(x-l)=-0.3\,{\rm N} だが、誤った式では −3.3 N-3.3\,{\rm N} になり、振動の中心が x=lx=l でなく x=0x=0 になってしまう。

[4] 相対運動の角振動数

単振動の方程式 ξ¨=−ω2ξ\ddot\xi=-\omega^2\xi の一般解は ξ=Acos⁡(ωt+φ)\xi=A\cos(\omega t+\varphi) で、周期は 2π/ω2\pi/\omega である。ω\omega は運動方程式の係数 k/μk/\mu の平方根として決まり、振幅 AA と位相 φ\varphi には依らない。

次元は [k/μ]=N m−1 kg−1=s−2[k/\mu]={\rm N\,m^{-1}\,kg^{-1}}={\rm s^{-2}} で、ω\omega の次元 s−1{\rm s^{-1}} に合う。極限では、m2→∞m_2\to\infty で ω→k/m1\omega\to\sqrt{k/m_1}、すなわち片側を固定した通常のバネ振り子に一致する。m1=m2=mm_1=m_2=m では ω=2k/m\omega=\sqrt{2k/m} となり、片側固定の場合の 2\sqrt2 倍である。両方の質点が動いて、バネが実質的に半分の長さのバネ2本として働くことに対応する。

数値は m1=1 kgm_1=1\,{\rm kg}、m2=2 kgm_2=2\,{\rm kg}、k=3 N/mk=3\,{\rm N/m} で確かめる。μ=2/3 kg\mu=2/3\,{\rm kg}、ω=4.5=2.121 rad/s\omega=\sqrt{4.5}=2.121\,{\rm rad/s}、周期は 2.962 s2.962\,{\rm s} である。元の運動方程式を4次のルンゲ・クッタ法で数値積分し、相対座標の周期を測ると 2.96192 s2.96192\,{\rm s} で、公式の 2π/ω=2.96192 s2\pi/\omega=2.96192\,{\rm s} と一致した。

誤りは、全質量 MM を使った ω=k/(m1+m2)\omega=\sqrt{k/(m_1+m_2)}(上の数値で 1.000 rad/s1.000\,{\rm rad/s})や、片方の質点だけが動くとした k/m2\sqrt{k/m_2}(1.225 rad/s1.225\,{\rm rad/s})を答えることである。どちらも換算質量でなく単独の質量を使っており、正しい 2.121 rad/s2.121\,{\rm rad/s} より小さい。

[5] 鉛直方向の相対運動の方程式と角振動数

一様な重力のもとでは、質点にかかる重力 migm_ig が質量に比例するので、2つの質点の加速度への寄与は共通の −g-g になる。相対加速度 y¨=y¨2−y¨1\ddot y=\ddot y_2-\ddot y_1 を作ると、この共通の −g-g が引き算で消える。ラグランジアンでは、∑imiyi=MY\sum_im_iy_i=MY という関係が同じことを表している。重心だけが重力を感じ、相対運動は無重力のときと変わらない。問題文の「重力加速度は一定」が、この打ち消しを使う合図である。

別の導き方として、力から直接 m1y¨1=k(y−l)−m1gm_1\ddot y_1=k(y-l)-m_1g、m2y¨2=−k(y−l)−m2gm_2\ddot y_2=-k(y-l)-m_2g を作る。両辺を質量で割って引くと y¨=−k(y−l)(1/m1+1/m2)−g+g=−(k/μ)(y−l)\ddot y=-k(y-l)(1/m_1+1/m_2)-g+g=-(k/\mu)(y-l) となる。

数値でも確かめた。m1=1 kgm_1=1\,{\rm kg}、m2=2 kgm_2=2\,{\rm kg}、k=3 N/mk=3\,{\rm N/m}、l=1 ml=1\,{\rm m} の2質点を、自然長から 0.1 m0.1\,{\rm m} 縮めて静止の状態から放し、運動方程式を数値積分した。g=0g=0 と g=9.8 m/s2g=9.8\,{\rm m/s^2} のどちらでも、yy の周期は 2.96192 s2.96192\,{\rm s}、振動の中心は y=l=1 my=l=1\,{\rm m} になった。自由に落下する系の釣り合いの長さは、重力があってもバネの自然長のままである。

誤りの一つは、重力を片方の質点にしか入れず y¨=−(k/μ)(y−l)−g\ddot y=-(k/\mu)(y-l)-g とすることである。この式の釣り合いは y=l−μg/ky=l-\mu g/k で、上の数値では −1.178 m-1.178\,{\rm m} になり、y2>y1y_2>y_1 の前提と矛盾する。もう一つは、重力でバネが伸びたまま釣り合うと考えることである。バネの上端を固定して吊るす場合は静的な伸びが生じるが、固定点のない系では両方の質点が同じ加速度で落ちるので、バネは伸びない。

[6] 水素原子のエネルギー準位と重力

一様な重力場では、各粒子の重力ポテンシャルが migzim_igz_i で、総和は重心の高さだけで決まる。2体系の運動が重心と相対座標に分かれることは、[5] の古典の議論をそのまま量子力学に移したものである。粒子間の相互作用が相対座標だけに依ること、外場のポテンシャルが粒子の位置の1次式であることの2つが、変数分離できる条件になる。問題文は相対論効果の無視を指定しているので、重力はニュートン力学の一様な重力ポテンシャルとして扱ってよい。

エネルギー準位は相対運動の固有値で、水素原子の値 En=−μHe4/(2(4πϵ0)2ℏ2n2)E_n=-\mu_{\rm H}e^4/\bigl(2(4\pi\epsilon_0)^2\hbar^2n^2\bigr) に等しい。無限に重い陽子として計算した値は 13.606 eV/n213.606\,{\rm eV}/n^2、換算質量 μH=0.999456 me\mu_{\rm H}=0.999456\,m_{\rm e} を入れると基底準位は −13.598 eV-13.598\,{\rm eV} で、励起エネルギー(n=1→2n=1\to2)は 10.199 eV10.199\,{\rm eV} である。全体のエネルギーは相対運動の EnE_n に重心の運動のエネルギーを加えたものだが、重心の部分は自由落下の連続的なエネルギーで、原子の内部状態の準位には関わらない。

重力の影響を見積もるときの誤りは、電子だけに重力ポテンシャル megzm_{\rm e}gz を加え、摂動として準位が動くと考えることである。ボーア半径 a0=5.29×10−11 ma_0=5.29\times10^{-11}\,{\rm m} を使うと、その大きさは mega0=2.95×10−21 eVm_{\rm e}ga_0=2.95\times10^{-21}\,{\rm eV} で、結合エネルギーの 2×10−222\times10^{-22} 倍にすぎない。そもそも陽子にも同じ加速度で重力が働くので、相対座標には効かず、この摂動項は存在しない。厳密に残る効果は、重力場が一様でないことによる補正だけで、その大きさは μH g a02/RE≈2.5×10−38 eV\mu_{\rm H}\,g\,a_0^2/R_{\rm E}\approx2.5\times10^{-38}\,{\rm eV}(RER_{\rm E} は地球の半径)と、さらに桁違いに小さい。

解答

[1] x1,x2x_1,x_2 で表したラグランジアン

水平面は滑らかで質点は水平方向にしか動かないので、重力は垂直抗力と打ち消し合い、運動には関わらない。運動エネルギーは T=12m1x˙12+12m2x˙22. T=\frac12m_1\dot x_1^2+\frac12m_2\dot x_2^2 . バネの長さは x2−x1x_2-x_1(x2>x1x_2>x_1)なので、伸びは x2−x1−lx_2-x_1-l、弾性エネルギーは U=12k (x2−x1−l)2. U=\frac12k\,(x_2-x_1-l)^2 . L=T−UL=T-U より次を得る。

[2] 重心座標・相対座標で表したラグランジアン

X=(m1x1+m2x2)/MX=(m_1x_1+m_2x_2)/M、x=x2−x1x=x_2-x_1 を x1,x2x_1,x_2 について解く。m1x1+m2x2=MXm_1x_1+m_2x_2=MX に x2=x1+xx_2=x_1+x を入れると Mx1+m2x=MXMx_1+m_2x=MX なので x1=X−m2Mx,x2=X+m1Mx. x_1=X-\frac{m_2}{M}x,\qquad x_2=X+\frac{m_1}{M}x . 時間で微分して x˙1=X˙−m2Mx˙\dot x_1=\dot X-\dfrac{m_2}{M}\dot x、x˙2=X˙+m1Mx˙\dot x_2=\dot X+\dfrac{m_1}{M}\dot x。運動エネルギーに代入すると T=12m1(X˙−m2Mx˙)2+12m2(X˙+m1Mx˙)2=12(m1+m2)X˙2+(−m1m2M+m2m1M)X˙x˙+12 m1m22+m2m12M2 x˙2=12MX˙2+12μx˙2.\begin{align*} T&=\frac12m_1\Bigl(\dot X-\frac{m_2}{M}\dot x\Bigr)^2+\frac12m_2\Bigl(\dot X+\frac{m_1}{M}\dot x\Bigr)^2\\ &=\frac12(m_1+m_2)\dot X^2+\Bigl(-\frac{m_1m_2}{M}+\frac{m_2m_1}{M}\Bigr)\dot X\dot x+\frac12\,\frac{m_1m_2^2+m_2m_1^2}{M^2}\,\dot x^2\\ &=\frac12M\dot X^2+\frac12\mu\dot x^2 . \end{align*} X˙x˙\dot X\dot x の係数は零になる。バネの伸びは x2−x1−l=x−lx_2-x_1-l=x-l である。

[3] 重心座標と相対座標の運動方程式

[2] のラグランジアンに、オイラー・ラグランジュ方程式 ddt∂L∂q˙−∂L∂q=0\dfrac{d}{dt}\dfrac{\partial L}{\partial\dot q}-\dfrac{\partial L}{\partial q}=0 を使う。

q=Xq=X:∂L/∂X˙=MX˙\partial L/\partial\dot X=M\dot X、LL は XX を含まないので ∂L/∂X=0\partial L/\partial X=0。よって MX¨=0M\ddot X=0。

q=xq=x:∂L/∂x˙=μx˙\partial L/\partial\dot x=\mu\dot x、∂L/∂x=−k(x−l)\partial L/\partial x=-k(x-l)。よって μx¨=−k(x−l)\mu\ddot x=-k(x-l)。

[4] 相対運動の角振動数

[3] の μx¨=−k(x−l)\mu\ddot x=-k(x-l) を x¨=−(k/μ)(x−l)\ddot x=-(k/\mu)(x-l) と書き直す。ξ=x−l\xi=x-l とおくと ξ¨=−(k/μ)ξ\ddot\xi=-(k/\mu)\xi で、角振動数 ω\omega の単振動 ξ¨=−ω2ξ\ddot\xi=-\omega^2\xi と同じ形である。 ω=kμ=k (m1+m2)m1m2. \omega=\sqrt{\frac{k}{\mu}}=\sqrt{\frac{k\,(m_1+m_2)}{m_1m_2}} .

[5] 鉛直方向の相対運動の方程式と角振動数

鉛直上向きに座標をとり、重力ポテンシャルは m1gy1+m2gy2m_1gy_1+m_2gy_2 である。ラグランジアンは L=12m1y˙12+12m2y˙22−12k (y2−y1−l)2−m1gy1−m2gy2. L=\frac12m_1\dot y_1^2+\frac12m_2\dot y_2^2-\frac12k\,(y_2-y_1-l)^2-m_1gy_1-m_2gy_2 . Y=(m1y1+m2y2)/MY=(m_1y_1+m_2y_2)/M、y=y2−y1y=y_2-y_1 に移す。運動エネルギーとバネの項は [2] と同じ計算で 12MY˙2+12μy˙2−12k(y−l)2\frac12M\dot Y^2+\frac12\mu\dot y^2-\frac12k(y-l)^2 となる。重力の項は m1gy1+m2gy2=g (m1y1+m2y2)=MgY m_1gy_1+m_2gy_2=g\,(m_1y_1+m_2y_2)=MgY と重心座標だけの関数になる。したがって L=12MY˙2−MgY+12μy˙2−12k (y−l)2. L=\frac12M\dot Y^2-MgY+\frac12\mu\dot y^2-\frac12k\,(y-l)^2 . オイラー・ラグランジュ方程式から、重心は MY¨=−MgM\ddot Y=-Mg(加速度 −g-g の自由落下)、相対座標は μy¨=−k (y−l) \mu\ddot y=-k\,(y-l) となり、重力 gg は現れない。これは [3] の相対運動と同じ式なので、角振動数は [4] と同じ値をとる。

[6] 水素原子のエネルギー準位と重力

電子(質量 mem_{\rm e}、位置 re\bm r_{\rm e})と陽子(質量 mpm_{\rm p}、位置 rp\bm r_{\rm p})が、重力のもとでクーロン力により束縛されている。電気素量を ee として、ハミルトニアンは H^=p^e22me+p^p22mp−e24πϵ0∣re−rp∣+megze+mpgzp \hat H=\frac{\hat{\bm p}_{\rm e}^2}{2m_{\rm e}}+\frac{\hat{\bm p}_{\rm p}^2}{2m_{\rm p}}-\frac{e^2}{4\pi\epsilon_0|\bm r_{\rm e}-\bm r_{\rm p}|}+m_{\rm e}gz_{\rm e}+m_{\rm p}gz_{\rm p} である。重心 R=(mere+mprp)/(me+mp)\bm R=(m_{\rm e}\bm r_{\rm e}+m_{\rm p}\bm r_{\rm p})/(m_{\rm e}+m_{\rm p}) の高さを ZZ、相対座標を r=re−rp\bm r=\bm r_{\rm e}-\bm r_{\rm p} とすると、[5] と同じく重力の項は (me+mp)gZ(m_{\rm e}+m_{\rm p})gZ になる。μH=memp/(me+mp)\mu_{\rm H}=m_{\rm e}m_{\rm p}/(m_{\rm e}+m_{\rm p}) として H^=[P^22(me+mp)+(me+mp)gZ]+[p^22μH−e24πϵ0r] \hat H=\Bigl[\frac{\hat{\bm P}^2}{2(m_{\rm e}+m_{\rm p})}+(m_{\rm e}+m_{\rm p})gZ\Bigr]+\Bigl[\frac{\hat{\bm p}^2}{2\mu_{\rm H}}-\frac{e^2}{4\pi\epsilon_0r}\Bigr] と、重心だけの部分と相対座標だけの部分の和に分かれる。波動関数は積 Φ(R)ψ(r)\Phi(\bm R)\psi(\bm r) の形にでき、束縛状態の準位を決める相対運動の方程式に gg は入らない。準位は En=−μHe42(4πϵ0)2ℏ2 1n2(n=1,2,… ) E_n=-\frac{\mu_{\rm H}e^4}{2(4\pi\epsilon_0)^2\hbar^2}\,\frac1{n^2}\qquad(n=1,2,\dots) で、無重力のときと同じである。

最終答

[1] x1,x2x_1,x_2 で表したラグランジアン

L=12m1x˙12+12m2x˙22−12k (x2−x1−l)2\displaystyle L=\frac12m_1\dot x_1^2+\frac12m_2\dot x_2^2-\frac12k\,(x_2-x_1-l)^2

[2] 重心座標・相対座標で表したラグランジアン

L=12(m1+m2)X˙2+12 m1m2m1+m2 x˙2−12k (x−l)2\displaystyle L=\frac12(m_1+m_2)\dot X^2+\frac12\,\frac{m_1m_2}{m_1+m_2}\,\dot x^2-\frac12k\,(x-l)^2

[3] 重心座標と相対座標の運動方程式

(m1+m2)X¨=0(m_1+m_2)\ddot X=0、m1m2m1+m2 x¨=−k (x−l)\displaystyle\frac{m_1m_2}{m_1+m_2}\,\ddot x=-k\,(x-l)

[4] 相対運動の角振動数

ω=k (m1+m2)m1m2\displaystyle\omega=\sqrt{\frac{k\,(m_1+m_2)}{m_1m_2}}

[5] 鉛直方向の相対運動の方程式と角振動数

μy¨=−k (y−l)\mu\ddot y=-k\,(y-l)、ω=k (m1+m2)m1m2\displaystyle\omega=\sqrt{\frac{k\,(m_1+m_2)}{m_1m_2}}([4] と同じ)。理由は、重力ポテンシャルが重心座標 YY だけの関数で、相対座標に現れないためである。

[6] 水素原子のエネルギー準位と重力

変化しない。重力ポテンシャルは重心座標だけで書け、クーロン力による相対運動のハミルトニアンに現れないので、En=−13.6 eV/n2E_n=-13.6\,{\rm eV}/n^2(換算質量を入れると n=1n=1 で −13.598 eV-13.598\,{\rm eV})は重力の有無で同じである。重力は重心の運動(自由落下)だけを変える。

第2問 — 電磁気学:同軸ケーブルの容量・インダクタンスと信号の伝搬速度

電磁気学:同軸ケーブルの容量・インダクタンスと信号の伝搬速度の途中式・最終答をPDFで見る

第3問 — 量子力学:2準位系のハミルトニアン・密度演算子・ブロッホ方程式

量子力学:2準位系のハミルトニアン・密度演算子・ブロッホ方程式の途中式・最終答をPDFで見る

第4問 — 統計力学:スピン1の独立スピン系の磁化・分配関数・エントロピー

統計力学:スピン1の独立スピン系の磁化・分配関数・エントロピーの途中式・最終答をPDFで見る

物性物理科学Iの解答・解説PDF

2022〜2026年度(5年度) · ¥2,880

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年度別の解答例(5年度)

  • 2026年度(解説3項目)

    力学:回転円盤上の振り子と有効ポテンシャル / 電磁気学:導波管の遮断周波数と空洞共振器 / 量子力学:1次元調和振動子と消滅演算子の固有状態

  • 2025年度(解説3項目)

    力学:穴を通るひもでつながれた2質点の運動とパラメトリック共鳴 / 電磁気学:電気双極子の電位・電場と、分子間のファンデルワールス引力 / 量子力学:2次元の自由粒子・正方形の井戸型ポテンシャルと縮退のある摂動論

  • 2024年度(解説3項目)

    力学:引力と斥力をもつポテンシャルの極小点と微小振動 / 電磁気学:同軸円筒コンデンサと液体の電荷緩和 / 量子力学:調和振動子の基底状態と運動量表示

  • 2023年度(解説3項目)

    剛体の力学:2本の糸で吊るした直方体のねじれ振動 / 電磁気学:トロイダルコイルの磁束とインダクタンス、空隙のある鉄心の磁気回路 / 量子力学:結合した2つの調和振動子と外場による遷移

  • 2022年度(このページ・解説4項目)

    力学:バネでつながれた2質点(重心座標・相対座標)と重力 / 電磁気学:同軸ケーブルの容量・インダクタンスと信号の伝搬速度 / 量子力学:2準位系のハミルトニアン・密度演算子・ブロッホ方程式

2022年度の出題内容

解説4項目

この4問の分野は電磁気学・回路1問・熱・統計力学1問・量子力学1問・力学1問です。

大問分野主題解説の小見出し最終答
第1問力学バネでつながれた2質点(重心座標・相対座標)と重力—あり
第2問電磁気学・回路同軸ケーブルの容量・インダクタンスと信号の伝搬速度—あり
第3問量子力学2準位系のハミルトニアン・密度演算子・ブロッホ方程式—あり
第4問熱・統計力学スピン1の独立スピン系の磁化・分配関数・エントロピー—あり

大阪大学の公式過去問

公開年度範囲
領域別。電子光・物性物理・化学・化学工学・数理科学は2022〜2026年度など
公式の解答例
解答例の掲載なし
英語の扱い
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2026-10-26
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